新型コロナウイルス(COVID-19)感染症拡大の影響でテレワークが推進され、在宅勤務を導入する企業も増えてきました。しかしながら、ハンコが必要な書類があるため、どうしても出社しなければいけないといったケースも起こっているようです。
そこで今回は自治体にフォーカスして、押印しなければいけない文書への取り組み、「脱ハンコ」への動きを解説しました。
目次
自治体に提出しなければいけない押印書類
電子契約や電子印鑑は、テレワークととても相性がよい技術です。しかし電子印鑑が使えない「押印が必須の書類」はまだたくさんあります。そのひとつは「自治体への提出書類」です。
例えば、東京都や都内の23区では、まだまだ相当な数の書類に押印が求められるようです。
全ての提出書類に押印が必須となるわけではありませんが、できる限り外出を控えるべき時に、書類に押印して提出するだけのために外出することは避けたいのではないでしょうか。
また、ビジネスのデジタル化やテレワークの推進のためにも、押印を必須としない脱ハンコの要求は高まっています。
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千葉市、福岡市の取り組み
まず、千葉市は公式サイトにて「申請書等の押印見直しについて」というページを設けています。
市では、印鑑を持参しなくても申請などの手続きができるよう、平成26年6月から順次、押印の義務付けを一部で廃止しています。これにより、押印が必要だったものを署名に代えるなど、市への申請がより簡単になります。
なお、国の法令などで押印の義務付けがある場合は、引き続き押印が必要となります。
見直し前は約3,000種類の書類に押印を求めていたようです。しかし2014年から押印の必要性を確認して、約2,000種類の書類を署名でも受理できるようにしています。この取り組みは現在も続いており、公式サイトにて取り組み状況が公開されています。
また、福岡市では、2020年度にはこれまで押印が必要だった書類のうち、約7割を押印不要にするとの方針を示しています。同市の高島宗一郎市長は、2019年10月30日に行われた市長会見にて、ハンコが押されているからといっても、書面の内容が本人の意思であるかどうかは判断できない旨を発言し、押印の必要性に疑問を呈しています。
ここで国の方針を見てみると、法人設立時に必須だった印鑑の届け出を任意化するといった見直しが図られています。
民間企業では、筆跡が残る自署の方がセキュリティは高いという声もあります。例えば、保険業界ではすでに大半の契約を署名で結ぶことができます。銀行業界では、新生銀行ほかネット銀行などでの口座開設には押印を必要としません。
国も脱ハンコを推進する動き
国の動きとして例を挙げると、IT政策担当の竹本直一大臣は2020年4月24日、閣議後の記者会見において「押印のために出社することはやめるべきだ」という旨を発言しました。これまで「押印は重要だ」との姿勢だった竹本氏でしたが、安倍晋三首相が押印の慣行を改めるようにと指示したことを受けて、姿勢を変えたものと思われます。
ハンコが完全になくなるかはわかりません。ただ今後の流れとして、脱ハンコの流れは民間企業から、行政を巻き込んで進んでいくと考えられます。
まとめ
利用者の負担軽減のために、自治体は押印が必須の書類を見直しています。民間企業でもこのような「脱ハンコ」の動きは加速しており、止まることはないでしょう。印鑑が完全になくなるとは考えにくいですが、電子印鑑や署名のメリット、印鑑のメリット双方を生かした仕組みが作られていくと考えられます。