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働き方改革とは?|日本人の働き方を大きく変える9つのポイント

 

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少子高齢化による生産性の低下、長時間労働の慢性化、正規・非正規労働者間の待遇格差など、日本では労働分野において解決すべき構造的問題が数多く存在します。
これらの問題の解決や多様化する働き手のニーズに社会が対応できるようにすることなどを目的として、いわゆる 働き方改革 が提言され、労働に関する複数の法律が改正されるに至りました。


これらのいわゆる 働き方改革関連法 によって、日本における働き方が大きく変わってきています。
今回は、働き方改革関連法の概要と企業が取るべき対策について解説します。

目次

1.働き方改革とは

⽇本はいま、少⼦⾼齢化に伴う⽣産年齢⼈⼝の減少や働き手のニーズの多様化への社会的対応等の大きな問題に直⾯しています。
総務省のデータによると、日本の生産年齢人口(15~64歳)は1995年をピークに減少しており、2050年には5,275万人(2021年から29.2%減)に減少すると見込まれています。生産年齢人口の減少により、働き手の不足や購入者や利用者の減少による経済規模の縮小など様々な社会的・経済的課題の深刻化が懸念されているのです。

これらの課題を解決するには、投資やDXなど各種イノベーションなどによる⽣産性の向上を図るとともに、就業機会の拡⼤や働き手の意欲を高め、各労働者の能⼒を十分に発揮できるような社会的環境を作ることが喫緊の課題です。
しかし日本の職場においては、長時間労働が慢性化しており、正規雇用労働者・非正規雇用労働者間の待遇格差、年次有給休暇取得率の低さなどが問題となっているのが現状です。
働き方改革とは、これまでの日本における働き方を改善し、上記のような諸問題の解決を目標とするものです。

【参考】令和4年版情報通信白書(総務省)

2.「働き方改革関連法」とは

上記、働き方改革を実現するため2018年に公布されたのが働き方改革関連法です。
これは主として労働に関する各種の法律を改正することによって労働条件等を改善し、労働参加者の増加やワークライフバランスの改善、生産性の向上などの達成を目指すものです。働き方改革関連法によって改正された各種の法律は、2019年4月から段階的に施行されています。

3.働き方改革関連法によって大きく変わった9つのポイント

働き方改革関連法の施行によって、日本人の働き方が以下のように9つの点で大きく変化しました。

(1)時間外労働の上限規制の厳格化
(2)客観的な労働時間把握の義務化
(3)残業が月60時間を超えた場合の賃金割増率引き上げ
(4)年5日の有給休暇の取得促進
(5)正規・非正規雇用労働者間の待遇格差是正
(6)「勤務間インターバル制度」導入の努力義務化
(7)フレックスタイム制の見直し
(8)高度プロフェッショナル制度の導入
(9)産業医機能の強化

それぞれの項目について、具体的に見てみることにしましょう。

(1)時間外労働の上限規制の厳格化

時間外労働時間は原則として1か月45時間までとし、1年では360時間までと上限が厳格化されました。また、いわゆる「36協定」(特別条項付き)を利用した場合でも、1か月の時間外労働時間は100時間未満までと制限されました。
上記制限に違反した企業には、刑事罰(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科せられます。

【参考】時間外労働の上限規制(厚生労働省)

(2)客観的な労働時間把握の義務化

企業は雇用するすべての労働者の勤怠管理方法として、客観的に把握可能な方法を利用することが義務付けられました。自己申告制の勤怠管理は、原則として認められなくなりました。客観的な勤怠管理方法の例としては、ICカードやパソコンによる打刻、センサーなどによる入退室記録などが挙げられます。

【参考】客観的な記録による労働時間の把握が法的義務になりました(出雲労働基準監督署)

(3)時間外労働が月60時間を超えた場合の賃金割増率引き上げ

時間外労働が月60時間を超えた場合には、賃金の割増率が従来の「25%以上」から「50%以上」に引き上げられました。この規定はこれまで大企業のみが対象でしたが、すでに2023年4月1日より中小企業も対象となっています。
これに違反した企業には、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。

【参考】中小企業の事業主の皆さまへ「2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます(厚生労働省・中小企業庁)」

(4)年5日の有給休暇の取得促進

企業には、雇用するすべての労働者に対して最低でも年5日間の有給休暇を取得させることが義務付けられました。
これに違反した場合には、30万円以下の罰金を科される可能性があります。

【参考】年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説(厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署)

(5)正規・非正規雇用労働者間の待遇格差是正

正規・非正規雇用という単なる雇用形態のみによる不合理な待遇格差が禁止されました。
合理的な理由のある待遇格差は認められますが、不合理な場合には是正する必要があります。

また、労働者から待遇格差が存在する理由などについて説明を求められた場合には、事業主はその理由を説明する義務が課されました。なお、事業主にはこれを理由として減給や解雇など労働者に対して不利益となるような処遇をすることは禁止されます。

さらに労使間における紛争の解決手段として、都道府県などが設置する外部のADR(裁判外紛争解決手続)機関を無料・非公開で利用することができるようになりました。

【参考】【5分で解説】同一労働同一賃金について学ぼう!(厚生労働省チャンネル)

(6)「勤務間インターバル制度」導入の努力義務化

前の日の就業時間から翌日の始業時間までに一定以上の時間(勤務間インターバル)を空けることが努力義務化されました。国は、9時間から11時間のインターバルを推奨しています。

【参考】勤務間インターバル制度をご活用ください(厚生労働省 東京労働局)

(7)フレックスタイム制の見直し

フレックスタイム制の清算期間が、これまでの「1か月」から「3か月」に拡大され、よりフレキシブルな働き方ができるようになりました。

【参考】フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き(厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署)

(8)高度プロフェッショナル制度の導入

⾼度の専門的知識等を持っており、職務の範囲が明確で⼀定以上の年収を得ているなどの要件を満たす労働者を対象として、一定の制限のもとに労働時間や休憩・休⽇および深夜の割増賃⾦などに関する法律の規制を不適用とすることを認める制度が導入されました。

【参考】高度プロフェッショナル制度について(厚生労働省 福島労働局)

(9)産業医機能の強化

産業医や産業保健機能および長時間労働者を対象とした面接指導などが強化されました。
産業医に関連する各種機能を強化することによって、労働者の健康増進を図り、労働生産性の向上を目指すものです。

【参考】事業主・産業医・その他産業保健関係者の皆様へ

4.社内で働き方改革を進めるために必要な5つのポイント

働き方改革関連法案による各法律の改正に対応するため、企業ではどのような対策が必要になっているのでしょうか?
こちらでは、企業が講じるべき対策についてご紹介します。

(1)社内の労働条件など現状を把握する
(2)勤怠管理を厳格に行う
(3)残業時間が適切かどうか判断する
(4)各労働者の有給休暇取得状況を管理する
(5)社会保険加入状況を適時確認する

それぞれ確認していきましょう。

(1)社内の労働条件などの現状を把握する

社内で働き方改革にのっとった労働環境の改善を進める場合、最初に行うべきは自社内の労働条件の確認と実際の勤務状況の把握です。正社員に関するものはもちろんのこと、パートタイム労働者や非正規雇用の方に関するものも詳細に把握しましょう。

(2)勤怠管理を厳格に行う

各労働者の勤務時間などを確認しましょう。
勤務時間を厳格に把握することによって、時間外労働についての現状など法律による規制対象となっている項目が規制範囲内かどうかを明確に判断できるようになります。

(3)残業時間が適切かどうか判断する

長時間労働の慢性化を解消することは、働き方改革の大きな目標の一つです。
長時間労働は過労死を引き起こすなど、数々の悲劇の原因ともなってきました。各労働者の時間外労働時間を的確に把握し、法律の規制に違反することの無いように努めてください。

働き方改革関連法では、時間外労働の上限時間が厳格化されただけでなく、時間外手当の割増率も大きく引き上げられています。具体的には、ひと月に60時間以上残業させると、賃金の割増率が50%に引き上げられました。
長時間労働が慢性化している職場に関しては、業務の効率化を図るなどして労働時間自体を削減する努力も必要でしょう。

(4)各労働者の有給休暇取得状況を管理する

働き方改革関連法の施行によって、事業主は労働者に対して年次有給休暇を5日以上取得させることが義務付けられました。
これに達しない場合には、30万円以下の罰金に科せられる恐れがありますので、有給休暇の取得状況についても把握する必要があります。

(5)社会保険加入状況を適時確認する

101人以上の労働者を雇用しているなど一定の条件を満たしている場合、事業主にはパート・アルバイトの方も社会保険へ加入させることが義務付けられました(2024年10月からは51人以上の企業で働くパート・アルバイトの方も新たに社会保険の適用になります。)
事業者側は、それぞれの労働者の勤務状況を確認し、義務に違反することの無いように気を付けましょう。

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5.まとめ

わが国の働き方は、今後、待ったなしで大きく変えていく必要があります。
働き方改革関連法による労働条件に関する各種の規制強化など、企業にはクリアすべきいくつもの課題が与えられています。
事業主の方々は自社の労働環境を見直し改善することで各種規制をクリアしつつ、労働者が心身ともにより働きやすく生産性の向上が見込めるよう改革していくことが求められているのです。

 

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この記事を書いた人

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