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個人事業主は日々の取引の中で多くの印鑑を使います。印鑑はビジネスにおいて不可欠なものですが、「個人事業主にはどんな印鑑が必要?」と尋ねられてもスムーズに回答するのはなかなか難しいことです。
今回は個人事業主が持っておきたい印鑑について説明します。いざというときに必要な印鑑がないという事態は避けたいものです。また印鑑を作っておくだけでスムーズに仕事が進む、信頼度が高まる、ということも少なくありません。
個人事業主として活動している、あるいは、これからフリーランスとして独立するという場合、どんな印鑑を用意すれば良いのでしょうか。
まず持っておきたい印鑑をお伝えします。
個人事業主として準備しておきたい印鑑の種類は以下の6つです。
各印鑑の具体的な用途を解説します。
印鑑の種類別に用途を解説します。
まずは基本となる個人用の印鑑を見てみましょう。
『実印』は、銀行から融資を受けたり、事務所や店舗など不動産取引をしたりする際に必要です。自分がすでに持っている印鑑を、実印として市役所など公的機関に届け出ることで、印鑑が実印登録されます。ただし融資や不動産取引の予定が当面ない場合、印鑑登録する必要はないかもしれません。
『認印』(みとめいん)は、宅配便の受け取りや社内書類へのサインの代わりに利用されているハンコですが、これまでは行政に提出する書類にも認印の押印が必要であるケースが多くありました。たとえば、国税庁に提出する開業届や青色申告に関する書類、確定申告書類などです。しかし、行政でも「脱ハンコ」の動きが進み、法改正によって2021年4月からこれらの書類への押印が不要となりました。国税庁の書式も更新され、押印欄なくなりました。今後、ビジネスにおける認印の利用機会は減っていくと思われます。
日々の取引では認印で足りるかもしれませんが、重要な取引や大きな取引相手と契約する場合は『屋号印』があると、書類に箔が付きます。
屋号とは、個人事業者の方が使用する商業上の名称のことです。もちろん個人名(フルネーム)の印鑑でも取引に支障はありません。ですが、個人事業主にとって“信用”はとても大切です。屋号や屋号印を使用することによって、取引相手に安心感を持ってほしいと願う個人事業主の方も多いのではないでしょうか。
また個人事業主には『事業用口座の銀行印』が必要なケースもあります。
個人事業主の中には、個人用の口座と事業用の口座を分けていない方もいますが、これでは経理や税務の処理が分かりづらくなります。そのため、事業用の銀行口座を用意し、事業用の銀行印を別に作っておくと、お金の管理がしやすくなります。
また、融資の審査を受ける際に銀行通帳の提示を求められることがあります。このとき、個人口座と事業口座が分けられていると、公私混同せずに、事業の収益を把握しやすくなり、融資する側に好印象を与えます。
残りの『角印」や『住所氏名印』は、領収書や請求書、納品書、見積書などを発行する際に使用します。住所氏名印は必須ではありませんが、領収書発行の度に手書きで住所や氏名を書くのは効率的ではありません。
また、屋号入りの角印を用意することで、領収書や請求書などに箔が付き、取引相手に安心感を与えられます。
取引相手が増えるほど、印鑑の変更が大変になります。取引先に印鑑が変更されたことを通知しなければならないこともあります。また、長く使うためには印鑑素材の耐久性にもこだわりたいところです。
鮮明な印影でなければ、見積書や請求書の信頼感が落ちてしまいます。ぼやけた印影の見積書では、受け取った方も不安になってしまいます。印影の鮮明さは紙の素材や押し方で変わりますが、少しでも鮮明にするため、捺印性が高い印鑑素材を選びましょう。
なお、事業用の印鑑にはよく用いられる書体があるため、使用する書体は印鑑専門店で相談することをおすすめします。印鑑専門店で耐久性・捺印性・信頼性が高い素材と書体を選んでください。
現在印鑑を使われている方は電子印鑑を導入することでさまざまなメリットを得ることができます。電子印鑑がおすすめである理由を見ていきましょう。
電子印鑑を利用して電子契約を締結するためには電子契約システムを導入する必要があります。多額の初期費用やランニングコストがかかるというイメージがあるかもしれませんが、実際には月額1万円以内で使うことができます。
特に個人事業主の場合はそれほど契約を締結する機会が多くないという方もいらっしゃるかもしれません。月数件程度の契約であれば無料で使うことも可能です。
「電子契約」というからには契約でしか使えないと思われるかもしれませんが、電子契約システムを活用すればさまざまな書類を電子化することが可能です。
業務委託契約書や秘密保持契約書はもちろん、注文請書や注文書、個人情報取扱同意書、その他人事系、売買系、賃貸借系、営業・購買系、賃借系、業務委託・請負系など、多種多様な書類に活用することができます。
仕訳帳や総勘定元帳、決算資料や領収書や契約書などの国税関係帳簿書類は「電子帳簿保存法」によって電磁的記録(電子データ)での保存が認められています。ただし、書類を保存する際にはさまざまな要件を満たさなければなりません。
電子帳簿保存法に対応した電子契約システムを導入して契約を締結すれば、ご自身で対応できるよう環境整備をしたりする手間が省けます。税務調査などが入った場合も安心です。
電子化の流れが加速している中、個人事業主であっても電子帳簿保存法についてはしっかりと把握しておく必要があります。
電子帳簿保存法とは?データ化できる文書の種類と適用に必要な手続き
個人事業主は、個人の認印と実印で仕事をまかなうことは可能です。
しかし、事業用印鑑を用意しておくことで、信頼度は大きく上がります。特に、法人ではない個人事業主は信頼がとても重要です。見積書などのビジネス書類でも、個人の認印より屋号印の方が信頼や安心感を与える場合もありますから、必要に応じて屋号印や個人名(フルネーム)を刻んだ印鑑を用意しましょう。
また、住所氏名印があると手書きの手間が減るため、手書きの領収書を作る機会がある方は1つ持っておくと重宝します。
個人事業主としてビジネスを広げるためには、ビジネスシーンに応じた印鑑をそろえておくことをおすすめします。
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