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印鑑の偽造は重大な罪に当たる! 根拠となる法律と実印を紛失した時の対処法

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日本において、印鑑の偽造は重大な犯罪行為として認識されています。これは、印鑑が日本の契約文化において特別な重要性を持つためです。

印鑑は署名と同等の法的な意味を持つ認証の一形態であり、銀行取引、契約、公的文書などで広く利用されています。そのため、印鑑の偽造は契約や公的文書の信頼性を損ねる行為として厳しく規制されています。

目次

印鑑の偽造に関係する法律

他人の印鑑を偽造すると、日本では刑法に触れる可能性が高いです。具体的には、以下に示す4つの条文が関係します。

私印の偽造とその不正使用

刑法第167条は、印章の偽造と不正使用について規定しています。

(私印偽造及び不正使用等)

第百六十七条 行使の目的で、他人の印章又は署名を偽造した者は、三年以下の懲役に処する。

 他人の印章若しくは署名を不正に使用し、又は偽造した印章若しくは署名を使用した者も、前項と同様とする。

【引用】https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=140AC0000000045

第1項は、他人の印章や署名を偽造する行為そのものを罰する内容となっています。

行使の目的でとあるように、偽造された印章や署名を、本物として利用する目的を持って行われた時に適用されます。したがって、単に他人の印章を模倣しただけでなく、使用目的で偽造した場合に、罪が成立します。

第2項は、他人の印章や署名を不正に使用する行為と、偽造された印章や署名を使用する行為を罰する内容となっています。

第1項が偽造そのものに対する罰則を定めているのに対して、第2項はその使用に対して罰則を定めているわけです。つまり、第2項は、第1項で規定された偽造者本人でなくとも、偽造された印章や署名を使用すれば罪が成立することを示しています。

したがって、この法律により、印章や署名の偽造そのものと、偽造された印章や署名の使用という2つの異なる行為が罰せられることになります。

罪が成立する分岐点としては、偽造行為を行ったかどうかと、偽造された印章などを実際に使用したかどうかです。したがって、「偽造しただけで、行使するつもりはなかった」 と主張した場合、同罪が成立するかは具体的な証拠や状況によって判断されることになるでしょう。

しかし、ここで注意する点は、法律が行使の目的を要件としていることです。これは、実際に行使したかではなく、偽造時に行使する意図や目的があったかが問われることを示しています。したがって、「作っただけで使うつもりはなかった」と主張しても、偽造時に行使の目的があったと判断されれば、罪が成立する可能性があります。

また、法律は行為の背後にある意図や目的を評価するため、主観的な主張だけではなく、具体的な証拠や状況をもとに総合的な判断を行います。たとえば、偽造した印章を保管していた場所、偽造の方法、行為後の行動など、すべての事実が考慮されるわけです。

法律は、社会の秩序を保つために設けられており、その解釈と適用は一般的には裁判所の判断に委ねられています。したがって、偽造行為が発覚した場合、具体的な状況や証拠に基づいて法律が適用されることに注意しましょう。

私文書の偽造

刑法第159条は、私文書偽造について規定しています。

(私文書偽造等)

第百五十九条 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

 他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。

 前二項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

【引用】https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=140AC0000000045

上記のとおり、印章や署名を用いた私文書の偽造に対する罰則を定めた内容です。偽造印鑑や他人の印鑑を不正に使用して、私文書を偽造する点で印鑑が関係します。

同罪が成立する要件は次の3つです。

まず、偽造した私文書を実際に使用する目的があることが1つ目

次に、他人の印章や署名、または偽造した印章や署名を使用することが2つ目の要件になります。

そして、偽造行為が権利、義務、事実証明にかかわる私文書に対して行われていることが最後の1つです。

これらすべてが満たされた場合に、私文書偽造の罪が成立します。

また、刑法第159条では先に挙げた第167条とは異なり、作成された文書の内容や性質に重点を置いています。つまり、偽造した印章や署名を使って具体的な権利、義務、事実証明にかかわる文書を作り出した場合に適用される条項です。このため、ただ印章を偽造しただけではなく、それを使って具体的な私文書を偽造した場合に成立します。

公務員の印章や署名の偽造とその不正使用

刑法第165条は、公務所または公務員の印章や署名の偽造および不正使用に対して罰則を定めています。

(公印偽造及び不正使用等)

第百六十五条 行使の目的で、公務所又は公務員の印章又は署名を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

 公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を不正に使用し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用した者も、前項と同様とする。

【引用】https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=140AC0000000045

第1項は、公務所、または、公務員の印章や署名を偽造し、それを使用する意図(本物として利用する目的)があった場合に適用される規定です。印章や署名を偽造しただけでなく、私印偽造の規定と同様に、偽造品を使う意図があった場合に限り、罪が成立します。

第2項では、公務所、または、公務員の本物の印章や署名を不正に使用した者、または、偽造した印章や署名を使用した者に対する罰則を定めています。

これは、第1項で規定されている偽造行為者本人でなくとも、偽造された印章や署名を使用したのであれば、罪が成立することを示しています。

公務所や公務員の印章や署名を偽造する行為は、行政の信用や公的な業務の適正な運営を大きく損なう可能性があるため、特に厳しく罰せられます。

分岐点としては、行使の目的で印章や署名を偽造したか、また、偽造した印章などを使用したかという点です。この行使の目的とは、単に偽造するだけでなく、その偽造品を使う意図があった場合を指します。たとえば、公務員の署名を偽造して公文書を作成し、その公文書を用いて何らかの利益を得ようとした場合などが該当します。

公文書の偽造

刑法第155条は、公文書偽造について規定しています。

(公文書偽造等)

第百五十五条 行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

 公務所又は公務員が押印し又は署名した文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。

 前二項に規定するもののほか、公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は公務所若しくは公務員が作成した文書若しくは図画を変造した者は、三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

【引用】https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=140AC0000000045

本条では、公務所、または、公務員の印章や署名を用いた公文書の偽造に対して罰則を設けています。私文書偽造の規定と同様に、偽造印鑑や他人の印鑑を不正に使用して、公文書を偽造する点で印鑑が関係します。

同罪が成立する要件も、私文書偽造の場合と同様です。偽造した公文書を実際に使用する目的があること、公務所、または、公務員の印章や署名、もしくは、偽造した印章や署名を使用すること、および、偽造行為が公務所、または、公務員が作成すべき公文書に対して行われていることの3点です。これらすべてが満たされた場合に、公文書偽造の罪が成立します。

なお、刑法第155条では、作成される文書の内容や性質に重点を置いています。つまり、偽造した印章や署名を使って、具体的に公務所や公務員が作成すべき公文書を作り出した場合に適用される法律です。そのため、公務員の作成を想定した特定の文書や図画の偽造が問題となります。同罪では、公務所や公務員の印章の偽造とは異なる観点から犯罪を考える必要があるでしょう。

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実印を紛失した時は

自身の印鑑を複製する行為自体には法的な問題はありません。

しかし、自分で印鑑を複製するのは現実的とはいえないでしょう。まず、印鑑の複製を作る際には、精密な作業が必要となるため、適切な技術や知識がない場合、印鑑の複製は不可能に近いです。

また、印鑑複製業者に依頼する方法もありますが、その業者が信頼に足るかどうかを見極める必要があります。複製した印鑑を不正な目的で使用するような悪徳業者がいないとも限りません。安易な印鑑の複製は、やめた方が賢明です。

なお、印鑑を紛失した場合には、紛失した印鑑が不正に使われないように法的な手続きを経ることが重要となります。

まず、何よりも先に警察に届け出を行いましょう。これにより、紛失した印鑑が不正に使われた場合の証拠になります。次に、実印のような登録された印鑑である場合には、その旨を市区町村役場に届け出て、印鑑登録の抹消を行うことが必要です。これにより、紛失した印鑑が不正に使われた場合に、その印鑑が抹消されたものであることを証明できます。その後で新たに印鑑を作成し、再度市区町村役場にて印鑑登録を行うというのが手順です。

偽造を防ぐためにも印鑑の管理は厳重に

印鑑の偽造は日本において重大な犯罪行為とされ、刑法によって罰せられます。自分の印鑑は厳重に管理し、第三者に渡さないようにすることが第一です。また、契約や重要な文書には自分の正確な印鑑を使用し、偽造を防ぐために注意を払う必要があるでしょう。なお、印鑑の紛失や盗難があった場合は速やかに警察に届け出るとともに、関係機関や関係者への連絡も忘れないようにしましょう。

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