デジタル化とはアナログで行っていた作業をデジタルで行う、もしくは業務工程をアナログからデジタルに変えることです。
業務効率化や働き方の多様化など様々なメリットがあります。
2021年にはデジタル庁が創設され、国を挙げてデジタル化の推進が進み、近年、IT技術の発展もありデジタル化を推進する企業は増えています。
漠然とデジタル化のイメージを持っていても、具体的にどのように進めればよいかわからないという方もいるでしょう。なぜデジタル化が必要なのか、どう進めればよいのかについては、今後のビジネス展開のためにも覚えておくべきです。
目次
デジタル化とDX
DXという言葉もよく耳にします。DXとはデジタル・トランスフォーメーションの略称です。
デジタル化とDXを同じ意味としてとられている人も多くなっています。しかし、両者には違いがあるため理解しておきましょう。
デジタル化とは
デジタル化とはアナログで行っていた作業をデジタルで行う、もしくは業務工程をアナログからデジタルに変えることです。
たとえば、業務工程の一部もしくは全部を自動化にする、ペーパーレス化を進める、手続きをオンラインで完結させることなどが考えられます。
コロナ禍で対面での接触が自粛されるようになりました。リモートワークを導入した企業もあるでしょう。これもデジタル化の一環といえます。
DXとは
DXとはデジタル・トランスフォーメーションのことです。トランスフォーメーションには変革や改革といった意味があります。
つまりデジタル化のアプローチによって、ビジネスを変革する手法のことです。
業務をデジタル化することで、何らかのメリットが発生すると仮定します。そのメリットを新しいビジネスモデルに反映し、収益につなげていくことをDXと呼びます。
デジタル化とDXの違い
デジタル化は、デジタル関係の技術を導入することを指します。
しかし、DXでは単なるデジタル化に留まらず、さらにその先を目指すことが必要です。収益を上げるようなモデルを創り出して初めてDXを達成したことになります。
デジタル化を行い、それを収益化することでDXを達成させたことになるため、両者は段階が異なります。デジタル化のみでDXに成功したと勘違いしてはいけません。
デジタル化は、あくまでスタートラインです。
デジタル化を導入するメリット
近年あらゆる分野でデジタル化が叫ばれています。それだけの注目を集めているのにはメリットがあるからです。
デジタル化を進めるにはそれなりに予算がかかり、慣れるまで時間が掛かるかもしれません。しかし、最終的にはメリットの方が大きいため、早期のデジタル化が求められます。
業務効率の向上
これまでアナログで行っていた業務をデジタル化すれば、手間や時間を大幅に削減できます。
たとえば、これまで対面で行っていた業務をすべてオンラインにすれば、移動する時間も費用も大幅にカットできます。また、リモートワークを導入すれば、社員はわざわざ出社する必要がなくなるでしょう。会社としても交通費を支給する必要がなくなるため、コストカットが見込めるわけです。
働き方が多様になる
デジタル化を推進することで、多様な働き方が可能になります。
たとえば、先ほど紹介したテレワークの導入です。リモートワークを導入すれば、出社する必要がなくなるだけでなく、育児や介護で離職せざるを得ない従業員を引き留めることができます。
リモートワークができることで、育児や介護と仕事の両立が図りやすいからです。
また、リモートワークを導入すれば、オフィスに出社する必要がなくなります。ネット環境があれば、どこからでも勤務可能です。
つまり、あらゆる場所から人材を採用できるわけです。人材採用の選択肢が大幅に広がるため、より優秀な人材を登用できる可能性が高まります。
日本だけでなく、世界各地からも人材採用が可能となることは大きなメリットでしょう。
事業継続を確保できる
企業を運営するうえでは、さまざまなリスクが発生します。その中でも、自然災害は不可抗力なリスクです。
自然災害によって、オフィスが破壊され運営ができなくなることも十分想定できます。
また、オフィスの入っている建物が火災に遭遇した場合、ビジネス書類が消失してしまうことも考えられるでしょう。
しかし、デジタル化を進めれば、自然災害などのリスクも低減できる可能性があります。
デジタル化を進めれば、自宅からでもリモートワークで仕事が可能です。
また、契約書などの書類もデジタル化しておけば、クラウド上で管理できるため、紛失のリスクも回避できます。事業をスムーズに継続させるためにもデジタル化を進めておくことは大事です。
SDGsに貢献できる
近年メディアでSDGsという言葉が使われることが多くなっています。SDGsとは持続可能な開発目標を指す言葉です。
17のゴールが設定されており、その中には気候変動への対策や陸の豊かさを守ることなどが挙げられています。
これらのゴールに貢献できるのが、ペーパーレス化です。紙を使わないことで木材の伐採を抑制でき、地球温暖化にも貢献できると考えられています。
デジタル化を進めれば、ペーパーレス化も推進できます。電子契約に転換すれば、紙ではなく電子ファイルで契約書が保存可能です。つまり、紙で保存する必要がなくなり、紙の無駄な消費を抑制できます。
デジタル化を進める手順を解説
デジタル化の推進は、さまざまな恩恵をもたらす可能性があります。しかし、きちんと手順を踏んで進めていかないと、社内が混乱することにもつながりかねません。
以下で紹介する正しい手順を踏んで、スムーズにデジタル化を進めていきましょう。
現状を分析する
デジタル化は、単純なデジタルツールの導入だと思っている経営者も多く存在します。しかし、デジタルツールの導入は、あくまでも手段であり目的ではありません。
デジタル化で何を実現したいのか、まずは目的を明確にすることです。そのためには、現状分析が欠かせません。アナログ業務によってどのような無駄が発生しているのか、生産性を高めるためにはどの部分をデジタルにしたいかを明確にしましょう。そうすれば、具体的にどこをデジタル化すればよいかが見えてきます。
課題を検討する
現状と目標が明確になれば、その両者のギャップが見えてきます。このギャップこそが、その会社の抱えている課題といえます。
現状抱えている自社の課題は何か、しっかり洗いだしてみましょう。そしてその課題は、デジタル化することで解決できるのか分析してください。
どのような課題でもデジタル化で解決できるかといえば、そう単純な話ではありません。
もしデジタル化により解決可能であれば、どんなツールを導入すればよいかも自ずと見えてきます。
やみくもにデジタル化を進めるのではなく、課題を解決できる部分のデジタル化を進めましょう。そうすれば、導入コストも必要最低限にとどめられます。
施策を策定する
ここまで検討できれば、自社のどこをデジタル化すればよいかも明確になるでしょう。
ここからは、具体的にどのデジタルツールを導入するか検討を行うフェーズに入ります。
ここで重要なのは、デジタル化の目的を再確認することです。目的を見失ってしまうと、デジタルツールを導入したのはよいが、逆に作業効率が落ちてしまったといったことも起こりかねません。
具体的にどんなツールを導入するか、複数のツールを導入する場合の優先順位などを検討しましょう。
一気に複数のツールを導入すると、実際に運用する現場のスタッフにかかる負担が大きくなりかねません。もし、大規模なデジタル化を検討しているのであれば、優先順位をつけて徐々に適用範囲を広げていくとよいでしょう。
セキュリティ対策を検討する
デジタル化について回る問題がセキュリティリスクです。情報漏洩、顧客情報流出といった事案は頻繁にニュースなどでも取り上げられているため、目にした方も多いでしょう。
ウイルス対策などシステム上の対策も重要ですが、運用する側の意識徹底もポイントになります。
いくらセキュリティ対策を進めても、実際に運用する側が悪意を持って情報を持ち出せば、元も子もありません。
利用できる社員の限定や、システム運用に関するセキュリティ研修を行うなど、できうる対策を講じましょう。
導入
さまざまな準備を行ったうえで、万全を期してデジタルツールを導入しましょう。
ただし、導入すればそれで終わりかというと、そう簡単なことではありません。
当初想定していた通りにシステムが機能しない可能性もあります。そこで重要なのは、デジタル化した部分の検証です。当初の目的を達成しているか、問題が発生していないか検証しましょう。
もし何らかの課題が発生しているようであれば、どう改善すればよいかを検討します。運用結果を検証し、課題を分析したうえで改善する、このサイクルを繰り返すことでより良いシステムを構築できるわけです。
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デジタル化を成功させるためのコツ
デジタル化を進めるためには、きちんとプロセスを踏んで進めていくことが大事です。
また、デジタル化を成功させるためには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。以下で紹介するポイントを意識してデジタル導入を進めていけば、より効率的にシステムも機能するでしょう。
柔軟な姿勢
デジタルツールを導入したいと思っても、なかなか進まない可能性があります。
なぜなら、社内で反対意見が出てくるからです。デジタル化の推進により、従来の業務プロセスは否応なく変化しなければなりません。
このような変化に拒否反応を示す社員が出てくる可能性もあります。
社内でデジタル化の意義やそのメリットについて、共有することが大事です。変化に対して柔軟な姿勢を持つように、社内で意識を徹底させる必要があります。
いきなり風呂敷を広げない
デジタル化を進めるとなると、さまざまな業務にデジタルツールを取り入れたくなります。
しかし、一気に全体を変革しようとすると、社内全体のさまざまな業務フローを変える必要が生じます。急速なデジタル化は、対応に無理が生じるだけでなく、時間も労力も大きく必要となってしまいます。
最初は限定された範囲でデジタルツールを導入し、徐々にその範囲を広げていくことが推奨されます。
徐々に範囲を拡大していけば、スムーズに全体をデジタル化できます。最初は小さく、そして徐々にデジタル導入を進めていくような戦略を検討しましょう。
作業フローの見直しを進める
デジタル化によって、作業フローはどうしても見直さなければなりません。また、デジタル化することで、それまでアナログ作業に要した人の手が不要となり、時間の短縮化も期待できます。
そのため、余剰となった人材や時間をどう有効活用するかも検討することが必要です。あらかじめ余剰人材や時間をどう割り振るか検討しておけば、さらなる作業効率の向上が期待できます。
まとめ
デジタル化を進めることは、DX化への変革の第一歩になります。
しかし、やみくもにデジタルツールを導入すれば、逆に作業効率が落ちてしまう恐れも出てきます。
デジタルツールを導入するのであれば、その目的の明確化や業務フローの見直しなど、事前の準備をしておくことが重要です。
また、社内の意識統一も重要です。従業員にデジタル化の必要性やメリットを伝えることや、セキュリティ意識の徹底などの準備も並行して進めていきましょう。