iPaaS(アイパース)とは、異なるクラウド環境から提供される個別のサービスを一元的に連携できるソリューションです。ビジネスでさまざまなアプリケーションやデータソースを利用するのが当たり前になった現在、iPaaSを導入する企業が増えています。
今回はiPaaSの概要や導入するメリット、活用事例やおすすめのiPaaSを紹介します。
iPaaSを検討している方は、参考にしてください。
iPaaSの概要
iPaaSとは、「Integration Platform as a Service」の略語で、複数のクラウドなどで管理されている独立したデータを一元化して管理できるソリューションです。
現在は、アプリケーションやプラットフォームを利用して顧客の情報を集めたり従業員を管理したりする会社が増えています。しかし、それぞれのシステムに蓄積された情報やタスクが独立していると統合や連結が難しくなり、せっかく集めた情報を今ひとつ活かせないケースも出てきます。
また、部署ごとに従業員を管理するタスクが別々だと、どの従業員がどんな仕事をしているかが見えにくいといったデメリットも出てくるでしょう。
このような不便さやデメリットを解消してくれるのが、iPaaSです。
ここでは、iPaaSの特徴について、以下に詳しく解説していきます。
iPaaSの特徴
前述したように、iPaaSを利用すれば、アプリケーションやデータソース、プラットフォームなどサービスの種類や動作環境に関係なく分散化して保管していたデータを統合できます。
異なるプラットフォームにそれぞれデータを保管していれば、確認だけで膨大な時間がかかるでしょう。
iPaaSが登場する以前にも、別々のアプリケーションやプラットフォームに保管されている情報を統合するシステムは存在しました。しかし、統合までの過程が複雑であったり時間がかかったりするほか、導入コストが高額になるケースが多く、今ひとつ普及していませんでした。
その点、iPaaSは各アプリケーションやプラットフォームが公開しているAPIを利用することで、複数のサービスを短期間かつ自動的に統合してくれます。新たなデータ開発などの費用も不要なので、ITに不慣れでも導入は簡単です。
iPaaSの便利な機能
iPaaSを用いることにより、データを統合して一元化するだけでなく、APIを利用して複数のサービスやアプリを連携させ、使いやすくカスタマイズできます。
また、データを一元化することで、業務フローの改善も可能です。複数の部署にまたがって1つの業務を行っていた場合、たとえばAが業務を行ったらBが使用しているデータに自動で反映させるといったことができます。業務がどこまで進んでいるか、いちいち確認を取らなくても確かめられれば業務の効率化が大幅に進むでしょう。
業務の規模が大きいほど、仕事が細分化されて全体像が把握しにくくなります。iPaaSを活用すれば、業務の全体的な進み具合を携わっている全員が容易に把握できるので、スケジュール調整や修正もやりやすくなるでしょう。
iPaaSの種類
iPaaSには、大きく分けて以下のような4つの種類があります。統合したいデータの特徴などを確かめ、適したものを選びましょう。
名前 | 特徴 |
ETL/ELT型 | データをExtract(抽出)、Transform(変換)、Load(格納)の手順で処理するタイプ。 統合するデータが大量だったり、データが多くのアプリやクラウド上に点在していたりする場合の使用に適している。 |
レシピ型 | 使用者がよく使うテンプレート(レシピ)があらかじめ用意されているタイプ。 自由度は少ない分、レシピを使えばすぐにデータの統合が可能なので、知識が乏しくても使いやすいというメリットがある。 |
EAI型 | 企業間の異なるシステム同士でも連携できる高度なiPaaS。 リアルタイムでデータを統合して整合性を保ちたい場合などにも適している。 |
ESB型 | 独立したアプリケーションを連携させるSOAを利用してデータを連携するのが特徴。 異なるアプリケーションをいくつも使ってデータを収集していた場合の統合に便利。 |
iPaaSを導入するメリット
ここでは、iPaaSを導入するメリットの具体例を紹介します。
導入に迷っている方は、参考にしてください。
低コストかつ短期間で情報システムの統合が可能
iPaaSを利用する最大のメリットは、データや情報システムの統合を低価格かつ短期間で行えることです。
前述したように、データ統合は本来一定のコストと期間をかけてプラットフォームを開発しなければなりません。しかし、iPaaSを利用すれば「ノーコード」もしくは「ローコード」でデータを統合できます。
良質なデータを持っているが、システムごとにデータが孤立しているので今ひとつ活用できないといった場合でも、iPaaSを利用すれば一気に改善が可能です。
自社のサーバーの負担軽減
蓄積したデータの量が膨大になるほど、統合した際に自社のサーバーに負担がかかります。
サーバーへの負担を考慮しサーバーの増設やインフラの整備を行うことは大切ですが、企業によっては即対応が難しい場合も多いでしょう。
iPaaSの多くがクラウドサービスです。そのため、自社のサーバーやインフラの整備が整っていなくてもすぐに導入できます。また、iPaaSサービスを提供している会社にセキュリティ維持も任せられるので、重要なデータを一元管理していても安心です。
データクレンジングも簡単
iPaaSを使ってデータを一元化するとデータクレンジングも簡単にできます。
データクレンジングとは、データの中にある不正確な情報を正す処理です。データの量が膨大になるほど、不正確な情報も増えていきます。
一例をあげると、顧客の名前や住所の間違いです。「渡辺さん」が「渡邊さん」と登録されていると、顧客情報をピックアップするまでに時間がかかったり同一人物が別人扱いで二重登録されたりする可能性もあるでしょう。データが別のアプリなどにばらばらに登録されていると、発覚までに時間がかかるうえ、データの正確性も保てません。
データを一元化すれば、データクレンジングの自動化も可能です。それに加えて、断片的な情報を集めてデータを補強する「エンリッチング」も容易になります。
iPaaSの導入事例
ここでは、iPaaSの導入事例を2つ紹介します。
iPaaSを導入したことによってどのように業務が効率化したか詳しく知りたい方は参考にしてください。
申請受付と承認業務の自動化
チャットボット・SlackとiPaaSを連携すれば申請受付や承認業務の自動化が可能です。
申請受付や承認業務はいろいろな部署で必要ではありますが手間のかかる業務でもあります。その一方で、申請受付と承認業務は形式や承認までの流れが決まっているので自動化しやすい業務です。
例えば、Slackと管理システムをiPaaSで連携すると、以下のような流れになります。
申請が必要な従業員はSlack上で申請を行い、その情報は自動で登録・管理ができるようになりました。そして、管理者が自動登録された情報をチェックし、承認を行うと、Slackを通じて申請を行った従業員にその旨が自動通知されます。Slackで申請をした従業員が確認すると承認業務のデータを管理するアプリが自動でステータス変更をし、その旨も通知される仕組みです。
これにより、個々の従業員が申請を手入力して承認を再度個々で通知するより、作業時間を大幅に短縮できるようになりました。
受注したデータをプラットフォームに入力する作業の自動化
メールやファックス、電話といった複数の方法で受注した内容を、iPaaSを利用してプラットフォームに入力する作業を自動化させた事例もあります。
受注内容の入力は重要な作業ですが作業内容は単調です。そこで、プラットフォームとOCRをiPaaSで連携させて、受注した注文票をOCRで読み取ってプラットフォームに入力する作業を自動化させました。
これにより、月100件ほど手作業で入力していた作業が自動化され、大幅に作業効率がアップしました。
入力が終るとチャットボットで通知が来るので、そこで確認すれば入力ミスの修正もスムーズです。
iPaaSと電子契約サービスを連携させる
iPaaSと電子契約サービスを連携させれば、契約書の作成から署名依頼までのプロセスを自動化できます。
近年はオンラインで契約を締結させる電子契約が可能な範囲が広がり、導入する会社も増えてきました。電子契約は遠方の取引相手と直接顔を合わせて契約を締結する手間が省ける一方で、メールやSNSで契約者とやり取りをしながら契約を進めていく必要があります。
複数の契約締結を同時進行させていると、「契約の締結作業が中途半端な場所で止まったまま」「契約書を契約者に送付していなかった」といったミスも起こりがちです。
契約書の作成から署名依頼までのプロセスを自動化できれば、契約書の交わし忘れなどのミスをなくせます。
また、締結された電子契約の文書やステータスなどのデータを他の業務システムに自動統合させることも可能です。契約書の確認が誰でもスムーズに行えたら、契約書を確認するためだけに個別のシステムを立ち上げずに済み、業務が効率化できます。
おすすめiPaaS 5選を紹介
最後に、どのiPaaSを導入しようか迷っている方向けに、おすすめのiPaaSを5つ紹介します。
iPaaS選びの参考にしてください。
ActRecipe
ActRecipeは、レシピ型のiPaaSです。複雑な統合でも、コンサルタントがレシピを作成してくれるので、使用者が高度なITの知識を学んだりツールを取得したりする必要はありません。レシピを選択するだけで、SaaSやFinTechサービスのデータを連携して業務を自動化できます。
電子契約のサービスの場合、契約書を自動でBoxやGoogle Drive、SharePointなどに保存するシステムが構築できます。
また、国内で唯一銀行APIによる送金や入出金明細の自動連携に対応している点も強みです。
Yoom
Yoomは、さまざまなSaaSやAIと連携して独自の業務ツールを作成できるiPaaSです。
社内のさまざまな情報を自動で集約でき、日々の業務フローの劇的な効率化が簡単にできます。
ルーチンワークになりがちな業務をボットが自動化してくれるので、「重要だけれど、作業自体は単調」といった業務にかける時間を大幅に減らせるでしょう。
電子契約サービスと連携すれば、契約書の自動作成、承認後の自動送付が可能になります。
ASTERIA Warp
ASTERIA Warpは、アイコンのドラッグ&ドロップとプロパティの設定をするだけでクラウドサービスやデータサービス、業務システムなどと簡単に連携が可能なiPaaSです。使用するのに高度なITの知識も必要なく直感的な操作ができます。iPaaSを初めて導入する場合でも使いやすいでしょう。国内で10,000社以上の導入実績も強みです。
また、専門のシステムエンジニアが社内にいなくても導入が可能なので、導入費用もローコストで済むでしょう。
電子契約サービスと連携すれば、契約書の作成と会計・人事・労務のシステムの連動が可能なので、契約業務の効率化が可能になります。そのための開発工数も削減できます。
mixsol(ミクソル)
電子契約、電子帳簿保存法などの豊富な業務テンプレートを取り揃え、バックオフィス業務のデジタル化とプロセス改善を実現できるiPaaSです。契約管理・電子契約テンプレートをはじめとして、バックオフィス業務の効率化ができるさまざまなテンプレートが用意されているので、ローコード・ノーコード開発が容易です。専用のシステムエンジニアがいなくても、スムーズに導入できるでしょう。
電子契約サービスと連携すれば、契約書稟議や契約書台帳と契約書のデータ連携などもできます。契約の進歩状況などの把握も簡単になるでしょう。
HULFT Square(ハルフトスクエア)
HULFT Squareは、日本製のiPaaSで高度なセキュリティを強みとしています。
データの一元化は管理や活用が容易になる一方で、データが流出すると企業だけでなく顧客にとっても大打撃となります。企業の信用はもちろんのこと、安全性が脅かされるおそれもあるでしょう。
もちろん、安全性だけでなく機能も豊富です。データ連携だけでなくファイル転送・ユーザー管理・環境管理・ジョブ設定・サポートなどの機能も搭載しており、1つのシステムで何役もの業務が可能です。
電子契約サービスと連携すれば、社内外のシステムやサービスとの連携や自動化も容易にできます。
電子印鑑GMOサインとiPaaSを通してサービス連携をしてみませんか?
GMOサインは300万社を超える企業が導入している、導入企業数No.1(※) の実績を誇る電⼦契約サービスです。電子契約が可能な範囲が拡大されるにつれ、契約を電子データで行う会社は増え続けています。GMOサインを導入すれば、契約書を印刷・送付・管理する手間を大幅に削減することが可能です。人手不足が多くの会社で切実な問題になっている現在、重要ですがルーチンワークになりがちな契約業務の電子化は、業務効率化の大きな助けになります。
さらに、GMOサインは複数のiPaaSとの連携も容易です。上記で本日ご紹介したサービスもGMOサインと連携可能なツールです。貴社がご利用のシステムやクラウドサービスとGMOサインを連携すれば、より業務の効率化が進むことでしょう。
\ さまざまな外部サービスとの連携が可能 /
※ 導入企業数は「電子印鑑GMOサイン(OEM商材含む)」を利用した事業者数(企業または個人)。1事業者内のユーザーが複数利用している場合は1カウントとする 。自社調べ(2023年7月末)
※ 電子署名およびタイムスタンプが付与された契約の送信数(タイムスタンプのみの契約を除く。電子署名法の電子署名の要件より)。自社調べ(2023年5月)
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