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高橋
こんにちは。中小企業診断士の高橋良輔です。こちらのページでは、小規模事業者持続化補助金について、一通りご紹介いたします
今回から定期的に中小企業の経営者さまに役に立つ補助金や融資などをメインに、政府からの支援情報をわかりやすく嚙み砕いた内容で発信いたします。
高橋
さて、いきなりの質問となりますが、国から発表される補助金や助成金はどれくらいの種類があると思いますか?
補助金、助成金、支援金、給付金など呼び方は様々ですが、現在の日本において、これらは年間約3,000種類以上存在していると言われています。
各自治体や財団法人などが提供するものを含めると、さらに大きな数となります。
このように多くの種類が存在する補助金等ではありますが、「補助金」や「助成金」という言葉であれば、みなさま一度は耳にされたことがあるのかなと思います。
ここでは詳しい説明は割愛いたしますが、おおざっぱに「補助金」は「経済産業省」が提供し、「助成金」は「厚生労働省」が提供するものと思ってください。
後者は提出を求められた資料などを準備し、条件をしっかりと満たせば、原則、支給されます。
一方、前者は条件を満たすだけでは支給されず、内容の濃い事業計画書等の提出が必要となり、採択されるためには厳しい審査の目が入るものとなります。
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そのため、補助金は助成金に比べると、ハードルが高いものと嫌煙されがちですが、第一回目となる今回は、補助金の中でも比較的に敷居の低い「小規模事業者持続化補助金(一般型)」について、私が実際の支援先である経営者さまからいただいた質問などを交えながら、ご案内します。
※小規模事業者持続化補助金には現在、「一般型」と「低感染リスク型ビジネス枠」の2種類が存在していますが、ここでは、特別な注意書きがない限り、「一般型」についてとお考えください
「小規模事業者持続化補助金」をわかりやすく表現すると、「小規模事業者が地域の商工会議所等と一緒になって持続的な経営を目標に経営計画等を作り、それに基づいて、売上を上げるための販路開拓や業務の効率化を図るため、◎◎を購入等するときの補助金」となります。
ここで、「小規模事業者」という聞きなれない言葉が出てきましたが、これは家族などの数人で営んでいるお店や小さな町の工場をイメージしていただければと思います。
この小規模事業者が事務局から求められる書類を書き上げることにより、最大50万円の補助金(「低感染リスク型ビジネス枠」では最大100万円)が支給されます。
詳細は後述いたしますが、この補助金は、申請者さま一人で書類を書き上げて、提出すれば申請完了というものではないので、ご注意ください。
ざっくりお伝えすると、この補助金の対象者はこちらになります。
各業種ごと | 常時使用する従業員の数 |
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業その他 | 20人以下 |
詳細は公募要項をみていただければと思いますが、ここでは私の支援先の経営者さまから「補助金の対象者」について、実際に質問されたものを紹介します。
経営者さま
社長は「常時使用する従業員」にカウントされるのでしょうか?
高橋
「常時使用する従業員」にはカウントされません
例:法人小売業 代表取締役1名・従業員5名の場合 → 申請可能
※ちなみに個人事業主も、代表取締役と同様にカウントされません
経営者さま
一人で会社やっているけど申請できる?
高橋
申請可能です
例:法人製造業 代表取締役1名:従業員0名の場合 → 申請可能
経営者さま
アルバイトは「常時使用する従業員」にカウントされますか?
高橋
こちらは原則されません。ただ、雇用時の契約内容によって、「常時使用する従業員」に該当するケースもございます
例:法人 小売業 代表取締役1名・従業員8名(うちアルバイト3名)の場合 → 申請可能
※雇用しているアルバイトが正社員のようなフルタイムで働いている、雇用保険・社会保険に加入している、雇用時の契約書の内容 などにより、「常時使用する従業員」にカウントされる可能性があります
公募要項の表にシンプルに当てはまるのでしたら、迷われないかと思いますが、ご自身が経営されている法人等が適しているか不安な場合は、申請される前に商工会議所等に相談してみましょう。
ある支援先の経営者さまから昨年の梅雨明けに、以下のような相談を受けました。
経営者さま
高橋さん、50万円もらえる小規模事業者持続化補助金というのをインターネットでみました。そろそろ夏場が近いので、この事務所のクーラーを最新のものに取り替えたいのですが、できますよね?
高橋
申し訳ございません。できません。
厳密に言うと、その事務所が飲食店も兼ねていて、一般のお客さまも利用されているのであれば、採択される可能性がでてきますが、従業員のみが利用する事務所の場合は、審査が通るのは難しくなります。
この補助金に採択されるためには、事業計画書を読んだあとに、審査員の方に疑問をもたれないような、しっかりとしたストーリーを作る必要があります。例として、以下イラストでまとめました。
余談となりますが、審査員の方の多くは中小企業診断士です。彼らは論理的な思考を得意としているので、ストーリーが崩壊している計画書は採択されない可能性が高いと考えてください。
もうすこし掘り下げて、補助事業計画そのものについての採択・不採択の例を挙げてみます。
・Webマーケティング会社にネット販売システムの構築を依頼した→販路開拓となるため可
・展示会へ出展し、ブース内の看板などの掲示物を翻訳会社に依頼した→どちらも販路開拓となるため可
・毎月の経理作業の負担を軽減するため、新たに経理システムを導入した→業務の効率化になるため可 ※販路開拓とあわせておこなうことが必要となります
・パソコンが古くなってきたので、新しいパソコンを購入→汎用性が高いため不可
・Webマーケティング会社にSEOやリスティングの依頼→効果が不明確のため不可
・お店で販売するケーキの原料となる小麦粉の仕入れ→販売目的となるので不可
もちろん、「採択される例」に挙げたものであっても、すべての採択が保証されているというものではないので、ご注意ください。
申込の流れは公募要項のページに以下のように図で解説されているので、詳細はそちらに譲りますが、ここでは特に注意いただきたい3点を取り上げて解説いたします。
この補助金は、申請者さま一人ですべての書類がそろうわけではなく、上図の②にあるとおり、商工会議所が作成した書類が必要となります。
そのため、締め切りに余裕をもって、準備を進めてください。
※①で、申請者さまが経営計画書・補助計画書(=様式2・3)を作成し、それを商工会議所の担当者のかたにチェックいただき、内容に問題なければ、②に移ります
事業計画書等を作成している段階などで、事業の実施(機械装置の購入や外部委託先への発注など)をしてしまうと補助金の対象外となります。
そのため、必ず⑤の交付決定後に、購入や発注を進めてください。
意外と忘れがちとなる「CD-R、USBメモリ」の事前購入です。
③で締切日までに日本商工会議所に作成した書類等を提出します。その際、データ形式でも作成した内容と同じものをUSBメモリなどに入れて、提出する必要があるためです。
提出間近にバタバタと家電量販店に行かれるかたがいらっしゃいますので、こちらは忘れずに準備いただければと思います。
なお、上図を見ておわかりのとおり、小規模事業者持続化補助金(通常の補助金等も同様)は原則、後払いとなりますので、この点もご注意ください。
経営者さま
どうすれば、審査に通りますか?
といった質問について、補助金申請を検討している経営者さまからよくいただきます。
高橋
一言でお伝えすると「公募要項に書いてあることが全て」となります。
たとえ素晴らしい計画書等を書き上げたとしても、公募要項に即していない内容では、そもそも審査を受けることができません。
そのため、穴があくまで公募要項を熟読することが、審査に通るための近道となります。
なお、小規模事業者持続化補助金においては、審査にあたっての最低ラインとなる以下の4点を必ず守ってください。このうち一つでも欠けていると、その時点で失格となります。
実はこれも公募要項の最後のほうにちゃんと書いてあるのですが、見逃している方がほんとに多いです。
こちらはそのままです。「応募時提出書類」を見て、提出前にも必要書類がそろっているか再度確認をしましょう。
せっかく時間をかけてすばらしい内容の経営計画書等が完成しても、そもそも対象外だったのではもったいないです。
取り組む前に必ず申請者さま自身が対象者か、また、実施しようとしている事業が補助対象事業に適しているか否かの確認をしてください。
特に、今回解説をした「常時使用する従業員」はよく間違えがある箇所なので、注意してください。
申請者さまの能力や資金状況など実際の状況から乖離した内容の事業計画を書いてしまうと、遂行できる能力を有していないと判断されます。
例えば、「自社新製品のチラシを80億枚刷って、それを全世界に配布する」などです。
資金がそれほど潤沢にあり、この新製品を開発した申請者さまが全世界に通じる人脈をもっているのであれば、話は別になるかもしれませんが、「小規模事業者持続化補助金」においては、この内容では荒唐無稽なものになり、審査が通らない可能性が高いです。
※蛇足となりますが、こちらの例はこの小規模事業者持続化補助金の公募要項の最初に定義づけされている「地道な販路開拓等に取り組む費用」にも適していないことになります
ここで、「主体的に活動」と書かれているとおり、どこかの会社のいいなりで動いていたり、すべてを他社任せにしているなどはNGとなります。
また、「経営計画書」を書く際に、自己(自社)分析し、そこからご自身の強みを把握しているはずです。そのため、本事業がその強みを生かした取り組みであることが必要となります。
ただ、「公募要項」をみればいいとは言っても、「経営計画書」や「補助事業計画書」を作成するのは骨が折れるというかたは、士業の専門家への相談もご検討ください。
または、士業への依頼は金額が大きくなるので、そこは避けたいという方は、中小企業診断士が監修した質問に対して回答するだけで書類が作成できるツール「scalar」(小規模事業者持続化補助金(一般型)の利用は無料)をぜひお試しください。
最後となりますが、ある経営者さまがご自身で小規模事業者持続化補助金に挑戦されましたが、残念ながら不採択となりました。その経営者さまからいただいた質問をご紹介します。
経営者さま
前回採択されませんでしたが、もう一度挑戦したいと思います。再度申請することは可能ですか?
高橋
問題ございません。再申請は可能です
さらに言ってしまうと、申請期間内であれば、2度3度と複数回の再申請をすることができます。
もちろん不採択されたことには、なにか理由がありますので、しっかりと書類を見直すことが必要となります。
このように不採択されても再挑戦することができますし、国から烙印を押されて、これからの経営に不利なことが起きるわけではありません。
販路開拓や業務効率化を計画している経営者さまは、今回ご紹介した「小規模事業者持続化補助金」の申請をまずはご検討いただき、挑戦されてみてはいかがでしょうか。
この記事が少しでもみなさまの経営の助けになることができれば幸いです。
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GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社 電子契約サービス室 所属。
中小企業診断士。
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昼はGMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社でサラリーマン、夜は高橋国際コンサルティング事務所の代表として、経営コンサルタント業務を行う。
また、地方創生を事業柱とする合同会社Michilabの業務執行社員。
PRESIDENT経営者カレッジではオンライン講師を担当。