市民の安心安全に貢献する
非対面・非来庁型行政サービスを実現
- 神奈川県茅ヶ崎市役所
相模湾を望む神奈川県の湘南エリア。マリンスポーツが盛んな、この地域の中央に位置する茅ヶ崎市は人口約24万人の都市です。同市では2022年4月から工事請負契約のほか、業務委託契約、物件供給契約といった、契約締結の行政手続きで電子契約サービスを利用しています。契約検査課での利用率が9割に迫るという活用頻度の高さや、導入に至った経緯について聞きました。
取材協力神奈川県茅ヶ崎市役所 経営総務部 契約検査課 課長補佐 福井聡さま
業種 | 契約類型 | ご利用プラン |
---|---|---|
行政 | 工事請負契約、業務委託契約、賃貸借契約、物件供給契約、製造請負契約、協定書、覚書など | 契約印&実印プラン |
記事の要約
- 全庁で導入し、工事請負契約や業務委託契約、物件供給契約などで活用
- 2022年4月から本格導入し、契約検査課での契約締結のおよそ9割が電子契約に
- 茅ヶ崎市役所側で、導入より1年5ヶ月でおよそ230万円のコスト削減効果があった
- 電子印鑑GMOサインの専任担当者が導入から運用まで一貫して全面サポート
―茅ヶ崎市で電子契約サービスを導入するに至った経緯を教えてください。
2021年1月に地方自治法施行規則が改正されたことで、自治体でも民間事業者さんが提供する「クラウド型電子契約サービス」の利用が可能になりました。そのタイミングでGMOサインさんから、茅ヶ崎市役所での電子契約サービス導入をご提案いただいたのがきっかけです。
当時はコロナ禍で、新型コロナウイルス感染症に起因する様々な業務が発生し、市役所全体で業務負荷が高まっており、事務作業の合理化の必要性を強く感じる状況でした。加えて、市民の皆様の安心安全を実現するためにも、契約検査課の立場からどんな貢献ができるかを検討した結果、非対面・非来庁型行政サービスの推進に取り組みたいと考えていました。
電子契約サービスの導入は、それらの課題を解決する一助になるのではと、検討をはじめることになりました。
―その後、電子契約サービスの事業者をどのように選定していったのですか?
電子契約に限らず、新しいサービスを導入する際には、計画を立て、予算を確保する必要があります。関係する課に相談したところ、電子契約サービスの導入に好意的な意見を得たため、課の計画に位置付け、取組を開始しました。
まず、GMOサインさん、受注事業者さんにご協力いただいて、実証実験を行い、導入の課題や効果を検証しました。実証実験は契約検査課が発注する実際の案件で行い、紙の契約書で締結すると同時に、同じ内容のダミー契約を電子契約で結ぶ形で実施しました。
その後、補正予算の対応を行い、最終的には競争入札にて電子印鑑GMOサインを採用するに至りました。
―電子契約サービスを導入するにあたって、懸念点や不安はありましたか?
地方自治法施行規則の改正によって、民間事業者さんの提供するクラウド型電子契約サービスが利用できるようになったとはいえ、茅ヶ崎市では契約手続きの規則や手順が、紙の契約書の存在を前提としていました。
そのため、電子契約でも問題なく運用できるのか、庁内の常識を打ち破ることができるのか、事業者さんの理解が得られるのかといった、漠然とした不安を抱えていました。
そんな中、GMOサインさんから、先行して導入している自治体の事例や法令解釈の提供、動画での説明会開催や実証実験への協力など、全面的なバックアップを受けながら、懸念や不安を解消していきました。
こうした取組を通じて、庁内関係課や事業者さんの理解を得ることができました。
―現在、どのような契約で電子印鑑GMOサインを利用されていますか?
現在は全庁で導入しており、工事請負契約や委託契約、賃貸借契約、物件供給契約、製造請負契約など、法令などで書面化義務のある契約を除いた契約全般で利用しています。
また協定書や覚書など、双方の記名押印が必要であった書面の取り交わしも利用対象としています。
ちなみに、当時、全庁での導入は神奈川県内の自治体では初となりました。なお、活用状況について、契約検査課の執行分になりますが、たとえば2023年4月に契約締結した36件のうち35件が電子契約となっています。
また、2022年4月から2023年8月までの同課の契約締結総数は316件でしたが、およそ9割に当たる284件が電子契約でした。
―電子印鑑GMOサインを導入したことで、業務はどのように改善しましたか?
まず、紙の契約書作成にかかっていた事務作業が削減されています。また、契約締結に費やす時間が、最短10分にまで劇的に短縮されています。
そのほか、印刷費や郵送費といったコストの削減、関係部署に紙の契約書を回付していたことによる事務リスクの減少、テレワーク時でも契約事務が可能になったこと、コロナ禍における非対面・非来庁型行政サービスの推進など、多くの場面で業務が改善されています。あくまでも仮の試算になりますが、現在までに全庁で約1000件の電子契約を実施しましたので、我々市役所側だけでも、人件費を含めおよそ230万円のコスト削減効果があったと考えています。
また、受注事業者さんからは、来庁や郵送の手間の削減、印紙税の節約(契約検査課の執行分だけで、およそ275万円)、テレワークでの業務遂行が可能になったという声をいただいており、電子契約サービスの導入を歓迎いただいています。
―電子印鑑GMOサインを導入して特によかったと感じている点があれば、教えてください。
受注事業者さんの側でサービスを利用する際に、登録などの事前準備が不要で、インターネットに接続できる環境があれば、電子契約を利用できる点に大変魅力を感じています。また、実際に運用を開始してからは、締結済みの契約書のデータを、庁内担当課ごとにフォルダ管理できる点は特に便利だと感じています。
そのほか、GMOサインさんには、導入検討時における有益な情報提供、導入準備期における資料作成や説明会開催への手厚いサポート、そして導入後の担当課のサポートまで、計画段階から普及段階、また現在に至るまで一貫してバックアップいただいています。専任の担当者を配置いただいていることも大きな安心につながっていると感じています。
―電子印鑑GMOサインの利用に関する、今後の目標はありますか?
茅ヶ崎市ではDX推進方針を掲げ、ICTのさらなる活用、非対面・非来庁型行政サービスの推進の一環として、事務の電子化・合理化に取組んでいます。
そのため契約検査課の契約手続きで考えれば、本市が利用している、かながわ電子入札共同システムと連動させ、入札の執行から、契約書の作成、契約の締結、検査、請求書の受領、支払い手続きまでのすべてが連動できるシステムが実現できれば、自治体はもちろん、市民や事業者の皆様双方にとって大きなメリットがある仕組みができると考えています。是非、検討してください。
―お忙しいところ、ご協力ありがとうございました。
- 感染症対策を実施の上、インタビューを行っております。
- 掲載している内容、所属やお役職は取材当時のものです。
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