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テレビやラジオ、パソコンといったさまざまなメディアの中で、多くの人がもっとも長い時間接しているのがスマートフォンです。スマートフォンアプリを使っていると、気づけば時間があっという間に過ぎていると感じたことがある方も多いでしょう。そんなスマートフォンアプリ内には広告が頻繁に表示され、ときには思わずクリックしてしまった経験がある方も少なくないでしょう。
本記事では、スマートフォンアプリに表示される広告、つまり「アプリ広告」について、その概要や種類、なぜ注目されているのか、そして効果的な活用方法まで詳しく解説します。企業でマーケティングや広告運用を担当されている方は、ぜひ参考にしてください。
アプリ広告とは、主にスマートフォンやタブレットのアプリ内に表示される広告のことを指します。広義的には、パソコンのアプリに表示される広告もアプリ広告に含まれます。
近年、インターネット広告費の需要が年々拡大していく中で、アプリ広告はとくに大きな注目を集めています。その背景として考えられる主要な要因は、アプリ利用時間の増加にあります。
フラー株式会社が発表した「アプリ市場白書2023」によると、2023年の1日におけるアプリ利用時間は5時間で、前年から10分増加しました。また、1日のアプリ起動回数は121回に達し、ユーザーが頻繁にアプリを利用していることがわかります。
さらに、1カ月で利用するアプリの個数は前年から6個増えて47個であり、特定のアプリに偏ることなく幅広いアプリが利用されていることが示されています。この調査結果から、アプリ広告を出稿することで多くのユーザーの目に留まる可能性が高まっていると予測されます。
アプリ広告が注目されるもう一つの要因として、ほかのインターネット広告に比べ歴史が浅い点が挙げられます。
スマートフォンの普及率が高まり始めたのは2011年ごろで、パソコンの利用率を超えたのは2017年です。このため、ほかのインターネット広告に比べ競合が少なく、低コストで始められることもアプリ広告が注目される理由の一つといえます。
アプリ広告の配信形式は「運用型」、「純広告型」、「ネットワーク型」の3つに分類されます。ここではそれぞれの特徴について解説します。
運用型広告とは、広告主が自らターゲットを選定し、特定のアプリ運営会社を通じて広告を配信する形式です。ターゲットが明確な場合、効率的かつ効果的に広告を配信することができます。ただし、ターゲットの選定やアプリ運営会社の選定など、すべてを自身で管理する必要があるため、時間と手間がかかる点には注意が必要です。
最近では、AIを活用して自動でターゲット設定を行うタイプも存在しますが、精度が必ずしも高いとは限らないため、確認の手間がかかる場合もあります。
純広告型広告とは、広告主がアプリ運営会社から特定のメディアの広告枠を購入して配信する形式です。通常、1カ月や1年といった期間を設定し、その期間内に広告が配信されます。
純広告型は3つの配信形式の中で唯一、ターゲット設定を必要としない形式です。そのため、広告主が意図していない層にも広告が配信されることがあります。この形式は、商品やサービスの認知度を拡大することを目的とした広告に適しています。
ネットワーク型広告とは、広告配信プラットフォームが形成するネットワークを活用して配信する形式です。広告主はターゲットを設定し、その設定に基づいて広告配信プラットフォームが最適なアプリに広告を配信します。
この形式でもAIによる自動ターゲット設定が可能で、一般的に運用型よりも精度が高いとされています。ネットワーク型広告を利用する際は、自動設定機能を試してみるのも一案です。
アプリ広告の主な課金形態は「クリック型」、「期間契約型」、「インプレッション型」、「成果報酬型」の4つに分かれます。それぞれ特有の特徴があるため、自社の商品やサービスと相性の良い形態を選びましょう。
クリック型広告は、ユーザーが広告をクリックした際に課金される形態です。低コストで興味を持ったユーザーを自社サイトに誘導するのに適しています。
ただし、誤クリックを誘発する表示設定がある場合もあり、これが無駄なコストを引き起こすこともあります。加えて、ユーザーの不快感を招く可能性もあるため、導入時には慎重な検討が必要です。
期間契約型広告は、クリック数や表示回数、成果に関わらず、特定の期間によってコストが決定する形態です。あらかじめ費用が固定されているため、予算の管理がしやすく、不意にコストが高騰するリスクを回避できます。しかし、クリックがまったくなくても料金が発生する点には注意が必要です。この形式は、ブランドの認知拡大を目的とした広告に適しています。
インプレッション型広告は、広告の表示回数によって課金される形態です。課金額は広告の種類によって異なりますが、表示するだけで課金されるため、単価は一般的に安価です。
自社サイトへの誘導が主目的ではない場合や、ブランドの認知拡大を目指す場合に適した形態といえます。
成果報酬型広告は、ユーザーが広告主の商品を購入する、アプリやソフトをダウンロードするなど、具体的な成果が上がった際に課金される形態です。
表示やクリックのみでは課金されないものの、成果が上がった際の課金額はほかの形態と比べて高くなります。
アプリ広告にはさまざまな種類があり、ここでは代表的な6つの種類を紹介します。それぞれの特徴を見ていきましょう。
バナー型広告とは、主に横長のバナー形式で表示されるタイプの広告です。Webサイトでもよく見られる形式であり、ユーザーに広告として認識されやすい点が特徴といえます。
認知拡大に向いており、アプリの利用を邪魔せずに興味を引くデザインや内容にすることが、効果を上げるポイントです。
アイコン型広告は、アプリのアイコンのように小さな形の広告です。そのため、キャッチコピーや詳細な広告文は入れられません。一見して広告とはわからないため、認知拡大よりも特定のアクション(たとえばアプリのインストール)を促す目的に適しています。ただし、見た目が広告っぽくないことから誤クリックの可能性も高くなります。成果報酬型の課金形態に向いています。
インフィード型広告は、XやFacebookなどのSNSでよく使われる形式です。ユーザーの投稿と同じ形式で表示されるため、違和感なくユーザーに受け入れられやすいのが特徴です。表示スペースが大きく、商品の特徴をしっかりと伝えられるため、クリック率やコンバージョン率が高くなる傾向にあります。
商品購入や資料請求などの具体的なアクションを促すのに適しています。
オファーウォール型広告とは、アプリ内に設置された「おすすめ」や「ほかのアプリ」などのリンクをユーザーがクリックすると、複数のおすすめアプリの一覧が表示される広告形式です。
一覧表示の段階ではまだアプリのダウンロードは行われません。そのため、従来の広告というよりも、ユーザーに「どんなおもしろいアプリがあるだろう」というワクワク感を与えられる点が、この広告形式の大きな魅力です。
動画リワード広告は、動画を最後まで視聴することでアプリ内の特典を得られるタイプの広告です。
たとえば「マンガアプリで動画を視聴すると一話無料で読める」や「ゲームアプリで動画視聴後に特別なアイテムが手に入る」といったものがあります。
この広告形式は、ユーザーが自ら選んで視聴するため、押し付けがましさが少なく、アプリ利用者から悪印象を持たれにくいのが大きな利点です。また、明確な見返りがあるため、ユーザーの広告視聴モチベーションも高くなります。
全画面インタースティシャル型広告は、アプリの立ち上げや画面遷移時に全画面で表示される広告です。
ユーザーに強いインパクトを与える一方で、頻度が高すぎるとユーザーの不満を招くリスクもあります。適度な利用が求められます。
アプリ広告を出稿するには、出稿先の選択も重要なポイントです。ここでは、アプリ広告を運用する際の主な出稿先を紹介します。
Googleは、ネットワーク型アプリ広告を提供しています。主にバナー広告と全画面インタースティシャル広告の配信が可能です。検索広告と同じように細かい設定は自動で最適化されるため、初心者でも比較的容易に広告配信を行えます。
Yahoo!が提供しているのもGoogle同様、ネットワーク型アプリ広告で、Yahoo!が運営するさまざまなコンテンツへの広告配信が可能です。細かいターゲティングもできることから、明確なターゲットが設定できている場合におすすめといえます。
Xでは、アプリ内のタイムライン上のほか、プロフィールや検索結果、ポストの詳細ページなどにも広告を配信できます。また、タイムライン上に表示された広告はリポストも可能であり、拡散性が高いのも特徴の一つです。
Facebookはニュースフィード上のほか、Instagramにも広告配信できるのが大きな特徴です。ターゲットを分けた広告を作成すれば、高い成果も期待できます。
また、Facebookは実名制のため、地域や年齢、性別以外にも職業や学歴など詳細なターゲティングも可能です。
TikTokでは、ハッシュタグや起動画面、おすすめ投稿で広告を配信できます。全画面を使った動画でアピールできるため、ユーザーに強いインパクトを与えられるのが大きな特徴です。
LINEでは、トークの最上部やタイムライン、LINEニュース、ウォレット、マンガなどで広告を配信できます。2024年3月時点で9,700万人のユーザーに広告を配信できるのが最大の特徴です。また、LINEは1日に何度も閲覧するユーザーの多いアプリのため、広告を見てもらえる確率も高まります。
利用者が多く注目を集めているアプリ広告ですが、出稿するだけで必ずしも成果が出るわけではありません。ここでは、アプリ広告を成功に導くために欠かせない3つのポイントを解説します。
アプリの種類によって利用するユーザー層は大きく異なります。そのため、ターゲットを明確にしないと、自社の商品やサービスに興味を持つユーザーに広告が届きません。広告配信を決定したら、まずはターゲティングを行い、明確なターゲットを設定しましょう。
とくに購入やダウンロードを目的とする広告を配信する際には、広告自体に注力する以上に、クリック後に表示されるランディングページ(LP)をしっかりと作り込むことが重要です。アプリ広告だけでは商品の魅力をすべて伝えるのは難しいため、ランディングページでユーザーにわかりやすく必要性を感じてもらうことが必要です。
アプリ広告だけでは成果が上がらない場合、ほかの広告手法とも組み合わせることを検討しましょう。たとえば、アプリ広告は一度インストールされたアプリをしばらく利用していないユーザーに対して再度広告を表示するリターゲティングが難しい傾向にあります。そのため、ランディングページにリターゲティングの設定を組み込み、再訪を促す施策もおすすめです。
スマートフォン利用者の増加に伴い、アプリ広告の注目も高まっています。アプリ広告は、スマートフォンやタブレットでアプリを利用する際に表示される広告です。ユーザーの行動履歴や興味関心に基づいてターゲティングを行うことで、高い成果を上げる可能性があります。
しかし、いくつかの注意点も存在します。たとえば、自社の商品やサービスと親和性の高いアプリを選定することが重要です。また、広告クリック後に表示されるランディングページ(LP)をわかりやすく作成し、ユーザーにとって有益な情報を提供することも欠かせません。さらに、アプリ広告だけに頼るのではなく、複数の広告手法を組み合わせることで、より高い成果を期待できるでしょう。
自社の商品やサービスの宣伝方法に悩んでいるマーケティングや広告運用担当者の方は、アプリ広告を選択肢の一つとして検討することをおすすめします。
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