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2012年より原則として禁止されている日雇い派遣に、例外となる業務や対象者が存在すると耳にしたけれど、どのようなケースが該当するかわからないとお困りではありませんか。一時的に人手が足りず、日雇い派遣を受け入れたいと考えることもあるでしょう。日雇い派遣は原則的に禁止されているものの、例外的に認められているケースもあるため、受け入れ可能かどうかをまずは確認するのがおすすめです。
この記事では、日雇い派遣の例外業務についてくわしく解説します。例外の対象者や注意したいポイントを紹介するので、受け入れを検討している方はぜひ参考にしてください。
日雇い派遣とは、通常30日以内の短期間で労働者を派遣する雇用形態です。急な人手不足や短期的な業務に対応するために利用されますが、日本では、2012年の労働者派遣法の改正により、原則として日雇い派遣が禁止されており、特定の例外条件が設けられています。
なぜ日雇い派遣は禁止されることになったのでしょうか。
日雇い派遣が原則禁止となった理由の一つは、企業が負担すべきデータ装備費が派遣労働者の給与から不当に天引きされていたことが、社会問題として浮上したためです。データ装備費とは、働く人の個人情報を管理するために必要な費用を指します。
2007年、人材派遣の大手企業だったグッドウィルが、データ装備費という名目でスタッフの賃金から任意に1日200円を差し引いていたことが発覚しました。この差し引きには違法性が認められ、返還を求める団体「グッドウィルユニオン」が結成され、グッドウィル側と交渉が行われました。
グッドウィル側は、返還するかしないかで二転三転しましたが、行政が動き始め、スタッフから訴訟を起こされたことを受けて姿勢を改め、最終的に和解に至りました。
この問題は多くの人を巻き込み、日雇い派遣の原則禁止に向けた議論が進められました。その結果、2012年の派遣労働者法の改正により、日雇い派遣の原則禁止が決定されたのです。
参考:http://www.asahi.com/special/070607/TKY200706210404.html
現在も日雇い派遣は原則禁止ではありますが、例外的に日雇い派遣が認められるケースが存在します。派遣労働者改正法で例外として認められているのが、以下の場合です。
出典:厚生労働省「日雇派遣の原則禁止について」
日雇い派遣が禁止となった背景にあるデータ装備費問題は、働く人の雇用管理に大きな影響を与えました。派遣会社側が支払うべき費用をスタッフ側に払わせていたため、働く人に多大な負担をかけていたのです。
この問題を懸念して改正された労働者派遣法では、日雇い派遣が原則として禁止になりましたが、例外として、日雇い派遣が常態であり、かつ、労働者の保護に問題ない業務等については日雇い派遣を認めています。また、 雇用機会の確保がとくに困難な労働者についても日雇い派遣を例外的に認めています。
なお、生活のためにやむを得ず日雇い派遣の仕事を選ぶことのない水準にある労働者についても、派遣労働者の保護が欠ける恐れが少ないと判断されるため、日雇い派遣が可能です。
これまで解説した通り、日雇い派遣は原則として禁止ですが、例外的に認められているものもあります。
ここでは、例外となる業務および対象者について、具体的に紹介します。
例外業務として認められている業務は以下の通りです。
このように例外として認められうる業務にはさまざまなものがあります。人手が足りない業務が上記に該当する場合、日雇い派遣として一時的に人員を補充できる可能性があります。
はじめに、雇用機会の確保がとくに困難な労働者として、次の要件に該当する労働者は日雇い派遣が可能です。
60歳以上の方に関しては、満年齢で60歳以上の場合に、日雇い派遣が可能です。労働期間中ではなく、契約を締結する時点で60歳を超えていなければならない点には注意しましょう。また、雇用保険の適用を受けていない学生とは、主に昼間学生を指します。通信制の学生、大学の夜間部に通う学生、高等学校の夜間もしくは定時制に通う学生、休学中の学生は対象外です。
さらに、生活のためにやむを得ず日雇い派遣の仕事を選ぶことのない水準にある労働者に関しても、日雇い派遣の禁止の例外として認められます。具体的には次の要件を満たすケースを指します。
生業とはもっとも高額の収入を得ている仕事のことです。生業の年収が、税金や社会保険料が控除される前の額面金額で500万円以上であれば、副業として日雇い派遣を行うことができます。
また、世帯年収の額が500万円以上で主たる生計者以外の者も、日雇い派遣が可能です。主たる生計者とは、世帯のなかでもっとも収入が多くかつ世帯全体の50%以上の収入を占めている者を指すのが一般的です。
たとえば、夫の収入が450万円、妻の年収が70万円だとすれば、世帯年収は520万円で、なおかつ妻は主たる生計者以外と判断されるため、妻は日雇い派遣労働者として働けます。
日雇い派遣として働ける人を集めたいけれど、希望する人はいるのかがわからないとお悩みではありませんか。日雇い派遣として働いている人は意外にも多いため、募集をかければすぐに人材が見つかるかもしれません。
ここでは、日雇い派遣の労働者数推移と内訳(属性)を紹介します。
日雇い派遣で働く人は、2019年時点で31,000人いるとの調査結果が出ています。もっとも多かったのは2012年の68,030人、その後25,000~45,000人の間を推移しており、日雇い派遣を選ぶ人が多いことがわかるでしょう。
2019年6月1日時点の日雇い派遣の内訳は、主たる生計者以外の人が34.7%ともっとも多く、次いで学生(28.2%)、高齢者(13.4%)と続きます。
日雇い派遣の対象となる人は数多くいるため、幅広い世代の受け入れが可能です。人によって持っているスキルや経験が異なるので、希望や能力にあわせて派遣先を決められるでしょう。
ここでは、日雇い派遣の例外要件に関してよく寄せられる質問を紹介します。
厚生労働省の資料によると、日雇い派遣とは「派遣期間(労働日数)が30日以内の派遣労働」とされていますが、労働日数とは社会通念上週20時間以上働いたときに成立するものと考えられています。そのため、労働時間が極端に短い(週20時間未満)場合も、日雇い派遣に該当すると、一般的に考えられています。
たとえば、派遣期間が40日だったとしても、1日の労働時間が2時間の場合は、日雇い派遣に該当するものを考えられるでしょう。
なお、具体的な条件や例外がある場合もあるため、詳細については労働基準監督署や専門の法律相談窓口に確認することをおすすめします。
日雇い派遣の原則禁止に違反した場合、行政処分が下される可能性はもちろん、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)」の第61条により30万円の罰金に処される場合があります。
人材派遣と単発バイト(1日もしくは数日限りのアルバイト)では、雇用主が異なります。人材派遣は派遣元会社と契約を締結、単発バイトは働く企業と契約を締結します。そのため、単発バイトは日雇い派遣の原則禁止に該当しません。一時的に人員を確保したい企業にとっては、日雇い派遣ではなく直接雇用契約を結ぶ短期アルバイトを募集するというのも一つの方法です。
日雇い派遣は2012年の労働者派遣法の改正によって原則禁止となりましたが、例外要件もあります。例外に該当する業務および対象者は日雇い派遣として働けるため、要件を満たすかどうか、派遣元企業および派遣先企業はしっかりと確認することが重要です。
短期間のみ働ける日雇い派遣を希望する人は多々います。法に則ってスタッフを派遣する、または派遣スタッフを受け入れるには、日雇い派遣の例外要件を理解しておかなければなりません。派遣元企業および派遣先企業の方は、本記事を参考に日雇い派遣への理解を深めていただければと思います。
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