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補助金・助成金とは?
補助金と助成金は紛らわしい言葉ですが、どこが違うのでしょうか。
補助金は他社とのコンペ形式となるもので、申請が多くなればなるほど、倍率も当然上がります。
そのため、補助金は、申請を出しても必ずしももらえるものではありません。
補助金は税金が財源となるもので、経済産業省または地方自治体から主に支給されます。
一方、助成金の方は、給付条件を満たしてさえいれば原則として支給されるものです。
助成金は、雇用保険が財源となるもので、主に厚生労働省から支給されますが、国や地方公共団体などから支給されるものもあります。
補助金や助成金によく似た言葉に給付金があります。
補助金や助成金と同様に、国や自治体から支給されるという点は共通点ですが、給付金の方は、主に有事の際に緊急的に支給されるものです。
最近の身近な例としては、新型コロナウイルスによる持続化給付金や10万円給付などがあります。
補助金・助成金のメリット
補助金や助成金はいくつかのメリットがあります。
返済しなくてもよい
例えば、起業者が日本政策金融公庫から運転資金として、融資を受けた場合は、最長7年という返済期間が設けられます。返済期間は長期ですが、元本は当然として利子を含めて返済しなければなりません。
しかし、ほとんどの補助金や助成金は融資制度のように、返済する必要がないのは大きなメリットといえます。
事業価値が上がる
補助金・助成金は、申請に対して、書類審査や面接審査が行われたうえで受給できるものです。
審査に通ったということは、事業価値が高まり、それにつれて企業の信用度も上がるということになります。
事業計画を客観視できる
申請書は、事業計画の優れている点や改善すべき点を、書式に従い作成し、審査を受けます。そのため、第三者である審査員の納得が得られる内容でなければなりません。
そのためにも、申請書は、内容や表現を十分に検討したうえで質問に的確に答える必要があります。
補助金・助成金の申請書を作成する際に、自社の事業計画を客観視できるのもメリットの1つとなります。
社内体制を整えることができる
例えば、雇用関連の助成金の場合、就業規則、出勤簿、労使協定書といった書類を用意しなければなりません。
社内体制を整えることができなければ書類の作成も不可能です。
起業時に受けられる主な補助金・助成金 (1)経済産業省※
経済産業省系の補助金・助成金の特徴は、起業支援、中小企業振興、技術振興、地域活性化、女性若者の活躍支援などを目的としていることです。
ものづくり補助金
金額が大きくチャレンジする人も多いのが特徴で、中小企業や小規模事業者が実施する革新的なサービス開発や試作品の開発、設備投資などを支援するための補助金です。
事業再構築補助金
補助金の総額が1兆円のため、採択される可能性が高く、しかも上限が1億円と金額が大きいため、新規事業や新分野へのチャレンジに適しています。
事業計画書は、税理士や金融機関の指導を得ながら作成できるため、採択される可能性が高くなっています。
小規模事業者持続化補助金
経営計画に従って実施する販路開拓などの取り組みに対して、補助率3分の2で、最大200万円の補助金が支給されます。
計画を作成する段階や、実際に販路開拓を行う段階で、商工会議所による指導・助言などを受けることも可能です。
IT導入補助金
生産性を高めるためにITを導入するための補助金です。
最高450万円が支給され、適用の範囲も広いため人気があります。
IT導入には経費がかかるため見合わせている企業も多くなっています。
そのため、IT導入補助金を支給することによって、デジタル化を推進しようとするねらいがあります。
IT導入によってデジタル化や自動化が進めば、生産性が向上し、企業の収益も併せて向上するため、従業員の賃金アップにもつながります。
事業承継・引継ぎ補助金
中小企業が、新しい取り組みを行うことで、事業承継を可能にするために必要な資金を給付する制度です。
なお、事業承継とは、会社の場合、経営を後継者に引き継ぐことであり、法人の場合は先代経営者の退任および後継者の代表就任が該当します。
また、個人事業主の場合は、事業を後継者に引き継ぐことであり、先代経営者の廃業や後継者の開業が該当します。
補助金額には以下のものがあります。
- 経営革新事業:100万円~600万円、上乗せ額150万円
- 専門家活用:100万円~600万円、上乗せ額150万円
- 廃業・再チャレンジ事業:50万円~150万円
起業時に受けられる主な補助金・助成金 (2)厚生労働省
厚生労働省系の助成金の特徴は、雇用促進、労働者の職業能力向上などの施策を目的としたものが多いことです。
キャリアアップ助成金
非正規雇用労働者のキャリアアップを促進することを目的としています。
なお、非正規雇用労働者には、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者などです。
以下の6つのコースがあり、助成内容も異なります。
- 正社員化コース
- 障害者正社員化コース
- 賃金規定等改定コース
- 賃金規定等共通化コース
- 賞与・退職金制度導入コース
- 短時間労働者労働時間延長コース
助成金の場合の最大の魅力は、要件を満たせば、ある程度まとまった金額を確実に受給できることです。
人材確保等支援助成金
従業員が働きやすい職場づくりを目的とする助成金です。
以下の5種類に分類されます。
- 諸手当等制度
- 研修制度
- 健康づくり制度
- メンター制度
- 短時間正社員制度(保育事業主のみ対象)
雇用調整助成金
新型コロナの影響に対する特例として、事業縮小を余儀なくされ、従業員の休業を実施するための休業手当となる費用の一部を助成するものです。
1日につき1人8,355円~1万5,000円支給されます。
支給の条件としては、売上高が30%以上減少していること、緊急事態宣言の実施区域あるいは、まんえん防止等重点措置区域にあり、営業時間の短縮などの要請に協力する企業であることです。
なお、雇用保険被保険者以外のアルバイト社員などは、緊急雇用安定助成金の対象となります。
起業時に受けられる主な補助金・助成金 (3)自治体
市区町村などの各自治体も、地域内の産業振興のため、補助金や助成金で創業支援事業を行っています。
積極的に取り組んでいる自治体と、あまり積極的ではない自治体とに分かれ、かつ内容もさまざまです。
東京都:創業助成事業
東京都の場合、最大300万円、補助率3分の2以内で広告費や人件費、賃貸料の補助が受けられます。
対象は、東京都内の創業者や創業5年未満の人、あるいは起業を計画している人で、申請受付は年度内に4月と10月の2回申請受付があります。
大阪起業家グローイングアップ事業
大阪府の場合は、起業や新事業の立ち上げに必要な事業費を最大で100万円、補助率2分の1で補助金が受けることが可能です。
対象は、大阪府内で事業を行う人、あるいは、起業しようとする人で、推薦機関による選抜と1次審査が事前にあります。
その他、融資の利子補給、信用保証料補助、ホームページ作成費用補助金、店舗の家賃補助、展示会出展費用補助金など、自治体独自の補助金・助成金などがあります。
起業時に受けられる主な補助金・助成金 (4)その他の団体
上記以外にも、大手企業、政府系金融機関、各種の財団などが、独自に起業家への補助金・助成金制度を行っています。
専門家に相談したり、ネットで調べたりして、起業する際に活用できる補助金・助成金があるかどうかを今一度確認してみましょう。
補助金・助成金を受ける際の注意点
補助金や助成金を受ける際にはどのような点に注意しなければならないのでしょうか。
なるべく早めに申請する
補助金を受給できるには、それぞれの補助金の審査をパスしなければなりません。
合格率は、補助金によって、数%のものもあれば、90%程度のものもあります。
また、募集が年に数回あるものの場合、回によっても合格率が異なってきくるため注意が必要です。
一般的に、年度内の始めの回の方が高い合格率となるようで、遅い回になるほど、予算の関係から審査が厳しくなる傾向があります。
従って、年に複数回あるような助成金・補助金を申請する際は、なるべく早めに申請する方が有利です。
原則後払いになる
補助金や助成金は原則返済不要ですが、補助金も助成金も、原則として後払いになってしまう点も注意が必要です。
補助金・助成金は、出資や融資のように、審査が通った時点で補助金や助成金が支給されるというわけではありません。
従って、今現在必要な費用に対して、即座に補てんすることは不可能です。
対策として、補助金の申請がパスしたら、公的な金融機関である日本政策金融公庫などから、補助金を担保にして融資を受けるといった対処をしなければなりません。
対象経費が定められている
補助金や助成金はすべての経費に認められているのではなく、対象経費が定められている場合が多い点も注意が必要です。
対象となる労働者に条件がある
また、非正規雇用者を正規雇用者として雇用すればもらえる助成金の場合、対象となる労働者は、非正規として6カ月以上雇用されていなければなりません。
補助金・助成金情報の探し方
では、国や多くの地方自治体が実施している助成金や補助金の情報は、どのようにして探せばよいのでしょうか。
①J-Net21
J‐Net21というホームページの支援情報ヘッドラインページから使える助成金や補助金を探す方法があります。
なお、J-Net21を運営するのは、独立行政法人中小企業基盤整備機構です。
②商工会議所や産業振興センター
管轄地域の事業者に、さまざまな経営情報を提供しており、補助金や助成金の情報も入手が可能です。
J-Net21で探しても見つからない場合は、こちらに問い合わせましょう。
なお、産業振興センターは、商工会議所や商工会、あるいは自治体が運営しています。
③自治体のホームページ
事業を開始する予定の市区町村自治体ホームページにアクセスして、助成金、補助金などのキーワードで検索してみましょう。
J-Net21の助成金、補助金情報にも、助成金・補助金情報が掲載されていますが、J-Net21に未登録の自治体もあるため、全部が掲載されているわけではありません。
特に市区町村関係の助成金、補助金情報は少なくなっているため、もれなく探す場合は、自治体ホームページの方がおすすめです。
専門家を活用しよう
補助金・助成金が支給されるためには、極めて優秀なビジネスプランを描く必要がありますが、起業家として大きなチャンスをつかむためにも、ぜひ応募してみてはいかがでしょうか。
とはいえ、補助金・助成金を申請するには、書類の作成や情報収集に手間と時間がかかります。
忙しくて、時間をかけることができず、あきらめてしまう人も出てきます。
解決策として、補助金・助成金の申請には、専門家を活用するという方法があります。
中小企業診断士、税理士などの専門家や、専門機関を活用して、効率的に自社の商品が、社会のどういった点の課題解決型であるのかをしっかり抑えましょう。
補助金や助成金は探すだけではなく、支給されるために戦略をたてて、取りに行く姿勢が必要です。
あせらず着実に、ポイントをおさえた説得力のある申請書を作成し、補助金や助成金を確実に勝ち取るようにしましょう。
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