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ビジネスを行うにあたって、取引先と交わした契約書は重要な書類です。契約書には、取引先とのビジネスに関する取り決めが記載されており、取扱いには慎重を期す必要があります。しかし契約書の紛失などの理由で、再発行が必要となる場合もあるでしょう。契約書の再発行には、いくつか注意すべきポイントがあります。いざという時 のためにしっかりと理解しておきましょう。
契約書の再発行が求められるケースは、いくつか考えられます。一般的には、契約書の紛失や様式や内容に関する不備の発見などが想定できます。また、後日当初の契約書に記載されている内容と異なる条件が付いた場合にも再発行が必要になるでしょう。
契約書を紛失してしまった場合、再発行を先方にお願いすることになるでしょう。契約書は法律によって、一定期間保管するように義務付けられています。
第四百三十二条 株式会社は、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない。
出典:https://onl.tw/UdRtN8W
2 株式会社は、会計帳簿の閉鎖の時から十年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならない。
法人は、帳簿(注1)を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成または受領した書類(注2)を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間(注3)保存しなければなりません。
出典:https://onl.tw/7w7FY98(注1)「帳簿」には、例えば総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがあります。
(注2)「書類」には、例えば棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などがあります。
(注3)青色申告書を提出した事業年度で欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度または青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失金額が生じた事業年度においては、10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)となります。
上で紹介したように会社法では10年、法人税法でも7年保管しなければならないことになっています。もし税務調査が入った時に証拠となる契約書がないと大きなトラブルに発展する危険性があります。
契約書を紛失する可能性は十分にあります。オフィスの移転や、オフィスの模様替えを行った時に契約書がどこかに紛れて紛失するといった事態が考えられます。
契約書に何らかの不備があった場合、再発行が必要となる可能性があります。もし契約書を訂正する場合には、訂正すべき個所に二重線を引き、その近くに正しい情報を記載します。そして削除・追加した文字数を欄外もしくはページ上部に記入します。最後に記載した文字にかかる 形で押印してください。
訂正印は契約書の押印で使ったものを使用しましょう。訂正印が必要なのは、契約書の変更箇所が一目でわかるようにするためです。訂正箇所が多くなると、二重線と押印だらけになってしまって見た目が良くありません。その場合には双方合意のもとで再発行することが望ましいでしょう。
取引中に当初と異なった契約内容に変更されることも往々にしてあり得ます。契約金額の変更や、提供する商品やサービスの変更・追加などが該当します。この場合、契約書を再発行して新規契約手続きをするのがおすすめです。もし大きく契約内容が変更される場合には、新しく作り直した方が良いでしょう。
契約書の再発行が必要になっても、「契約書を作成し直す のが面倒」と感じる人もいるでしょう。しかし、手間を嫌って再発行しないのはメリットよりもデメリットの方が大きいです。どのようなデメリットがあるか理解すれば、再発行すべきであることがわかるでしょう。
取引先と何らかのトラブルが起きて、裁判になったとします。契約書がないともともとの取り決めがどうなっているのか、裁判所では判断ができません。再発行前の契約書を持っていたとしても、どこが変更されて、何が追加・削除されたのかもわかりません。いくら自分に正当性があっても、それが裁判所に認定してもらえない恐れが出てきます。特に新規で取引を開始する信頼関係が未構築の取引先の場合、契約書は必ず作成しておきましょう。
契約書には、詳細な取引内容が記載されています。契約書を再発行しないと、新しい取引における細かな条件や仕様の確認が出来なくなります。また、契約書を紛失し、取引内容がわからなくなった場合、先方に確認しなければなりません。取引先の中には「なぜ自社で契約書を確認できないのか」と不信感を抱く可能性もあります。
契約書は取引に関する書類の中でも最重要書類の 一つです。その契約書を紛失したり、不備があるまま放置していたりすると、信頼できない取引先との印象を相手に与えてしまいます。すると取引先が「本当にこの会社を信頼して取引を続けてもいいものなのか」と不信感を抱くでしょう。その結果、今後の取引を控えようと判断される可能性も出てきます。
契約書の紛失に気付いた場合、再発行手続きを行う必要があります。しかし契約書が見当たらないからといって、すぐに再発行の相談をするのは、早計です。本当に契約書を紛失していないかどうか、以下で紹介する 方法で確認してみましょう。
契約書が見当たらないといっても、別の場所で保管している可能性があります。そのため、会社内のさまざまな場所を確認してみましょう。契約書の紛失理由として、以下のようなケースが考えられます。
上記以外にも、オフィス移転や書類の整理時に保管場所が変わってしまった場合もあり得ます。そのため、いつも保管してある場所以外もチェックしてみると 良いでしょう。
思い当たる場所をすべて探しても契約書が見つからない場合には、報告が必要です。まずは上司に報告し、その後他部署とも情報共有しましょう。紛失に気付きながら会社に報告していないと、契約書の紛失が共有されず、いざ必要となった時に混乱を招きかねません。
契約書は納品時に内容を確認するためにも使用されます。そのため、契約書をチェックする段階で初めて紛失に気づくと、納品できない恐れも出てきます。そのような事態になれば、社内だけでなく、取引先にも迷惑が及んでしまいます。
もし契約書が見つからなくても、コピーが保管されている場合もあります。取引先と契約を交わす過程で契約書原本のコピーを取っていることがあります。コピーが残っていれば、契約書の内容自体は確認可能です。
その他にも押印記録簿や稟議書を作成する時の参考書類として、契約書のコピーを添付している場合もあります。関連する部署に相談して、コピーを保管していないか確認してください。
スキャンデータが残っている可能性があります。社内サーバーに関連するファイルが残っていないか、電子メールの添付ファイルとして契約書の文書が残っていないかどうか確認してください。
契約書を再発行することになった場合、パターンによって対処法が変わってきます。 たとえば、紛失してしまった場合と再契約する場合ではその流れも異なります。自分たちのケースに照らし、以下で紹介するどの段階で再発行するかどうか検討してください。
契約書を紛失し、原本と控えの両方が見当たらない場合には取引先に速やかに連絡を取ることが必要です。先方は原本や控えを保管している可能性が高いため、コピーが可能か相談してみましょう。コピーを受け取ることで、契約書の内容を確認できます。
しかしコピーでは、今後取引先と何らかの紛争が起きた時の証拠としては弱いです。証拠力を高めるためには、コピーした契約書に押印が必要です。もちろんこちらだけでなく、先方の押印も必要になるので手続きをします。この時コピーに原本と相違ないことを認める と一文入れておくことで、コピーでも原本と同等の証拠力を有していると判断されます。
契約書の原本は紛失したが、控えは手元に残っている場合はどうすれば良いでしょうか。このような場合には、控えに対して、原本と同等の証拠能力が得られるような対処を施します。
先ほどのコピーと同じように、先方に連絡を入れ、控えに署名・押印を求めてください。そのうえで控の文字に二重線を入れます。原本と相違ないことを認めると一文入れれば、原本と同等であると証明可能です。ただし、控えの契約書は原本と比較すると、証拠力は若干弱くなることは忘れないようにしてください。
自社で契約書を作成していたため、契約書のデータが残っている場合もあるでしょう。この場合、こちらのデータをプリントアウトして契約書原本とすることも可能です。しかしこの場合には、先方の署名・押印が必要になるので、事前連絡のうえ再度の署名・押印を求めてください。また、この時には「契約書の内容を今一度確認していただき、問題なければ押印のうえ返送してください」といった旨のメッセージを送ると良いでしょう。契約内容変更の疑いを持たれないために、先方にも再度内容を確認してもらったほうが安心です。
紛失など自分たちの過失によって契約書の再発行をお願いする場合、謝罪することも忘れないでください。契約書を再発行するためには、先方に署名と押印のうえで返送をお願いしなければなりません。相手に余計な手間をかけさせることになってしまいます。そのため、真摯な謝罪を心がけましょう。
特に今後継続的に取引したい大口の契約であれば、電話やメールだけで再発行のお願いするのは失礼にあたるかもしれません。担当者が先方のオフィスに足を運んで、対面で謝罪と契約書の再発行手続きをお願いするのが無難といえます。
契約書の内容が作成時と大幅に変更することになった場合は、契約書を作成し直して、再契約する形をとるのがおすすめです。この場合には、改めて先方との合意が必要です。そこで先方の担当者とコンタクトを取り、再契約手続きについて相談してみましょう。
また契約書の内容から大幅に変更する際には、慎重に協議を重ねたほうが良いでしょう。そもそも当初の契約内容から大きな変更が必要な場合には、最初の協議が不十分だった可能性も考えられます。きちんと今回のビジネスに関する双方の要望を表明したうえで、改善が必要な個所は修正し、再契約手続きを進めてください。
契約書の紛失や、変更をした場合には再発行の手続きが煩わしく感じるかもしれません。しかしこれは紙の契約書に限った話です。もし電子契約を交わしていれば、サーバーやクラウド上に契約のデータが残っているので紛失のリスクもなくなります。よって再発行にかかる煩雑な手続きも必要ありません。
中には電子契約は有効なのかと疑問を持つ方もいるかもしれません。しかし、 電子署名を使えば、契約書の有効性も担保できます。電子ファイルとして契約書類のデータも保管できるので、紙の契約書のように保管場所を確保する必要もありません。
万が一契約書の紛失や、不備が見つかった場合には速やかに再発行手続きを進めてください。契約書がない状態で放置していると、後々の紛争につながりかねません。特に紛失など、自社の落ち度によって再発行をお願いするのであれば、先方にしっかり謝罪して協力を仰ぐようにしてください。
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