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世間にはたくさんの書類がありますが、一定の書類には収入印紙が必要だということをご存じでしょうか?
法律上、収入印紙が必要とされている書類にもかかわらず、これを貼りつけなかった場合には各種の罰則を受けることがあるので注意が必要です。
今回は、建売住宅(またはマンション)を購入する際に収入印紙がどのような段階で、それぞれいくら必要になるのかについて解説いたします。
家を売却する際にかかる収入印紙についての記事はこちら
収入印紙とは、税金や行政手続きにかかる手数料などを国が徴収するために発行されている証票(書きつけ、証拠となる札)です。現在日本で使われている収入印紙はイメージ的には郵便切手に似たものですので、目にしたことがある方も多いでしょう。
収入印紙は、身近な郵便局・法務局で購入できます。場合によっては、コンビニや酒屋などで取り扱っているケースもあります。
印紙税法によって一定の書類を作成する場合には、収入印紙を貼付することが必要とされています(印紙税法2条)。
主として以下のような書類には、収入印紙を貼付する必要があります。
・不動産などの譲渡に関する契約書
・土地などの賃借権の設定等に関する契約書
・借金に関する契約書
・請負に関する契約書
・領収書
・預金通帳
・その他
上記書類を作成する際には、法律で定められた金額の収入印紙を購入し、その書類に貼付し消印を押すことによって印紙税を納付することになっています。
また、印紙税の納付義務者は基本的に書類の作成者となっており、作成者が複数いる場合には全員に納付義務が課せられるのが原則です。収入印紙が必要とされる書類であるにもかかわらず貼付しなかった場合には、後述するように罰則を受けることがあるので注意してください。
なお、電子契約書に対しては収入印紙が不要とされている点は注目に値するでしょう。
不正の方法で印紙税を納付しなかった場合などには、「三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」(印紙税法21条)とされており、かなり厳しい罰則が規定されています。
また、税務上の罰則としては過怠税(かたいぜい)として、本来貼るべき収入印紙額の3倍の納税義務が課されることになります。
個人が建売住宅(またはマンション)を購入する場合、銀行などの金融機関で住宅ローンを組み、購入資金を借りるのが一般的です。
家を購入する場合には、銀行や建築会社などと各種の契約を締結し、いくつもの契約書が作成されることになります。
この際に収入印紙が必要となる書類は、主として以下のようなものが考えられます。
(1)売買契約書
(2)住宅ローン契約書
(3)各種登記申請書
これらの書類を作成する段階で、その取引金額などに応じた収入印紙が必要になります。
なお、具体的な金額は印紙税法によって決まっています。また、登記申請では登録免許税の納付が必要です。
それでは家を購入する際には具体的に、どれくらいの収入印紙が必要となるのでしょうか?
今回は4000万円の住宅ローンを組んで建売住宅(またはマンション)を購入するケースを例として、およそいくらの収入印紙が必要なのか確認することにしましょう。
なお便宜上、4000万円の建売住宅を購入し、土地と建物の固定資産税評価額が2000万円ずつと仮定させていただきます。
4000万円の住宅ローンを組んで建売住宅(またはマンション)を購入する場合の税額はいくら?
建築会社などから建売住宅(またはマンション)を購入する際には、その不動産に関して売買契約を締結することになります。その際には売買に関する細かい条件などを明示するため、売買契約書を作成することになります。
4000万円の不動産に関する売買契約書に貼付すべき収入印紙の金額は1万円となります。
※2024年3月31日までは軽減税率が適用されるため、本来は2万円となる印紙税額が減額されています。
住宅など高額な買い物をする際には、銀行などからローンで資金を借りることが一般的です。実際、住宅を購入する方の圧倒的大多数が住宅ローンを利用しています。
銀行などから住宅の購入資金を借りる場合には、住宅ローン契約を締結することになります。その際には、住宅ローン契約書が作成されます。
4000万円の住宅ローン契約書には、2万円分の収入印紙を貼付する必要があります。
建売住宅やマンションを購入する際には、その不動産の所有者が変わったことを明示するため法務局において「所有権移転」などの登記をする必要があります。
住宅ローンを組んで建売住宅などを購入する際には、以下のような登記をすることが一般的です。
①所有権移転登記(土地)
②表題登記(建物)
③所有権保存登記(建物)
④抵当権設定登記
登記申請の際には、不動産価格などに基づいて登録免許税という国税が課税されることになっています。この税金は収入印紙を登記申請書などに貼付する形で納付することになります。
これらの登記は、住宅ローンを借りる金融機関が司法書士に依頼し、その司法書士が代行することが一般的です。このため、必要書類はすべて司法書士が用意し、登録免許税の納付や登記申請など一切を行います。
ただし、登記に必要となる登録免許税や司法書士に対する報酬などは買主が支払う必要があります。
上記各登記をする際には、以下のような金額の収入印紙が必要となります。
固定資産税評価額2000万円の土地の売買による所有権移転登記は現在、税率が1.5%とされています。このため、登録免許税として30万円がかかることになります。
※本来、登録免許税の税率は2.0%ですが、2026年3月31日までは軽減税率として1.5%が適用されています。
建売住宅として売買されている家屋は新築のため、表題登記が必要となることが一般的です。新築建物には、まだ登記簿が作成されていないので、この登記をすることで登記簿が作られることになります。
表題登記には登録免許税がかからないため、収入印紙は不要です。
新築建物(マンションを含む)については、購入者が新たな所有者となったことを公示するため所有権保存登記をすることになります。
建物に関する所有権保存登記の税率は、現在0.15%とされています。
つまり、固定資産税評価額2000万円の建物の所有権保存登記にかかる登録免許税は3万円となります。
※本来、登録免許税の税率は0.4%ですが、2024年3月31日までは軽減税率として0.15%が適用されています。なお、建物が一定の条件を満たしている場合には更に税率が軽減される可能性もあります。
住宅ローンを組んで購入した建売住宅やマンションには、金融機関などのために抵当権を設定することが一般的です。
債権額を4000万円とする抵当権設定の税率は債権額の0.1%とされているため、登録免許税は4万円となります。
※本来、登録免許税の税率は0.4%ですが、一定の条件のもとに2024年3月31日までは軽減税率として0.1%が適用されています。
つまり、本事例における不動産に関する登記では以下のような登録免許税が必要となります。
・土地の所有権移転:30万円
・建物の所有権保存:3万円
・抵当権の設定:4万円
→合計37万円の登録免許税が必要
ここで注目すべきは、登録免許税の高さでしょう。
(1)(2)(3)でかかる費用を全てを合わせると、合計で40万円の税金の支払いが必要になります。
(1)売買契約書:1万円
(2)住宅ローン契約書:2万円
(3)各種登記申請書:37万円
不動産を購入する際には購入代金のほかにも、このように高額な登録免許税がかかるのだということを覚えておいてください。
不動産購入の際には、いろいろな場面で収入印紙が必要となります。さらに、購入した不動産に関して登記をする際には、登録免許税や司法書士報酬など意外と高額な費用がかかるのです。
もちろん、契約書の作成や必要な収入印紙の用意・貼付などの作業は銀行や司法書士側が行ってくれることであり、購入者が行う必要はないでしょう。しかし、収入印紙を負担するのは購入者です。一般的な知識として、家を購入する際にどれくらい収入印紙が必要になるのか覚えておくとよいでしょう。
また、(1)の売買契約書や(2)の住宅ローン契約書で電子契約を利用すれば、印紙税は不要ですから、支払いを少しでも抑えることができます。数万円でもお得になるのは嬉しいですよね。この機会に電子印鑑GMOサインを是非ご活用ください。
(本記事は、2023年5月時点のものです。)
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