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契約不適合責任とは?2020年の民法改正で何が変わった?期間や免責について徹底解説!瑕疵担保責任との違いも紹介

 

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2020年の民法改正により、売主には瑕疵担保責任ではなく、契約不適合責任が問われるようになりました。単なる名称変更ではなく、買主の権利が拡充されたり、契約不適合責任の期間にも変更が加えられたりしています。

正しい知識にもとづかないで契約書を作成すると修正が必要となることがあります。契約不適合責任やその期間について十分理解しておくことが大切です。当記事では、瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いや契約不適合責任の詳細について解説を行います。

目次

契約不適合責任とは

契約不適合責任は、2020年3月までは瑕疵担保責任と呼ばれていたもので、同年4月の民法改正に伴い、この名称に変更になりました。

契約不適合責任は、契約によって引き渡した物が契約内容と違っていた場合に、引き渡した側が負う責任を指します。契約書に記載した物の種類、品質あるいは数量が適合していなければ、契約不適合責任が生じます。

旧民法の瑕疵担保責任と改正後の契約不適合責任の違い

改正民法の契約不適合責任は、改正前の瑕疵担保責任に比べると買主の立場にいっそう寄り添う形になっています。

対象物の範囲が広がった

瑕疵担保責任では、対象物が特定物に限られていましたが、契約不適合責任では特定物に限定されていません。特定物とは中古車や中古住宅などのような特定されるものです。

たとえば、中古車なら走行距離や色、車種などが特定された車を売買するでしょう。中古住宅も、住所などが特定された物件を取引します。

一方、みかんなどの場合は、100個のみかんを売ってそれが問題なく食べられればよいため、特定が不要な不特定物になります。契約不適合責任の対象物は特定物と不特定物の両方になっています。

隠れた瑕疵という概念がなくなった

瑕疵担保責任では、隠れた瑕疵に対してのみ売主に対する責任が問われていました。隠れた瑕疵とは、買主が通常の注意を払って対象物を見たにもかかわらず、気づくことができなかった瑕疵を指します。そのため、裁判になった場合に、その瑕疵に関して、買主が通常の注意を払っていれば気づけただろうと判断されれば、買主は売主に対して責任を追及できませんでした。

契約不適合責任では、隠れた瑕疵かどうかは問題ではなく、契約書に書かれていたかどうかが問題になります。そのため、契約書の内容と適合しない物件を売ったのであれば、売主の責任を追及できるようになりました。

たとえば、契約書の内容が雨漏りのしない家であれば、雨漏りに買主が気づけたかどうかは関係なく、売主の責任を追及できます。契約不適合責任は、買主の立場をより手厚く保護しているものだと言えます。

買主の権利の幅が広くなった

改正前の瑕疵担保責任では、買主の権利は損害賠償請求権と契約解除権の2つでしたが、契約不適合責任では、追完請求と代金の減額請求、損害賠償請求、催告解除、無催告解除の5つになりました。

追完請求は欠陥部分の修補などを請求できる権利で、代金の減額請求は購入費用に対し減額を請求できる権利です。損害賠償請求は改正前から認められていましたが、改正後は請求できる範囲が広がっています。改正前に認められていたのは信頼利益に対してのみでした。信頼利益は主に契約が有効であると信じたために発生した費用で、不動産の登記費用などが該当します。改正民法では、信頼利益に加え履行利益も賠償の対象になりました。たとえば、店舗として購入した場合の営業によって得られたであろう利益などが該当します。

催告解除は、売主が追完請求に応じない場合に行使できる権利で、契約を解除し購入をやめることができます。売主が追完請求を拒否する場合には、買主は代金減額請求を求めることも可能です。しかし、それでは納得できないという場合には、催告解除を選択して契約を解除し、売主に代金の返還を求めることが可能です。催告解除では、相当の期間を定め、その期間内に売主が履行しない場合に契約が解除できます。

無催告解除は相手方の契約履行が期待できない場合や履行が不可能である場合、契約の目的が達成できないなどの場合に催告しないで直ちに契約解除ができる権利です。

契約不適合責任を追及するための条件と期間

買主が売主に対して契約不適合責任を追及するためには一定の条件を満たさなければなりません。また、追求できる期間にも制限が設けられています。

契約不適合責任を追及できる条件

契約不適合責任を追及するには、対象物が契約の内容に適合しないとわかってから、1年以内に売主に通知しなければなりません。ただし、請求そのものを1年以内に行う必要はありません。たとえば、中古住宅を購入し雨漏りがあった場合、それを知った時から1年以内に通知しておけば、1年が過ぎても修補請求や損害賠償請求などができます。

ただし、売主が契約不適合の事実を知りながら、あるいは重大な過失によってその事実を知らずに売却した場合は例外となります。この場合には、買主が1年以内に通知をしなかったとしても、修補請求や損害賠償請求などが可能です。

契約不適合責任を追及できる期間

買主は契約不適合についての通知をしても、権利を行使しなかった場合には、売主に対して契約不適合責任を追及できなくなります。

追及できる期間は、買主が業者である場合と買主が一般消費者である場合で異なります。

買主が一般消費者である場合の期間

買主が一般消費者である場合は、民法で定められている消滅時効が適用されます。民法の消滅時効は、以下の通りです。

(債権等の消滅時効)

第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

出典:民法 | e-Gov法令検索

買主が対象物に契約不適合があったことを発見し、1年以内に通知されても、不適合を知った時から5年以内に権利を行使しなければ、賠償請求などをされることはありません。また、買主が権利を行使することができるのは、引き渡しの時からなので、引き渡しから10年を超えていれば、やはり買主は権利を行使できません。

買主が業者である場合の期間

買主が業者である場合には、商法の規定が適用されます。商法の規定は以下の通りです。

(買主による目的物の検査及び通知)

第五百二十六条 商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。

出典:商法 | e-Gov法令検索

商法によれば、買主である商人が契約不適合を発見した時にはすぐに売主に対して通知を行わなければなりません。通知を怠ると、契約不適合責任の追及ができなくなり、損害賠償請求などができなくなります。

契約不適合責任には免責の特約がつけられる

契約不適合責任では、免責が可能になっています。免責の特約がつけられるのは契約不適合責任が任意規定であるためです。任意規定では法律上の規定があったとしても、異なる規定を設けることが可能です。異なる規定を設けた場合は、任意規定のほうが優先されます。免責の特約をつければ売主は損害賠償責任を果たす必要はありません。ただし、免責の特約に関しては注意点が3つあります。

契約不適合責任の免責は買主にとって不利

免責事項がある契約は買主にとっては不利なものになります。たとえば、中古住宅を購入してその後シロアリなどの欠陥を発見しても、免責となっていれば損害賠償を請求できません。

免責の特約は両者の合意で有効になる

免責の特約を有効なものにするには、売主と買主が合意することが必要です。合意のもとの契約であれば、基本的には免責の内容を無効にできません。

免責をつけられる条件は売主によって違う

免責を付けられる条件は売主が個人か宅建業者かその他の法人かによって違ってきます。

売主が個人である場合

個人間で売買する場合には免責の条件はありません。売却直後から免責にする内容にすることもできます。

売主が宅建業者である場合

売主が宅建業者である場合は宅建業法の第40条が適用されるため、売却後2年を超えないと免責にすることはできません。個人が販売する時のように売却直後から免責にする内容は盛り込めません。そのため、買主側からすると2年の保証期間があることになります。ただ、通知期間は2年間と定められているので、2年以内に通知されたものに対してのみ保証が行われます。

売主が宅建業者以外の法人である場合

売主が宅建業者以外の法人である場合は、消費者契約法で引き渡し直後からの免責ができないと定められています。いつまで免責できないかについては法律上の規定はありませんが、一般的には「引き渡し後1年まで免責できない」のように記載されます。

契約不適合責任免責が無効になることもある

契約不適合責任免責が無効になるケースとしては3つ考えられます。

故意に欠陥を隠した場合

売主が故意に欠陥を隠していた場合には、免責特約の効力はなくなり、買主は売主に対して損害賠償請求などを行うことができます。ただし、売主が故意に隠していたことを立証しなくてはなりません。故意であったことを立証するのは難しいため、無効になるケースはあまり多くありません。

法人が消費者契約法に反した免責特約をつけていた場合

売主が宅建業者以外の法人の場合は、民法以外に消費者契約法も適用されるため、免責が無効になるケースがあります。免責が無効になるのは、契約不適合責任を完全に免責にするという内容の特約をつけていた場合と短期間の通知期間を設定していた場合です。

契約不適合責任を完全に免責にする特約をつけた場合は、消費者契約法の第8条1項1号に反しているので免責は無効になります。短期間の通知期間を設定した場合は、消費者契約法第10条の消費者の利益を一方的に損なう条項は無効になるという規定が適用され免責が無効になる恐れがあります。

売主の宅建業者が宅建業法に反していた場合

売主が宅建業者の場合は民法に加えて宅建業法も考慮されるため、免責期間が2年より短い期間になっているのであれば免責の効力はなくなります。

契約不適合責任に対する対策

売主は契約不適合責任に関して4つの点で対策を行う必要があります。

契約書に対象物の状態の詳細を記載する

民法の契約不適合責任は、契約書に書かれている内容が実際の対象物と違っている場合に追及されます。そのため、販売する対象物の状態をよく確認し、詳細を契約書に記載する必要があります。

契約不適合責任の期間を検討する

買主が契約不適合責任の追及をするには買主が契約不適合に気づいてから1年以内に通知し、5年あるいは10年以内に賠償請求などをすればよいことになっています。そのため賠償を請求されるのがかなり後になる可能性があります。そのため、契約書の中で契約不適合責任の期間を売却後2年以内などと決めておくことが可能です。この期間があまりにも短いと免責が無効になってしまうので注意してください。

損害賠償の賠償額の範囲を決めておく

万が一、契約不適合責任を問われて賠償が必要になった時に備え、賠償額の範囲を契約書で定めておくことができます。たとえば、現実に生じた通常の損害のみを賠償の対象とする、固定額にする、損害賠償額の上限を決めるなどが設定可能です。賠償額に関しても著しく買主に不利となる内容にすると、無効にされることがあるので注意が必要です。買主の側に損害の発生と拡大に関して過失がある場合には、過失相殺を行うことができ、損害賠償額の減額が可能になります。

契約不適合責任に強い弁護士に相談する

弁護士はさまざまな法律に精通していますが、それぞれの得意分野もあります。そのため、不安がある場合には契約不適合責任に強い弁護士に相談すれば的確なアドバイスを受けることができるでしょう。万が一賠償の問題が生じた場合でも適切に対処してもらえます。

契約不適合責任を理解し万全の対策を

契約不適合責任は瑕疵担保責任よりも買主をいっそう保護する制度となっています。契約の段階でトラブルにならないように契約不適合責任の意味や適用される期間、免責などを理解し、契約書を適切な内容とする必要があります。

 

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この記事を書いた人

GMOサインが運営する公式ブログ「GMOサインブログ」の編集部です。
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