住宅の購入に際して、住宅ローンを利用するケースは多いです。住宅ローンは、自身の収入やライフスタイルに合わせて無理のない返済プランを組むことが大切ですが、金額面以外でも手続きの手間などさまざまな懸念点が考えられます。
今回は、住宅ローンで必要となる契約書について、種類やそれぞれの詳細を紹介します。手続きに必要なものや、契約書を作成する際におすすめのサービスについても解説します。住宅ローンの契約を近々控えている予定の方や検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
住宅ローンの契約とは?
住宅ローンとは、住宅購入の際に必要となる資金を金融機関から借り入れる仕組みのことを指します。基本的に新築・中古問わず物件を購入するとなると、数百万〜数千万円の資金が必要となることがほとんどです。この大金を一括で支払えるケースは通常少なくなっています。そのため、住宅ローンにより物件を購入して、借入金を毎月少しずつ金融機関へ返済していくことになります。これが住宅ローンの大まかな仕組みです。
住宅ローンは金融機関からの借り入れのため、元金の返済だけでなく、利息の支払いも必要です。借り入れる期間が長いほど利息も増える傾向にあるため、自身や家族の状況などを冷静に分析したうえで住宅ローンを組むことが大切です。住宅ローンの契約は多額の資金を借り入れる取引となります。そのため、双方の認識に齟齬がないよう、事前によく話し合ったうえで締結しなければなりません。
住宅ローン契約書の種類
住宅ローンの契約には、住宅ローン契約書が必要です 。状況によって異なりますが、住宅ローンの借入額は、時に数千万円単位にもなります。そのため、金融機関はトラブルによる多大な損害を被らないよう、契約書を使った厳重な契約締結を行います。
住宅ローン契約書にはいくつか種類があるため、それぞれの契約書について以下で詳しく見ていきましょう。各契約書でどのような契約を締結することになるのかを事前に理解しておき、大きなトラブルを引き起こさないよう努めましょう。
金銭消費貸借契約書
住宅ローンの契約時に、お金を貸す金融機関側の貸主と借りる側である借主が締結する契約で作成されるのが、金銭消費貸借契約書です。契約書内には借入額をはじめ、金利・割合、変動金利か固定金利の別、返済期間などの情報が細かに記載されています。また貸主や借主の情報、返済が遅れた場合の遅延損害金の支払額などもこちらに記載されており、物件購入にかかわる非常に重要な契約書です。
抵当権設定契約書
住宅ローンを組んだにもかかわらず、借主に返済能力がなくなる場合もあり得ます。そのような場合に備え、建物や土地を担保とする抵当権の設定を行う「抵当権設定契約書」を作成する場合があります。これは金融機関側が大きな損害を被らないように保証された権利で、特に住宅ローンのような多額の資金が必要な場面では 設定されることが多くなっています。
保証委託契約書
保証委託契約書は、保証会社と契約する際に必要となる契約書です。借主が返済不能に陥った場合、保証会社が住宅ローンを代わりに返済する代弁決済と呼ばれる仕組みが存在します。
代位弁済は、あくまで保証会社が一時的に住宅ローンを立て替えるだけです。そのため、借主は後日保証会社に委託分の金額を返済することになります。契約書には、保証会社の委託範囲や保証料、詳細な契約内容について記載されています。いずれの契約書も一度作成された後は原則内容の変更はできません。内容に誤りがないかを念入りに確認し、不明点は相手側に確認をとって明確にしておきましょう。
住宅ローンの契約に必要なもの
住宅ローンの契約時には上記の契約書はもちろん、本人・連帯保証人・担保提供者いずれかの本人確認書類や印鑑登録証明書、実印などが必要になります。また、印紙税納付のための収入印紙や入金口座になる通帳も必要なため、忘れずに準備しましょう。また、後述する電子契約においてはこれら書類が不要となるケースもあります。
住宅ローンの契約時に注意すべきポイント
住宅ローンの契約時は、さまざまな点に注意しなければなりません。物件そのものはもちろん、多額の資金がかかわる取引であるため、双方の認識の違いなどでトラブルが起こるケースも少なくはありません。
契約書に記載されている内容や、意識すべきポイントについて以下にまとめています。
借入金の使途目的
借入金の使途目的が、契約書に正しく記載されているかを確認しておきましょう。住宅ローンである以上は、住宅の建築や購入のための借り入れであることは明白です。しかし、これらの目的で融資を受けることが、書類に明記されているかもしっかりチェックしなければなりません。
借入金の総額と返済日・返済方式など
借入金の総額と毎月・最終の返済日、返済方式について、間違いなく記載されているかを確認しましょう。返済方式は毎月の返済額が一定になる元利均等返済なのか、それとも将来的な返済額が少なくなっていく元金均等返済であるのか、自身で決めたプランが明記されているかを確認します。特に、借入金の総額については誤りがないかよく確認する必要があります。
約款の確認
約款とは、その契約で定められている条項をまとめたものです。住宅ローンにかかわる契約書には、借り入れ対象となる金融機関の住宅ローン規定が記載されています。延滞損害金や繰上げ返済についてなど、大切な項目が記載されているため、必ず目を通して不明点は都度の質問で解消しておきましょう。
控えは厳重に保管する
住宅ローンの契約に限った話ではないですが、契約書の控えは厳重に保管しておきましょう。住宅ローンの契約書の場合は、金融機関と借主がそれぞれで控えを保管する形になります。万が一問題が起こった場合に確認できる重要な書類になるため、厳重に保管して紛失しないように気を付けておきましょう。
紙の契約書の管理は、枚数が増える毎に手間が増える傾向にあります。管理方法が甘いと紛失以外にも汚損や破損となるケースが少なくありません。大事な時にいつでも綺麗な状態で見直せるよう、保管しておきましょう。
契約書が紙面の場合は印紙税の課税対象
住宅ローンの契約書として交わされる書類には、印紙税がかかります。印紙税とは、契約書などの取引にかかわる文書として作成されるものに課せられる税金です。印紙税法によって金額が定められており、それぞれの金額に応じた収入印紙を文書に貼り付けることで納付が証明されます。
住宅ローンにかかわる文書は、種類によって印紙税額に違いがあります。たとえば、金銭消費貸借契約書は印紙税法で定められる第1号文書であるため、契約金額に応じて以下の印紙税が課税されます。
号 | 文書の種類 | 印紙税額(1通または1冊につき) |
---|
1 | [不動産、鉱業権、無体財産権、船舶もしくは航空機または営業の譲渡に関する契約書] 不動産売買契約書、不動産交換契約書、不動産売渡証書など(注) 無体財産権とは、特許権、実用新案権、商標権、意匠権、回路配置利用権、育成者権、商号および著作権をいいます。 [地上権または土地の賃借権の設定または譲渡に関する契約書] 土地賃貸借契約書、土地賃料変更契約書など [消費貸借に関する契約書] 金銭借用証書、金銭消費貸借契約書など [運送に関する契約書(傭船契約書を含む。)] 運送契約書、貨物運送引受書など(注) 運送に関する契約書には、傭船契約書を含み、乗車券、乗船券、航空券および送り状は含まれません。 | 記載された契約金額が 1万円未満(※) 非課税 10万円以下 200円 10万円を超え50万円以下 400円 50万円を超え100万円以下 1千円 100万円を超え500万円以下 2千円 500万円を超え1千万円以下 1万円 1千万円を超え5千万円以下 2万円 5千万円を超え1億円以下 6万円 1億円を超え5億円以下 10万円 5億円を超え10億円以下 20万円 10億円を超え50億円以下 40万円 50億円を超えるもの 60万円 契約金額の記載のないもの 200円
※ 第1号文書と第3号文書から第17号文書とに該当する文書で第1号文書に所属が決定されるものは、記載された契約金額が1万円未満であっても非課税文書となりません。 (注) 平成9年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成される不動産の譲渡に関する契約書のうち、契約書に記載された契約金額が一定額を超えるものについては、税率が軽減されています(平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成されるものについてはコード7108「不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」をご利用ください。)。 |
引用元:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
このように契約書記載の金額が1万円未満の場合は非課税、1万円以上の契約書や、金額の記載がない契約書はすべて課税対象になっています。また、抵当権設定契約書は原則課税文書に該当しませんが、住宅ローンの契約時に作成される場合は、印紙税がかかることがあります。その場合の抵当権設定契約書は、第15号文書に該当しており、かかる印紙税額は以下のようになります。
番号 | 文書の種類(物件名) | 印紙税額(1通又は1冊につき) | 主な非課税文書 |
---|
15 | 債権譲渡又は債権引受けに関する契約書 | 記載された契約金額が1万円以上のもの 200円 契約金額の記載のないもの 200円 | 記載された契約金額が1万円未満のもの |
引用元:印紙税額一覧表|国税庁
金銭消費賃借契約書に比べると印紙税額は少額ではあるものの、印紙税がかかることは覚えておきましょう。印紙税は収入印紙の貼付漏れや、金額に対応した収入印紙の貼付がない場合は未納扱いとなってしまい、過怠税のペナルティが課せられます。過怠税は本来払うべき印紙税と、その印紙税額の2倍の金額、つまり計3倍の印紙税を支払うことになります。住宅ローンにかかる印紙税は決して安い金額ではないため、未納とならないよう注意しておきましょう。
住宅ローンの契約書にかかわらず、印紙税はどの文書にいくら課せられるのかを予め調べておきましょう。事前に調べることで、正しい収入印紙の貼付につながり、未納を防ぐことが可能です。
面倒な手続きには電子契約がおすすめ
住宅ローンの契約には、重要事項が記載された控えの厳重な保管や、正確な印紙税の納付など懸念点が多いです。そのような場合は、紙面ではなく電子契約サービスを利用して契約書を作成することをおすすめします。
電子契約サービスでの契約書作成には、いくつかのメリットがあります。
たとえば、電子契約で作成された契約書では印紙税は課せられないため、コストを抑えられます。これは、印紙税が課せられるのは紙面の文書であると定義されているからです。住宅ローンのような契約金額が大きい契約書は、印紙税も高くなるため、電子契約に切り替えることでそのコストを大幅に削減できます。また、書類の管理も電子上で可能となるため、紙の書面に比べて管理の手間が省けることも大きな特徴です。
住宅ローン関連の契約書はもちろん、仕事でさまざまな契約書を作成する方は、書類の管理に苦労しているかもしれません。紙での管理は枚数が増えるほど紛失のリスクも高くなりますが、データとして一元管理できればその心配もありません。管理が楽になれば、今まで管理に割いてきたリソースを他の作業や手続きに充てられるため、効率化や時間の節約にもつながります。このように、コスト削減や管理のしやすさといった点で電子契約サービスの利用にはメリットが多いため、積極的に導入を検討しましょう。
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金銭消費貸借契約書には、確定日付の付与を行うことが多々あります。
※主に住宅ローン契約時など
確定日付とは?
確定日付とは、文字どおり、変更のできない確定した日付のことであり、その日にその証書(文書)が存在していたことを証明するものです。公証役場で付与される確定日付とは、公証人が私書証書に日付のある印章(確定日付印)を押捺した場合のその日付をいいます。
出典:日本公証人連合会
確定日付取得は電子契約によって契約を締結した場合にも行うことが可能で、各公証役場および電子確定日付センターで申請を受け付けています。手続きが完了した電子データは、XMLファイル、XSLファイルおよびPDFファイルが一つにまとまった電子公文書(zipファイル)として返送されます。
このzipファイルの一部を取り出したり、フォルダ名やファイル名を変更したりすると、電子公文書としての有効性が失われるため注意しなければなりません。
そこでGMOサインでは、電子公文書をzipファイルのまま本来の契約書データと紐づけて一元管理できる「補足資料ファイルのアップロード機能」を提供しています。
電子契約サービスによってはzipファイルの保管に対応していないケースもあります。これまで電子契約利用時にzipファイルを別途保管しなければならない点が不便だと感じていた方は、ぜひこの機会に電子印鑑GMOサインをご検討ください。
コスト削減に大いに役立つ「GMOサイン」
電子契約サービスの利用を検討する方には、あらゆるシーンで利用できるGMOサインをおすすめします。
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もしサービスの利用時に困った場合でも、有人チャットや電話による対応、導入者向けのウェビナー、解説動画などさまざまなサポートが充実しています。十分な機能を利用するには月額費用がかかるものの、住宅ローンの契約書に必要な印紙税と比べれば、はるかにコストパフォーマンスに優れているといえるでしょう。
導入を検討する場合、まずは無料のお試しフリープランを利用してみましょう。実際に使用したうえで、有料プランへの入会をご検討ください。
※導入企業数は「電子印鑑GMOサイン(OEM商材含む)」を利用した事業者数(企業または個人)。1事業者内のユーザーが複数利用している場合は1カウントとする 。自社調べ( 2023年7月末)
※電子署名およびタイムスタンプが付与された契約の送信数(タイムスタンプのみの契約を除く。電子署名法の電子署名の要件より)。自社調べ( 2023年8月)
住宅ローンの契約書は電子契約によるコスト削減がおすすめ
多額の資金を借り入れることになる住宅ローンの契約書は、契約を交わす前に記載事項の入念な確認や、契約後の管理を徹底しなければなりません。また印紙税の課税対象であるため、契約金額が高いほど払う税金も増加してしまいます。書類の確認や管理が容易なうえ、印紙税のコスト削減も可能な電子契約サービスを利用した契約書の作成をおすすめします。
どの電子契約サービスを利用するかお悩みの方は、数多くの導入実績もありコストパフォーマンスの良さからもおすすめできるGMOサインの導入を検討してください。当記事で紹介したそれぞれの契約書や印紙税の仕組みについて理解したうえで、最適な選択ができるよう努めましょう。