「電子印鑑の日付を変更したいけれど、どうやればいいかわからない」とお悩みではありませんか。日付入りの印鑑(日付印)が求められる場面は多々あります。ただし電子印鑑の場合、日付変更のために毎回作り直すのは手間となるでしょう。
そこで本記事では、電子印鑑の日付をかんたんに変更できるかどうかを、日付入り電子印鑑の必要性や利用時の注意点に触れながら解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
電子印鑑の日付変更は可能?
電子印鑑とは、従来の物理的な印鑑(ハンコやスタンプなど)のデジタル形式の代替物です。通常、電子印鑑には名前のみを載せますが、利用シーンなどによっては日付も入れたいという場合があるかもしれません。
しかし電子印鑑は画像データです。日付を変更するには新たなデータとして作り直す必要があります。
自作した電子印鑑の日付変更はやや面倒
電子印鑑をWordやExcelなどで自作するケースは少なくありません。名前だけであれば一度作り画像データとしてダウンロードしたものを使い続ければ良いのですが、日付を入れるとなると利用するたびに作り直す必要が生じます。
一般的に契約書などの文書であれば、電子印鑑に日付を付与せずとも、文書内に作成日や締結日などの記載がかならず存在します。ただし押印日を明示したいなどの理由から、日付入り電子印鑑の作成が求められるシーンはあるでしょう。
日付印の必要性とメリット
日付の入った電子印鑑を押すことで、いつ押されたものかを把握できるため、特定のシーンで日付印は重要な役割を果たしています。たとえば、契約のなかには署名や押印までの期間が定められているものもあり「契約日より〇日」と記されている場合は、契約を締結した日を明確にしなければなりません。日付が異なると契約期間にもズレが生じるため、当事者間でトラブルになる恐れがあります。このような場合に日付入りの電子印鑑が必要となります。
なお、電子文書に付与する別の仕組みとしてタイムスタンプが存在します。タイムスタンプとは、電子文書が作られた日付と時刻を記録する技術です。ある日時に電子ファイルが存在したこと(存在証明)、そしてその日時以降に電子ファイルが改ざんされていないことを証明(非改ざん証明)できます。
タイムスタンプは自動で日時を正確に記録します。そのため日付入り電子印鑑のようにその都度作り直す必要はありません。日付入りの電子印鑑を検討中の方は、タイムスタンプを利用できる電子契約サービスを利用してみるのもおすすめです。
日付入り電子印鑑を作成する流れ
日付の入った電子印鑑は、ExcelやWord、Adobe Acrobat Readerで作成可能です。印鑑を作るコストがかからない点が大きな魅力であり、費用を抑えたい方はこれらのソフトを使って作成することをおすすめします。
ここでは、ExcelとAdobe Acrobat Readerで日付入りの電子印鑑を作る方法を解説します。
Adobe Acrobat Readerで作成する方法
Adobe Acrobat Readerで日付の入った電子印鑑を作成する流れは以下の通りです。
- Adobe Acrobat Readerを起動する
- 「ツール」→「スタンプ」の順にクリック
- 「スタンプパレット」→「電子印鑑」を選択
- 印影を右クリック→「ユーザー情報の編集」を選択
- 必要事項を入力
- 印鑑の入力項目を選択
ユーザー情報の編集では、氏名・会社名・役職などを入力できます。印影に反映される情報なので、誤りがないように注意しましょう。印鑑の入力項目とは、印影に表示する情報のことです。
「日付+氏名」「日付+氏名+企業名」「日付+氏名+部署名」など、いくつかの候補があるので、必要な情報の項目を選択します。選択後、印影に情報が反映されていれば、電子印鑑の作成は完了です。
なお、Adobe Acrobat Readerを利用する場合、日付を自由に選択することはできません。PC本体の設定に依存するため、バックデートなどの必要が生じ過去の日付を選択したいような場合は、PC本体の日時設定を調整します。ほかのシステムにも影響が生じる可能性があるため、作業を行う際は慎重に実行することをおすすめします。
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Excelで作成する方法
Excelで日付の入った電子印鑑を作成する流れは以下の通りです。
- Excelを起動する
- 「挿入」→「図形」から円形を選択
- セル4行分ほどの円を挿入
- 円の中央部分に日付の関数を入力
- 日付の上下に氏名や企業名などを入力
- 「表示」→「枠線」のチェックボックスからチェックを外す
- 「ホーム」→「コピー」横の下矢印をクリック
- 「図としてコピー」をクリックして印影を選択
- 空きスペースにペースト
- ペーストした印影を右クリック
- 「図として保存」を選択
円のなかには日付や氏名、企業名などを入力するため、セル4行分の円を選択する必要があります。挿入後、円の中心部分にあるセルに、関数「=TODAY()」を入力しましょう。関数は自動で調整されるため、画像を貼り付けた日にあわせて日付が変更されます。
日付を入れたセルの上下には、必要な情報を入力しましょう。氏名や企業名、部署名などの必要な情報を入力したら、シートの枠線を外します。背景を白くした後、画像として保存すれば、日付の入った電子印鑑の完成です。
WordおよびExcelを利用した電子印鑑の作り方
日付入りの電子印鑑を自作する際の注意点
ExcelやWord、Adobe Acrobat Readerなどを利用すれば日付の入った電子印鑑を無料で作成できますが、作る際はいくつか注意すべきことがあります。
信用性が低い
無料で作成した日付印は信用性が低く、また本人性も担保されません。先ほど紹介したように、日付の入った電子印鑑はソフトを使えばかんたんに作成できます。氏名や企業名がわかっていれば、本人以外も作成できるため、第三者が作成して勝手に押してしまうことも不可能ではありません。
本人が作成したものだとしても、かならずしも本人が押したとは限らないということです。データの保管場所を知っている人であれば、誰でも使えるため、後々トラブルに発展する恐れもあります。
また、日付入りの電子印鑑はあくまで見た目上そうなっているだけであり、本当にその日付に押印されたのか正確に示すものではありません。電子文書の非改ざん性を証明するために日時を記録したいのであれば、厚労省が管轄する「認定タイムスタンプ」を利用すべきでしょう。
印影のデザインを選べない
ExcelやWordなどで作成する電子印鑑はデザインの幅が狭く、理想通りの印影を作れない可能性があります。会社別に企業イメージがあり、ブランディングなどの観点からイメージに合致するような印影を求める方も多いでしょう。しかし、無料で作成する場合はデザインや文字フォントが限られるため、理想通りのデザインにならないかもしれません。
社内のみの文書は社員しか目を通さないので、さほど気を遣う必要はないかもしれません。しかし、社外の人が目を通す文書には企業イメージにあった印影が必要になるため、有料サービスやデザイナーの手も借りながら作成することをおすすめします。
法的有効性を重視するなら電子契約サービスの利用がおすすめ
電子文書に法的に有効な日付印を付与したいのであれば、電子契約サービスの導入がおすすめです。とくに電子署名やタイムスタンプという仕組みを提供しているサービスであれば、法的に有効な電子文書を作成・送信できます。
なお、電子契約サービスのなかには印影登録機能という電子文書上に印鑑形式のものを付与できる機能を提供しているところもあるため、現在使っている印影を登録すれば、従来の商慣習を崩すことなく電子契約に移行できます。
ここでは、電子契約サービスを利用するメリットを紹介します。
法的に有効な電子署名を利用できる
電子契約サービスでは通常、電子文書に電子署名を付与することで本人性を担保しています(※)。電子署名は電子署名法によってその定義がなされた仕組みで、書面契約と同じく法的効力が発生します。一方、電子印鑑とくに識別情報が付与されていない電子印鑑は、見た目こそ書面契約の場合と同じ印影を残せますが、法的に定義づけされたものではなく、証拠力も高くありません。
社内回覧だけでなく、取引先や従業員との契約業務においても文書の電子化を果たしたいのであれば、法的有効性の観点からも電子契約サービスの導入をおすすめします。なお、電子印鑑GMOサインは「立会人型電子署名」と「当事者型電子署名」という2種類の電子署名を標準機能として提供しながら、従来の商慣習も尊重すべく今利用されている印鑑の印影を登録できる機能や手書きサインに対応できる機能も用意しています。
※電子署名の提供を行っていない電子契約サービスも存在します。
タイムスタンプの付与で正確な日時を確認できる
タイムスタンプとは、ある時刻に付与した書類が存在していたことと、付与以降に内容が改ざんされていないことを証明するものです。電子文書にタイムスタンプを付与すれば、日時を正確に確認できるため、契約締結日や更新日に関するトラブルを事前に防ぐことができます。
また、タイムスタンプは改ざん防止にも有効です。電子ファイルはPDF編集ソフトがあれば容易に改ざんできるため、後から当事者の一方が有利になるよう変更される恐れがあります。しかし、タイムスタンプを付与することで、当事者のどちらが内容を変更したかがすぐにわかるのです。電子文書の作成において、タイムスタンプは電子署名と並び非常に重要な役割を果たすため、これらの機能を利用できるサービスを選択すると良いでしょう。
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文書の電子化に関する機能が豊富
電子印鑑さえ用意すれば文書が電子化できるわけではありません。とくに電子文書の管理については、2024年1月に本格的な運用が開始された改正電子帳簿保存法に則った運用が求められます。
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電子契約サービスのなかには電子帳簿保存法に標準対応しているところもあるため、検討材料の一つとして考えてみてください。
また文書の作成についてもさまざまな支援機能が用意されています。たとえば、ワークフロー機能を提供しているサービスであれば、作成した文書の社内回覧や稟議をプラットフォーム内で行えるため、リモートワークが主流の企業であっても、スムーズに上長の承認を得ることが可能です。
そのほかにも電子契約サービスは高度なセキュリティを備えていたり、多言語に対応していたり、本人確認書類の添付ができたりと業務に役立つさまざまな機能を提供しています。
まとめ
ExcelやWordなどで自作する日付入り電子印鑑の日付を変更したい場合は、電子印鑑自体を作り直す必要があるため、やや面倒だといえるでしょう。また、タイムスタンプなどの識別情報が付与されていない電子印鑑は複製や改ざんが容易であるという理由から、高い法的効力を有するとはいえません。
法的に有効な電子文書を作成するのであれば、電子署名やタイムスタンプという技術を利用するのがベストです。電子印鑑GMOサインをはじめとする電子契約サービスでは、電子署名およびタイムスタンプの提供はもちろん、文書の作成から保管まで業務全体を電子化するためのさまざまな機能を提供しています。
文書の電子化を考えられている方は、ぜひ国内シェアNo.1(※)電子契約サービスのGMOサインをご検討ください。
※1 「電子印鑑GMOサイン(OEM商材含む)」を利用した事業者数(企業または個人)。1事業者内のユーザーが複数利用している場合は1カウントとする 。自社調べ(2023年11月)
※2 電子署名およびタイムスタンプが付与された契約の送信数(タイムスタンプのみの契約を除く。電子署名法の電子署名の要件より)。自社調べ(2023年12月)