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締結した契約内容を変更する場合、内容の変更が反映された変更契約書を作成する必要があります。しかし、変更契約書にも収入印紙を貼り付ける必要はあるのでしょうか?
そこで本記事では、変更契約書に収入印紙を貼り付ける必要性について詳しく解説します。
変更契約とは、すでに取り決めた契約の内容を当事者の合意に基づき変更する行為です。主に覚書や念書などの書類で変更した旨を記録します。
印紙税法の基本通達別表では、契約の変更に関する定義は以下のように記載されています。
通則5に規定する「契約の内容の変更」とは、既に存在している契約(以下「原契約」といいます。)の同一性を失わせないで、その内容を変更することをいいます。この場合において、原契約が文書化されていたか、単なる口頭契約であったかは問いません。
引用元:変更契約書|国税庁
つまり、変更契約は元の契約をベースにして一部の内容を変更する行為です。ただし、口約束でも変更契約が成立する点に注意しましょう。
変更契約が行われる場合には、覚書や念書などの変更契約書が作成されます。しかし、口約束でも変更契約は成立するのになぜ作成する必要があるのでしょうか?
その理由は以下の通りです。
・当事者間の合意があった事実を明確にする
・元の契約との同一性を確認する
・契約変更に法的効力を付与する
まず変更契約書は契約当事者が合意した事実を明確にするために作成されます。文書で変更契約が適法になされた旨を記録して、トラブルや紛争を防止する目的があります。
また元の契約との同一性があることを確認するためにも作成されます。別の契約や新しい契約が締結されたのではなく、元の契約の一部を変更してその内容を履行することをチェックするために作られるのです。
さらに覚書や念書などは法的効力のある書類です。変更契約が適法になされたことを証明するために、契約変更書が作成されるのです。
変更契約を行う際に、収入印紙を貼付する必要があるかどうかはケースバイケースです。結論からお伝えしますと、契約書の中でも「重要事項」を変更する場合には収入印紙を貼り付ける必要があるとされています。
本章では、「重要事項」について詳しく解説します。
契約書で収入印紙が必要になるのは、課税文書に限られます。変更契約書では、原契約書における重要事項を変更する場合に課税文書に該当します。その際には、決められた金額の収入印紙を貼り付けなければなりません。
「覚書」や「念書」等の表題を用いて、原契約書の内容を変更する文書を作成する場合がありますが、これらの文書(以下「変更契約書」といいます。)が課税文書に該当するかどうかは、その変更契約書に「重要な事項」が含まれているかどうかにより判定することとされています。
すなわち、原契約書により証されるべき事項のうち、重要な事項を変更するために作成した変更契約書は課税文書となり、重要な事項を含まない場合は課税文書に該当しないことになります。
引用元:No.7127 契約内容を変更する文書|国税庁
また重要事項の具体例は、基本通達別表第2で以下のように記載されています。
引用元:別表第2 重要な事項の一覧表|国税庁
- 1 第1号の1文書
第1号の2文書のうち、地上権又は土地の賃借権の譲渡に関する契約書
第15号文書のうち、債権譲渡に関する契約書(1) 目的物の内容
(2) 目的物の引渡方法又は引渡期日
(3) 契約金額
(4) 取扱数量
(5) 単価
(6) 契約金額の支払方法又は支払期日
(7) 割戻金等の計算方法又は支払方法
(8) 契約期間
(9) 契約に付される停止条件又は解除条件
(10) 債務不履行の場合の損害賠償の方法
- 3 第1号の3文書
(1) 目的物の内容
(2) 目的物の引渡方法又は引渡期日
(3) 契約金額(数量)
(4) 利率又は利息金額
(5) 契約金額(数量)又は利息金額の返還(支払)方法又は返還(支払)期日
(6) 契約期間
(7) 契約に付される停止条件又は解除条件
(8) 債務不履行の場合の損害賠償の方法
- 4 第1号の4文書
第2号文書(1) 運送又は請負の内容(方法を含む。)
(2) 運送又は請負の期日又は期限
(3) 契約金額
(4) 取扱数量
(5) 単価
(6) 契約金額の支払方法又は支払期日
(7) 割戻金等の計算方法又は支払方法
(8) 契約期間
(9) 契約に付される停止条件又は解除条件
(10) 債務不履行の場合の損害賠償の方法
文書の内容によって、重要事項の取り扱いは若干異なりますが、おおむね契約金額や支払い方法、請負の期日、期限の変更は重要事項に該当する可能性が高いです。そのため、それらの内容を変更する場合には、変更契約書に収入印紙を貼付する必要があると言えます。
変更契約書が課税文書に該当する場合には、収入印紙を貼付しなければなりません。印紙税の金額は、変更前の契約書で金額が記載されているかどうかで変わりますので詳しく解説します。
変更契約書に貼り付けるべき収入印紙の金額は、変更後の契約金額をベースに決めるのが基本です。しかし、変更前に契約金額を記載した契約書があるかどうかで対応が異なります。
原契約書に契約金額が記載されていたり、変更契約書に変更前の契約金額が記載されていたりする場合には、変更前の差額が明確であるため差額分の収入印紙を貼付すれば問題ありません。ただし変更後の契約金額しかわからない場合には、変更後の金額に相当する収入印紙を貼付する必要があります。
また変更前の契約金額が原契約書や変更契約書に記載されており、変更後の契約金額が元の契約よりも減少しているならば、印紙は不要です。
変更前の契約金額を記載した契約書がなかったり、変更契約書に変更前の契約金額が記載されていなかったりする場合には、変更後の契約金額に基づく額の印紙税を納めなければいけません。
また変更契約書に金額の差額のみが記載されている場合には、差額分の収入印紙を貼付します。この場合増額でも減額でも、その差額分の収入印紙を貼り付けてください。
国税庁のホームページでは、「個別契約書の変更契約書と記載金額」で実例とともに納めるべき印紙税額が記載されています。その内容は以下の通りです。
引用元:個別契約書の変更契約書と記載金額|国税庁
覚書の内容 具体例 記載金額 税率 その変更に係る契約についての変更前の契約金額等の記載されている契約書が作成されていることが明らかであり、かつ、その変更契約書に変更金額(変更前の契約金額との差額)が記載されている場合
(変更前の契約金額と変更後の契約金額の双方が記載されていることにより変更金額が明らかにできる場合を含みます。)契約金額の増額 ○年○月○日の原契約書の契約金額2億円を2千万円増額と記載 2千万円 1万円 ○年○月○日の原契約書の契約金額2億円を2億2千万円に変更と記載 2千万円 1万円 契約金額の減額 ○年○月○日の原契約書の契約金額を2千万円減額と記載 なし 200円 ○年○月○日の原契約書の契約金額2億円を1億8千万円に変更と記載 なし 200円 上記以外の場合
(変更前の契約金額等の記載のある契約書が作成されていることが明らかにされていない場合及び原契約書が作成されていない場合等)契約金額の増額 当初の契約金額2億円を2千万円増額と記載 2億2千万円 6万円 当初の契約金額を2億2千万円に変更と記載 2億2千万円 6万円 当初の契約金額を2千万円増額と記載 2千万円 1万円 契約金額の減額 当初の契約金額2億円を2千万円減額と記載 1億8千万円 6万円 当初の契約金額を1億8千万円に変更と記載 1億8千万円 6万円 当初の契約金額を2千万円減額と記載 2千万円 1万円
この表は建設工事請負契約で契約金額が2億円として原契約書を作成した後に、契約金額が変更されて変更契約書を作成した例となっています。印紙税の金額に困った際には、この表をベースにして考えてみましょう。
もし変更契約書に収入印紙を貼り付ける場合において、貼付し忘れてしまった場合には納付漏れと判断されます。印紙税だけでなく過怠税も納めなければならなくなるため、貼り忘れには十分気をつけましょう。
昨今契約では電子契約サービスを利用する企業が増えており、変更契約でも同様のサービスを使っているケースが多く見られます。そこで、電子契約では印紙税がどうなるのか詳しく解説します。
契約を電子上で締結した場合には、収入印紙を貼り付ける必要はありません。また変更契約書を電子契約サービスで作成した場合でも、収入印紙は不要です。なお原契約書が書面で作成され、変更契約を電子上で行った場合でも収入印紙はいりません。
契約の締結や変更契約を書面で行う場合には、その都度収入印紙が必要となりますのでコストがかさんでしまいます。そこでおすすめなのが、電子上で契約サービスを利用できる「電子印鑑GMOサイン」です。
web上で契約書や覚書や念書などの変更契約書の確認ができるため、スピーディーに取引を進められます。また収入印紙が不要で印紙税がかからなくなるため、手間やコストの削減に大きく役立ちます。
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