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社内における稟議・決裁のプロセスでは、日本では昔から稟議書と呼ばれる紙を決裁者で回覧しあう方式が一般的でした。この稟議という慣行をめぐっては、意思決定のスピードを低下させてしまったり、現場レベルのスタッフのモチベーションを低下させてしまったりと、なにかと否定的な意見に触れる機会も多いのではないでしょうか。
今回はこの稟議・決裁といったプロセスについて、ペーパーレス化を進めるメリットや方法について考えていきましょう。
稟議書を回覧しながら稟議・決裁が進んでいく承認プロセスは、実は日本企業特有の慣行です。例えば、会社の決裁をすべて社長一人が行うような会社であれば、稟議を行う必要はありません。
しかし日本では、現場に権限委譲を進めるにあたり、社内の有力者・役職者間で意見の対立を生まないようにするためにも、関係者で稟議書を回覧しあうということがよく行われてきたのです。
稟議はこのように、あくまで会社内部での決裁のために行うものです。社外の関係者による合意を必要とせず、社内で決まりを整備してしまえばよいだけなので、稟議書はペーパーレス化に取り組みやすいといえるでしょう。
稟議をペーパーレス化していくことは、紙を印刷したり、物理的な印鑑を捺印したりする手間を省くことにつながります。これにより、用紙代やインク代、時間が節約できる点はもちろん、紙資料をバインダーに綴じたり、キャビネットに保管したりする手間やスペースの確保も不要となります。
▶関連記事:デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みについて解説
紙と捺印でやっていた稟議をデジタルに置き換える際、どんな方法があるでしょうか。例として挙げられるのは、電子印鑑などの仕組みをもつワークフローシステムを導入することでしょう。
電子印鑑システムは、わざわざ紙の書類に捺印するなどの物理的な手間を省いてくれます。つまり、デジタル化された書類に、画像化した印影である電子印鑑で捺印(添付)するソフトウェアやサービスです。
このシステムは、例えば見積書や納品書など、稟議書に限らず捺印が必要な書類に対して、幅広くペーパーレス化に役立ちます。アナログな印鑑とやっていることの意味は同じですが、脱印鑑は確実に進み、業務は効率化するでしょう。
稟議で用いるワークフローシステムは、電子印影が絶対に必須かというと、そうではありません。電子印影を持たないワークフローシステムでも、適切に稟議・決裁のプロセスを取り仕切ることは可能です。
経費精算の決裁では以下を意識しておきましょう。
考え方としては、投資家や金融機関などの利害関係者、さらには税務署などの役所に対し、説明責任を十分に果たしていくことが重要だといえるでしょう。こうした目的に合致するようプロセスを設計するならば、アナログな紙の稟議書はもちろんのこと、電子印影も不要となります。
稟議は日本企業に古くから残る慣行です。しかしその本来の意味や目的を考えれば、昔ながらのやり方にとらわれる必要性は、さほど大きくはありません。職場の状況を踏まえつつ、柔軟な考え方で業務を整理していくことで、改善にむけた展望も大きく開けるでしょう。
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