業務委託契約書ってどうやって作ったらいいの?
作成から契約締結までの流れと注意点を知りたい!
この記事では、業務委託契約書を作成する際のポイントについて、テンプレートを用いて解説します。この記事を読むことで、契約書の作成から締結までの流れが理解できます。
近年、業務委託契約に関するトラブルは増加傾向にあり、2024年11月にはフリーランス新法も施行されました。トラブルを避けるため、事業者には契約書の適切な作成・締結・管理が求められています。
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GMOサインでの契約書の作り方と締結までの流れ(クリックして開く)
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「ファイルを選択」をクリック
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署名位置を設定する
署名してもらう位置を設定します。左側メニューの「署名ボックス(ペンマーク)」を、希望の位置にドラッグ&ドロップで移動させます。署名位置を設置できたら完了画面へ進んでください。
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確認して「送信する」をクリック
送信側の作業はここまでとなります。続いて、相手方の契約締結までの流れをお伝えします。
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メールを確認して「文書を確認する」をクリック
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左側メニューで署名欄を確認し、各箇所に署名を行う
署名の方法は、「テキストで作成(タイピング)」・「画像で作成(アップロード)」・「手書きでサイン」の3つから選択できます。
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すべての署名を行ったら「完了する」をクリック
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手続が完了し、文書のダウンロードが可能になる
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目次
業務委託契約書とは?
業務委託契約書とは、委託者が受託者に対して業務を依頼し、受託者がその業務を遂行して対価(報酬)を受け取る取引の際に締結される契約書です。
契約書の名称が注文書や発注書となる場合もありますが、名称にかかわらず、依頼内容や取引条件、対価など両者が合意した重要事項を記載した書面を指します。
業務委託契約の種類
民法には、業務委託契約に関する類型がいくつか定められていますが、ここでは私たちに身近な「請負契約」と「委任契約/準委任契約」について確認していきましょう。
請負契約
業務を請け負った者、すなわち受託者が、委託された業務を完成させることを約束し、相手方である委託者はその仕事の結果(成果物)に対し、報酬を支払うことを約束する契約です。
受託者には契約内容に適合する成果物を納品する責任があるため、委託内容や仕様、品質等に関してあらかじめ契約で取り決めることが非常に重要です。
委任契約/準委任契約
委任契約/準委任契約は、完成させた成果物に対して報酬を支払う請負契約と異なり、業務を行うことそのものに対して報酬を支払う契約です。業務を受託した側は、独立性をもち、自己の裁量によって委託された業務を行います。
なお、委任契約と準委任契約の違いは、委託する業務内容が法律行為かそうでないかによります。
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契約方式 | 内容 | 具体例 |
---|
委任契約 | 法律行為に関する業務 | 弁護士、司法書士 |
準委任契約 | 法律行為以外に関する業務 | 医師、エンジニア、コンサルタントなど |
業務委託契約と雇用契約の違い
業務委託契約とよく混同される契約形態として、雇用契約があります。しかし、業務委託契約と雇用契約はまったく異なる契約です。
業務委託契約では、契約当事者同士に主従関係はなく、互いが独立した対等の立場にあります。一方、雇用契約では、使用者と労働者という明確な主従関係が存在します。
そのため、雇用契約を締結した場合、労働者には労働基準法や労働契約法などが適用されますが、業務委託契約にはこれらの法律は適用されません。
こうした違いから、雇用契約には労働者を保護する法律上の義務が伴います。しかし、労働者保護の義務がないからといって、安易に業務委託契約を結ぶのは適切ではありません。たとえ業務委託契約を締結していても、実際の業務内容が雇用関係に近いと判断されれば、雇用契約とみなされる可能性があります。契約の際は十分に注意しましょう。
業務委託契約か雇用契約かを判断するポイント
結ぶべき契約が業務委託契約なのか、雇用契約なのかを判断するためのポイントは4つあります。
スクロールできます
判断ポイント | 業務委託契約 | 雇用契約 |
---|
依頼される仕事や業務命令に対する拒否権があるか | ある | ない |
仕事において事業者の指揮命令(就労状況の管理)を受けるか | 受けない | 受ける |
仕事の遂行方法について事業者から直接指示を受けるか | 受託者自らが決定する | 受ける |
労働時間や作業場所が指定されているか | 受託者自らが決定する | 事業者から指定された場所・時間で仕事を行う |
仮に業務委託契約を交わしていたとしても、実質的に雇用契約のような作業指示を行っている場合、雇用契約があることになります。たとえば、業務委託契約を交わしているにもかかわらず、作業内容を直接指示するなどといった行為には注意が必要です。
業務委託契約書作成の必要性
業務委託契約は、書面がなくても口頭の合意だけで成立します。これは、委託者と受託者の合意そのものが契約成立の要件だからです。
しかし、口頭契約では証拠が残らず、後になって「言った・言わない」といったトラブルが発生する可能性があります。そこで業務委託契約書を作成し、契約内容を明確化しておくことで、紛争を未然に防ぐことが推奨されます。
下請法の適用がある場合は、別途第3条書面の作成・交付が義務付けられるため、下請取引に該当するかどうかを必ず確認してください。下請法についてはこちらで詳しく解説しています。
業務委託契約書の作成方法テンプレート(雛形)
実際に使用できる業務委託契約書のテンプレートを紹介します。まずは以下のテンプレートをご覧ください。次章で業務内容や報酬、契約期間や秘密保持などの記載すべき基本事項を解説します。
テンプレートをもとにして、記載項目を押さえながら自社の状況にあわせて編集してください。
業務委託契約書
本契約は、以下に定める条件に基づき、(※委託者の会社名・個人名)〇〇(以下「甲」という)と、(※受託者の会社名・個人名)□□(以下「乙」という)との間で、業務委託に関する事項を定めるために締結される。
第1条(目的)
甲は、乙に対して以下の業務(以下「本業務」という)を委託し、乙はこれを受託する。
第2条(業務の内容)
1. 本業務の具体的内容は以下のとおりとする。
– [※具体的な業務内容を記載]
2. 甲は業務の進行状況に応じて、必要な指示および情報を乙に提供するものとする。
第3条(契約期間)
本契約の有効期間は、令和〇年〇月〇日(※開始日)から令和〇年〇月〇日(※終了日)までとする。但し、双方の合意により更新することができる。
第4条(委託料および支払い条件)
1. 甲は、乙に対し、本業務の遂行に対する対価として、以下の委託料を支払う。
– [※委託料の金額および支払い方法を記載]
2. 支払いは、[※支払い期日や方法を記載]に基づき行うものとする。
第5条(納期および成果物)
1. 乙は、甲に対して[※納品物の詳細を記載]を、以下の期限までに納品するものとする。
– 納期:[※具体的な納期を記載]
2. 成果物の検収は、納品後[※検収期間を記載]以内に甲が行うものとし、検収に関する詳細な手順は別途協議の上定める。
第6条(秘密保持)
1. 乙は、本契約に関連して知り得た甲の業務上の秘密情報を第三者に開示または漏洩してはならない。
2. 本条の義務は、本契約終了後も[※具体的な期間を記載]間継続するものとする。
第7条(著作権および知的財産権)
本業務により生じた成果物に関する著作権その他の知的財産権は、以下のとおり定める。
– [※権利の帰属先を記載]
第8条(再委託)
乙は、甲の書面による事前の承諾を得ることなく、本契約に基づく業務の全部または一部を第三者に再委託してはならない。
前項の承諾を得た場合でも、乙は再委託先に対して本契約と同等の義務を負わせるものとし、再委託により甲に損害が生じた場合、乙が全責任を負うものとする。
乙は、再委託を行う際に、再委託先が本契約の条項を遵守するよう指導・監督しなければならない。
第9条(契約の解除)
1. 甲および乙は、相手方が本契約の各条項に違反した場合、相手方に対して書面による通知を行い、[※猶予期間を記載]以内に是正されない場合、本契約を解除することができる。
2. その他、以下の場合に本契約を解除することができる。
– [※解除事由を具体的に記載]
第10条(損害賠償)
甲または乙が本契約に違反した場合、相手方に生じた損害を賠償する責任を負うものとする。
第11条(不可抗力)
天災地変、戦争、暴動、ストライキ、法令の改廃その他不可抗力により、本契約の履行が困難または不可能となった場合、当該当事者はその責任を負わない。
第12条(合意管轄)
本契約に関する紛争は、[※指定する管轄裁判所を記載]を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
第13条(その他)
1. 本契約の変更は、書面による双方の合意によらなければ効力を有しない。
2. 本契約に定めのない事項については、双方誠実に協議し、解決を図るものとする。
以上、本契約の成立を証するため、本書2通(紙媒体の場合)または本書の電磁的記録(電子媒体の場合)を作成し、甲乙各自が記名押印もしくは電子署名を行い、それぞれ1通を保有する。
令和〇年〇月〇日
甲
住所:
氏名(会社名及び代表者名): 印
乙
住所:
氏名(会社名及び代表者名): 印
次章では、業務委託契約書に記載すべき主な項目についてそれぞれ解説します。あわせてチェックしておいてください。
業務委託契約書の主な記載事項
業務委託契約書は、業務範囲や報酬、契約期間などを明確にし、双方の認識違いを防ぐために欠かせません。契約内容が不明確だと、後々のトラブルや未払いなどのリスクにつながる可能性があるためです。
テンプレートを使用する際は、記載事項を把握したうえで利用しましょう。本章では、業務委託契約書に記載すべき以下の項目を解説します。
業務委託契約書の主な記載事項
- 委託業務の内容(どのような業務を行うか)
- 契約期間(契約の有効期間と更新方法)
- 委託料(報酬)(支払額と条件)
- 支払条件・支払時期(報酬の支払い方法とタイミング)
- 秘密保持(業務上の機密情報の取り扱い)
- 成果物の権利(著作権や所有権の取り扱い)
- 再委託(第三者への業務委託の可否)
- 契約解除(解除できる条件と手続き)
- 禁止事項(契約違反となる行為)
- 損害賠償(契約違反時の責任)
- 反社会的勢力の排除(適切な取引相手であることの確認)
不備のある契約書では、双方の認識違いやトラブルの原因となる可能性があります。業務委託契約書に記載すべき基本項目についてしっかり理解しておいてください。
委託業務の内容
契約において業務内容の明確化は最も大切です。業務範囲が不明確な契約書では、委託者と受託者の認識がずれ、受託者においては追加業務の無償対応を求められるリスクがあります。
業務委託契約では雇用契約とは異なるため、本来対応しなくてもよい業務まで責任を取ることにもなりかねません。契約書には、具体的な業務内容を詳細に記載し、不要なトラブルを防ぐことが必要です。
契約書の記載例:
「甲(委託者)は乙(受託者)に対し、以下の業務を委託する。
- Webサイトのデザイン制作(トップページ・下層ページ×5)
- HTML/CSSのコーディングおよびCMS導入
- 納品後、軽微な修正対応(最大3回まで)」
記載時のポイント:
・Webサイト制作などの抽象的な表現ではなく、業務範囲を具体的に記載する
・修正対応の範囲や回数を明記し、無制限の修正対応を防ぐ
・受託者が対応しない業務も明記しておくと、明確な契約になる(例:ドメイン取得、サーバー設定など)
契約期間
主に委任契約/準委任契約の場合、業務委託の契約期間と自動更新の有無について明記します。契約期間を定めておかないと、契約終了のタイミングが不明確となり、業務が継続するかどうかの判断に迷うことがあります。
契約更新が必要な場合でも、手続きを怠ると業務を継続できず、取引の機会損失につながる可能性があります。そのため、契約期間を明確に設定し、自動更新の有無や更新手続きのルールを記載しておくことが大切です。
契約書の記載例:
「本契約の有効期間は、2024年4月1日から2025年3月31日までの1年間とする。契約満了の30日前までに甲乙いずれからも契約更新の申し出がない場合、本契約は終了するものとする。」
委託料(報酬)
報酬の記載があいまいだと、後から減額されたり、未払いのトラブルが発生するリスクがあります。業務委託契約では、雇用契約とは異なり最低賃金の保証がなく、報酬の支払い条件を厳密に定める必要があります。
そのため、報酬の額だけでなく、税の取り扱いや支払方法、追加業務の報酬についても記載することが大切です。
契約書の記載例:
「本契約に基づく業務委託報酬は、総額○○円(消費税別)とする。」
記載時のポイント:
・税別、税込の記載を明確にする
・追加業務の報酬について明記する
・報酬の支払い方法と振込手数料をどちらが負担するかを記載する
支払条件、支払時期
支払条件(検収後、着手時、毎月、請求方法など)と、支払時期(翌月末日など)を定めます。報酬が支払われるタイミングを明確にしておかないと、支払いの遅延や未払いが発生するリスクが増してしまいます。
業務委託契約では給与支払いのようなルールがないため、支払い期日を必ず記載しましょう。支払時期が明確でないと、双方の認識が異なりトラブルにつながるため、契約書に明記することが大切です。
契約書の記載例:
「本契約に基づく報酬の支払いは、検収完了後の翌月末日までに、甲の指定する口座へ振り込むものとする。」
秘密保持
業務委託の過程で開示された情報の秘密保持について記載します。契約業務で知り得た情報の取り扱いを明確にし、情報漏えいリスクを防ぐためです。
業務委託契約では、業務を遂行する過程で委託者の機密情報に触れることがあります。機密情報が外部に漏えいすると、企業の信用を損なうだけでなく、法的な責任問題にも発展しかねません。
契約書には秘密保持の範囲や契約終了後も守るべき事項を明記し、情報漏えいを防ぐ仕組みを作ることが大切です。また、第三者への情報開示を認める場合でも、委託者の事前許可が必要であることを契約書に記載するとよいでしょう。
契約書の記載例:
「乙は、本契約により知り得た甲の業務情報を第三者に開示してはならない。本契約終了後も同様とする。」
成果物の権利
委託された業務の過程で発生した、あるいは成果物そのものの著作権やその他の知的財産権が、委託者か受託者のどちらに帰属するかを定めます。成果物の権利関係を明確にしておかないと、納品後にトラブルが発生することがあります。
契約の際に、著作権譲渡もしくは使用許諾のいずれかを決め、納品後の権利関係を整理する必要があります。
契約書の記載例:
「本契約に基づき制作された成果物の著作権は乙に帰属する。ただし、甲が成果物を利用する場合、乙の許可を得たうえで、甲に対し非独占的な利用許諾を行う。」
記載時のポイント:
・著作権を誰が持つのかを明記する
・商用利用の可否を契約に盛り込む
・改変の可否を明確にする
再委託
受託者が委託された業務の全部、または一部を第三者に再委託することを認めるか否か、また、認める場合の条件を記載します。業務委託契約では、受託者が業務の一部または全部を第三者に再委託する可能性があります。しかし、再委託の場合は品質の低下や責任の所在が不明確になり、トラブルの原因となることがあります。
そのため、契約書には再委託の可否や条件を明確に記載することが大切です。たとえば、再委託を認める場合でも、委託者の許可を得ることや責任の所在は受託者にあることを明記しておくと良いでしょう。
契約書の記載例:
「乙は、本契約の業務を第三者に再委託することはできない。ただし、甲の事前承諾を得た場合に限り、再委託を認める。」
契約解除
委託者や受託者に契約違反が発生した場合の契約解除について定めます。契約を終了する条件や手続きを明確にし、トラブルを防ぐためです。
契約解除の条件があいまいだと、一方的な解除や違約金をめぐるトラブルが発生する可能性があります。契約解除の条項では、契約解除の条件や解除の通知方法などを明記しておきましょう。
契約書の記載例:
「いずれかの当事者が本契約に違反した場合、相手方は30日前に書面で通知することにより契約を解除できる。」
禁止事項
業務を行うにあたり、受託者に禁止すべき内容があれば記載します。契約業務の範囲外での不正行為を防ぎ、契約違反を未然に防ぐためです。
契約を円滑に進めるためには、受託者が守るべきルールを明確にしておくことが大切です。禁止事項を明記しないと、契約の範囲を逸脱した業務を行ったり、契約違反が発生した際の対応が難しくなります。
不正な目的での契約利用や契約期間中の競業禁止など、取引の公正性を保つための禁止事項を明確にしておくと良いでしょう。
契約書の記載例:
「乙は、本契約の目的に反する行為を行ってはならない。また、甲の事前承諾なく、契約業務を第三者へ提供してはならない。」
記載時のポイント:
・契約業務と無関係な行為を行わないよう、禁止事項を明確にする
・競業禁止を設定する場合は、期間と範囲を明記する
・契約違反時のペナルティについても記載し、抑止力を持たせる
損害賠償
委託者や受託者に契約違反があった場合の損害賠償について定めます。契約を締結したにもかかわらず、どちらかが契約を履行しなかったなどの行為によって損害が発生した場合、損害賠償の責任を明確にしておく必要があります。
損害賠償条項があいまいな場合、損害を請求しようとしても根拠が不十分となり、補償を受けられない可能性があるため、注意が必要です。契約内容を履行しない場合の賠償義務や、不可抗力による免責事項を定めておくことで、トラブルを未然に防げます。
契約書の記載例:
「乙が本契約に違反し、甲に損害を与えた場合、乙は甲に対し、当該損害を賠償する責任を負う。ただし、天災その他の不可抗力による場合は、この限りではない。」
記載時のポイント:
・どのような場合に損害賠償請求が発生するのかを明確にする
・賠償範囲を限定し、過大な請求が発生しないようにする
・不可抗力による免責条項を設けることで、天災などの予期せぬリスクを回避する
反社会的勢力の排除
委託者や受託者が反社会的勢力に属している場合や反社会的勢力であることを隠した場合に、契約を解除・解約できる旨を記載します。企業が安心して取引を行うためには、契約相手が取引リスクのない事業者であることを確認する必要があります。
反社会的勢力との関係がある企業と取引をしてしまうと、企業の信用に傷がつくだけでなく、法的責任を問われる可能性もあります。そのため、業務委託契約書には反社会的勢力の排除に関する条項を設け、契約相手が反社会的勢力に関与していないことを明示することが大切です。
また、契約相手がこの条項に違反した場合は、契約解除できるようにしておくとリスクを回避できます。
契約書の記載例:
「甲および乙は、反社会的勢力と一切関わりを持たないことを保証する。万が一、いずれかの当事者が本条に違反した場合、相手方は何らの催告を要せずに契約を解除できるものとする。」
このように業務委託契約書は記載する事項が多いため、作成が手間だと感じた方も多いでしょう。確かに契約の都度作成していると手間です。そのため、契約時に使用する業務契約書をテンプレートとして保存しておくことをおすすめします。
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業務委託契約書の送り方と締結方法|電子契約がおすすめ
業務委託契約書が完成したら契約書を送信しますが、契約書の送信・締結には電子契約がおすすめです。コスト削減や手続きの効率化、改ざん防止や管理の容易さなど、多くのメリットがあります。
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ここでは、実際の操作画面を見ながら、契約の締結方法をお伝えします。
送信する側のフロー
- ログインして「契約書を締結」をクリック
- 「ファイルを選択」から業務委託契約書をアップロードする
- 署名者情報を入力する
- 署名位置を設定する
- 確認して「送信する」をクリック
相手方のフロー
- メールを確認して「文書を確認する」をクリック
- 左側メニューで署名欄を確認し、各箇所に署名を行う
- すべての署名を行ったら「完了する」をクリック
- 手続が完了し、文書のダウンロードが可能になる
あわせて9ステップで解説します。
STEP
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業務委託契約書を作成するときの注意点
業務委託契約書には、業務内容や報酬などの重要な項目が含まれており、契約内容があいまいなまま締結すると、後にトラブルに発展するリスクがあります。双方にとって公平な条件であるか、不利な条項がないかを慎重に確認することが大切です。
また、契約書の内容が実際の業務形態と異なっていないかも確認する必要があります。偽装請負のリスクや下請代金支払遅延等防止法(下請法)への違反とならないよう、法的リスクのない契約内容を整えることが求められます。以下では、契約作成時に注意すべきポイントを解説します。
偽装請負にならないようにする
業務委託契約の形態が偽装請負とみなされると、労働基準法違反などの法的リスクが発生する可能性があります。偽装請負とは、本来は独立した事業者である受託者に対し、雇用関係と同じような指示・命令を行うことで、実態として雇用契約と同じ扱いをしてしまうケースを指します。
たとえば、アプリの開発を委託するという契約を締結したにもかかわらず、以下のような条件を設けたとします。
- 業務時間を指定
(9:00〜18:00の間、オフィスで作業するなど)
- 業務の進め方を細かく指示
(タスクの優先順位や業務フローを細かく指示するなど)
- 受託者が委託者の指示なしに業務を進められない
(逐一報告を求めるなど)
この場合、実態は雇用契約と同じとみなされ、偽装請負と判断される可能性があります。このようなリスクを防ぐためには、受託者の業務遂行の自由を確保し、業務時間や業務フローを細かく指示しないことが大切です。
契約の際は、業務を成果物ベースで定めたり、委託者が受託者の業務フローに過度に関与しない内容であることを確認しましょう。
下請法に違反しない内容にする
業務委託契約を締結する際、取引の内容や当事者の資本金規模によっては、下請代金支払遅延等防止法(下請法)の適用を受ける可能性があります。委託者(親事業者)の資本金が大きく、受託者(下請事業者)の資本金が小さい場合、下請法の規制対象になる可能性があるためご注意ください。
たとえば、資本金が3億円を超える企業が、資本金3億円以下の企業や個人事業主に対して製造や修理、情報成果物の作成、役務提供を委託する場合などが該当します。(参考:公正取引委員会)
下請法が適用される場合、委託者は委託時に3条書面と呼ばれる書面を受託者に交付する義務があります。この書面には、委託内容、下請代金の額、支払期日、支払方法など、法令で定められた項目を明記しなくてはなりません。
(書面の交付等)
第三条 親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、直ちに、公正取引委員会規則で定めるところにより下請事業者の給付の内容、下請代金の額、支払期日及び支払方法その他の事項を記載した書面を下請事業者に交付しなければならない。ただし、これらの事項のうちその内容が定められないことにつき正当な理由があるものについては、その記載を要しないものとし、この場合には、親事業者は、当該事項の内容が定められた後直ちに、当該事項を記載した書面を下請事業者に交付しなければならない。
引用:下請代金支払遅延等防止法|e-GOV法令検索
法律に準拠した契約書の作成は、双方の信頼関係を築き、トラブルを未然に防ぐために大切です。不明な点や不安がある場合は、社内の法務担当や弁護士への相談をおすすめします。
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下請法とは? 元請け側、下請け側それぞれの義務や元請側の禁止事項も詳しく解説
IT関連業界や製造業などでは元請けと下請けと呼ばれる関係性が存在します。 下請業者に仕事を請け負わせることで、元請業者は規模が大きな仕事を遂行できます。元請業者...
契約書内容に法的リスクがないか確認する
契約書の内容に不備があると、後から法的トラブルが発生する可能性があります。契約を締結する前に以下のポイントを確認しておくことが大切です。
- 契約内容が明確か
(業務内容・報酬・納期が明記されているか)
- 不利な条項が含まれていないか
(一方的な契約解除権など)
- 法的リスクを考慮した条項があるか
(損害賠償・秘密保持など)
- 契約相手の信用を確認したか
(反社会的勢力の排除など)
- 専門家のチェックを受けたか
(社内の法務担当や弁護士に相談したか)
契約の法的リスクを回避するためには、契約書の内容を細かくチェックすることが欠かせません。業務内容や報酬、契約解除の条件が適正であるかを確認し、一方的に不利な条件になっていないかを慎重に見極めることが大切です。
不安な場合は、社内の法務担当や弁護士に相談し、専門的な視点で契約の妥当性を判断してもらうことをおすすめします。
業務委託契約書についてのQ&A
業務委託契約書は紙での発行が必要?
業務委託契約は、必ずしも紙で残す必要はありません。双方の合意があれば、電子契約での締結も可能です。
紙での業務委託契約書は、契約の内容や期間、契約金額などによって、収入印紙が必要な場合がありますが、電子契約では印紙が不要です。そうしたメリットもあり、近年では電子契約を導入する事業者も増えています。
業務委託契約書に収入印紙は必要?
請負契約に関する業務委託契約に契約金額が記載されている場合は、印紙税法の第2号文書に該当するため、収入印紙の貼付が必要です。第2号文書の印紙税の額は、契約金額に応じて変わりますので国税庁のHPをご確認ください。
ただ、印紙税は「契約書」(契約の書かれた紙)にかかる税金であり、電子契約の場合は電子データにあたるため印紙税はかかりません。
業務委託契約書を多く交わす場合は、電子契約の導入も検討することをおすすめします。
業務委託契約書に割印や契印は必要?
割印や契印の有無は、契約書の効力そのものへの影響はありませんが、契約書の改ざんを防ぐ目的で押されます。割印も契印も契約者双方の押印が必要です。
電子契約の場合は、電子署名やタイムスタンプを付与することで、割印や契印と同じように契約書の改ざんを防止できます。
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契約書に押す印鑑に「割印」があります。これは、どのような場面で押すものなのでしょうか。ここでは、割印を押す場面やその理由とともに、ビジネスでよく使われるもの...
業務委託契約書の締結後に内容を変更・修正したい場合はどうすればよい?
契約内容を変更、修正する場合は変更内容を定めた覚書(変更契約書)を作成し、締結します。覚書を締結した場合、業務委託契約書を作り直す必要はありません。覚書の締結後は、もともとの業務委託契約書とセットで保管しておきましょう。
なお、覚書に記載する内容が課税文書に該当する場合、収入印紙を貼付する必要がありますが、電子契約の場合は不要です。
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単発の取引でも業務委託契約書を交わすべき?
単発の取引か継続かに関わらず、高額な取引や業務上の重要度が高い取引の場合には、原則的に業務委託契約を締結し、書面に残しましょう。業務委託契約書がない場合、契約内容について相手との齟齬が発生すると、トラブルに発展することが考えられます。
ただし、実務的に業務委託契約を締結するのが効率的でない場合、必要な事項を記載した発注書のみを交付するといったケースもあります。
業務委託契約書の作成は義務?
業務委託契約書の作成は法律上の義務ではありませんが、契約内容を明確にするために作成をおすすめします。
業務委託契約は口頭契約でも成立するため、法律上、契約書の作成義務はありません。(民法第522条)
しかし、契約内容が書面で残っていないと、万が一トラブルが発生した際に証拠がなく、権利を主張できないリスクがあります。
また、2024年11月に施行されたフリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)により、一定の取引では契約内容の明示が義務化されました。
そのため、業務委託契約においても、契約書の作成が実質的に必須の流れとなっています。
書面での契約と電子契約はどちらがよい?
契約の利便性・コスト・管理のしやすさを考えると、電子契約がおすすめです。書面契約と電子契約の主な違いは以下のとおりです。
スクロールできます
比較項目 | 書面契約 | 電子契約 |
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法的証拠力 | 紙に押印を行う | PC・スマホで電子署名を行う |
印紙税 | 必要(契約内容による) | 不要 |
契約締結のスピード | 郵送や対面のため数日を要する | オンライン上で即時締結可能 |
保管方法 | 紙の原本をファイリング | データで管理、検索が容易 |
コスト | 印刷・郵送費・保管コストがかかる | 電子契約サービス利用料のみ (無料プランもあり) |
電子契約は契約締結のスピードが大幅に短縮されることにくわえ、印刷や収入印紙の入手、郵送の手間やコスト削減につながります。また、契約書をデータ管理できるため検索や管理が簡単になり、業務工率の改善も図れます。
業務委託契約書はあいまいな記載を避け、入念に確認しよう
業務委託契約書に記載する内容はすべて重要であり、あいまいな表現はトラブルの原因になります。業務の範囲、報酬、契約解除条件などの項目を具体的に記載し、双方の認識にズレが生じないようにすることが大切です。
契約書を自社で作成する場合に法的な問題がないかの判断が難しい場合は、社内の法務担当や弁護士に相談することをおすすめします。
また、業務委託契約書を頻繁に取り交わす場合は、電子契約サービスの導入がおすすめです。業務委託契約は電子契約で締結すると、収入印紙の貼付が不要になるため、コスト削減のメリットもあります。毎回使う契約書をテンプレートで登録しておき、使用する場合は選択して送信をするだけで済みます。
電子契約を活用すれば、契約締結のスピードが向上し、契約書の保管や検索もかんたんになります。契約管理を効率化したい方は、電子契約サービスの導入を検討してみてください。
電子印鑑GMOサインには無料のお試しプランがあり、毎月5通の契約書が無料で送信できます。一度に複数の契約書を送信できる点や、フォルダ機能で一元管理できるといった利便性の高さも特徴です。
電子契約に踏み出せない経営者や、法的な要件やリスクに不安がある個人事業主に向けて、導入支援サポートも用意されているので、ぜひこの機会に試してみてはいかがでしょうか。