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医療現場で最も多い有資格者として、医療機関を支えている存在が看護師です。看護師資格保有者は国内に140万人ほどおり、2025年には200万人の看護師が必要になると予測されています。
しかし、医療現場における看護師はさまざまな理由から退職することも多く、どの医療機関でも人手不足が深刻な状態です。そこで本記事では、看護師の転職について詳しく紹介するとともに、目的別のおすすめ転職先もご紹介します。
また、本記事では転職エージェント活用術や看護師の転職でよくある疑問も詳しく解説します。転職を検討中の看護師は、参考にしていただけると幸いです。
最初に看護師の転職実態をご紹介します。施設別の離職率や求人倍率、看護師が退職を決断する理由についてみていきます。
施設別の離職率は、日本看護協会が毎年報告する病院看護実態調査からわかります。その結果によると、施設種類別の正規雇用看護職員の離職率は次の通りです。
設置主体 | 2021年度離職率 |
---|---|
全体 | 11.6% |
国立 | 10.7% |
公立 | 8.0% |
日本赤十字 | 9.4% |
済生会 | 12.3% |
厚生連 | 10.1% |
その他公的医療機関 | 11.0% |
社保関係団体 | 11.3% |
公益社団・財団法人 | 12.5% |
私立学校法人 | 12.7% |
医療法人 | 14.4% |
社会福祉法人 | 12.9% |
医療生協 | 12.8% |
会社 | 9.3% |
その他の法人 | 12.5% |
個人 | 14.6% |
無回答・不明 | 13.7% |
結果からわかる通り、おおむね10~15%の間が多く、8~10人に1人は看護師が離職しているのが実態です。この数値は他の産業と比較して若干高いものの平均的な数値であり、看護師の離職率が特に高いとはいえません。
ただし、国立や公的医療機関に比べ、民間医療機関の離職率は高めになっており、転職者が多いことが予想できます。
引用:公益社団法人 日本看護協会 「2022年 病院看護実態調査」 P5より
参照:厚生労働省 「令和3年 雇用動向調査結果 2 産業別の入職と離職」
看護師の求人倍率について、厚生労働省とナースセンターの情報をもとに解説していきます。令和5年2月分の一般職業状況では有効求人倍率は1.34倍となっています。
一方、ナースセンターの調査では看護師の求人倍率は1.44倍であり、一般的な職業に比べて看護師の需要は高い状態です。新型コロナウイルスが5類移行されましたが、医療機関での看護師需要に大きな変化はないと考えられます。
参照:厚生労働省 「一般職業紹介状況(令和5年2月分)について」
参照:「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析報告書 第3章 応募・就職状況」P208より
看護師が退職を決断する理由についてもご紹介します。厚生労働省が発表したデータから、「その他」を除いた退職理由のTOP5は次の通りです。
退職理由 | 割合 |
---|---|
出産・育児のため | 22.1% |
結婚のため | 17.7% |
他施設への興味 | 15.1% |
人間関係がよくないから | 12.8% |
超過勤務が多いため | 10.5% |
看護師が退職や転職を決断する場合、プライベートとワークライフバランスに関係する理由が多いことがわかります。また、他施設への興味は看護師としてのキャリアアップ、スキルアップに関係しています。
以上のことから、看護師の転職はワークライフバランスとキャリアアップが重要な要素といえるでしょう。
引用:厚生労働省 「看護職員就業状況等実態調査結果」P28より
看護師の転職における後悔を避けるために、転職活動でチェックすべき重要ポイントをご紹介します。
看護師が正社員転職を成功させるには、夜勤体制と夜勤中の業務内容チェックは欠かせません。優先的にチェックする内容は次のものです。
2交替制と3交替制では夜勤の出勤日数に大きな違いがあるため、最優先で確認すべきです。夜勤では看護師のみで対応するのか、遅番の看護師や介護職員による補助があるのかどうかも働くうえで重要です。
また、内部情報になりますが、病棟の稼働率や患者数もチェックしましょう。病床数が多く、稼働率の高い病棟であれば、把握すべき患者数も多く、巡回の頻度も多くなります。
そして、外回り業務として、薬品の期限確認や救急カートの備品点検などの細かな業務の有無も把握しましょう。細かな業務は巡回時間や患者さまへのケアの合間に行うため、夜勤の忙しさに直結します。
転職先を最終決定するまでに、一度は職場見学で現場を直接確かめることも後悔しないためのポイントです。求人票や面接で職場を訪れただけでは、働く場所の細かい部分までは把握しきれません。
病棟内の職員と患者さまの雰囲気、挨拶の有無、整理整頓されているかなどの雰囲気を肌で感じましょう。看護師や介護職員が常にバタバタと慌ただしく、病棟全体の雰囲気が暗いところは転職後に後悔する可能性が非常に高いです。
転職先を最終決定するには、実際に病棟で働く職員から話を聴くことが重要です。同年代の看護師からの評価や師長から話を聞けば、転職後の働き方を明確にイメージできます。
また、現在の職場と比較して気になるところを直接聞き取れるため、転職後のミスマッチ防止にもなります。逆に、働いている人からの話を聴くことを拒否された場合、多忙で離職率が高いか、ブラック企業の可能性が高いと判断しましょう。
第三者からの客観的な意見として、口コミや評判を調べることも重要です。転職サイト内の口コミやSNSでの評判、Googleレビューなどが参考になります。
病院関係者の情報は、主観が入るため鵜呑みにできません。しかし、第三者であれば病院と利害関係もなく信頼性も高いです。客観的な評判を調べることで、転職後に後悔するリスクを最小限に抑えられます。
看護師が転職する場合、明確な目的を持って転職するケースが多いです。本項では、目的に合わせたおすすめの転職先をご紹介します。
看護師のワークライフバランスを意識する場合、日勤と夜勤の体制、有給休暇の日数と取得率、毎月の残業時間が転職先選びの基準になります。この点を考慮すると次の職場がおすすめです。
上記の転職先はいずれも勤務時間が明確に決まっており、定時に帰りやすい職場の代表例です。病棟で一定の経験を積んでいる方なら、経験を生かして働きやすい点もメリットです。
仕事と家庭、プライベートのバランスを重視する方におすすめします。
収入重視の転職先を探す場合、独自のスキルやインセンティブの有無、昇給のしやすさを基準に選びましょう。この点を考慮すると次の職場がおすすめです。
特定の診療科に特化したクリニックは求められるスキルが高度になる分、給与も高くなる傾向があります。循環器系の場合、カテーテル治療を行うクリニックは1回あたりの治療費が高く、高年収が期待できます。
また、助産師資格を保有している方は、産婦人科病院で働くのがおすすめです。精神科も患者さまとの関わり方に高度なスキルを必要とするため、高収入を狙うならおすすめです。
看護師のスキルアップやキャリアアップには、資格取得のしやすさや昇進、幅広い経験をできるかどうかを基準に選びましょう。この点を考慮した場合、次の職場がおすすめです。
看護師としての知識やスキルを生かすなら、上記の職場がおすすめです。総合病院や大学病院は実務経験を幅広く積みやすく、ジェネラリスト・スペシャリスト・マネージャーといったキャリアプランを選択できます。
訪問看護ステーションは、経験豊富な看護師が勤務しており、在宅医療の要になる存在です。24時間対応の多忙な職場でもありますが、スペシャリストとして実力を磨けます。
保健所・保健センターは、地域住民の健康相談や予防看護を中心に活動します。採用枠は少ないですが、採用されれば公務員として安定した将来が約束されるでしょう。
看護師経験を生かし、医療機関以外で働きたい場合、次の職場がおすすめです。
上記はいずれも看護師経験を生かしながら、働きやすさと収入のバランスが取れた転職先の例です。現場で必要なスキルを生かす場面はほとんどありませんが、医療機関との調整役として必要とされます。
医療機関以外で働きたい場合、上記の転職先も選択肢に入れましょう。
看護師が転職するなら、転職エージェントの利用がおすすめです。本項では看護師向けの転職エージェント活用方法を解説します。
転職エージェントの利用は、必要な情報をコンサルタントに伝え、自分に合った求人を紹介してもらう形式です。自ら仕事を選ぶ余地もありますが、求人サイトとは活動の進め方が大きく違います。
そのため、経歴やスキルを細かく正確に伝えなければ、自分に合わない求人を紹介されるおそれがあります。自分の適性を振り返る意味でも、コンサルタントには自分の正確な情報を伝えましょう。
転職エージェントに掲載されている求人には、全く同じ内容はほとんどありません。複数の転職エージェントに求人を依頼する企業もありますが、それぞれのサービスの非公開求人や独占求人も多いです。
そのため、登録するサービスを1社だけに絞ると、出会えるはずの求人が見つからず、転職先の選択肢を自ら狭める結果になります。また、サービス毎にコンサルタントや使い心地に違いがありますから、自分に合ったサービスを選びやすくなるでしょう。
転職活動を効率化するためにも、転職エージェントは複数のサービスに登録しましょう。
やりがいと満足度の高い職場へ転職するには、希望条件に優先順位をつけましょう。自分が仕事に求める条件を思いつく限り書き出し、そのなかで重要なものから順位をつけると転職先選びの基準になります。
すべての条件を満たす職場を見つけ出すのは困難ですから、条件からの取捨選択が大事です。また、条件をつけることでコンサルタントも求人を紹介しやすくなり、希望通りの求人が見つかりやすくなります。
転職エージェントのコンサルタントは、さまざまな企業の採用担当者と情報のやりとりをしています。そのため、通常は手に入らない内部情報を持っていることがあり、転職活動に役立つ情報を教えてもらえる可能性があります。
ただし、コンサルタントと相性が悪いと親身になってくれず、情報を教えてもらえません。転職活動を有利に進めるためには、コンサルタントともうまく付き合い、内部情報を教えてもらえるほどの関係を築きましょう。
転職エージェントを利用する場合、コンサルタントとの連絡はこまめに行いましょう。コンサルタントとしても、頻繁に連絡してくれる求職者は転職意欲が高いと判断し、優先的に求人を紹介するために動きます。
また、連絡が早い人はコンサルタントも面接日程の調整がしやすくなります。可能なら24時間以内、遅くても2日以内の返信を心掛けましょう。
看護師に限らず、転職ではさまざまな疑問、質問がつきものです。本項では看護師の方が転職する際、多くの方が抱いている疑問・質問をご紹介します。
30代後半まで病院勤務経験がある方の場合、経験を生かした即戦力としての採用が期待できます。看護師の場合、若さよりもスキルや実務経験が転職市場で重視されるため、30代後半の看護師は非常に需要が高いです。
一般的な転職市場とは逆に、年齢を重ねることで有利になる点が看護師転職の特徴です。そのため、30代後半でも自信を持って転職活動に臨みましょう。
看護師の転職活動における小論文や適性試験では、専門知識よりも人間性や論理的思考力、職場に適した人材かどうかを判断するのが目的です。
そのため、専門知識よりも丁寧な文章で書くことを重視すべきです。普段の業務でも文章の構成を考えて書くようにすれば、小論文試験は対応できます。
転職活動を進める場合、空白期間が長すぎれば高い確率で面接でも理由を尋ねられます。空白期間に資格取得や明確な理由があれば、採用担当者に伝えることで解決します。
ただし、あまりに空白期間が長すぎれば説明が難しくなり、採用担当者からも不信感を抱かれる可能性があるため注意してください。空白期間は長くても2~3カ月以内に収めましょう。
看護師は実務経験とスキルが重要な仕事です。そのため、看護師経験1年未満で転職するのはおすすめしません。
医療機関には業務遂行にラダー認定を必須にしているところもあり、1年未満での転職は知識とスキルが不足していると判断されます。個人のクリニックなら転職可能かもしれませんが、スキルが身に付きにくい点を理解したうえで転職すべきです。
近年は都市部の病院でも看護師不足が進んでおり、一定の経験を積んだ看護師なら転職できます。上京すること自体が目的でも、若い方なら経験が少ないままでの転職が可能です。
ただし、30代以上の方の場合、一定のスキルと知識、リーダーシップが求められます。年齢によって求められる条件が変わるため、自分の年代に必要なスキルや経験を自己分析で把握しましょう。
転職活動を進める方向けにおすすめの転職エージェント10選をご紹介します。転職エージェント選びに迷っている方は、参考にしていただければ幸いです。
公開求人数 | 41万1,602件(2023年7月時点) |
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非公開求人数 | 30万3,894件(2023年7月時点) |
対応地域 | 全国・海外 |
リクルートエージェントは、転職業界最大手のリクルート社が運営する転職エージェントサービスです。総合型の転職エージェントではナンバー1の求人数を誇り、さまざまな業界や職種の求人を掲載しています。
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特定の業種や業界にこだわらず、幅広い求人を検索するならリクルートエージェントを利用しましょう。
公開求人数 | 10万549件(2023年7月時点) |
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非公開求人数 | 非公開 |
対応地域 | 全国・海外 |
リクナビNEXTは、株式会社リクルートが提供する総合型転職サービスです。公開求人数は10万件以上、2022年5月時点で会員数1400万人の大手転職サイトです。
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公開求人数 | 8万8,580件(2023年7月時点) |
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非公開求人数 | 非公開 |
対応地域 | 全国・海外 |
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公開求人数 | 20万2,413件(2023年7月時点) |
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公開求人数 | 20万7,937件(2023年7月時点) |
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非公開求人数 | 非公開 |
対応地域 | 全国・一部海外 |
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公開求人数 | 4,618件(2023年7月時点) |
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対応地域 | 全国 |
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公開求人数 | 非公開 |
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非公開求人数 | 非公開 |
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公開求人数 | 3万3,735件(2023年7月時点) |
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非公開求人数 | 非公開 |
対応地域 | 全国・海外 |
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今回は看護師の転職について、実情や転職の重要ポイントなどを解説しました。看護師が転職する理由の多くはワークライフバランスが関係しており、働きやすい環境への転職が重要になります。
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