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この記事をお読みいただいている方の中には、現在不動産を所有しており、今後その売却を検討している方もいらっしゃることでしょう。
不動産を売却する際には、必要に応じて各種の書類を作成する必要があります。不動産売買の際に必要となる書類に関しては、印紙税法によって収入印紙を貼付する必要のあるものがいくつか存在します。貼付義務があるにもかかわらず印紙を貼らなかった場合には、最悪のケースとしては懲役刑を科される可能性まであるので注意が必要です。
今回は、不動産を所有されている方が土地と建物(マンションを含む)を売却する場合に、どのタイミングでいくら印紙税がかかるのかについて解説いたします。
家を買う際にかかる収入印紙についての記事はこちら
一定の書類を作成する際には「印紙税法」という法律によって、その定める額分の収入印紙を購入し、その書類に貼付することが義務付けられています。
不動産を売却する際には、売買契約書や登記申請書などいくつかの書類に対して収入印紙を貼付する必要があります。
「印紙」(収入印紙)とは、税金や行政手続きにかかる手数料などを徴収するために国が発行している証票です。見た目は郵便切手に似ています。必要な額の収入印紙を購入し、貼付が必要とされている書類に貼り付け、消印などをすることによって税金や手数料などを納付します。この収入印紙は、郵便局や法務局、場合によってはコンビニなどで取り扱っているケースもあります。
印紙税法上、収入印紙が必要とされる書類は、第1号文書から第20号文書まであり、以下のようなものが挙げられます。
・不動産に関する売買契約書(第1号文書)
・土地等の賃借権設定等に関する契約書(第1号文書)
・借金に関する契約書(第1号文書)
・請負に関する契約書(第2号文書)
・領収書(第17号文書)
・預金通帳(第18号文書)
上記各書類は、あくまでも一例であり、実際に印紙が必要とされる書類は多岐にわたります。収入印紙が必要となる書類を提出する際には、忘れずに規定の収入印紙を貼付するようにしてください。
【参照】印紙税額一覧表(国税庁)
印紙税法によって収入印紙の貼付が必要であるにもかかわらず、それを怠った場合には罰則を科される可能性があるので注意が必要です。
税務上の罰則として本来納付すべきだった印紙税の3倍が過怠税(かたいぜい)として徴収されることになっています。不正な行為によって印紙税を免れたなど悪質な場合には、「三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」される可能性まであるのです(印紙税法21条)。
法律の知識が乏しかったり、「面倒だから…」などと軽い気持ちで考えたりしていると、後になって重大な結果を招く可能性がありますので、ご注意ください。
不動産を売却する際には、大まかに以下のような流れで手続きが進んでいくことになるでしょう。
①不動産業者への仲介依頼 ⇒ ②売買契約締結 ⇒ ③融資の実行(立ち合い日) ⇒ ④各種不動産登記
それぞれのプロセスについて簡単に確認していきましょう。
個人が所有不動産を売却しようとする場合、不動産業者に対して売却の仲介を依頼することが一般的です。
不動産業者のネットワークを利用することで不動産の買い手を探してもらえば、より早く売却することができる可能性が高まります。なお、不動産業者を選ぶ際は、不動産業者が電子契約サービスを導入しているかどうかを確認しておきましょう。理由はまとめに記載します。
購入希望者が見つかった場合、いよいよ売買契約を締結することになります。
ただし、実際にはこの時点では仮契約に留まることが多く、正式な売買契約は「立会い日」に行われることが一般的です。
「立会い日」とは、不動産の売主や買主、仲介した不動産業者や住宅ローンを融資する銀行関係者、そして書類の確認や必要な各種登記を行う司法書士などが一堂に会して不動産取引が行われる特定の日のことを言います。この「立会い日」において、各種登記をすることについて問題がないことを司法書士が確認し「ゴーサイン」が出されることによって、銀行は住宅購入資金の融資を実行するのです。
住宅ローンを融資する銀行(または保証会社など)は、貸し出すことになる住宅購入資金の返済を担保する目的で、売買の目的不動産上に抵当権を取得します。銀行としては、融資した住宅購入資金の返済が滞っては大変な損失を被るため、抵当権の設定が確実に行われることを確認してから融資の実行を行います。
この確認は、依頼を受け同席している司法書士がその場で行うことになっています。司法書士が必要書類などの確認を行い、所有権移転登記や抵当権の抹消・抵当権設定の各登記が可能であることを確認後、融資の実行が行われることになります。
融資が実行されることにより、住宅購入資金はまず買主の口座に入金されます。そして、売買代金分が売主に支払われることになるのが一般的です。
不動産の売買代金の支払いを受けた売主は、目的不動産上にまだ抵当権が残っている場合には、その金銭をもって住宅ローン残額を一括返済します。これによって、目的不動産上に設定されている抵当権の抹消登記が可能となるのです。
不動産について売買が成立し、代金や必要書類の受け渡しなどが完了した場合、売買手続きの最終段階として売主から買主への所有者変更など各種の不動産登記を行います。
住宅ローンがまだ残っている状態で不動産を売却する際には、売却不動産にはまだ抵当権が設定されたままであることが一般的です。
抵当権付きの不動産を売却する際には、売主から買主への所有権移転登記をする前に、まず抵当権の抹消登記をする必要があります。
この抵当権抹消登記は売主側の責任において行う必要があるため、登記に要する登録免許税は売主が負担することになります。
なお、通常の場合、不動産登記に関する一切の事務手続きは司法書士が行うことになるため、売主側が行うことは書類に必要事項を記入し必要経費などを支払う程度でしょう。
個人が不動産を売却する場合、売却手続きが終了するまでの間には契約書など各種の書類が必要となります。
この際に収入印紙が必要となる書類は、主として以下のようなものが考えられます。
不動産の売主と買主との間に売買契約が成立したことを証明するための売買契約書の作成が必要です。契約書には、売買代金や引き渡し期日など必要事項が明記され、売主・買主が1部ずつ保有することになるのが一般的です。
不動産に関して所有者の変更などがあった場合、その旨の登記をする必要があります。実際には銀行や不動産業者などから依頼を受けた司法書士が事務手続きの一切を行うため、売主側として行うことはほとんどありません。
これらの書類を作成する段階で、その取引金額や登記の内容などに応じた収入印紙が必要になります。
なお、具体的な金額は印紙税法や登録免許税法によって決まっています。
これまで見ていただいたように、不動産を売却する際には手続きの流れの中で収入印紙が必要となるタイミングが何度かあります。
今回は、売却対象となる不動産(土地と建物または敷地権付きのマンション)の課税評価額を合計で4000万円の事例と設定させていただき、必要となる収入印紙の額を計算してみましょう。この場合、不動産を売却する際に印紙が必要となる書類、そしてそれぞれの金額は以下のようになります。
・売買契約書:2万円
売買代金が4000万円の不動産の売買契約書には、印紙税法上2万円の収入印紙を貼付する必要があります。
・抵当権抹消登記申請書:2000円
不動産売却の際には、必要に応じて各種不動産登記をする必要があります。不動産登記では、その登記の内容ごとに定められた登録免許税を納付しなければいけません。登録免許税は実務上、収入印紙によって納付することが一般的です。
不動産の売却に際して売主側が負担すべき登録免許税は、通常のケースでは抵当権の抹消登記となります。こちらでは抵当権抹消登記に必要となる登録免許税として2千円(1筆の土地と建物または1筆の土地に対する敷地権付きマンションの場合)が必要です。
なお、抵当権の設定がない不動産を売却する際には、当然ながらこの収入印紙は不要となります。
不動産を売却する際には、買い手を見つけるところから、売買契約を締結し、不動産登記を行うまで、複雑な手続きが必要となります。その際には、売買契約書や不動産登記申請書などを作成する際に収入印紙が必要です。一定の書類には印紙税法によって規定の収入印紙を貼付することが義務付けられており、うっかり貼り忘れた場合には本来の税額の3倍の過怠怠税が請求される可能性があるので注意が必要です。契約書に限らず、ビジネス上、日常的に作成している書類の中にも印紙が必要とされているものが多数存在します。うっかりミスで懈怠税の請求を受けるようなことのないよう、十分注意してください。
なお、印紙税は紙の文書に対して発生する税金であり、売買契約を紙の契約書ではなく電子契約で締結すれば契約書にかかる印紙税は不要です。記事内で電子契約サービスを導入している不動産業者に相談することをおすすめしたのはこの理由です。登録免許税のようにどうしても支払いが必要なものもありますが、電子契約サービスを活用するだけで賢くお得に数万円の税金が抑えることができるというのは大変魅力的ですよね。
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