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取引においては、「発注した商品が発注通り納品され、発注者から受注者へ約束通りの対価を支払う。」という原則のもと、複数の書類が発行されます。
その中でも、検収が完了したことを示すために発行される書類が「検収書」です。検収書の発行は必須ではありませんが、企業によっては取引先からの検収書の発行をもって売上を計上する場合もあるため、取引において非常に大切な書類の一つです。
今回は、検収書の役割や納品書・受領書・請求書との違い、検収書の具体的な書き方など、検収書に関する知識について解説します。
検収書とは、納品された商品やサービスが、確かに発注通りの内容(品物・数量・品質など)であったことを示す書類です。そのため、発注側がこれを発行するケースが一般的です。
検収書の発行は法律上の義務ではなく、あくまでも商慣習として行われているものです。しかし、円滑に商取引を進める上で、検収書は大切な役割を担っています。以下、検収書が担う3つの役割について解説していきます。
第一に、検収書の発行には、納品された品物を発注側が確認し、注文通りであったことを認めたという意味合いがあります。そのため、検収書発行以降のクレーム・契約解除等は取引上、マナー違反です。
他方、受注側からすると、取引先から発行される検収書には、時間が経ってから「個数が足りない」「品物が汚れている」などのクレームを受けることを防止する役割があります。
第二に、検収書は、売上の計上に使用されます。企業によって、また業種によって、売上計上のタイミングは異なります。納品日が売上計上のタイミングという企業もあれば、取引先からの検収書の発行をもって売上を計上する企業もあります。後者の場合、検収書の日付が売上日になるため、検収書の役割は非常に重要です。
検収書の日付を基準に売上を計上している企業には、試運転が必要とされる機械の販売業者や、ITシステムのように、納品後に一定期間の実運用テストが必要とされるシステムの開発会社などがあります。
第三に、検収書を発行することにより、請求書を発行する手間を省くことができます。商取引では、「検収の完了をもって、発注側から受注側へ対価を支払う」旨の取り決めをする場合があります。このようなケースでは、請求書の発行を省略し、検収書の発行後に支払い手続きに移行することが可能です。
また、発注側が検収書を発行した方が、受注側が請求書を発行する場合に比べて、受注側の支払いの意思を明確に示すことができるという利点もあります。
商取引において、商品の納入から対価の請求までに発行される書類は、主に以下の4種類です。
・納品書
・受領書
・検収書
・請求書
上記のように取引の証拠となる書類は証憑(しょうひょう)と呼ばれ、税法上7年間の保管義務があります。これらの書類の中には、発行されるタイミングや特徴が似ているため混同されやすいものもあります。
それぞれ検収書との違いを確認しておきましょう。
納品書は、発注側の注文通りに商品を納品したことを、受注側が示すための書類です。商品名、数量、合計金額など、発注側に伝えたい内容を記載し、商品と一緒に送付するケースが一般的です。
検収書との違いは、発行者と発行するタイミングです。
納品書は商品の納品時に受注側が発行するもの、検収書は検収後に発注側が発行するものです。
受領書は、発注側が商品を受け取ったことを証明するために発行する書類です。
受領書と検収書は、発行するタイミングが似ており、どちらも発注側が発行する書類であるため、混同しやすくなっています。
受領書は、商品の納品時に発注側が受け取ったことを証明するもの、一方で検収書は、発注側が納品物を検品し、納品物が確かに事前に定めた仕様や基準に合格し、問題ないと判断したことを証明するために発行するものです。
請求書は、受注側から発注側へ納品物の対価を請求するために発行する書類です。主に商品名、個数、支払期限、振込先などを記載します。
検収書と請求書は、どちらも商品の納品・検収後に発行される書類ですが、発行者と書類の意味合いが異なります。
検収書の発行者は発注側、請求書の発行者は受注側です。検収書は、商品を検収したことの証明、請求書は、請求金額を通知するという意味合いがあります。
検収書発行の流れは、以下の通りです。
STEP1:商品を検収する
STEP2:内容に問題がないと確認した上で、検収書を作成・押印する
STEP3:検収書を取引先へ送付する
検収書発行後のクレームや契約解除等はマナー違反となるため、納品物が発注通りであるか念入りに確認しましょう。具体的には、商品名、型番、数量、品質、合計金額などが発注通りであるか、厳しいチェックが必要です。
万が一、商品に数量の間違いや汚れなど問題があった場合、不良品だった場合には、検収書を作成せずに取引先へ連絡を取り、良品との交換や合格品のみの受領による納品個数の変更、値引き等の交渉を進めましょう。
検収書は、発注側が発行から押印まで行う場合と、受注側で作成して発注側が検収印を押す場合があります。新しく取引を始める際、どちらが発行するか決めておくと商取引を円滑に進められるでしょう。
検収書の作成・押印後、受注側へ送付します。郵送またはPDFとしてメールで送付するケースが一般的です。検収書を送付する際は、企業間での混乱を招かないように、事前に送付方法を確認しておくことをおすすめします。
検収書には決まった書式がないため、比較的自由に作成可能です。ここでは、基本的な記載事項と書き方の具体例を紹介します。
記載内容
項目 | 内容 |
検収日 | 検収を行った日 |
タイトル | 検収書である旨の記載 |
宛先 | 受注側の会社名 |
発注側の情報 | 発注側の会社名、住所、電話番号等 |
件名 | 発注した商品名や案件名 |
納期 | 商品が納入された日 |
支払い条件 | 締日や支払日等の条件 |
検収内容 | 品名、数量、金額等 |
検収者の情報 | 検収者の部署名、氏名等 |
検収印 | 会社印(角印である場合が多い)、担当者の押印 |
検収書作成時は、以下3点に注意が必要です。
・検収日と納品日の誤認
・検収内容の記載ミス
・検収担当者の署名(記名)、押印漏れ
特に検収日と納品日は、混同されるケースが多くなりがちです。検収日は検収を行った日、一方で納品日は商品を受け取った日ですので、十分に注意しましょう。
また、受注側は、発注側が作成した検収書を確認後、請求書を発行します。取引を円滑に進めるために商品名や数量、金額等の記載ミスがないよう注意が必要です。
検収書は、検収担当者が署名(記名)・押印することで正式に検収済の旨を証明します。担当者は責任をもって検品し、署名(記名)・押印漏れがないように気をつけましょう。
検収書には、会社印(角印)か担当者の認印、またはその両方を押印します。
会社の正式な書類として発行されたことを示すために、慣習上、会社印(角印)を押すことが多いようです。
また、「確かに検収したことを示す」ために、検収担当者の認印を押印する場合もあります。認印のほかインク浸透印が使われることも多いようですので、会社のルールを確認しておきましょう。
検収書をメールで送付する際に注意すべきことは、送信先の指定ミスによる情報漏洩や、書類の添付漏れなどのヒューマンエラーです。メールは、一度送信すると取り消すことが難しいため、送信先や文章の内容に間違いがないか、添付書類がついているか確認した上で送信しましょう。
商取引において、検収書は重要な役割を担っており、小さなミスが会社に大きな損失を与える場合もあります。しかし、日々の業務の忙しさから、検収書発行時の署名(記名)・押印漏れやメールでの送信先ミスなど、ヒューマンエラーが発生してしまう場合もあるでしょう。
「電子印鑑GMOサイン」は、用途によって選べる2種類の署名タイプや、企業間取引に適した高度なセキュリティ技術を有している電子契約サービスです。検収書のほかにも商取引に関連する書類を電子化することで、業務効率化が可能になります。
業務を効率化した分、確認作業の時間を確保できるため、小さなミスも防げるでしょう。書類作成の電子化を検討している場合、一度試してみてはいかがでしょうか。
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