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2020年4月1日、民法の一部が改正され、新民法が施行されました。民法は、何度かの改正が行われてきましたが、ここまでの大改正は1896年(明治29年)に民法が制定されて以来、初めてのことです。
主な改正点は、契約を中心とした債権法の改正で、今回の改正により、多くの要物契約が諾成契約に変わりました。
とはいえ、要物契約と諾成契約の違いが分からないという方も多いのではないでしょうか。そこで、今回は、諾成契約と要物契約の違い、民法改正で諾成契約となった契約類型とその特徴について解説します。
諾成契約(だくせいけいやく)とは、当事者の合意によって契約が成立する契約類型です。民法では、当事者の意思に基づいて法律行為が行われるのが原則とされています。
これを「私的自治の原則」と言い、「私的自治の原則」は民法の三原則の一つです。この原則に基づき、契約においても当事者の意思により成立するとしたのが「諾成契約」です。対して、当事者の合意だけでは契約が成立せず、目的物の受け渡しが必要な契約を「要物契約」と言います。
たとえば、顧客が注文をし、お店が注文を了承した時点で契約が成立すると考えるのが「諾成契約」です。一方、「要物契約」は顧客が注文をし、お店が注文を了承した時点では契約は成立しません。
金銭や商品の引き渡しをした段階ではじめて契約が成立すると考えるのが「要物契約」です。民法では、売買契約は諾成契約とされているため、この例では、顧客が注文をしてお店が注文を了承した時点で契約が成立します。
民法改正前は、「代物弁済契約」、「消費貸借契約」、「使用貸借契約」、「寄託契約」については要物契約とされていました。しかし、民法改正により、これらは諾成契約になりました。それぞれの契約類型の特徴について、以下から解説します。
代物弁済契約とは、債権者と債務者との間で本来の債務の履行に代えて他の給付をすることによって、債務を消滅させる契約です。たとえば、返済するお金の代わりに、カメラを譲渡する。
これは、代物弁済契約にあたります。物を引き渡すことが必要なので、要物契約とされていましたが、民法改正により諾成契約であることが明文化されました(民法第482条)。ただし、債務消滅の効果が発生するのは、給付をした時点(カメラを引き渡した時点)であることに変更はないので注意が必要です。
消費貸借契約とは、相手方から受け取った物と同じ種類、品質、数量の物を返還することを約する契約です。同じ種類、同じ品質、同じ数量で返しさえすればいいため、受け取った物は自由に消費できます。
昔は隣近所からお米や醤油を借りて後日返す、というようなことがしばしばありましたが、自由に消費できることから「消費」貸借契約と言われているわけです。また、消費貸借契約は物を返還することを約する契約ですが、物の中には金銭も含まれます。消費貸借契約のうち、金銭の貸し借りについての契約が「金銭消費貸借契約」です。
将来、同額の金銭の弁済を約束したうえで、金銭を借り入れる契約を交わします。消費貸借契約も物を受け取ることによって効力が発生することから、要物契約とされてきました。しかし、民法改正により、書面で行う消費貸借契約は、諾成契約となりました(第587条の2)。
使用貸借契約とは、無料で借りた物を使用して、目的達成時や契約終了時にその物を返還することを約する契約です。親が子どもに車を無償で貸すようなことが使用貸借契約の典型例です。
使用貸借契約には、金銭授受が発生しないので、要物契約とされていました。しかし、金銭授受がなくても法的拘束力を有するため、民法改正により諾成契約とされました(第593条)。
寄託契約とは、一方の当事者が物の保管を相手に委託し、相手が承諾する契約です。
主な委託契約には、倉庫に荷物の保管を頼むなどがあります。物を預けるという性質から要物契約とされていましたが、民法改正により、これも諾成契約とされました(第657条)。
民法改正により、要物契約だった多くの契約類型が、諾成契約に変わりました。その結果、物の引き渡しが必要だった契約類型でも契約の締結が可能になりました。
また、諾成主義(書面や署名などの方式要件を要求しない主義)をより明確化する条項(第522条)が新設され、電子契約の導入を進めやすい環境が整いました。
「電子印鑑GMOサイン」は、「契約印」と「実印」の2種類の電子印鑑を使い分けできるため、既存の押印ワークフローを変更せずに導入できます。
書面を電子化することで契約に関する煩雑な手続きの手間やコストの削減も期待できるでしょう。また、大量の文書を保管するにはスペースが必要ですが、電子契約であればハードディスクやクラウド上に保存するだけで済むので、無駄なスペースがいらなくなります。
最近は新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークが推奨されていますが、電子契約書であれば、ハンコを押すためだけに出社するということも必要ありません。文書をアップロードして、メールを送信して署名をすれば、電子契約は完了します。
今回は、これまで要物契約とされていた、代物弁済契約、消費貸借契約、使用貸借契約、寄託契約が諾成契約となったこと、それぞれの契約類型の特徴について解説しました。諾成契約になることによって、法律効果が早い段階から生じるようになります。
また、物の引き渡しがなくても契約が成立するため、契約書の作成がより重要性を増しています。契約書は必ずしも紙である必要はなく、電子契約書でも構いません。
「電子印鑑GMOサイン」は、簡単な手続きで今までと変わらない契約締結ができます。
新型コロナウイルスが去った後でも、ウイルスの脅威がなくなることはありません。書面をできるだけ電子書面化し、いつでもテレワークできる環境にしておくことが、リスク管理上重要ではないでしょうか。
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GMOサインが運営する公式ブログ「GMOサインブログ」の編集部です。
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