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残業時間の仕組みとは?トラブル回避のために覚えておくべきこと

 

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プロジェクトの納期が迫っている時や繁忙期など、仕事で残業が必要となるケースは多いです。残業時には残業代が支払われますが、この残業代をめぐっては度々トラブルが起こっています。これは、従業員側と企業側とで残業時間、残業代に関する認識に齟齬が生じていることが原因です。お互いが残業に関して誤解がないよう事前に理解を深めておくことが大切でしょう。

当記事では、残業時間の仕組みについて、概要やトラブル回避のために覚えておくべきこととあわせて紹介します。残業について詳しく理解しておきたい方はぜひ参考にしてください。

目次

残業とは

そもそも残業という言葉がどのような意味を持つのか、あらためて確認していきます。

労働者が会社に勤める際の通常の勤務時間を超えて労働を行うこと一般的に残業と呼ばれています

たとえば、所定労働時間が9時~18時である場合、19時まで業務を行っていれば1時間の残業をしたとみなされます。残業はやむを得ない事情によって行われることが多くなっています。仕事量の多さや締め切りが切迫している、急なトラブル発生などが事情の代表例でしょう。

場合によっては、労働者側の希望で自発的に残業を行うケースもあります。しかし、過度な残業は労働者の心身に悪影響を与えてしまうでしょう。近年では労働条件や労働時間が社会全体で適正化されるように見直しが進んでいます。残業時間に上限を設ける法改正も行われており、労働者が健康的に働けるような職場改善が進んでいます。

就活生は、その会社の残業時間が平均でどの程度なのかを事前に確認しておくことが必要です。さもなければ、入社後に残業の多さで大きなストレスを溜めてしまうかもしれません。事前の企業・業界調査を入念に行い、残業時間についてはある程度把握したうえで就職活動に臨むようにしましょう。

残業の種類

残業には大きく分けて法定内残業時間外労働2種類が存在します。

それぞれの種類によって割増賃金発生の有無などにも違いが出てくるため、仕組みについて理解しておきましょう。

法定内残業

法定内残業とは、文字通り法による規定内で残業を行うことを指します。会社で通常勤務する労働時間は超えますが、労働基準法で定められている法定労働時間は超えることのない残業です。

労働基準法の第36条では、法定労働時間を以下のように定めています。

法定の労働時間、休憩、休日

  • 使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。
  • 使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。
  • 使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。
【引用】https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/index.html

このように、1日8時間、1週間に40時間を超過して労働させてはいけないという定めがあります。
つまり、1日通常6時間勤務の人が8時間の勤務をした場合は2時間の残業がつきますが、この2時間は法定内残業ということになるのです。
法定内残業の場合は原則、会社側が割増賃金を支払う義務はありません。ただ会社毎の就業規則によってはこの限りではないため、支払われる場合もあります。

前述の例の通り、所定労働時間は法定労働時間と必ずしも一致するとは限りません。そのため、残業によって割増賃金が発生しない場合もあるということを覚えておきましょう。会社によっては、法定内残業の場合であっても、従業員のモチベーション向上のために割増賃金を付けるケースも存在します。入社前にその会社の制度についてはよく調べておき、法定内残業の扱いについては把握しておきましょう。

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時間外労働

時間外労働は、法定労働時を超過した残業です。労働基準法により定められた法定労働時間を超えることでこの時間外労働に該当します。たとえば、1日に10時間勤務した場合、8時間を超えた2時間がこの時間外労働に当てはまります。

この時間外労働の勤務には上限が定められており、原則1カ月45時間、1年360時間を超えてはならない労働基準法で定められています。

月20日間勤務で毎日2時間半程度の時間外労働を行っていると、月に45時間という上限はあっという間に超過してしまいます。また、45時間を超過できるのは年間で6カ月までとされているため、企業側も労働者側も時間については正確に管理しておかなければなりません。

そして、業務上の都合で臨時的に特別な事情がある場合でも、時間外労働が年720時間以内、時間外労働+休日労働で月100時間未満、かつ2~6カ月平均で80時間以内にしなければならないと定められています。

この時間外労働の上限規制は、以前法改正しており、大企業は2019年4月から、中小企業は2020年4月から適用されています。ただし、建設業など一部の業種は2024年3月まで適用猶予となっています。

法改正のポイント

✓時間外労働(休日労働は含まず)の上限は、原則として、月45時間・年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければ、これを超えることはできなくなります。

✓臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、

 ・時間外労働・・・年720時間以内

 ・時間外労働+休日労働・・・月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内

とする必要があります。

✓原則である月45時間を超えることができるのは、年6か月までです。

✓法違反の有無は「所定外労働時間」ではなく、「法定外労働時間」の超過時間で判断されます。

✓⼤企業への施⾏は2019年4月ですが、中⼩企業への適⽤は1年猶予され2020年4月となります。

【引用】https://www.mhlw.go.jp/content/000463185.pdf

時間外労働は割増賃金が発生

時間外労働は法定内残業と違い割増賃金、いわゆる残業代が発生します。時間外労働の割増賃金については、労働基準法第37条により25%以上の割増賃金の支払いが義務付けられています。

限度時間を超える時間外労働については、25%を超える割増賃⾦率とするように努めなければなりません。

【引用】https://www.mhlw.go.jp/content/000463185.pdf

また、月60時間を超える場合の時間外労働では50%以上の割増賃金を支払わなければなりません。この規定は、2023年4月より大企業だけではなく中小企業にも適用されているため、経営者は注意が必要です。

残業による割増賃金はそれぞれ25%以上、50%以上となりますが、それ以上の割合で支払うことも可能です。従業員のモチベーション維持のために割増率を引きあがるなど、会社毎にさまざまな施策がなされています。

時間外労働には36協定の締結が必要

時間外労働を従業員に行わせるためには、労働基準法第36条に定められた36協定を締結し届け出る必要があります。

この協定は時間外労働や休日労働を行わせる場合のみ締結する義務があります。そのため、絶対に法定労働時間を超えた労働をさせない、法定休日に労働させないという就業規則が会社にある場合は締結しなくても問題ありません。

時間外労働は、あらかじめ労使間で36協定について協議し、双方が合意したうえで労働基準監督署へ届け出ることにより認められます。

36協定を締結せず時間外労働や休日労働を従業員に行わせた場合は、労働基準法第32条、第35条違反となり、第119条によって会社側に6カ月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられる場合があるため注意が必要です。36協定は、労働者を保護するために作られた制度であるため、絶対に遵守しなければなりません。

フレックスタイム制の場合の残業

最近注目される働き方にフレックスタイム制があります。これは、会社の所定労働時間の中でも、必ず出社しなければならないコアタイムを除けばどの時間帯でも出社してよいという制度です。

従業員がプライベートを充実させて理想のワークライフバランスを叶えるためにも効果的とされる仕事形態です。

フレックスタイム制では、仕事の進捗状況などに応じてコアタイム前後の時間を自由に調整して、プライベートの用事を済ませてから朝はゆっくりと出社することが可能です。逆に夕方早めに上がってプライベートの時間を多めに確保するといったことも可能になります。

ただし、フレックスタイム制の場合は、残業時間の定義も通常とは異なるため注意しておきましょう。

フレックスタイム制の場合、法定労働時間の総枠を超えた時間が時間外労働として扱われます。たとえば、対象期間が1カ月で31日の月における法定労働時間の総枠は177.1時間となります。これを超えた部分が時間外労働となるわけです。

また、フレックスタイム制では導入する期間として清算期間を定めますが、この清算期間によっても時間外労働の定義が変わります。精算期間が1カ月である場合は、実働時間-法定労働時間の総枠の計算で、時間外労働の時間が割り出されます。しかし、精算期間が1カ月を超え3カ月以内の場合は、「 1カ月の週平均勤務時間が50時間を超過した労働時間」「清算期間中に法定労働時間の総枠を超過して労働した時間」が時間外労働としてすべてカウントされることに注意が必要です。

フレックスタイム制の労働時間の管理は複雑なため、労使双方が注意しておかなければなりません。特に時間外労働に該当する時間があるかどうかの管理は徹底しておきましょう。

裁量労働制の場合の残業

フレックスタイム制の他にも、勤務における自由度を高める制度として裁量労働制を取り入れている会社もあります。これはいわゆるみなし労働という形態をとる働き方であり、実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ契約で取り決めた労働時間働いたこととみなす仕組みです。

たとえば、契約上みなし労働時間が8時間と設定されている場合、実働時間が半分の4時間であったとしても、8時間勤務の扱いとなり賃金も8時間働いた分で計算されて発生します。これは実働時間が短い場合は労働者側に有利となりますが、逆に実働時間が10時間であった場合でも8時間勤務となります。

裁量労働制の場合は、1日の法定労働時間である8時間を超過したらそれ以降はすべて時間外労働の扱いになることを覚えておきましょう。

6時間のみなし労働で8時間の実働時間であった場合は時間外労働ではありません。しかし、9時間の実働時間であった場合は1時間が時間外労働となるわけです。裁量労働制の場合は、法定労働時間を超えているかどうかで時間外労働を判断しましょう。裁量労働制は近年、企業側が優秀な人材を集めるためや、労働者がストレスなく仕事ができる環境を整えることなどを目的として導入されています。

みなし労働時間の導入は、人件費を管理しやすくなるなどのメリットがあります。一方で、従業員の負担が増加する場合があるなどのデメリットもあるため、導入は慎重に検討する必要があるでしょう。

残業時間の管理は電子ツールで効率化

従業員が多い会社では、残業時間の管理が複雑になるケースも少なくありません。フレックスタイム制や裁量労働制を取っており、従業員毎に管理が異なる場合は尚更です。残業時間の計上ミスや管理不足による賃金の支払いミスを防止するためにも、従来のアナログではなくデジタル上で管理することをおすすめします。

最近では勤怠管理ツールも数多く販売されており、利用することで従業員の勤怠状況を一元管理できるようになっています。また、毎日の労働時間の記録も容易であるため、従業員側の負担も減り時短による業務効率化にもつながります

ランニングコストがかかるものも多いですが、それ以上のメリットを受けられるため、積極的に導入を検討してみましょう。

残業時間の仕組みは企業も従業員も理解が必要

残業は、その定義について理解しておかないと給与面でのトラブルにもつながりかねません。

こうした問題を防ぐためには会社側が就業規則に明記することはもちろん、従業員側も仕組みについて正しく理解しておくことが必要になります。残業代の出る・出ないで揉めることがないように、正しい知識を身につけたうえで管理するようにしましょう。

企業側は従業員を保護するためにも、上限時間を超えないように残業を管理しなければなりません。違反すれば罰せられる恐れもあるため注意しておきましょう。また、残業時間の管理は従業員数の増加にともなって、困難さも増していき、効率も落ちてしまいがちです。そのような時は、電子上の勤怠管理ツールを導入することで問題を解消できるため、積極的に導入しましょう。

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この記事を書いた人

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