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契約書には法的効力があります。だからこそ、ミスがないように記載しなければいけません。しかし、契約書の署名と押印が終わって締結完了となった後に、書き間違いや訂正したい箇所が見つかるというケースは少なからずあるものです。
法的効力のある契約書への訂正を行うことに法的な問題はないのでしょうか。また、訂正するスペースがない契約書の場合には、どのような方法で訂正すれば良いのでしょうか。
本記事では、契約書に訂正を行うスペースがない場合の正しい対処法について、詳しく解説します。契約書を訂正しなければならない状況にある方は、ぜひ参考にしてみてください。
署名押印前の契約書だけでなく、すでに署名押印されている契約書にも訂正を入れることは可能です。ただし、次の点に注意する必要があります。
実は、契約書の訂正方法に法的なルールは存在しません。だからといって、好き勝手に訂正を行っても良いわけではなく、商慣習上問題が起こらない訂正方法が確立しています。契約書の一般的な訂正方法は次の通りです。
もし、訂正箇所に周りにスペースがない場合は、契約書の上下左右の余白を使って訂正を行うことも可能です。余白部分で訂正を行う場合、同じページの一番上の部分、もしくは一番下の部分のスペースに、訂正内容を記入したうえ、何行目が訂正部分かわかるように「XX行目XX文字削除、XX文字追加」などと記載しておけば、わかりやすいでしょう。
署名押印後の訂正内容は、基本的に軽微なものでなければなりません。軽微な修正とは、誤字脱字の修正などをいいます。契約金額など契約内容の重要な部分を変更する場合は、契約書を新たに作り直す必要があります。
訂正を行うためには、契約当事者双方の合意が必要です。合意を得ずに訂正を行うと、契約書が無効になる可能性があります。
契約書の多くは、パソコンで作成されています。すでに署名押印されている契約書へ訂正する際には、署名押印がされている契約書の中に、手書きで訂正を入れていきます。再びパソコンで、契約書を作成する必要はありません。
誤字脱字など軽微な訂正であれば、契約書上の訂正で問題ありません。しかし、契約内容自体に大きな間違いがある場合や契約締結後に内容を変更したい場合に、契約書上の訂正だけで済ませるのは不適切でしょう。
契約内容自体に大きな追加事項や変更点があるのなら、覚書(おぼえがき)や合意書を別途作成するのがおすすめです。覚書や合意書は、原契約の内容を補完する役割を持ちます。次の記事は、覚書に利用ケースや作成方法について詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
契約書を訂正する際には、やってはいけない訂正方法がいくつかあります。
訂正したい部分には、二本線を引くのが適切です。二本線の代わりに、ペンなどで塗りつぶしてしまったり修正ペンで消したりするのは、訂正方法として適切だとはいえません。かならず元の文字が見えるように、二本線を引くようにしましょう。
契約書の多くはパソコンで作成してプリントアウトしているため、消しゴムなどで消すことはできません。消せないことによって、内容の改ざんを防止しています。
これは、契約書の訂正をする際にも、必要となることです。訂正する箇所に使うのは、ボールペンやインクのペンなどでなければいけません。しかし、ボールペンの中には摩擦によって消えるようなものもあります。こうした消すことができるボールペンやインクは、訂正の際には使わないようにしましょう。
消える筆記用具という点では、鉛筆やシャープペンシルなども使用できません。
訂正する内容に数字が含まれている時には、改ざん防止という目的のために、漢数字(一二三など)は使わずに、アラビア数字の123を使いましょう。漢数字は線を付け足すだけで、ほかの数字に書き換えてしまう恐れがあるためです。
また、金額を訂正する際には、数字の書き換えなどが起こるリスクを防ぐため、壱(1)弐(2)参(3)拾(10)といった大字を使うのもおすすめです。なお、大字では1から3と10は上記の漢字を使いますが、4から9までは通常の漢字を使うのが一般的です。
契約書に訂正箇所が生じることは、決して珍しいことではありません。しかし、契約書を締結した当事者でなければ訂正できないのでは、遠方に住んでいる人にとって訂正の作業がとても面倒なものになってしまうでしょう。そこで、代理人が契約書の訂正を行う方法と注意点を紹介します。
代理人が契約書の訂正を行う際には、捨印が必要となります。捨印とは、あらかじめ契約書の余白部分に印鑑を押しておく行為のことです。このことによって、代理人が契約書を訂正できるようになります。
代理人による訂正は、基本的には契約当事者からの依頼を受けて行います。しかし契約書には、その訂正を契約当事者から依頼されたかどうかという点までは記しません。そのため、場合によっては代理人によって自身に不利な内容へと訂正されてしまうリスクがあります。
契約書に捨印を押すことは、訂正を全て代理人へ一任する意志表明でもあるのです。そのため、誰を代理人にするかについては、慎重に信頼できる人を選ばなければいけません。
契約書に訂正を入れることはできることなら避けたいものです。しかし、署名押印をして契約締結後にミスが見つかることは少なからずあり、その際には訂正することが可能です。
もし訂正した場所に対して、さらなる訂正が必要になった時にはどうすれば良いのでしょうか。何度も同じ場所を訂正することは認められるのでしょうか。
訂正した場所に再び訂正を入れることは、問題ありません。その際の訂正方法も、同じです。訂正したい場所に二本線を引いたうえで、すぐそばに訂正内容を記入すれば訂正は完了となります。
ただし、何度も同じ場所に訂正を入れることによって、文字が読みづらくなってしまうリスクはあるでしょう。その場合には、見やすさを重視して契約書を作り直す方法を検討しても良いかもしれません。ただし、作り直した場合には、署名や押印が再度必要となる点は、理解しておきましょう。
契約書の訂正に使用する訂正印および捨印は、シャチハタタイプではなく朱肉を使って押印するタイプの印鑑を使うのが正式な方法です。しかしl印鑑には多種多様なサイズがあり、実印もあれば認印などもあります。契約書という法的効力を持つ書類の訂正印には、どのような印鑑が適しているのでしょうか?
訂正印は、契約当事者の訂正に対する合意の意思表示を意味します。そのため、原則として契約書に押印したものと同一の印鑑を使わなければなりません。
印鑑の中には、訂正印や修正印とも呼ばれている小さなサイズの認印もあります。サイズとしては、省スペースな直径6mm程度のものが一般的です。このような訂正印は、帳簿や伝票などの訂正に使われることを想定して販売されています。契約書といった法的効力を持つ書類に対して使うことはできないことが多いため、注意してください。
本記事では、契約書に訂正スペースがない場合の正しい対処法から、契約書の訂正に関するさまざまな注意点を解説しました。契約書の訂正方法に法的なルールは存在しないものの、トラブルを起こさない商慣習上大切にされている取り決めはあるため、本記事を参考に適切な訂正を行うことを心がけていただければと思います。
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