デイサービス(通所介護)は、高齢者や障害者が日中に施設で受ける支援サービスです。食事や入浴、リハビリ、レクリエーション、健康管理、送迎などのサービスが提供され、在宅介護者の負担軽減や利用者の社会的な交流促進を目的としています。
自宅で過ごす要介護者にとって、もっとも身近なサービスの一つといえるデイサービスですが、要介護1〜5の方のみが利用できるというのが原則です。しかし、実は健康な人でも利用できるデイサービスが存在します。
本記事では、デイサービスの利用条件や料金をはじめ、要介護認定を受けていない健康な人が利用できるサービスについて、詳しく解説します。
現在介護業界ではDX化が急速に進んでいます。DX化の要素の一つ「電子契約」について、次の記事で詳しく解説しています。介護業界で業務改善に取り組まれている方必見の内容です。ぜひご覧ください↓
目次
デイサービスとデイケア
デイサービス(通所介護)は、高齢者や障害者が日中に施設で受ける支援サービスです。日本の介護保険制度では、65歳以上の人が日常生活の中でどの程度の介護を必要とするのかという介護の度合いを「要介護認定基準時間」(介護にかかる時間)をベースに次の7段階に区分しています。
7段階の要介護認定
- 要支援1
- 要支援2
- 要介護1
- 要介護2
- 要介護3
- 要介護4
- 要介護5
※非該当(自立)も含めると8段階です。
介護保険サービスとしてデイサービスを受けるためには、原則として要介護1〜5に認定されていることが必須条件となり、健康で自立した人は対象外となっています。
なお、デイサービスと似た名称の介護サービスが「デイケア」です。デイケアとは、通所でリハビリ(リハビリテーション)が受けられる介護サービスです。デイケア施設は、リハビリテーション病院や老健と呼ばれる介護老人保健施設に併設されていることが多く、要介護1〜5の認定を受けている方だけでなく、要支援1・2の認定を受けた方も利用できます。
デイサービスとデイケアの主な違いについては、次の記事で詳しく解説しています。
健康な方でも通えるデイサービス
介護保険が適用される介護サービスとしてのデイサービスの利用対象者は、先述した通り、要介護1から5までの認定を受けた方です。ただし実は、要支援1・2の認定を受けている方や、要介護認定自体を受けていない方でも利用できるデイサービスが存在します。
健康な方でも通えるデイサービスには具体的にどのようなものがある?
健康な方でも通える可能性があるデイサービスは主に次の4つです。
- 通所型サービス(通所介護相当)
- 通所型サービスA
- 通所型サービスB
- 通所型サービスC
通所型サービス(通所介護相当)とは
通所型サービス(通所介護相当)は、高齢者が自宅から施設に日帰りで通い、食事や入浴、リハビリテーション、レクリエーションなどのサービスを受けることができる介護サービスです。利用者が日中の時間を快適に過ごし、身体機能や認知機能の維持・向上を図ることを目的としています。介護保険によるデイサービス(通所介護)と同等のサービスです。
通所型サービスAとは
通所型サービスAは、市町村が独自に提供する介護予防サービスで、比較的軽度な介護予防支援を必要とする高齢者を対象とします。主に運動や栄養改善、社会参加活動などを通じて、高齢者が自立した生活を長く送れるよう支援します。施設内でのリハビリや健康教室などが含まれます。
通所型サービスBとは
通所型サービスBは、地域の特性に応じた柔軟なサービスを提供するために設けられたもので、サービス内容や提供方法が多様です。たとえば、地域のボランティア団体やNPOが運営するサロンや集いの場での活動が該当します。特定のプログラムに縛られないため、多様なニーズに対応できます。
通所型サービスCとは
通所型サービスCは、通所型サービスAとBの中間に位置するサービスで、地域の住民や専門職が連携して提供します。地域包括支援センターなどの拠点を利用しながら、個別の健康管理やリハビリ、社会交流活動を通じて、より密接に高齢者の日常生活を支援します。地元のリソースを活用することが特徴です。
これらのサービスは市町村が主体となった地域支援事業として提供されます。地域によって実施されていないサービスもあれば、サービス内容が異なる場合もあります。お住まいの地域でどのようなサービスが提供されているか知りたい方は、自治体窓口または地域包括支援センターに尋ねてみましょう。
対象者
上記4つのデイサービスは誰でも利用できるわけではありません。利用対象となるのは、要支援1・2の認定を受けている方、または「基本チェックリスト」の実施によって該当者と判断された方です。
基本チェックリストとは?
「基本チェックリスト」は、高齢者の生活機能の低下を早期発見し、適切な支援を提供するために使用される評価ツールです。高齢者の身体的、認知的、および社会的な側面を含む25の項目に基づいて質問し、その回答により支援が必要な人々を特定するのに役立ちます。基本チェックリストの判定により支援が必要だと判断された場合、介護予防・日常生活支援総合事業を利用できます。
介護予防・日常生活支援総合事業とは?
総合事業(介護保険法では、「介護予防・日常生活支援総合事業」として定められています。)は、市町村が中心となって、地域の実情に応じて、住民等の多様な主体が参画し、多様なサービスを充実することで、地域の支え合い体制づくりを推進し、要支援者等の方に対する効果的かつ効率的な支援等を可能とすることを目指すものです。
出典:厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業」
下記は厚生労働省が公開している基本チェックリストの見本です。セルフチェックしてみてください。
サービスの利用にかかる料金
介護予防・日常生活支援総合事業で提供されるサービスの利用対象者となった場合、サービスの利用には介護保険が適用されるため、所得に応じて1割〜3割が基本的な自己負担額となります。なお、各サービスの利用料金の詳細については、市町村および提供事業者によって定められています。
まずは自治体窓口や地域包括支援センターに相談を
デイサービスの利用を考えているのであれば、まずは自治体窓口(福祉課など)や地域包括支援センターなど公的機関に相談しましょう。要介護認定の申請が必要かも含めて、アドバイスを受けられます。市町村のホームページなどに情報が掲載されている場合もあるため、チェックしてみるのもおすすめです。
デイサービスの種類
前半では、要介護1〜5の認定を受けていない方でも利用できる可能性があるデイサービスについて解説しましたが、ここからは介護保険が適用される介護サービスとしてのデイサービスに話を戻します。
デイサービスの事業所は身近なところに多数存在しており、一般的なデイサービス以外にも特定のサービスに特化した事業所もあります。
認知症対応型のデイサービス
認知症と診断された人を対象にしたサービスが、認知症対応型のデイサービスです。管理者は認知症対応型サービス事業管理者研修を修了していることは必須となっており、職員は認知症の人に対して専門的な知識や技術をもっています。
なお、利用者の定員は12人以下と決められています。そのために利用者数1人あたりの職員数は多く、手厚い介護を受けられるというメリットがあります。
リハビリ特化型のデイサービス
リハビリを目的としてプログラムを組む、リハビリ特化型デイサービスもあります。作業療法士や理学療法士、言語聴覚士などのリハビリ専門職が常駐していることが多くあり、リハビリ用のマシンが充実しています。
多くのリハビリ特化型デイサービスは、半日などの短時間の利用であり、利用中の食事の提供はないというのが一般的です。
お泊まりデイサービス
利用しているデイサービスに、そのまま宿泊できるものがお泊まりデイサービスです。介護施設に短期間宿泊できるショートステイ(短期入所生活介護)というサービスもありますが、お泊まりデイサービスは通い慣れたデイサービスにそのまま宿泊できるというメリットがあります。
日中のデイサービスは介護保険の適用を受けますが、宿泊部分は介護保険の適用を受けないため、費用は自己負担です。
デイサービスで受けられるサービス
デイサービスでは、入浴や排せつ、食事、そしてレクリエーションなど日常生活の介護サービスが提供されています。そこには、介護士や機能訓練指導員を中心に看護師なども在籍しています。
デイサービスの利用条件
介護保険制度で決められた介護サービスであるデイサービスを利用するには、まずは要介護認定を受け、要介護1から要介護5までのいずれかに認定される必要があります。この際、「自立」や「要支援1・2」と判定された方は介護保険事業によるデイサービスを利用できません。
本記事前半で解説した通り、介護予防・日常生活支援総合事業によって提供されるデイサービス(通称型サービス)は、「自立」や「要支援1・2」と判定された方でも利用できる可能性があります。
要介護1から要介護5までのいずれかに認定された場合、要介護度に応じて受けられるサービスが決まっています。そのためため、ケアマネジャーと呼ばれる介護支援専門員が利用者本人や家族の希望、心身の状態を考慮しながら、ケアプラン(利用者に対する支援の人針や解決すべき課題、提供される介護サービスの目標と内容をまとめた計画書)を作成します。
デイサービスにはさまざまなタイプがあるため、ケアマネジャーと相談しながら事業所を複数見学して本人に合ったデイサービスを選びましょう。利用するデイサービスが決まったら、その施設と契約を結びます。
デイサービスの利用料金
デイサービスの利用料金は利用者本人の要介護度や施設によって異なります。具体的な料金としては、国が定める自己負担額(保険適用内)と、施設が定める諸費用(保険適用外)があり、それらを合計すると1時間あたりでおよそ1,000円〜2,000円ほどに収まるのが一般的です。
なお、介護保険から介護サービスに対して1カ月ごとに給付される金額は、要介護度に応じて上限があります。その上限を超えても介護サービスの利用は可能となりますが、その超過した金額分は全額自己負担となります。
デイサービスを利用するポイント
デイサービス施設は、どこも同じではありません。施設ごとに環境や雰囲気などが異なることがあります。そのため、デイサービスを利用するときには、利用者本人をはじめ、利用者の家族がうまく活用していくため、デイサービスを利用していく上でのポイントを押さえておくことが重要です。
ケアマネジャーとのコミュニケーションをうまく行う
介護サービスの利用においては、ケアマネジャーに相談する場面が多くあります。また入院中の場合には、病院に所属している医療ソーシャルワーカーから適切なデイサービスなどを紹介されることもあります。
デイサービス利用にあたって、何に困っているか、サービスを利用することでどうなりたいかなどの目標を、ケアマネジャーやソーシャルワーカーと積極的に話し合うことが大切です。
送迎代は料金に含まれている
デイサービスでは、自宅とデイサービスがある施設の間をスタッフが送迎してくれますが、その送迎にかかる費用は利用料金に含まれています。デイサービスが自宅の近くにある、または家族が送迎を行うためにデイサービスの送迎を利用しない、という場合には、その分の料金は差し引かれます。
食事代やおやつ代などの料金は別
食事代やおやつ代、レクリエーションの材料代をはじめ、おむつが必要であればおむつ代など、デイサービス代や送迎代などの費用を除いた部分については、別途請求されます。
将来の変更や併用も考える
「デイサービス→デイケア」や「デイケア→デイサービス」への変更はいつでもできます。たとえば、デイケアでリハビリを行っていても生活動作が自立できるように回復してきたら、デイサービスへ移行することも可能です。
要介護1から要介護5に認定されている人であれば、デイサービスとデイケアを併用することも可能です。
施設見学を行う
提供されているサービスの内容や雰囲気は、事業所ごとに特徴があります。利用者本人に適したサービスを選ぶために、候補となるデイサービスが複数あるのであれば、事前に事業所の現場を見学することをおすすめします。
デイサービスは利用者本人が大切な時間を過ごす場所です。事業所の現場を見学して、利用の具体的イメージを持つことが大切です。
デイサービスの利用がおすすめの人
デイサービスを利用するのは、どのような人が向いているのかを紹介します。
家族だけの介護では追いつかない
介護が必要な人が家族と同居していると、家族が介護者となるケースが多くなります。しかし終日での介護は家族の負担も大きいでしょう。そうしたときに日中だけでもデイサービスなどの介護サービスを利用すれば、家族は自分の用事や休息に時間を割けるようになります。
また、介護が必要な人と家族が同居していても、家族が仕事で外出していて、要介護者が日中は1人だけになるような場合にも、デイサービスを利用することで、本人も家族も安心した暮らしが送れます
自宅に閉じこもりがち
1人暮らしの高齢者の場合、自宅に閉じこもりがちになることがあります。しかしデイサービスに定期的に通うことで生活にメリハリが付けられるほか、他者と交流することで社会的孤立感を解消できます。加えて、デイサービスに通うことが、見守りとしての機能にもつながります。
1人で食事や入浴を行うことが難しい
デイサービスでは食事を提供するだけでなく、食事や入浴の介助も行ってくれます。嚥下(飲み込む)機能が低下している人に対しては、食材の形状や状態を飲み込みやすいよう工夫してくれるなど、個人個人に合わせた食事が提供されます。
まとめ:デイサービスを利用する前に、利用条件や対象者を熟知しておこう
デイサービスは日常生活の介護を目的とした生活を支える施設であり、長い時間を過ごす場所です。そのため、要介護本人と相性の良い施設を選ぶことが大切です。デイサービスの特性や提供されるサービスのことをよく理解しながら、利用開始まで準備を進めましょう。
介護業界が抱える課題を「GMOサイン」が解決します!
高齢化社会がますます加速する日本国内において、介護業界は「人手不足」「現場の負担の増大」「地域格差」など、さまざまな課題を抱えています。
電子印鑑GMOサインは、そんな介護業界を「契約」の面で徹底的にサポートします。
GMOサインは国内シェアNo.1(※)の電子契約サービスです。介護サービス提供時には利用者との間で契約を交わします。サービス提供者は契約の確認や署名捺印のために利用者のもとを何度も訪れなければならない、そのようなケースもあるでしょう。また、遠方で暮らす家族の方の同意を得なければいけない場面もあります。
そのような介護における契約時に役立つのが、自宅にいながらでも契約書の確認から署名まで行える電子契約サービスです。利用者の利便性向上はもとより、紙の契約書の廃止によるコスト削減、また契約締結までの時間短縮など、電子契約サービスは今後の介護業界において必須のツールになります。
GMOサインは、電子契約におけるあらゆる基本機能の提供はもちろん、パソコンやスマートフォンを利用しない高齢者のためにタブレット端末を利用した手書きサイン機能も用意しております。さらにGMOサインは、利用者との契約だけでなく、現場で働く方々との雇用契約や業務委託契約にもおすすめです。
まずはお試しフリープランにて、電子契約の一連の流れや操作性をぜひ体感してみてください。
※1 「電子印鑑GMOサイン(OEM商材含む)」を利用した事業者数(企業または個人)。1事業者内のユーザーが複数利用している場合は1カウントとする 。自社調べ(2023年11月)
※2 電子署名およびタイムスタンプが付与された契約の送信数(タイムスタンプのみの契約を除く。電子署名法の電子署名の要件より)。自社調べ(2023年12月)