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これらの行為をあたりまえのように行っていませんか。もしかしたら、法律に違反しているかもしれません。
SNSや動画サイトを利用するのであれば、著作権について正しい知識を持つことが必要です。正しい知識がなければ、知らぬ間に法律違反を犯してしまうこともあるでしょう。
著作権とは、作品に対して発生する権利です。たとえばアイドルの画像を撮影した人や、作曲した人はその作品の著作権を持っています。そのため、勝手にダウンロードしたり、インターネット上にアップしたりすると、著作権に違反することになり、違法です。著作権は知的財産権の一種で、著作権の目的は文化の発展です。
著作権法2条1項では、著作物が以下のように定義されています。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
【引用】https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048
作品のことを指して、著作物と呼びます。先ほどの例でいえば、アイドルの画像、曲の歌詞が著作物にあたります。著作物とは法律では以下のものを指し、著作物は、作者の許可を得ずに勝手に使用することはできません。なお、ノンフィクションやデータには個人の思想が含まれないため、著作物ではありません。著作権法第10条によれば、画像や歌詞の他にも以下の9種類が著作物にあたります。
第一節 著作物
(著作物の例示)
第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 舞踊又は無言劇の著作物
四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五 建築の著作物
六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七 映画の著作物
八 写真の著作物
九 プログラムの著作物
【引用】https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048
著作権法第10条1項に該当する著作物は、言葉で表現された書籍や冊子、論文などです。もちろん、個人が書いた作文なども含まれます。
音楽にはメロディーだけでなく歌詞も含まれます。
ダンスや舞踊などの振付のことです。
絵画などの美術作品で、漫画や舞台美術などもこの項目に含まれます。
一般的な住宅などは含まれません。宮殿や神社仏閣、教会または橋、庭園など美術建築としての要素があるものを指します。
設計図などのことです。
テレビ番組、動画サイトにアップされている動画なども含みます。
著作物と認められるには創意工夫が込められている必要があるため、定点カメラで撮影した画像などは含まれません。
コンピューターのブログラムのことです。この他、二次的著作物も著作物に含まれます。二次的著作物とは、漫画をドラマ化したもの、写真をもとに描いた絵画など、上記の著作物をもとに作られた作品のことです。
著作物は、作者の気持ちや考え方などの個性が感じ取れるものであることが必要です。文章、イラスト、音楽などの他、写真や美術作品、そして企業や店舗のロゴなども著作物に含まれます。
著作物といわれますが、必ずしも物体であるとは限りません。著作物とは情報です。好きなお笑い芸人のコントや漫才のDVDを購入したとします。購入者はDVDの所有者になります。所有者であるため、DVDを自分で見たり、友達に貸したりすることも自由です。購入した時点で、そのDVDディスクに対して所有権を持っているからです。しかし、DVDの中身である、コントや漫才の情報そのものについては、権利がないため自由に利用することはできません。DVDの中身を勝手に編集・アレンジしてYouTubeなどの動画サイトや、Instagramにアップする権利はありません。このように、著作物は物ではなく、情報だと覚えておきましょう。
これらの著作物を許可なくダウンロードしたり、SNSや動画サイトにアップロードしたりすることは禁止されています。
個性が表れにくいものは著作物とはならず、誰でも使用できます。たとえば「 △」や「☆」などのマークは、どんな人が描いてもほとんど変わりません。それらのマークは描いた人の個性が表れにくいものであり、著作物にはならないわけです。
文章やデータ類でいえば、歴史的事実も著作物にはなりません。たとえば「天正10(1582)年に清須会議が開かれた」という文章は、人が創作したわけではなく、実際の出来事であり、この文章は誰にも権利はありません。だからといって三谷幸喜さんの小説である清須会議や、その小説が原作となった映画が著作物でなくなるわけではありません。
歴史上で実際に起こった出来事について、ノンフィクション作品から事実を抜き出してオリジナルの文章を書くこと自体は可能です。しかし、ある程度まとまった文章を使用すると、著作権侵害になるでしょう。ただし、ありふれた表現、単語をつなげただけの短い文章は著作物としては認められにくいです。
アーティストの曲、推しの画像、あるいは録画したテレビ番組や文章を勝手にコピー(ダウンロード)することは違法です。さらに、著作物を自分のSNSにアップしたり、テレビ番組や映画を動画サイトにアップしたりして公表することもNGです。著作物を勝手にアレンジして、別のものとして提供することも許されません。「このアーティストの曲の良さを、みんなに知ってほしい」「このアーティストを応援したい」という気持ちであっても、SNSに勝手にあげてはいけません。著作権者本人でなければ基本的にやってはいけない行為です。
映画館で、勝手にスマホやビデオで映画を録画して、動画サイトにアップする行為も著作権侵害にあたります。こうした行為は、作品を作った人たちの権利を侵害する行為にほかならないからです。
画像や文章のコピーや拡散が許されるのは、作者が「自由に使ってください」と許可を出している場合のみです。しかし、基本的に、そのようなケースは少ないと考えましょう。
SMSを見ていて、好きな動物やきれいな景色の画像、可愛いイラストや推しの画像をダウンロードしてスマホに取り込むようなことはよく行われています。好きなアイドルの曲の歌詞をSNSに載せることもよくあるでしょう。では、ダウンロードは、イコールで犯罪になってしまうのかというと、そうではありません。実は、例外的にOKとされている場合もあります。許されているケースは、個人利用目的である場合と、引用目的である場合です。
有名人やインフルエンサーのYouTubeライブや、インスタライブの切り抜き動画を作成してもよいのでしょうか。LIVE配信を、短くまとめている切り抜き動画は、知りたい情報だけを見ることができて非常に便利です。しかし、切り抜き動画を作成するとき、著作権について知っておかなければなりません。LIVE配信動画にも配信者に著作権が発生しています。LIVE配信は映像著作物であり、その映像を作成した人に著作権があります。そのため、第三者が勝手にLIVE配信を編集することはできません。
切り抜き動画を作成する際には、まず第1段階としてLIVE配信動画を自分のPCにダウンロードします。第2段階は、切り貼りして短く編集することです。第3段階として、YouTubeやTikTokにアップロードします。
まず、第1段階のダウンロードする時点で複製権侵害にあたります。第2段階の切り貼りして編集する作業は、翻案権侵害と同一性保持権侵害に該当する行為です。第3段階として、YouTubeやTikTokにアップロードする行為は、公衆送信権侵害となります。このように、切り抜き動画を作ってアップすることは、複数の著作権侵害となります。懲役や罰金などの重い刑罰が科せられる可能性があるため注意しましょう。
YouTubeにはたくさんの切り抜き動画が溢れていると感じる方も多いのではないでしょうか。実は、YouTubeにはコンテンツIDによるチェックが行われるシステムが存在します。これは著作権を管理するシステムであり、切り抜き動画の違法なアップロードを検知すると、作者(LIVE配信者)に通知が届く仕組みです。
LIVE配信者には、以下の2つの選択肢が与えられます。
作者が削除を選択せずに収益分配を望むなら、切り抜き動画はそのままYouTubeに残るのです。とはいえ、切り抜き動画を許可してくれる有名人ばかりではありません。たとえば、芸能人が行うLIVE配信の場合は、芸能プロダクションが絡むため、基本的に芸能人の切り抜き動画はアップしないのが賢明です。
切り抜き動画を作成する際に注意したいポイントは3つです。
1つめは、LIVE配信者の意図と違う編集をしないことです。たとえば、元の動画では「私は犬が好きですが、猫は苦手です」と言っているとします。しかし、編集によって間を切り取り、「私は犬が苦手です」という動画を作成すれば、作者の主張とは真逆の内容になります。このような情報操作は避けるべきです。
2つめのポイントは、作者の配信するプラットフォームへのこだわりに対する配慮です。たとえば、YouTubeでLIVE配信を行い、切り取り動画をYouTubeにアップすることは許しているとします。しかし、インスタにはアップしないと決めている作者もいるでしょう。このような場合に、勝手に他のプラットフォームにアップロードするとトラブルになることもあります。
3つ目は、再生回数稼ぎの過激なサムネや釣りタイトルにしないことです。切り取り動画が溢れているため、目を惹く目的で衝撃的なタイトルや、誤解を招くようなサムネをつける場合もあります。しかし、著作権者が不快に感じることも多いため、やめましょう。
著作権者の許可なく、著作物を使用すると刑事上の罰則を受けます。著作権法第119条において、著作権侵害は10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が予定される行為です。
第百十九条 著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(第三十条第一項(第百二条第一項において準用する場合を含む。第三項において同じ。)に定める私的使用の目的をもつて自ら著作物若しくは実演等の複製を行つた者、第百十三条第二項、第三項若しくは第六項から第八項までの規定により著作権、出版権若しくは著作隣接権(同項の規定による場合にあつては、同条第九項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。第百二十条の二第五号において同じ。)を侵害する行為とみなされる行為を行つた者、第百十三条第十項の規定により著作権若しくは著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者又は次項第三号若しくは第六号に掲げる者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
【引用】https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048
さらに、著作者人格権または実演家人格権を侵害すると、第119条2項にあるように、5年以下の懲役または500万円以下の罰金という罰則を受ける可能性があります。
2 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 著作者人格権又は実演家人格権を侵害した者(第百十三条第八項の規定により著作者人格権又は実演家人格権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)
二 営利を目的として、第三十条第一項第一号に規定する自動複製機器を著作権、出版権又は著作隣接権の侵害となる著作物又は実演等の複製に使用させた者
三 第百十三条第一項の規定により著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者
四 侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等の公衆への提示を行つた者(当該侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等と侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等以外の相当数のウェブサイト等(第百十三条第四項に規定するウェブサイト等をいう。以下この号及び次号において同じ。)とを包括しているウェブサイト等において、単に当該公衆への提示の機会を提供したに過ぎない者(著作権者等からの当該侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等において提供されている侵害送信元識別符号等の削除に関する請求に正当な理由なく応じない状態が相当期間にわたり継続していたことその他の著作権者等の利益を不当に害すると認められる特別な事情がある場合を除く。)を除く。)
五 侵害著作物等利用容易化プログラムの公衆への提供等を行つた者(当該公衆への提供等のために用いられているウェブサイト等とそれ以外の相当数のウェブサイト等とを包括しているウェブサイト等又は当該侵害著作物等利用容易化プログラム及び侵害著作物等利用容易化プログラム以外の相当数のプログラムの公衆への提供等のために用いられているウェブサイト等において、単に当該侵害著作物等利用容易化プログラムの公衆への提供等の機会を提供したに過ぎない者(著作権者等からの当該侵害著作物等利用容易化プログラムにより提供されている侵害送信元識別符号等の削除に関する請求に正当な理由なく応じない状態が相当期間にわたり継続していたことその他の著作権者等の利益を不当に害すると認められる特別な事情がある場合を除く。)を除く。)
六 第百十三条第五項の規定により著作権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者
【引用】https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048
著作権を侵害すると、懲役や罰金もしくは懲役と罰金の両方が科されることもあります。非常に重いペナルティが科されるため、著作権を侵害しないように注意しましょう。また、刑事上の罰則だけでなく、民法第709条や第703条などに基づき民事裁判を起こされるケースもあります。
(不当利得の返還義務)
第七百三条 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
【引用】https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
損害賠償や名誉回復措置請求などの裁判を起こされるケースもあるため、SNSを利用する際には、著作権を侵害しないようにくれぐれも注意しましょう。未成年だから大丈夫と誤解している人もいます。しかし、実際に高校生が著作権侵害で逮捕された事例もあることに留意してください。
現代の中高生は、そのほとんどがSNSを利用しています。著作権について、正しい知識を身につけることでトラブルを避けましょう。
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