これまで書面で行っていた契約締結を電子化することで、多くのメリットが期待できます。しかし、自社にとってメリットのある電子契約でも、相手方にとってメリットがあるとは限りません。
契約は相手がいて、はじめて締結可能となります。電子契約に切り替えることによって、相手にはどんな負担が生じるのでしょうか。また、どんな問題が起きる可能性があるのかについても知っておく必要があります。
目次
電子契約の仕組み
政府は、電子契約をはじめとするペーパーレス化を推進しています。しかし、すべての企業が電子契約に対応できるシステムを備えているわけではありません。
電子契約の仕組みや安全性を理解することによって、今後、電子契約の導入を検討する企業が増えることが期待されています。
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電子契約の安全性
電子契約には、なりすましやデータの改ざんなどのリスクが伴います。リスクへの対応策となるのが、電子署名です。電子署名では、あらかじめ認証局から本人確認のための電子証明書を発行してもらい、署名の代わりに使用します。
電子署名では、公開鍵暗号方式と呼ばれるセキュリティ技術が使われており、高い安全性が期待できます。
複製や分析ができない公開暗号方式だから安心
公開鍵暗号方式とは、公開鍵と秘密鍵と呼ばれる2種類の異なる暗号鍵を使い、データが書き換えられていないかどうかを確認できるセキュリティ対策方法です。
暗号鍵の作成にはハッシュ関数が使われており、同一の文章から作られるハッシュ値なら一致するものの、1文字でも変わるとハッシュ値が大きく変わるという特徴があります。複製や分析などができないため、高い安全性と信頼性があります。
電子契約サービスは複数の種類がある
電子契約を行う際には、安全性の面から、電子契約サービスを提供している業者を利用するのが一般的です。すべての業者が同一のサービスを提供しているわけではなく、それぞれに機能や特徴の異なるさまざまなサービスが存在します。
企業で電子契約サービスを導入する際には、汎用性や使い勝手、ニーズを満たす機能の有無といった点を多方向から検討したうえで、導入するサービスを決めると良いでしょう。
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電子契約サービス同士の互換性の問題
多くの業者から電子契約サービスが提供されています。しかし、それらすべてに互換性があるとは限りません。
これから電子契約サービスを導入する際には、多くの企業が導入しているサービスを選ぶというのも賢い選択方法の一つです。
電子契約は相手方の負担になりやすいのか?どんな問題が起こる?
電子契約には多くのメリットがあり、便利なシステムです。しかし、電子契約は相手方にとっての負担になってしまうリスクも存在します。
たとえば、A社とB社がそれぞれ独自に電子契約サービスを導入している場合を想定します。両者が契約を締結する際に、どちらも電子契約を希望したとしましょう。
A社とB社が導入しているサービスが同一であれば、問題なく電子契約が可能です。
しかし、異なるサービスを利用している場合は、互換性の問題から電子契約できない事態も考えられます。
電子契約の導入には譲り合いが必要
A社とB社が導入している電子契約サービスに互換性がない場合には、どちらかが導入している電子契約サービスを利用する選択肢が一般的です。
具体的にどんな基準で判断するかについては、法務省の電子契約サービス指定リストに記載されているかどうかが一般的な目安となります。指定リストに記載されているサービスなら、高い信頼性と安全性が確保されており、法的な効力を持つ企業間の契約書の締結においてもふさわしいでしょう。
PDFファイルに電子署名する方法も
相手方が利用している電子契約サービスを、自社が利用しているとは限りません。そのような場合には、電子契約書の管理にかかるコストが発生し、場合によっては管理そのものができないという事態が起こりかねません。そのため、相手方が導入している電子契約サービスに対して、否定的な意見を持つことも珍しくありません。
一方で導入している電子契約サービスを使うことに合意できない場合もあり得ます。そのような場合には、契約書をPDFファイルにしたうえで、お互いが電子署名を付与する方法も選択可能です。電子署名ならそれぞれが採用しているサービスをそのまま使えるため、トラブルも起こりづらくなるでしょう。
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当事者型の契約をすることも可能
PDFファイルへ電子署名を付与する方法を採用しない場合には、当事者型と呼ばれる契約方法がおすすめです。これは、企業が事前に認証局から電子証明書を取得しておき、それを使って電子署名をする契約方法です。
当事者型の契約には、なりすましのリスクを最小限に抑えられるメリットがありますが、事前に電子証明書の取得が必要です。まだ取得していない企業の場合には、日数に余裕をもって発行手続きを行う必要があります。
相手方が電子契約サービスを導入していない時にはどうする?
自社で電子契約サービスを利用していても、契約を締結する相手方が導入していない場合も考えられます。そんな時には、どのような対応が可能なのでしょうか?
相手が合意しなければ電子契約はできない
相手方が電子契約サービスを利用していなくても、相手方の合意があれば、電子契約可能です。そのためには、電子契約のメリットを相手方へ説明することから始めると良いでしょう。
相手方が電子契約サービスの導入を検討している場合もあるため、メリットの説明は導入の後押しになるかもしれません。
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相手方が電子契約サービス未使用でも利用可能な電子契約がある
電子契約サービスの中には、相手方が電子契約サービスを利用していなくても利用できるものがあります。多くは会員登録やサービスの登録などが一切不要で、ネット環境と有効なメールアドレスがあればすぐに利用できるといった特徴があります。
サービスごとに異なるので確認してみましょう。
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相手方が利用していない時に便利な電子契約サービス
相手方が電子契約を利用していないが、電子契約について合意してくれる場合には、できるだけ相手方の負担を減らすことが望ましいでしょう。
登録不要なら負担は少ない
相手方がサービスへ登録することなく電子契約を締結できるなら、相手方の負担を最小限に抑えられます。
電子印鑑GMOサインやクラウドサイン、freeeサインなどは、相手方が電子契約サービス未利用であってもアカウント登録をする必要なく利用できるため高い人気があります。
電子契約サービスを利用していない相手方に理解してもらう方法とは
電子契約を行うためには、現在電子契約サービスを利用していない相手方からの合意を取り付けることが必要不可欠です。電子契約に対する信頼性や安全性の危惧から導入を見送っている企業も多く存在します。そのため、説明や説得をしてもなかなか合意してもらえないケースは少なくありません。
そのような相手方に納得してもらったうえで合意を取り付けるには、どういったポイントを押さえた説明が必要なのでしょうか。
セキュリティ面への懸念が大きい
電子契約サービスを利用したくない企業の多くは、セキュリティ面を懸念しています。そのため、電子契約への切り替えを持ちかけても、セキュリティ面で納得してもらえなければ、合意に至ることは難しいでしょう。
相手方へ説明する際には、セキュリティ面の安全性をしっかり説明することが効果的です。電子契約には安全性の高い暗号鍵や、ハッシュ値など複数のテクノロジーが使われています。また、電子署名もあわせることによって、データのすり替えや偽造などができない仕組みになっています。
こうした対策によって、不正アクセスやサイバー攻撃にも備えることができます。
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電子契約を導入することでメリットが大きいことも説明
電子契約サービスには、会計ソフトと一体化しているものもあります。また、ペーパーレス化に大きく貢献してくれるソフト、帳票管理に使えるソフトなど、さまざまな種類が存在します。
電子契約サービスは、業務効率化やコスト削減など、多くのメリットが享受可能です。一度の契約のためだけに導入するのではなく、長期間継続してメリットを享受できる点もあわせて強調すると、納得してもらいやすいでしょう。
また、電子契約においては、通常必要となる印紙税などが一切不要です。そのため、契約書を作成することが多い企業にとっては、印紙税の削減というコスト的なメリットも期待できます。
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電子契約サービス未利用の相手方が電子契約に備えて必要なこと
相手方が電子契約サービスを利用していなくても、サービスによっては相手方がサービスへ登録することなく、少ない負担で電子契約を締結できます。その際に、相手方が電子契約に備えて準備するものはあるのでしょうか?
電子証明書は必要なのか
認証局が発行する電子証明書があれば、より高いセキュリティレベルの電子署名が可能です。電子証明書は事前に発行手続きを取る必要があるため、時間と手間、コストがかかります。
コストがかかってしまうと、相手への負担も大きくなってしまうでしょう。そのため、相手に負担をかけることなく電子署名してもらうには、電子証明書以外の方法がおすすめです。
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電子署名があればOK
電子証明書がなくても、電子署名できる方法はあります。
クラウド型の電子契約サービスなら、サービスへの登録が不要なだけでなく、電子証明書なしで電子署名可能な機能も搭載されています。そうした便利な機能を使えば、相手方への負担を最小限に抑えて電子契約ができるのではないでしょうか。
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基本的な知識は必要
電子契約は、適切なサービスを利用すれば、電子署名や電子証明書に関して専門的な知識を持っていなくても、契約締結が可能です。
しかし、より理解度を深め、高い安全性と信頼性を確認したうえで電子契約を締結したほうが、取引の安全にも資するでしょう。また、理解度を深めることは、相手方の精神的な負担を軽減することにもつながります。
そのため、まずは電子契約に関して基本的な知識やノウハウを説明するなど、理解してもらうことから始めると、スムーズな電子契約へとつながるでしょう。
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