契約書が偽造・改ざんされた場合、証拠を集め立証しない限り、契約書は有効となります。この記事では、契約書の偽造・改ざんについて解説します。
偽造・改ざんはどのような罪に問われるのか、見破るためにはどうすればいいのか、具体的な防止策などを取り上げています。企業で働く方はもちろん、個人で働く方にとっても契約書は欠かせないものであるため、ぜひ参考にしてください。
目次
契約書を偽造・改ざんされたらどうなる?
契約書を偽造・改ざんされた場合、相手が偽造・改ざんをしている証拠を集め、立証しなければ無効にはできません。決定的な証拠が必要となりますが、そのような証拠を見つけることは非常に困難です。証拠が見つからず、立証できないために、偽造・改ざんした契約書が有効となってしまうケースもあります。
証拠は、時間の経過とともに見つけにくくなるため、偽造・改ざんの疑いがある場合、早い段階で警察や弁護士に相談しましょう。
契約書の偽造・改ざんはどのような罪にあたる?
契約書の偽造・改ざんが発覚すると、以下のような罪に問われる可能性があります。
- 公文書偽造罪
- 私文書偽造罪
- 電磁的記録不正作出・供用罪
ここではそれぞれの概要について解説します。
公文書偽造罪
公文書偽造罪は、刑法第155条に定められた犯罪です。意図的に公務所や公務員の印章・署名を使って文書や図画を偽造した場合に成立します。
公文書偽造罪では、国をはじめとして都道府県や市区町村といった地方公共団体、あるいはこれに属する公務員が作る文書が保護の対象です。具体的には、免許証や保険証、住民票、パスポート、戸籍謄本などが該当します。
また、公文書偽造罪は、有印と無印で区別されます。前者は1年以上10年以下の懲役となり、後者は3年以下の懲役または20万円以下の罰金が科せられます。
私文書偽造罪
span class=”bold”>私文書偽造罪は、刑法第159条に定められた犯罪です。私文書偽造罪も、有印と無印の場合で区別されており、それぞれ有印私文書偽造罪と無印私文書偽造罪と呼ばれています。
有印私文書偽造罪とは、意図的に他人の印章や署名を使い、権利や義務、事実の証明に関する文書や図画を偽造すること、偽造した印章や署名を使って文書や図画を偽造することです。3ヶ月以上5年以下の懲役となり、罰金の規定はありません。
また、無印私文書偽造罪とは、他人の印章・署名を使わずに文書・図画を偽造することです。1年以下の懲役 または10万円以下の罰金となります。
電磁的記録不正作出・供用罪
電磁的記録不正作出・供用罪は、刑法第161条に定められた犯罪です。他人を陥れるために各種データやツールを不正に作成・使用した際に成立します。
罪を犯すと5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。ただし、公的機関が作成・発信するデータやツールに関する不正の場合は、10年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。
契約書の偽造・改ざんを見破るには?
契約書が偽造や改ざんをされていないか見破るためには、印影鑑定や筆跡鑑定などを行う必要があります。印影鑑定とは、契約書に押印された印影が本物であるかどうかを見極めることです。
また、筆跡鑑定は、筆跡の観察により誰がその文字を書いているのか判断します。これらの鑑定の結果本物の印影ではない、ほかの人が書いた文字であるといったことが発覚すると偽造・改ざんと考えられます。
契約書の偽造・改ざんを防ぐ主な方法
偽造や改ざんを防ぐためには、以下のような方法が挙げられます。
- 割印や契印を押す
- 契約書に改ざん防止機能付きの用紙を使う
- 印鑑を厳重に保管する
- 改ざんされにくい電子署名を活用する
ここではそれぞれの方法について解説します。
割印や契印を押す
紙の契約書で偽造や改ざんを防ぐために使用されるのが割印です。割印とは、書類をずらした状態で重ね、そこに1つの印鑑がまたがるように押印する方法です。契約書であれば、原本とその写しに割印をするケースが多く、割印によって原本と写しの同一性を保証します。
また、契約書が複数枚ある場合は、契印を行うこともあります。契印とは、複数枚の契約書が一連の文書であることを証明するために、契約書の綴じ目や裏表紙の帯の継ぎ目などに押印する方法です。契印により、契約書の一部差し替えや廃棄などを防止できます。
契約書に改ざん防止機能付きの用紙を使う
契約書に使用する用紙は特に決まりはありません。しかし、改ざん防止機能がついたものを使うことで偽造・改ざん防止につながります。
改ざん防止機能付きの用紙とは、複写した際にコピーの文字が表示される特殊な加工が施されています。また、製造ロットが印刷されているものもあります。このような用紙を使うことで、複写による偽造・改ざん防止が可能となるでしょう。
印鑑を厳重に保管する
契約書の偽造や改ざんが発生する原因の1つに、印鑑の無断使用が挙げられます。そのため、印鑑を普段から厳重に保管することも偽造・改ざんを防ぐうえでは非常に重要です。
手間がかかるかもしれませんが、大切な印鑑は鍵付きの箱やロッカーなどにしまい、使用する際には許可をとるようにしましょう。
改ざんされにくい電子署名を活用する
ここまで紹介してきた方法を取り入れることで、契約書の偽造・改ざんの多くは防止できます。
しかし、割印や契印など、紹介してきた方法では、手間がかかるのも事実です。
そういった手間を全て取り除きたい方におすすめなのが、電子署名です。電子署名とは、紙の契約書における印鑑に該当するものです。電子契約書などの電子文書に電子署名をすることで文書の偽造・改ざんを防ぎます。また、印鑑の紛失や破損といったリスクもないため、コンプライアンス強化にもつながるでしょう。
また、電子契約ツールを利用して電子契約書などを交わす場合、電子署名に加え、タイムスタンプ機能がついているケースが一般的です。タイムスタンプとは、手続きが行われた時刻を記録できるため、いつ誰が何に合意したのかがすぐにわかります。
電子契約書は、偽造・改ざん防止に役立つだけでなく、保管スペースや印刷コストが不要になるなど、さまざまなメリットがあります。ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
普段から契約書偽造防止の対策に取り組もう
今回は、契約書の偽造や改ざんについて解説しました。契約書の偽造・改ざんは、証拠を見つけ立証しない限り有効となってしまいます。
日頃から偽造・改ざんが発生しないように対策を立てておくことが大切です。割印や契印、偽造防止機能付きの用紙の利用など、常日頃から防止策に取り組むようにしてください。
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