ビジネスシーンでたびたび目にする契約書等の公的文書。実は一口に文書といっても「原本」「正本」「副本」といった種類が存在し、これらの違いを明確に理解して正しく使用している人はそう多くないかもしれません。本記事では、正本の控えとして作成される「副本」を中心に、他の文書との違いや作成時の注意点について解説します。
目次
副本とは?
副本とは「正本」の控えや予備として作成される複製可能な文書のことで、正本と同一内容のものを指します。原本を基に作成する正本と内容が同じであるため、多くの場合、原本と同様の効力が認められています。公的機関等に提出する際に送付する文書を副本、手元に残す控えを正本などと区別します。
副本が必要になる主なケース
家を建てる際の建築確認申請書などには正本・副本の2部作成が求められるケースが多くあります。工事完了までの間は副本を建築会社で保管し、引き渡しの際に建築主に返却されますが、将来的に家の増改築や売買の取引をする際にも必要となる重要な書類です。
その他にも裁判に必要な訴状や答弁書、準備書面等の裁判所と相手方の両方に提出する文書にも、正本・副本の作成が必要となります。
副本と他の用語の違い
ここからは副本と他の用語の違いについて詳しく解説していきます。
副本と正本の違い
正本と副本は同一の内容で作成される文書のことをいいますが、正本は公正権限を有するものが作成した”原本の写し”で、謄本の一種であるのに対し、副本は”正本の写し”であるため謄本とは別物になります。一般的には正本の控えとしてセットで作成され、裁判所や公的機関などに書類を提出する際に、それぞれ当該機関と相手方の手元に渡るものを正本、副本と区別して呼称されることがあります。
副本と写しの違い
「写し」とは一言でいうと原本のコピーを指し、公正権限を有しないものが原本を基に複製したもので、認証のない謄本と呼ばれます。本人確認書類として免許証や保険証の写しを求められた際は、これらをコピーしたものを提出すれば問題ありません。
写しは”原本”を基に複製されたものであるのに対し、副本は”正本”を基に複製されるといった違いがあります。
副本と原本、謄本、抄本の違い
副本に対して「原本」「謄本」「抄本」には次のような特徴があります。
原本
あらゆる文書においてその作成者が最初に作成するオリジナルの文書のこと。謄本・抄本・正本・副本・写しの元となります。原本は1通とは限らず、例えば契約を取り交わす際に当事者が複数いる場合に複数枚作成した契約書は全て原本となります。
謄本
戸籍謄本などでよく耳にする謄本は原本の全てを写した文書のことで、公務員が公的な権限のもと作成、認証したものを指します。一般的に原本と同様に扱われ、登記事項全部証明書(登記簿謄本)などが謄本に当たります。
抄本
謄本が原本の全てを写したものであるのに対し、抄本は原本の一部を抜粋して作成した文書になります。そのため、戸籍謄本は家族全員の情報が記載されていますが、1人分だけで良い場合には戸籍抄本を請求すれば良いことになります。
副本はコピーでも良い?
副本は正本を基に作成された控えという位置付けから、申請書等を提出する際にはほとんどの場合、正本をそのままコピーしたものでも良いとされています。
副本の作り方
ここからは副本の作成方法について解説していきます。
申請先が正本のコピー可としている場合は、正本として作成したものを単純にコピーすれば副本として利用可能です。ただし、署名や印鑑のコピーが不可の場合は、同じ文書を2部用意したのちそれぞれに署名・押印する必要があります。
副本作成時のよくある疑問
副本を作成する際のよくある疑問として「印紙」の必要性が挙げられます。
契約書の原本または正本は課税文書となり印紙の添付が必要となりますが、副本や写しの場合、単に控えとして作成されたものであれば課税文書に該当しないため、印紙は必要ありません。
しかし、契約の成立を証明することを目的に作成されたことが明らかである場合や、コピーであっても契約当事者の双方または相手方の署名や押印がされたものである場合には、いずれも課税対象となり印紙が必要となるため注意しましょう。
訂正が必要な場合はどうする?
書類の申請時に訂正箇所が発覚した場合、軽妙なものであればその場で訂正を求められることもあります。その際には正本・副本どちらも全て同じように訂正する必要があります。
印鑑も含めてコピーしてもOK?
正本をコピーして副本とする場合、印鑑の取り扱いを迷う人もいるでしょう。
ほとんどの場合は、押印済みの正本をコピーしたもので提出可能ですが、都道府県や担当部署により対応が異なりますので、事前に確認することをおすすめします。
電子契約の場合の副本はどうなる?
電子契約とは、電子署名やタイムスタンプを付与した電子ファイルを利用して交わす契約のことですが、この場合の原本は契約締結時に最初に作成された電子契約書を指します。しかし、紙の契約書と異なり容易に複製が可能であることから、原本とその他の文書に明確な区別はありません。
そのため、ダウンロードしたファイルやコピーした電子契約書等のいずれも原本として使用可能です。
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文書の種類や定義を正しく理解しよう
本記事では、文書の種類やそれぞれの違いについて副本を中心に解説しました。
原本、正本、副本といった文書に関する用語を正しく理解することは、ビジネスだけでなく日常生活においても、物事を円滑に進めるうえでとても大切です。迷ったときは是非を本記事を参考にしてみてくださいね。