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会社で働くにあたって、休日数を重視する方は多いと思います。適度な休みがあってこそ心身の疲れも取れて仕事のパフォーマンスも上がります。そのため、休日数の多さは就職・転職するにあたって重要な判断材料です。年間休日は会社や業界によって異なるため、事前に年間休日の仕組みや内訳についてはよく調べておく必要があります。就職した後に、休日について大きく後悔するケースも少なくはありません。
本記事では年間休日について、労働基準法における定義と最低ラインから休暇との違い、年間休日の平均数やホワイト企業における基準、年間休日が少ない場合の対策など徹底的に解説します。年間休日の仕組みを知りたい就職や転職希望の方、また企業の労務担当の方はぜひ最後までご覧ください。
年間休日とは、会社が定める1年間の休日のことで、一般的にはこの休日数の合計を表す言葉として使われます。年間休日を何日間と定めるのかは、会社や業界によっても違いがあり、それぞれの判断に委ねられている部分でもあります。
たとえば、週末の土日を休日と定めている会社の場合は、毎週2日間の休み×約52週間という計算で、年間休日は104日間です。ただし、労働基準法によって年間休日の最低ラインは105日と定められているため、これに加えてほかの日を休日に設定するなどの方法で会社側は対策しています。
基本的に労働基準法が定める基準を満たしているのであれば、経営者側の判断で年間休日を設定できるようになっています。そのため、労働者側は就職前にその会社の年間休日について、十分に調べておくことが重要です。入社してから、年間休日数が少ないという理由で転職を決意したといった声も少なくはありません。
会社側が偽っていない限り、事前に調べておけば回避できる問題であるため、自分の就きたい業種や入社したい会社の休日事情については精査しておきましょう。
労働基準法は、労働者の適切な雇用や権利を守るための法律です。労働基準法には、労働時間や休憩時間、休日について、以下のような規定が存在します。
法定の労働時間、休憩、休日
出典:労働時間・休日 |厚生労働省
- 使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。
- 使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。
- 使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。
使用者は少なくとも毎週1日の休日、または4週間を通しては4日以上休日を与えなければならないという規定があり、これは「法定休日」とも呼ばれます。1日8時間の労働が可能な日の上限とこの法定休日の日数から逆算すると、年間休日数の最低ラインは105日になります。
毎週1日の休日を設けるだけではこの最低ラインに届かないため、会社ごとに法定外休日を設けて調整しているのが実情です。あくまで年間休日が105日というのは労働基準法で定められた最低ラインであるため、120日、125日など多めに設定している会社が多くなっています。
労働者が業務を行わない日を意味する言葉としては、「休日」と「休暇」の2種類が存在します。同じ意味合いで使われるケースも多いのですが、休日は労働義務自体が課されておらず(いわゆる「公休日」)、休暇は労働義務が課されているもののそれが免除された日だという違いがあることを覚えておきましょう。
前述した年間休日はこの休日という言葉が当てはまり、申請を行うことで休みになる日はすべて休暇になるという認識です。ただし休日と休暇を厳密にどう取り扱うのかは会社側に委ねられているため、詳細については会社に確認するのが確実です。
「有給休暇」「看護休暇」など本来の勤務日を休みとする場合は「休暇」という言葉を用います。
前述した通り、年間休日は会社によって最低ラインを超えて設定される場合があります。土曜日と日曜日のほかに一般的に年間休日に含まれるのは「祝日」「夏季休暇」「年末年始休暇」です。祝日が休日扱いとなるのか、また夏季休暇や年末年始休暇がどのくらい取得できるかによって、年間休日の日数は上下します。これらの休日に加え、一般的には年間休日に含まれない休暇の代表例である「有給休暇」や「育児休暇」、「慶弔休暇」について、詳しく見ていきましょう。
政府が定めている日本国民の祝祭日のことを、祝日と呼びます。この祝日に関しては「国民の祝日に関する法律」が制定されており、建国記念日や成人の日、天皇誕生日など年間で計16の日を国民の祝日と定めています。
祝日をどう扱うかについては明確に定義されていません。そのため、会社によって年間休日にカウントするかどうかは異なります。また、国民の祝日が日曜日に当たる場合は、その日にもっとも近い日を休日扱いにするなど(振替休日)、祝日はほかの休日と比べても少し特殊な扱いになるので覚えておきましょう。
夏季休暇は、夏の期間に設けられる休暇のことで、いわゆるお盆休みに該当するのがこの夏季休暇です。企業が就業規則にて休日と定めている場合が多く、年間休日として扱われるケースが一般的です。業界によってはこの時期が繁忙期となる会社もあるため、夏季休暇が存在しない場合もあります。
年末年始休暇は、大晦日の数日前からお正月の三が日頃まで設けられる休暇です。こちらも企業が休日として扱うことが多いことから、年間休日に分類されるのが一般的です。夏季休暇と同様、この時期が繁忙期なる業界や会社は年末年始休暇がない場合もあります。
有給休暇とは、一定期間継続勤務した労働者に対して付与される休暇であり、正式名称は年次有給休暇です。付与の条件は雇用日起算で6カ月間の継続勤務、かつ全労働日で8割以上出勤になります。
また付与日数についても継続勤務年数に応じて増加するようになっています。通常の労働者の場合は6カ月で10日、6.5年以上の継続勤務で最大20日が年間で付与されます。
有給休暇は常に貯めておけるわけではなく、取得してから2年間のみ消化可能です。つまり、昨年度分を繰り越して最大でも40日間(※)までしか保有できないため、うっかり消失してしまわないように気をつけなければなりません。
※年間5日の消化義務があるため、実際に保有できる日数は最大で35日です。
有給休暇の細かいルールについては、企業ごとに社内規定で定められていることが一般的です。基本となる仕組みを理解して、効率よく有給休暇を消化することを従業員側は覚えておきましょう。
育児休暇は、労働者が育児することを目的に取得する休暇を指します。基本的には1歳未満の子供を養育するために取得できる休暇で、1992年の育児休業法施行に伴い国内の企業で制度の導入が広がりました。
期間は、子供が産まれてから1歳になるまで利用できるのが一般的で、保育所に入れないなどの例外的な理由がある場合に限り、最長2歳までは期間を延長できるようになっています。
慶弔休暇は、従業員またはその近親者の慶事や弔事などのために取得できる休暇です。出産や結婚、親族の死亡などについては、申請することで慶弔休暇を取得できます。この慶弔休暇は法律によって定められているわけではなく、あくまでその会社の福利厚生として設けられているケースが一般的です。そのため日数は会社によって異なり、慶事の場合は3日~5日、弔事の場合は7日~10日が目安となっています。
慶事や弔事はいずれも大切な行事であるため、それに専念できる休日の設定は従業員としても大きな安心感につながります。安心感は従業員の仕事におけるモチベーション維持にも大きく寄与するため、企業側は適切に設定することが望ましいでしょう。
年間休日の最低ラインは前述の通り105日ですが、基本的に会社はこの最低ラインよりも多少猶予がある休日数を設定しています。厚生労働省の調査によると、令和4年度の労働者1人あたりの平均年間休日総数は115.3日となっており、最低ラインの105日よりも10日ほど多い計算です。
ホワイト企業とは、厳密な定義はありませんが、一般的に労働環境が良好な企業のことを指します。年間休日の基準としては、日本の法律で定められた最低限の105日以上が求められますが、ホワイト企業ではさらに多く、120日以上の休日を提供することが一般的です。また、有給休暇の取得促進や、長期休暇の制度を整えていることも特徴です。労働者のワークライフバランスを尊重し、健康的な働き方を推進しています。
年間休日の最低ラインである105日を下回っても労働基準法に違反しない場合があります。それは、36協定を締結している場合です。36協定とは、労働者に対して法定労働時間を超過した労働や休日労働をさせる場合に締結する必要がある協定です。36協定を締結し、届け出ることで法定労働時間を超えた時間外労働や休日労働が認められます。
36協定の締結および届け出がなければ、その会社の従業員は法定外残業や休日労働が一切できません。労働基準法では、時間外労働や休日労働に対する割増賃金を定めています。割増賃金を支払っていれば、休日労働により、休日数が最低ラインを下回ったとしても違反になりません。
就職や転職活動をする際は、年間休日数や36協定についてよく確認する必要があります。
入社した会社の年間休日が少ないと労働者側の立場で感じた場合は、自分で何かしらのアクションを起こすしかありません。休日をやみくもに増やしたいからと休み続けては、無給休暇で収入にもならず会社からの自身の評価も下がってしまいます。年間休日が少ない状態をどうにか解消したい場合は、以下のポイントを意識して動いてみましょう。
勤続年数に応じて毎年付与される有給休暇を取得して、休日を増やすのも一つの方法です。前述した通り有給休暇には2年の使用期限があるため、繰り越しても使いきれなかった分は消滅してしまいます。残り日数については正確に管理しておき、時折有給休暇を取得して心身をリフレッシュさせるようにしましょう。
ただし、長期の連休として取得する場合は、会社の業務に大きな支障が出ないかを事前に確認する必要があります。基本的に会社は従業員の有給休暇は認めなければなりません。しかし、業務に大きな支障が出る場合はこれを拒否できるため注意が必要です。
年間休日は入社前に事前に調べておくことが本来は望ましいです。しかし、入社後に年間休日が少ないことが判明したという場合も実際にあるでしょう。その際には、年間休日の多い企業へ転職、もしくは業種自体を年間休日が多い傾向にあるものへと変更するのも手段の一つです。
厚生労働省が発表した平成 30 年就労条件総合調査によれば、労働者1人あたりの平均年間休日総数がもっとも多いとされている業種は、電気・ガス・熱供給・水道業となっています(120.9日)。
すべての企業がこのデータ通りになるわけではなく、情勢や法改正によって今後大きく変わる可能性もあるためあくまで参考程度となります。しかし、就職や転職活動の際には、この年間休日についてよく調べておくことをおすすめします。入社後に年間休日数の少なさなどで後悔しないよう、入念に企業調査・業界調査を実施したうえで選考に臨みましょう。
年間休日をはじめ有給休暇や慶弔休暇など、自身がどれだけ休日を取得していたかの確認が必要です。また企業側も従業員の休日状況を正確に把握する場合、アナログの管理では見落としや記録忘れなどの人為的ミスが多発します。そうした場合は、勤怠をデジタル化できる勤怠管理ツールを利用するのがおすすめです。
手間のかかる休日の管理をデータによって一元化できるため、管理漏れのリスク軽減や時短による業務効率化が図れます。勤怠管理ツールは月額契約によるランニングコストがかかるケースがほとんどです。しかし、コストに見合うだけのリターンは十分にあるため、ツールの導入を積極的に検討してみましょう。
年間休日は会社が定める休日数であり、労働者の仕事と休日のバランスを取るためにも重要な要素です。労働基準法の範囲内であれば、年間休日の設定は経営者に委ねられるため、会社ごとにその詳細は大きく異なる場合があります。しかし、「仕事を全然休めていない」「休日がなくてプライベートの時間が取れず、ストレスが溜まっている」など、仕事における休日の不満は多くの方が抱いています。
自身がこれから就職・転職する場合、ワークライフバランスに重きを置くのであれば、年間休日数についてよく調べてから行動するようにしましょう。また企業側は、従業員のモチベーションや健康維持のためにも、適度に年間休日を設定することが大切です。
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