土地を所有している人の中には、自身の土地を有効活用したいと考えている人もいるでしょう。マンションやアパートなどを建てて、賃貸利用すれば定期的な家賃収入が得ることができます。また土地の立地や面積によっては、建物を建設する以外にも、さまざまな活用方法が可能です。

ただ、土地活用について相談する際に、どこに、または誰に相談すればいいのかよくわからない人もいるのではないでしょうか。土地活用の相談を受け付けているところは多くありますが、相談先によって知識や提案力に差があります。土地活用で失敗しないためには、相談先選びが重要です。

本記事では、土地活用の相談先の選び方や相談するときのコツについて解説します。

土地活用の主な方法

土地活用の方法としては、主に次のようなものが挙げられます。

賃貸利用

土地にマンションやアパートなどを建設して、賃貸物件として利用する方法です。使用していない土地を所有している人であれば、一度は検討したことがある人も多いでしょう。

マンションやアパートを建設するのには多額の初期費用がかかりますが、融資を受け家賃収入で返済していくケースが多いです。ただ、空室ができてしまうこともあるため、想定される家賃収入が得られるとは限りません。

駐車場

駐車場には、月極駐車場とコインパーキングの2種類があります。月極駐車場は、利用者と事前に契約を結び、月単位で駐車場代を受け取る形式です。一方、コインパーキングは、不特定多数の利用者が時間単位で料金を支払い、駐車場を利用します。

どちらの駐車場も、コンクリートで舗装しタイヤ止めを設置する程度の工事で設置可能です。コインパーキングでは専用の機械が必要ですが、賃貸物件の運用と比較すると初期費用が低く抑えられます。

トランクルーム

トランクルームは、物を保管するためのスペースです。利用者に一定期間貸し出して料金を受け取ります。建物を建設する必要があるため、初期費用がかかります。また、トランクルーム内の温度や湿度を管理するための運営費用も必要です。

コインランドリー

コインランドリーは、専用の洗濯機を設置する建物を建てることで運営できます。軌道に乗れば安定した収入を期待できる点がメリットです。ただし、賃貸物件やトランクルームと同様に初期費用がかかります。

借地

土地を借地として活用する場合、土地をそのまま他人に貸して地代を受け取ることが可能です。基本的に長期契約を結ぶため、安定した地代収入を得られることが魅力といえるでしょう。ただし、借地では借主が建物を建てて利用でき、その際には借地権が設定され、長期間にわたり土地を貸す必要があります。専門家に相談の上で慎重に決定する必要があります。

太陽光発電

太陽光発電システムを設置し、発電した電力を売却して収益を得る方法もあります。初期費用はかかりますが、安定した収益を見込める土地活用方法です。ただし、どのような土地でも太陽光発電ができるわけではありません。太陽光発電には相応の土地面積が必要で、周辺に大きな建物があると十分に日光が当たらず、発電ができない場合もあります。

売却

使用していない土地を売却するのも一つの方法です。他の土地活用方法とは異なり、定期的な収益は得られなくなりますが、一度にまとまった金額を手に入れることができます。賃貸物件として活用しようとした際に、軌道に乗せてうまく収益を得る自信がない場合は、売却という選択肢を考えてみても良いかもしれません。

土地活用の相談先候補

土地活用に関する相談は、以下のような場所で受け付けています。

不動産会社

不動産会社の中でも、不動産仲介会社は土地や建物の売買や賃貸の仲介を行っています。土地活用について相談する際には、多くの人がまずこの選択肢を考えるでしょう。また、不動産管理会社は賃貸物件の管理運営を担当しており、土地活用を計画する際に管理を依頼する可能性があるため、相談先として考えられます。

さらに、コンサルティング業務を提供している不動産会社もあります。土地活用方法について基本から相談したい場合には、不動産会社への相談が無難です。

ハウスメーカー

ハウスメーカーは、一戸建て住宅や集合住宅の建設を行っています。所有する土地にマンションやアパートを建設し、賃貸利用を検討している場合は、ハウスメーカーに相談するのが良いでしょう。建設費用や賃貸利用時の収益の想定利回りについて詳しく知ることができます。

工務店

工務店は住宅などの建築を行う会社で、ハウスメーカーと異なり地域に密着した会社が多い傾向にあります。また、自由度が高く、リフォームやリノベーションなども依頼可能です。未使用の土地にマンションやアパートを建設して賃貸することを考えている場合は、工務店も相談先として検討できます。ハウスメーカーに対応してもらいにくい内容も、工務店なら対応できることがあります。

特定の利用方法に適した専門会社

駐車場、コインランドリー、トランクルーム、太陽光発電など、具体的な活用方法が決まっている場合は、その用途に適した専門会社に相談するのがおすすめです。専門会社は豊富なノウハウと情報を持っており、希望する用途での活用が可能か、見込まれる収益についても具体的に教えてくれます。

弁護士・司法書士

土地活用には法的な問題が絡むことがあります。たとえば、借地活用を考えている場合、どのくらいの期間他の用途に使えなくなるか気になることもあります。また、土地の立地によっては用途が制限される場合もあります。弁護士や司法書士に相談すると、こうした法的な悩みや疑問を解決できるでしょう。

土地に関する相続問題についても、弁護士や司法書士に相談可能です。

市役所（区役所・町村役場）

市役所や区役所、町村役場では、土地活用に関する相談を受け付けていることがあります。空き家対策として相談を受け付けているケースもあるため、まずは市役所などに確認してみましょう。

自治体によっては、相談だけでなく補助金制度を実施していることがあります。補助金制度は申請が必要であるため、住んでいる自治体の制度を確認することをおすすめします。

ただし、自治体によっては補助金が提供されていない場合や相談を受け付ける体制に差があることもありますので、ご注意ください。

土地活用に関わるお金の相談先

土地活用の方法によっては、多額の初期費用がかかることもあります。初期費用を一括で支払うのが難しく、ローンを検討している方もいるでしょう。また、税金について気になることがある方もいるかもしれません。

お金に関する相談がある場合は、適切な専門家に問い合わせてみましょう。

ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナーはお金の専門家であり、土地活用の資金計画などについても相談できます。ローンを利用する際のリスクや、初期費用を何年で回収できるかの見込みなど、具体的なアドバイスをもらえます。土地活用とあわせて、ライフプラン全体について相談するのも良いでしょう。

不動産会社やハウスメーカーの中には、ファイナンシャルプランナーの資格を持つ社員がいることもあります。

銀行

土地活用でローン利用を検討している場合には、銀行に相談してみましょう。銀行によっては、土地活用の方法と融資について一緒に相談できるところもあります。

税理士

固定資産税などは土地の用途によって異なります。土地活用で得られる収益にも税金がかかるため、税金について気になる場合は、税理士に相談するのがおすすめです。具体的な土地活用方法を踏まえて相談すると良いでしょう。

土地活用の相談先を選ぶ際のポイント

土地活用の相談先を選ぶ際には、次のポイントを考慮しましょう。

十分な実績があるか

土地活用に関する十分な実績がないと、適切な提案ができません。相談先を選ぶ際は、その業者の実績を確認しておきましょう。

担当者の性格や人柄が自分と合うか

相談先の担当者とは複数回会うことになります。長く付き合うことになるため、性格や人柄が合うかどうかも重要です。たとえ優秀な担当者であっても、性格が合わないとストレスを感じることがあります。

長期的な収益が見込めるか

土地活用は長期的に収益を上げることが重要です。相談先で作成された収支計画のシミュレーションをもとに、長期的に実現可能かを確認しましょう。たとえば、アパートやマンションは、新築当初は入居者が見つかりやすいですが、年月が経つと空室率が上がることもあります。このような変化を考慮したシミュレーションを提供してくれる相談先なら安心です。

複数の業者に相談する

一箇所の提案だけでは妥当性の判断が難しいです。複数の業者に相談し、異なる提案を比較することで、収支計画の正当性を判断しやすくなります。

土地活用の相談をするときのコツ

良い相談先を見つけても、相談の仕方が悪ければ最適な提案を得られない可能性があります。最適な提案を得るためには、次のコツを押さえておきましょう。

土地に関する資料を用意しておく

土地の詳細情報が不足していると、具体的な提案が難しくなります。まずは土地の面積や形状、場所などを詳しくわかる資料を用意しておきましょう。登記簿謄本や測量図なども準備しておくと、スムーズに話が進みます。

要望や優先順位を説明できるようにしておく

自分の要望や重視したい点を整理し、説明できるようにしておきましょう。たとえば、初期費用を抑えたい場合や収益の安定性を重視したい場合などです。複数の要望がある場合は、優先順位も考えておくと良いでしょう。

相談料金の有無や金額を確認する

無料で相談を受け付けているところもありますが、料金がかかる場合もあります。事前に料金の有無や金額を確認しておきましょう。多くの不動産会社やハウスメーカーは無料で相談を受けてくれますが、税理士やファイナンシャルプランナーの場合、料金が発生することがあります。

まとめ：土地活用の相談先は慎重に選びましょう

土地活用の方法は多岐にわたり、不動産会社やハウスメーカー、工務店、市役所などに相談できます。太陽光発電や駐車場など、用途が決まっている場合は専門会社にも相談可能です。お金に関する相談は、税理士やファイナンシャルプランナーが適しています。専門家に相談することで、最適な活用方法の提案や収支計画のシミュレーション作成などを受けられます。

相談できる先は多いので、選び方が重要です。これまでの実績や担当者の人柄を確認し、複数の業者から提案内容を比較すると安心です。土地活用の成否は将来のライフプランにも影響するため、慎重に決定しましょう。