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一軒家やマンションなど、物件の購入は人生における大きなイベントのひとつです。購入に際しては、多額の資金が必要となるため、住宅ローンを組む場合がほとんどです。
しかし、住宅ローンの契約書には、印紙税が必要となる場合もあり、印紙税の仕組みについて正しく理解しておかなければなりません。また、正しく納付できていなければ相応のペナルティも発生します。
印紙税納付の問題を回避するためには、印紙税について正しい知識を身につけておく必要があります。当記事では、住宅ローンの契約にかかる印紙税について、概要や金額毎の印紙代などを紹介します。
住宅ローンとは、住宅を購入する際に金融機関から借り入れる金融商品です。新築・中古問わず、住宅の購入には何千万という資金を要する場合が多いですが、一括で支払うことは困難です。そのため、住宅ローンを使った分割返済の仕組みを利用して住宅を購入することが多くなっています。購入に必要な資金を一時的に借りる手段が、住宅ローンというわけです。
住宅ローンは銀行などの金融機関と契約する形となりますが、借りたお金には金額や期間に応じた相応の利子がかかるシステムになっています。支払いがいくらになるのかはそれぞれ異なるため、自身の収入や家計の状況を鑑みたうえで無理なく返済できるプランを考えて契約することが望ましいです。住宅ローンの契約には職業や収入、健康状態などの審査があるため、高額な借入金の返済能力があるかどうかを厳正に判断されます。
印紙税とは、契約書や領収書・手形などの経済取引に対して作成される文書に課される税金のことを指します。文書にかかる印紙税は印紙税法によって金額が定められており、それぞれの金額に応じた収入印紙を貼付することで納付の証明を行います。文書ごとに必要な収入印紙も異なってくるため、印紙税の仕組みについて正しく理解したうえで文書を作成する必要があります。
税務調査では、取引で交わされた契約書類も確認されるため、収入印紙が貼られていなければすぐに印紙税の未納が発覚します。印紙税の納付対象であるにもかかわらず未納であった場合は、過怠税が課せられるので要注意です。住宅ローンの契約に際して作成される契約書は、印紙税法における第1号文書である金銭消費貸借契約書 に該当するため、印紙税の納付義務が発生します。
ローン借り入れの際にかかる事務取扱手数料や、保証料以外にもこうしたお金が発生する場合もあるため、あらかじめ頭に入れておきましょう。
印紙税として納める金額は、対象の契約書に記載されている金額に応じても変動します。金額によっては非課税となる場合もありますが、住宅ローンでこのケースに当てはまることはほぼありません以下に、金銭消費貸借契約書が該当する第1号文書にかかる印紙代を紹介します。
引用元:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
号 文書の種類 印紙税額(1通または1冊につき) 1 [不動産、鉱業権、無体財産権、船舶もしくは航空機または営業の譲渡に関する契約書]
不動産売買契約書、不動産交換契約書、不動産売渡証書など(注) 無体財産権とは、特許権、実用新案権、商標権、意匠権、回路配置利用権、育成者権、商号および著作権をいいます。
[地上権または土地の賃借権の設定または譲渡に関する契約書]
土地賃貸借契約書、土地賃料変更契約書など
[消費貸借に関する契約書]
金銭借用証書、金銭消費貸借契約書など
[運送に関する契約書(傭船契約書を含む。)]
運送契約書、貨物運送引受書など(注) 運送に関する契約書には、傭船契約書を含み、乗車券、乗船券、航空券および送り状は含まれません。記載された契約金額が
1万円未満(※) 非課税
10万円以下 200円
10万円を超え50万円以下 400円
50万円を超え100万円以下 1千円
100万円を超え500万円以下 2千円
500万円を超え1千万円以下 1万円
1千万円を超え5千万円以下 2万円
5千万円を超え1億円以下 6万円
1億円を超え5億円以下 10万円
5億円を超え10億円以下 20万円
10億円を超え50億円以下 40万円
50億円を超えるもの 60万円
契約金額の記載のないもの 200円
※ 第1号文書と第3号文書から第17号文書とに該当する文書で第1号文書に所属が決定されるものは、記載された契約金額が1万円未満であっても非課税文書となりません。
(注) 平成9年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成される不動産の譲渡に関する契約書のうち、契約書に記載された契約金額が一定額を超えるものについては、税率が軽減されています(平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成されるものについてはコード7108「不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」をご利用ください。)。
上記表にある通り、1万円未満の文書については印紙税が非課税となります。住宅ローン契約書の場合は、借り入れ金額が500万円を超えるケースも多いため、少なくとも1万円以上の印紙税額が必要であるという認識は持っておいた方がよいでしょう。
印紙税は、課税文書を作成した時点で納税義務が発生します。収入印紙の貼付漏れや、金額に相当する収入印紙を貼っていなかったことが判明した場合は、ペナルティとして過怠税がかかるため注意が必要です。過怠税は納付漏れの印紙税額にくわえて、印紙税額の2倍に相当する金額が徴収されます。つまり、印紙税額の3倍の過怠税を支払わなければなりません。金銭消費貸借契約書における印紙税のペナルティでは多大な損害となってしまうため、気をつけておきましょう。
住宅ローンの契約に必要な書類は金銭消費賃借契約書以外にもいくつかあり、その中でも印紙税が発生する可能性のある書類が抵当権設定契約書です。これは建物や土地に抵当権を設定する際に交わす契約書で、住宅ローンの返済が滞った場合の担保として作成されます。
抵当権設定契約書は、本来課税対象文書ではありませんが、住宅ローン契約として作成される場合は課税対象となり、収入印紙を貼り付ける必要があります。この場合の抵当権設定契約書は第15号文書に該当し、以下の印紙税額が課せられます。
引用元:印紙税額一覧表|国税庁
番号 文書の種類(物件名) 印紙税額(1通又は1冊につき) 主な非課税文書 15 債権譲渡又は債権引受けに関する契約書 記載された契約金額が1万円以上のもの 200円
契約金額の記載のないもの 200円記載された契約金額が1万円未満のもの
上記表の通り、契約金額が1万円以上のものと契約金額の記載がないものは200円、そして契約金額が1万円未満のものについては非課税になります。金銭消費賃借契約書にかかる印紙税額に比べると少額ではありますが、課税対象であることは忘れずに覚えておきましょう。
住宅ローンは、契約方法によって印紙代が変わる点にも注意しなければなりません。厳密には、印紙代がかかる書類が増える点に気を付ける必要があります。たとえば、固定金利や変動金利を組み合わせた住宅ローン契約の場合は、必要となる住宅ローン契約書が2通になります。その場合は、それぞれの契約書記載の金額に応じた収入印紙を貼り付ける必要が出てくるため、2枚分の印紙代を支払わなければなりません。契約書の数だけ収入印紙を用意しなければならないことを覚えておきましょう。
住宅購入の場合は、前述の書類にくわえて不動産売買契約書も交わすことになります。しかし、こちらの文書については租税特別措置法によって軽減税率が適用されています。
対象となる不動産売買契約書は、記載金額が10万円を超えるものかつ、平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成されたものになります。軽減税率対象になる不動産売買契約書にかかる印紙税額は以下の通りです。
引用元:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置|国税庁
契約金額 本則税率 軽減税率 10万円を超え 50万円以下のもの 400円 200円 50万円を超え 100万円以下のもの 1千円 500円 100万円を超え 500万円以下のもの 2千円 1千円 500万円を超え1千万円以下のもの 1万円 5千円 1千万円を超え5千万円以下のもの 2万円 1万円 5千万円を超え 1億円以下のもの 6万円 3万円 1億円を超え 5億円以下のもの 10万円 6万円 5億円を超え 10億円以下のもの 20万円 16万円 10億円を超え 50億円以下のもの 40万円 32万円 50億円を超えるもの 60万円 48万円
このように、高額の契約金額であれば数万円単位でコストが削減されます。期間と金額の条件を満たしている不動産売買契約書は軽減税率が適用されて減額されることはよく覚えておきましょう。
契約書記載の金額に応じて収入印紙が必要なのは、契約書が書面で交わされる場合です。最近は電子上で取引を完結できる電子契約サービスも普及していますが、この電子契約で交わされる契約書は印紙税が課税されません。これは、印紙税の課税対象となる文書は書面が該当するとの定義があるからです。
印紙税法上の「契約書」とは、印紙税法別表第一の「課税物件表の適用に関する通則」の5において、「契約の成立若しくは更改又は契約の内容の変更若しくは補充の事実を証すべき文書をいい、念書、請書その他契約の当事者の一方のみが作成する文書又は契約の当事者の全部若しくは一部の署名を欠く文書で、当事者間の了解又は商慣習に基づき契約の成立等を証することとされているものを含むものとする。」と規定されている。
引用元:(別紙)|国税庁
また、印紙税法に規定する課税文書の「作成」とは、印紙税法基本通達第44条により「単なる課税文書の調製行為をいうのでなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう」ものとされ、課税文書の「作成の時」とは、相手方に交付する目的で作成される課税文書については、当該交付の時であるとされている。
上記規定に鑑みれば、本注文請書は、申込みに対する応諾文書であり、契約の成立を証するために作成されるものである。しかしながら、注文請書の調製行為を行ったとしても、注文請書の現物の交付がなされない以上、たとえ注文請書を電磁的記録に変換した媒体を電子メールで送信したとしても、ファクシミリ通信により送信したものと同様に、課税文書を作成したことにはならないから、印紙税の課税原因は発生しないものと考える。
ただし、電子メールで送信した後に本注文請書の現物を別途持参するなどの方法により相手方に交付した場合には、課税文書の作成に該当し、現物の注文請書に印紙税が課されるものと考える。
他にも、電子契約はインターネット上のやり取りで取引を完結させられるため、手続きについて対面で行う必要はありません。また、郵送の手間や署名や捺印といった作業の手間なども不要になるメリットがあります。電子契約には、有料のサービスがありますが、住宅ローン契約書にかかる印紙税額に比べると圧倒的にコストは削減できます。
電子契約サービスには多くのメリットがあり、住宅ローンをはじめ、さまざまな契約書面の電子化に役立ちます。しかし、長く使い続ける場合はコスト面が懸念されます。
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金銭消費貸借契約書には、確定日付の付与を行うことが多々あります。
※主に住宅ローン契約時など
確定日付とは?
出典:日本公証人連合会
確定日付とは、文字どおり、変更のできない確定した日付のことであり、その日にその証書(文書)が存在していたことを証明するものです。公証役場で付与される確定日付とは、公証人が私書証書に日付のある印章(確定日付印)を押捺した場合のその日付をいいます。
確定日付取得は電子契約によって契約を締結した場合にも行うことが可能で、各公証役場および電子確定日付センターで申請を受け付けています。手続きが完了した電子データは、XMLファイル、XSLファイルおよびPDFファイルが一つにまとまった電子公文書(zipファイル)として返送されます。
このzipファイルの一部を取り出したり、フォルダ名やファイル名を変更したりすると、電子公文書としての有効性が失われるため注意しなければなりません。
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住宅ローンを借り入れる場合は、と大きな金額になるケースが多いです。少しでもコストを抑えるために、契約書にかかる印紙税の仕組みを理解することが大切です。住宅ローン以外でも、取引に関する書類のほとんどは、金額に応じた印紙税の課税対象になります。その際、該当する収入印紙を正しく貼付し、申告漏れによるペナルティが発生しないよう努めましょう。
紙の契約書では、手間や申告漏れのリスクもある印紙税ですが、電子契約であれば非課税となり、大幅にコストをカットできます。電子契約サービスには、利用料や契約期間などのさまざまな条件があるため、自身の利用用途に応じて最適なサービスを選ぶようにしましょう。
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