注文住宅で自分の理想を形にしたい場合、内装や外観だけでなく、外構のデザインにも注意を払う必要があります。どんなに外観が理想どおりでも、外構のデザインが適当では全体の印象が損なわれてしまいます。

本記事では、カーポートや玄関アプローチ、門周りなどの外構、いわゆるエクステリアに関する工事費用についてご紹介。費用を抑えながらもこだわりのある住宅を作りたい、自分好みの外構を実現したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

外構工事の種類と費用相場

外構は3つのタイプに大別され、その中から自分の理想に合ったデザインを検討するのが一般的です。ここでは、3つのタイプのそれぞれの特徴と費用相場について解説します。

オープンタイプ

オープンタイプは、住宅と道路の境界を塀やフェンスで囲わないタイプです。道路側から見て遮るものがなく自然光も取り入れやすくなるため、明るく開放的なイメージを演出できます。

また、塀やフェンスを設置する必要がないため、コストを抑えることも可能です。カーポートや玄関アプローチにどれだけ予算をかけるかによっても異なるものの、50～150万円程度の費用で外構工事を行えます。

そのほかにも、周囲から玄関が見えやすくなることで、不審者の侵入防止にもつながるのがオープンタイプのメリットです。ただし、周囲の環境によっては、逆にセキュリティ面でリスクにつながる場合もあります。

クローズドタイプ

クローズドタイプは、オープンタイプと逆で、住宅と道路の境界を塀やフェンスで囲むタイプです。古くからある日本建築に多く、外部からの視線を防ぎ、プライバシーを確保できるのがメリットとなります。

しかし、一方で玄関周りや1階部分に自然光が入りにくくなり、室内が暗く閉鎖的な印象になりがちです。また、塀やフェンスを設置するため、コストも200～300万円近くかかってしまう可能性があります。

セミクローズドタイプ

セミクローズドタイプは、オープンタイプとクローズドタイプの中間に位置するタイプで、低い塀やフェンスを設置するか、一部の区画だけに塀やフェンスを設ける方法です。プライバシーを守りたい部分のみ塀やフェンスを設置すれば、開放的なイメージを出しつつ、プライバシーも確保できます。

また、クローズドタイプに比べれば、コストも抑えられ、150～250万円程度で外構工事を行えるのもメリットの一つです。ただし、オープンやクローズドタイプと比較するとデザインの難易度が高くなることがあります。

【項目別】外構工事の費用相場

ひと口に外構工事といってもさまざまな項目があり、何を選択し、何を重視するかによってかかる費用も大きく異なります。ここでは、項目別の費用相場について見てみましょう。

塀・フェンス

堀・フェンスの費用は、住宅の外周サイズ、使用する素材、外周デザイン（クローズドかセミクローズドか）によって大きく異なります。一般的には、コンクリートの塀は50～100万円、フェンス（アルミ、樹脂、木材など）は40～60万円程度が相場です。

駐車スペース・カーポート

駐車スペースとしてコンクリートを敷設する場合は、約20万円の費用がかかります。さらに、屋根と柱を付けたカーポートの場合、50～100万円程度が必要です。

車を露天で停めると、風雨や直射日光によって塗装が劣化するリスクがあるため、日当たりも考慮して選択しましょう。

門周り

門周りとは、門扉や門塀、表札などを指します。門を通り玄関へ向かうのが一般的な家の構造ですが、外側から見て最初に目が行くことから、こだわりを持って設置する方が多い場所です。住宅の敷地と道路を区切るものでもあります。

扉や塀、表札は素材により異なるものの、おおよその費用は15～30万円程度でしょう。ただ、表札は数百円のものもあれば、数万円するものもあり、どれだけこだわるかによって、費用は大きく変わります。

玄関アプローチ

玄関アプローチは門から玄関までの動線で、砂利敷きや石材貼りなどさまざまなデザインがあります。たとえば、門周りを和風にしてアプローチを洋風にするとアンバランスになるため、門とあわせてデザインを考えると良いでしょう。

費用は30～60万円程度ですが、スロープや段差の加工を加えるとさらに高くなります。住宅の出入りをする際には必ず通る場所のため、デザインのみならず、歩きやすさも重要なポイントです。

ウッドデッキ

敷地が広い場合、ウッドデッキを設置するのも良いでしょう。費用としては10～30万円、屋根まで付けると20～50万円程度です。また、ウッドではなくタイル素材で作ると費用は若干抑えられます。

サンルーム

サンルームはリビングから庭へ延びるガラスで囲まれたスペースで、プライバシーの保護にも役立ちます。また、洗濯物を干す、ティータイムを楽しむ、読書をするといったさまざまな目的で利用できます。費用はおおよそ40～50万円です。

バルコニー

バルコニーは2階に設置され、洗濯物を干す用途以外に、外部からの視線を遮る効果もあります。費用相場は30〜40万円です。 

庭

庭の費用は敷地面積により変動します。芝生を敷くだけなら1㎡あたり1万円程度です。デッキチェアやテーブル、バーベキュー用グリルを設置する場合、追加費用が発生します。

照明

照明は、主に門周りや玄関アプローチ、玄関部分に設置します。住宅のイメージを良くする効果のほか、防犯や暗い場所での安全性なども考えれば照明は必須の設備です。

時間によって明るくなるタイプ、人が近づくと明るくなるタイプなど種類はさまざまで、一般的な費用相場は10～20万円程度になります。

植栽

どのような樹木を植えるか、どれだけ植えるかによって費用は異なるものの、おおよそ5～10万円程度が相場です。樹木は定期的な手入れが必要になるため、他の項目に比べて継続的なコストが発生します。

物置

収納する品物によって小型から大型までさまざまなタイプがあります。小型物置は約10万円、大型の物置は30～50万円程度の費用がかかります。

外構工事の費用を抑えるポイント

外構工事にはさまざまな項目があり、それをすべて実現させようとすれば、当然、費用もかさみまず。ここでは、費用を抑えながら、理想を実現するためのポイントについて見ていきましょう。

資材を厳選する

たとえば、塀の素材に化粧ブロックやレンガではなくコンクリートを使う、塀ではなくフェンスにするなど資材や種類を厳選することで費用を抑えられます。さらに費用を抑えたいのであれば、フェンスの代わりに植栽にするのもおすすめです。

同様に、玄関アプローチもコンクリートではなく砂利にすれば、費用を抑えられます。踏むと音が出る防犯砂利を使えばセキュリティの向上にもつながり、コストパフォーマンスも高まります。

ただし、資材の質を下げることで費用を抑えようとすると、強度や見栄えに影響が出る可能性もあるため、長期的な視点で選択しましょう。

【DIY】自分でできる部分は自分でやる

庭いじりや日曜大工が趣味の方は、自分でできる部分を自分で作業するのも一つの手です。住宅完成時に外構工事をすべて終わらせる必要はありません。

時間をかけて楽しみながら理想の外構を実現するのも良いでしょう。レンガを積む、庭に芝生を敷く、ウッドデッキを作るなど、手間がかかっても自分でやれば、工事費用を大幅に削減できます。

外構工事の専門業者に依頼する

自分でできる作業と並行して、コンクリートの施工やサンルームの設置など、専門的な技術が必要な部分は専門家に依頼するのが賢明です。

また、外構工事は住宅の施工会社（ハウスメーカーなど）ではなく、専門の業者に直接依頼することをおすすめします。施工会社経由で発注すると仲介料が発生しますが、直接専門業者に依頼すれば、仲介料分の費用が抑えられます。

ただし、自分で専門業者に依頼する場合は、住宅ローンに含まれない別の支払いになる可能性がある点には注意しましょう。住宅ローンに外構工事を含めた方が総合的にお得な場合は、施工会社に一任するのも一つの選択です。

※外構工事を住宅施行会社と別の業者に依頼した場合でも、工事費用を住宅ローンに組み込めるケースもあります。銀行ごとに判断が異なるため、事前に相談してみましょう。

オープンタイプを選択する

前述の通り、塀やフェンスの設置には40～100万円程度の費用がかかります。そのため、クローズドタイプに比べ、オープンタイプを選ぶことで大幅な費用削減が可能です。

洋風建築の場合、オープンタイプの方が見栄えが良くなることもあります。どうしても塀やフェンスが必要な場合は、クローズドタイプからセミクローズドタイプに変えるなどして、費用削減を図りましょう。

外構のデザインを失敗しないためのポイント

外構工事の費用を抑えることに成功しても、完成したときにイメージと異なったり、使いづらかったりする場合、長期的に見れば失敗となることがあります。ここでは、外構デザインを成功させるために注意すべきポイントをご紹介します。

外構デザインは専門家に相談してから最終決定をする

自分が住む家で、自分の庭だとしても専門知識がないままデザインすると、全体のバランスが悪くなってしまうリスクがあります。

また、外構は住宅のデザインとセットで考えることが重要であり、住宅とのバランスを強く意識しなくてはなりません。そのため、自分の理想を叶えたいのであれば、専門家の意見にも耳を傾けましょう。専門家であれば、全体のバランスを見たうえで、理想を叶えるための最適なプランを提案してくれます。

そのうえで、デザインの最終決定をしたほうが、自分だけで考えるより、理想に近い外構になる可能性も高まるでしょう。

機能性や後の手入れまで考えてデザインする

緑の多い庭は見ていて心が安らぐだけではなく、日陰ができて涼しくなったり、風よけになったりするメリットがあります。

しかし、樹木は定期的な手入れを怠ると、見た目が悪くなるだけでなく、外構全体の印象を損ねてしまいます。特に、塀やフェンスの代わりに植栽を選択する場合、手入れの手間や管理費用など長期的な視点を持ちながら検討することが重要です。

費用をかける部分と抑える部分を明確に分ける

とにかく費用を抑えることを重視し過ぎてしまうと、全体的に安っぽい仕上がりになってしまう可能性も高まります。外構が安っぽいと住宅も安っぽく見えてしまうため、全体のバランスを考えつつ、費用をかける部分と抑える部分を明確に分けることが重要です。

特に門周りや玄関アプローチは人目につきやすい部分のため、しっかりと費用をかけ、それ以外の部分を抑えるなどメリハリをつけるようにしましょう。

長期間使うことを前提に専門家と相談のうえ、理想の外構工事を

住宅は一生の中で何度も建てるものではありません。そのため、内装や外装はもちろん、外構に関しても自分の理想を反映させたいと思うのではないでしょうか。しかし、これから何十年と暮らす住宅だからこそ、デザインだけにこだわるのではなく、使いやすさや手入れのしやすさも十分に考慮することが重要です。

費用を抑えつつ理想を実現させるためには、専門家の意見を聞くこと、こだわりたい部分を明確にすることが欠かせません。また、一緒に暮らすご家族の意見を取り入れることも大切です。本記事で紹介したポイントを参考にして、理想の外構を実現させましょう。