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法律で使われる言葉の意味は?実社会と意味・ニュアンスが異なる法律用語に注意しよう

 

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法律の世界では、たくさんの用語が使用されています。その大半は専門用語であることが多く、場合によっては聞き慣れないような言葉が使われることもあります。しかし逆に、日常生活で普通に使用される言葉と同じでありながら、意味やニュアンスが違うものも存在します。今回は、日常生活で使用するのと同じ言葉でありながら、法律の世界では違った意味となる代表的な4つの言葉について解説します。

目次

「相殺」(そうさい)

日常生活において「相殺」という言葉が使われる場合、その意味は主として「(ある物事を)帳消しにする」、「打ち消しあう」、「チャラにする」といったニュアンスを含むことが一般的です。

「仕事のピンチを救ってくれてありがとう。お礼にこの前の立て替えた飲み代と相殺するよ」というように「仕事を手伝ったこと」と「飲み代」という性質的に異なるものであっても「相殺」といって打ち消しあう表現を用いることがあります。

これに対して法律の世界における「相殺」(民法第505条)は、あくまでも債権債務に関して使用される用語です。

具体的には、同種類の債権・債務を相互に持ち合っている当事者間において、双方の債権債務を対等額において消滅させる行為のことを指します。

例えば、
AはBに対して100万円を貸している。
BはAに対して80万円を貸している。

このように「お金の貸し借り」という同種類の債権債務をお互いに持ち合っているようなケースにおいては、相殺することで「AがBに対して20万円を貸している」だけの状態にすることができます。つまり、重なり合う部分(80万円)に関して債権債務を消滅させ、残存する部分のみの債権債務関係にすることができるのです。

「共有」(きょうゆう)

一般社会において「共有」という言葉は、1つの物や概念などを2人以上が共同で持つことを意味します。

例えば、「あるアイディアを共有する」、「家族間でID番号を共有する」などと利用されることが多いでしょう。一般社会での「共有」は「シェア」と呼ぶこともあり「この資料をシェアします」などと記載されたメールを業務で受け取ることもよくあります。そして、「資料を共有(シェア)します」と言われたときには、資料を「公開した側」と「公開してもらった側」が存在し「資料を共に所有する」というイメージを浮かべることはあまりないでしょう。

他方、法律の世界でも「共有」という言葉が使われますが、世間一般でのニュアンスとは異なります。

法律上の「共有」は、ある物の所有権を複数の人間で持ち合うこと(民法第249条)を言います。あくまでも「所有権」を数人で持ち合う場合に使用される言葉であり、基本的にそれ以外では使用されることがありません

友人数人と古民家を共同で購入・登記し、使用するような場合や、相続のとき相続人が複数存在する場合などが、民法上の「共有」にあたります。

「善意」(ぜんい)と「悪意」(あくい)

「善意」という言葉は、一般的な意味合いだと「良心」「親切心」など相手方に対して好意的、ポジティブな感情を抱いている状態のことを指すことが多いと思われます。これに対して「悪意」は、「人を害しようとする気持ち」などを表すネガティブな言葉です。

ところが法律の世界では、「善意」と「悪意」は日常とまったく異なる意味で使用されます。

法律の世界における「善意」とは、「ある事実を知らない状態」のことを指します。

例えば「相手方が無権代理人であることについて善意である場合には…」という言い方をした場合には、「相手方が無権代理人であることを知らない場合には…」という意味になるのです。

同じように「悪意」は、「ある事実を知っている」ことを指します。

つまり、法律上の「善意」「悪意」は、単にある事実を知っているか知っていないかを表しているだけであり、害を加えようという意味や非難するようなニュアンスは含まれていないということになります。

「〇日前まで」

例えば、「7日前まで」というと、世間では「1週間前まで」というイメージのために基準となる日時の前の週の同じ曜日まで、であると考えるのが一般的でしょう。

しかし、法律的にはそれでは間違いとなってしまうのです。

2023年5月10日(水曜日)に会議が開かれるケースで考えてみましょう。「会議開催日の7日前までに書類を提出すること」と指示された場合、書類はいつまでに提出すれば期限を守ったことになるでしょうか。会議の開催日が5月10日の水曜日であるため、一般的には前の週の水曜日に該当する5月3日いっぱいに提出すれば期限を守ったと判断されることが多いかもしれません。世間的にみれば、これで期限を守ったとされることが多いでしょう。

しかし、法律的に考えた場合には、これでは締切りを破ったことになるのです。法律的に厳密にいうと、提出の締切り期限5月3日ではなく、その前日である5月2日(火曜日)いっぱいということになります。

これは民法上の規定や判例などの関係によるものです。(民法第140条、第141条)
その理由は、民法で定められている期間の計算においては、期間の始期と終期について基本的に不算入とされています。

「〇日前まで」の「締切日」=ターゲット(5月10日)となる日の前日(5月9日)から逆算して「〇+1」日さかのぼった日

つまり、7日前であれば、ターゲットとなる日の前日からカウントして8日(7+1)さかのぼった日が締切日(期限)となります。
これが「週」「月」「年」などで期限を定めている場合(「2週間前まで」「3か月前まで」など)には、カレンダーで応答する日の前日が締切日となります。

例えば、会議の開催予定日である4月10日の「1か月前まで」と指定された場合には、「4月10日」の1か月前は「3月10日」であるため、その前日である「3月9日」が期限となります。

ややこしい話ではありますが、法律的な期間の計算方法は意外と身近な問題となることがあります。官公庁へ書類を提出する際や相続や離婚問題などを家庭裁判所で手続きをする際には、このように厳密な期間計算が必要となるのです。

まとめ

日常何気なく使っている言葉であっても、これが法律の世界で使われる場合には、意味が異なるケースがあります。通常の場合、その違いを意識する必要性はそれほど大きくはないでしょう。しかし、法律上の手続きをする場合には重要なポイントとなる可能性がありますので注意が必要です。

 

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この記事を書いた人

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