神奈川県川崎市役所

2023年4月の導入から4ヶ月で
1000件以上の電子契約を達成

神奈川県川崎市役所

神奈川県川崎市。神奈川県では横浜市に次ぐ、第二の都市で、150万人を超える人口を有しています。東京へのアクセスも良く、多くの人口を抱えるこの自治体で、電子契約の活用がスタートしたのは2023年4月のこと。4ヶ月ですでに1000件以上の電子契約を達成したと言います。電子契約を導入した経緯や、電子契約の普及が進む実態について聞きました。

取材協力神奈川県川崎市役所 財政局 資産管理部 契約課 大塚裕司さま 財政局 資産管理部 契約課 和田光広さま 財政局 資産管理部 契約課 山田正人さま

業種 契約類型 ご利用プラン
市役所工事請負契約、業務委託契約、物品買入れ契約、製造請負契約など契約印&実印プラン

記事の要約

  • 川崎市のDX推進がきっかけで電子契約の導入を検討
  • タイムスタンプの日付と契約日を合わせることが課題
  • 2023年4月の導入から4ヶ月で、1000件以上の電子契約を達成
  • 持参や郵送による契約書の提出が不要になり、来庁する受注者が減少
  • 2025年には川崎市全体での電子契約の利用を計画中

インタビューの様子

―川崎市で電子契約サービスを導入するに至った経緯を教えてください。

川崎市では、市民サービスを向上させ、また、更なる業務効率化を図るため、2022年3月に「川崎市デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進プラン」を策定しました。
この計画を策定する段階から、書面や押印、対面での応対といった従来の業務を見直しがはじまり、電子契約の導入についても検討していくことになりました。同時期に、地方自治法施行規則が改正され、地方自治体でも民間事業者が提供する「クラウド型電子契約サービス」の利用が可能になったことも、計画を進める後押しになったと思います。
その後、2021年度に予算要求を行い、2022年度の一般競争入札により業者を選定して、2023年4月1日から、財政局資産管理部契約課で入札・契約を行う案件について、電子契約サービスを活用しています。

―電子契約サービスを導入するにあたって、懸念点や不安はありましたか?

従来の規則や業務フローとの整合性については、先行している自治体の事例などを参考にしながら、検討していきました。
また、庁内の法制部門等とも検討を重ねた結果、2023年4月1日から運用を開始しました。そのなかで、もっとも頭を悩ませたのは、タイムスタンプの日付と契約書の日付との整合性の問題です。電子契約では契約書に電子署名を行った際に、自動的に日付が刻印されるタイムスタンプという仕様があり、不正防止の機能を果たしていますが、これが契約書の日付とズレてしまうケースが考えられます。通常の契約では問題になりにくいのですが、自治体の場合、年度初めの4月1日付の契約が多く、どうしても遡って署名することになるという問題が生じると考えられます。どのように運用するのが望ましいのか、検討している最中です。電子契約サービスの運用をスタートした、2023年4月1日については、土曜日だったのですが、契約課の担当者が出勤し、その日のうちに電子署名を行うことで対応しました。 2025年度をめどに川崎市全庁で電子契約サービスの利用を開始する予定であるため、今後、解決しなければいけない課題となっています。

―現在、どのような契約で電子印鑑GMOサインを利用されていますか?

インタビューの様子

現在は、川崎市財政局資産管理部契約課で入札・契約を締結している案件について電子契約を利用しています。同課では、工事に関しては予定価格が250万円を超えるもの、物品の購入については5万円を超えるものについて、入札・契約事務を担当しています。
また、委託契約については建設コンサルタント、地質調査、測量業務、補償コンサルタント、道路の清掃のような屋外清掃、そして建物清掃を対象に契約課が入札・契約しています。
2023年4月から7月までの契約件数は1324件ですが、このうち78.7%にあたる1042件が電子契約での締結となっています。

―電子契約の事業者はどのように選定されたのですか?

最終的には、一般競争入札によって電子印鑑GMOサインに決定しましたが、それに先立つ2021年7月にGMOサインによる実証実験、さらに同年10月には別の事業者で再度、実証実験を行い、受注者の声や導入のメリット、問題点などの洗い出しを行ってきました。
いずれも実際の契約ではなく、ダミーのデータによる電子署名の処理を行っていただくものですが、職員が行う電子契約の処理は難しくないといった印象で、協力していただいた事業者からも好意的な意見でした。そこで予算要求を行い、一般競争入札を経て、電子契約サービスの事業者を決定しました。

インタビューの様子

―電子印鑑GMOサインを導入したことで、業務はどのように改善しましたか?

契約書を印刷、製本、押印、そして郵送するといった従来の契約事務と比べて、電子契約では工程が少なく、作業時間が削減されています。しかも、紙と電子契約では、業務フローや担当権限に大きな変更点があるわけではありません。そのため、はじめて電子契約に携わる職員の間に混乱もなく、運用できています。
また、受注者にとっては収入印紙が不要になるというメリットがあります。とくに工事契約では案件の額によって、十数万円の印紙税を負担しなければならないケースがあり、その負担軽減は受注者にとって大きなメリットになっているはずです。
さらに、契約書を持参する必要がなくなったこともあり、来庁する受注者の数が明らかに減少しています。乗用車で来庁され、手続きされた方に対して、駐車券を発行していますが、この発行枚数が半減しています。

―電子印鑑GMOサインを導入して特によかったと感じている点があれば、教えてください。

電子印鑑GMOサインの運用を開始する際に、アカウントの一括登録で、少しサポートしていただきましたが、それ以外は操作や機能で、とくに苦労した記憶はありません。現在、契約課の職員23名で利用していますが、事前の研修会も実施しませんでした。GMOサインさんにいただいたマニュアルをもとに作成した資料だけで、トラブルもなく運用できています。

―電子印鑑GMOサインの利用に関する、今後の目標はありますか?

2023年度から契約課の入札契約に限って電子契約を利用していますが、2025年度からは利用を全庁に拡大する予定です。もちろん契約はわれわれの手続きだけではなく、相手方である受注者さまがいて成立することです。そのため電子契約に消極的な方もいらっしゃるとは思いますが、ペーパーレス化やDXを推進する川崎市としてはできる限り、電子契約での締結を推奨していきたいと考えています。

―お忙しいところ、ご協力ありがとうございました。

  • 掲載している内容、所属やお役職は取材当時のものです。
自治体名
神奈川県川崎市役所
所在地
神奈川県川崎市川崎区宮本町1
URL
https://www.city.kawasaki.jp/

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