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派遣契約を更新しない場合に企業側はどう対処すればいい?トラブル防止のポイントも解説

 

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派遣会社を利用している企業は、契約期間満了時に契約を更新せず終了させたい場合もあるでしょう。派遣は有期雇用のため、比較的かんたんに雇用関係を終了できるのが企業にとってのメリットの1つです。派遣元企業も、派遣先企業から契約更新せずに終了させたいと打診されることがあるでしょう。

ただし、派遣契約を更新しない場合には、適切に対処して手続きを踏む必要があります。対応の仕方が間違っていると、違法になってしまうこともあるため注意が必要です。本記事では、派遣契約を更新しない場合に、派遣元企業と派遣先企業の双方がどのような対応をすべきなのか解説します。

目次

派遣契約更新の基本的なルール

派遣契約を更新しないという選択肢を採る場合には、派遣契約更新に関する基本的なルールを確認しておく必要があります。

派遣の契約関係

派遣という働き方は、正社員やパート、アルバイトなどと比べて契約関係が特殊です。派遣社員は実際に働いている職場(派遣先)とは雇用関係にはなく、派遣元企業とのみ雇用契約を締結しています

一方で、派遣元である派遣会社は、派遣先と派遣契約を締結しています。派遣先から派遣元へ派遣料金が支払われ、その一部が派遣社員の給料になる仕組みです。人事労務に関する手続きなどは、基本的に派遣元企業が行います。使用者としての責任を負うのも派遣元企業です。

派遣社員へ事前の意思確認が必要

派遣契約は一般的に3カ月程度の期間を設けて締結されます。契約期間を超えて働いてもらいたい場合には、契約満了時に更新手続きを行います。

この契約更新は、使用者側と労働者側が契約を終了させることもできるタイミングです。使用者と労働者の双方が更新を希望すれば、契約は更新される仕組みです。そのため、派遣先から更新の意向が派遣元企業に通知された場合、派遣元企業は派遣社員に対して更新の意思確認を行います。意思確認をせずに契約を更新することはできません。

多くの場合、派遣社員も更新を希望しているため、更新手続きはスムーズに進行する傾向があります。

派遣契約を更新しない場合に派遣先企業が行うべき対応

派遣先企業が派遣契約を更新せずに契約期間満了をもって終了させたい場合には、何をすればいいのか見ていきましょう。

派遣元へ告知する

派遣契約は更新されることが大半のため、派遣元企業も更新を前提に考えていることが多いです。そのため、更新しない場合は、派遣元企業へ前もって告知しておく必要があります。

派遣元企業は、更新しないことが明らかになった時点で対応すべき事項があるため、できるだけ早めに通知するのが望ましいです。目安として、遅くても1カ月前、できれば数カ月前には通知するようにしましょう。

派遣社員の評価を報告

派遣元企業に対して、派遣社員の評価の報告を求められることがあります。主に、派遣社員のスキルや働きぶりなどに関する内容です。正直に評価を行って問題ありません。スキル不足だと感じたり、働きぶりが良くないと感じたりした場合には、具体的な内容などを含めたうえで報告しましょう。

また、スキルが十分に高かったり働きぶりも良かったりした場合にも、評価が重要です。派遣社員本人には非がないということが伝わります。

派遣契約を更新しない場合に派遣元企業が行うべき対応

派遣契約を更新しない場合に、派遣元企業ではどのように対処すればいいのか見ていきましょう。

派遣社員へ予告を行う

派遣先企業から派遣契約を更新しない旨の通知を受けたら、派遣社員に対して予告する必要があります。派遣元企業は派遣社員に対して法律上の使用者の立場であるため、予告の重要度は高いです。また、契約の更新回数や継続期間などにより、扱いが異なります。

これまでの契約更新が2回以下で、なおかつ継続期間が1年以下の場合には、予告を行う時期に基準は設けられていません。それでも、契約更新ギリギリになってから伝えるのではなく、できる限り早めに伝えておくのが望ましいです。

これまでの契約更新が3回以上または1年を超えて継続している場合には、予告を行う時期に基準が設けられています。現在の契約の期間が満了する30日前までは、予告を済ませておかなければなりません

参考:厚生労働省『「派遣会社の事業所の皆様へ」 ~派遣契約の中途解除に伴い派遣労働者を安易に解雇しないでください

契約更新をしない理由を明示する

派遣契約を更新しない場合には理由を明示する必要があります。派遣先企業から受け取った評価を元に理由を説明しましょう。

新しい派遣先を探す

派遣社員が、引き続き派遣の仕事を続けたい場合には、新しい派遣先を紹介しましょう。次の派遣先が比較的早い段階で見つかれば、派遣社員にとっても大きな不満にはつながりにくいです。

派遣契約を更新しない場合の注意点

派遣契約を更新しない場合には、次のような点で注意が必要です。

派遣社員が同じ職場で働けるのは3年まで

2015年の労働者派遣法の改正以降は、派遣社員が同じ職場で3年以上継続して働くことができなくなりました。3年ルールと呼ばれているもので、2015年の労働者派遣法改正以前までは、一部の専門業種に限定されていた規定ですが、現在ではすべての業種で適用されています。

ただし、同じ企業で3年以上継続して働いてはいけないわけではありません。部署が別であれば別の職場として扱われるため、部署異動すれば3年以上継続して働くことが可能です。この場合、業務内容は以前と変更されていなければならないため注意しましょう。部署を異動しただけで同じ業務内容だと違法として扱われる可能性があります。

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自動更新は禁止されている

派遣契約は、何もなければ更新されることが多いのですが、自動更新は禁止されています。更新の都度、確認しなければなりません。自動更新の禁止がトラブルの防止にもつながっています。

派遣契約を更新しないのが難しい場合もある

労働契約法第19条には、雇い止め法理に関して規定されています。

(有期労働契約の更新等)

第十九条有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。

一当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。

二当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。

出典:労働契約法 | e-Gov法令検索

期間に定めのある雇用契約を継続して更新しながら長期間働いている労働者を保護する趣旨の規定です。これまで反復継続して契約が更新されていた場合には、契約更新しないことが、無期限の雇用契約における解雇と同一として扱われます。

こうした状況のもとで、契約更新を期待する場合に合理的な理由が認められれば、派遣契約を更新しないという選択ができません。

ただし、あくまで派遣社員が契約更新を希望している場合に限られます。派遣社員本人も契約更新を希望していなければ、更新せずに終了されても問題ありません。

自己都合退職になるのかそれとも会社都合退職になるのか

派遣先企業の事情で、派遣契約を更新せずに派遣社員が退職した場合には、会社都合退職として扱われます。一方、派遣社員の方から、契約更新を希望しない旨の告知をしてきた場合は、自己都合退職です。

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トラブル防止のための対処法

派遣契約を更新しない場合には、派遣社員は失業してしまうため、トラブルになるケースもあります。では、トラブルを防止するためには、何をすべきなのか見ていきましょう。

契約書に不更新条項を設けておく

不更新条項というのは、契約の更新をしないことをあらかじめ契約内容に盛り込んで明示しておくことです。不更新条項があれば、派遣社員は次回の契約の更新はないものだと、最初からわかったうえで働くことが可能となります。そのため、契約期間の満了が近づいてから、トラブルになるリスクを低減させることができるでしょう。

ただし、不更新条項を設けること自体が派遣労働からの理解を得られない可能性もあります。すでに何度か契約を更新している場合には、不更新条項を後から設けるのは難しいかもしれません。契約を更新しない場合の条件なども盛り込んだうえで、最初から設けておくのが望ましいと考えてください。景気の動向や派遣先の業績などを条件として明示しておけば、大半の派遣社員は納得してくれるでしょう。

雇い止め理由の証明書を発行する

雇い止め理由の証明書は、派遣契約を更新しない理由について記載する書類です。派遣契約を更新しない場合に、派遣労働者から請求されたら派遣元企業は雇い止め理由の証明書を作成して交付しなければなりません。

また、契約期間の満了以外の理由を記載する必要があります。たとえば、初回の契約から更新回数の上限を設定していたことや派遣先の業務縮小、派遣先の業績悪化などです。

「業務遂行能力が不十分」や「無断欠勤をしたため」なども、理由として記載できます。

雇い止め理由の証明書を交付すると、派遣社員もある程度は納得してくれることが多いです。

契約更新をしなかった派遣社員を再雇用した場合の扱い

派遣先企業の業績が悪化するなどして契約更新をしなかった場合でも、後に状況が変化することもあるでしょう。業績が盛り返してきて、再び派遣社員が必要になったら、以前に働いていた派遣社員の再雇用も可能です。再雇用した場合には、原則として3年ルールもリセットされます。

ただし、派遣契約の更新をせず終了させてすぐに新たに派遣契約を締結した場合にはリセットされません。リセットされるためには前の契約が終了してから、3カ月超(3カ月間と1日以上)空ける必要があり、この期間はクーリング期間と呼ばれています。

また、3カ月経過したからといって、それで問題がなくなるわけではありません。3年ルールの回避が目的で3カ月後に再雇用していると判断されると、行政指導の対象になってしまう可能性があります。

まとめ:契約更新のルールを理解しトラブル回避の対策を講じておこう

派遣先で更新しない場合、派遣元に告知しなければなりません。告知を受けた派遣元から派遣社員に対して更新しない旨の予告が行われます。これまでの1年以上継続しているか3回以上更新している場合には、この予告は30日前までに行わなければなりません。

契約の更新を巡ってトラブルに発展してしまうリスクもあるため、不更新条項を設けるなどしておく必要があります。また、雇い止め理由の証明書をすぐに発行できるようにしておきましょう。

派遣契約更新に関するルールを守り、更新しない場合のこともあらかじめ想定しておくことが大切です。

 

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この記事を書いた人

GMOサインが運営する公式ブログ「GMOサインブログ」の編集部です。
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