今回は株式会社エリーズカンパニーの吉原えり子さま、有限会社ブリーズガーデンの鈴木 暖一郎さまに取材のご機会をいただきました！

吉原さん：
　KOBO pet（株式会社エリーズカンパニー）は2024年に事業を本格的にスタートしました。きっかけは、私自身が大の犬好きで、現在4匹目のチワワを飼っていることにあります。3匹目のチワワの遺骨をどのような形で残せばよいか考えていたところ、以前から親交のあったKOBOさん（有限会社ブリーズガーデン）に、ペット向けの事業をさせていただきたいとお願いしたのが始まりです。
　また、お客様からの評価として、KOBOさんは5年間の事業の中で、多くのお客様から「KOBOさんにして良かった」、「きれいなガラスのお墓で心が和む」、「海洋散骨や対応が大変丁寧」といったお声をいただいています。弊社エリーズカンパニーのKOBO petも、KOBOさんに見習って精進していきたいと考えています。
　KOBO petのサービス内容としては、まずは形状を「エッグ型、ハート型、8角形、キューブ型」の4つの形から1つ選んで、次にプリント加工を「カラー、白黒、2D、3D」の3種類からご選択いただきます。
　これらのご選択いただいた後、1つ1つ丁寧に作業を行っております。
　今後の展望として、ペットの供養だけでなく、赤ちゃんの誕生記念への贈り物などのご要望も多数いただいております。そのため、心に残る贈り物としてのサービス提供にも力を入れていく予定です。

事業を始めたきっかけについて教えてください

鈴木さん：
　この事業は、神奈川県にある鈴木家のお墓の課題解決から始まりました。
　父が墓守をずっと何十年もやっていたんですけども、今から20年ぐらい前に父が自動車免許を返納したんですね。
　そしたらお墓まで通うのがなかなか難しくなったので、私と姉がお正月やお盆で父を送迎してたんですが、だんだんと私も姉も忙しくなって、行けないタイミングが出てきちゃいまして。
　それもよくないなと思って東京の方にお墓を引っ越そうかと思っていろいろ調べたところ、お墓の引っ越しって意外と大変で、お金もかなりかかるんですよね。
　しかも先祖代々続いてるお墓なので、そもそも骨壷がいくつもあって、引っ越し先ではすべて入らない状態で、途方にくれてました。
　そこで自宅でも供養できないか検討し始めたところ、ひょんなことから、あるガラス作品の展覧会で作家さんと出会い、その方と意気投合して、今回のお墓の話をしたんです。
　そしたら、その方からお墓の代わりになるものを作りますとご提案いただき、いろいろと試行錯誤しながら、この事業が立ち上がりました。

それぞれの強みについて教えてください

鈴木さん：
　Kobo（こぼ）というのは小さいお墓（「小墓」）と書きます。
　Koboは、亡くなった方をお墓ではなく、ご自宅などご自身の身近なところに置いておくガラス製のお墓なんです。
　このような商品って、他社さんでもありますが、弊社ではガラス工房で作家さんがひとつひとつ手作りしたものを扱っていることが大きな強みになります。
　北は小樽から南は沖縄まで現在４名の作家さんと提携しており、お客さまにマッチした作品を手作りしてもらっています。
　また、現在ご対応いただいているこの作家さん達はそれぞれデザイン性などで個性をお持ちなので、また別の感性をお持ちのかたと巡り合えたらぜひ、そのかたも私たちと一緒にお仕事ができればと思っています。

吉原さん：
　ペットの場合は、このガラスのお墓の台の部分にお骨を入れて、その上のガラス部分に生前一緒に過ごしていた時の一番かわいい写真をプリンターで印刷して、お渡ししています。
　なお、この印刷ですが、２Ｄ、３Ｄ、白黒、カラーとプリントタイプが選べるので、そこから最適なものを飼い主さんに選んでいただく形になります。

このお仕事のやりがいを教えてください

吉原さん：
　弊社はこの事業を始めて6年目になります。
　この事業を進めていくと、ご利用されたお客さまから直接的にも間接的にも感謝の気持ちをいただけることが、大きなやりがいとなっています。
　具体的には、商品到着後に「ＫＯＢＯにしてよかった」、「これからは家族全員こちらでお願いします」、「これまでのように遠くのお墓まで足を運ばずにすみました」など、メールやお手紙でお礼の言葉を頂戴することです。
　また、間接的には、ご利用者の親戚縁者やご友人などにＫＯＢＯをご紹介いただくことですね。私たちのやってきたことが、評価されていることが本当に嬉しく思っています。

今後検討している新しい事業について教えてください

鈴木さん：
　まずは既存事業のKOBOの認知度向上を進めていきたいとは考えています。
　それと並行してですが、お伝えした通り現在4人の作家さんにご協力いただいていますが、先日、新たに5人目の作家さんと新潟で偶然出会ったんですよ。
　その方の作品は、新潟の駅前のお土産物屋さんに所狭しと飾られていたのですが、そのかたが作られた「ぐい呑み」や「おちょこ」がこれまで見たことない素晴らしい色を放ってたんです。
　その色は、「淡黄金（あわこがね）」と言って、見る角度によって初めてその色を感じることができるんですよ。作品自体も柔らかい感じだったので、早速、訪問のアポイント取ってしまいました。（笑）
　作家さんも弊社の想いに賛同してくれて、現在試作品を作っているところなので、完成が楽しみです。

吉原さん：
　私の息子の親友が先日結婚しまして、現在赤ちゃんがお腹にいるらしいんですね。
　そこでその赤ちゃんが誕生するときに何か良いプレゼントはないかと息子が私に相談してきまして、そのときに、今ペットちゃんのお墓として提供しているこのKOBOを、嬉しいことにも転用できないかとひらめいたんですよ！
　生まれたときに、その記念として赤ちゃんの写真をいただいて、それで、これをあげると一生大事にしてもらえるんじゃないかなって思いまして、こちらも現在試作品を作成中なんです。
　商品名だけ、先取りして「ハッピーベイビー」とつけちゃいましたけど（笑）

最後にこの記事を読む方へのメッセージをお願いします

吉原さん：
　人生の節目のメモリアルとして、楽しいことも悲しいこともありますが、そのほとんどのイベントごとには、みなさんお持ちのスマホなどに写真や動画、音声などを残していると思います。そしてとある毎にその記録を見返しているのではないでしょうか。
　それと同じように人生のメモリアルを身近に置いて、毎日見たり、話しかけたりできるような、そういう商品を今後もたくさんお届けできたらと考えております。

【中小企業診断士　高橋良輔からの一言】

　近年の日本の死亡者数を見てみると、1985年：75万人、2003年：100万人、2017年：134万人と32年間で178％の増加傾向にある。さらに、社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口（令和5年推計）」によれば、2043年ごろまでは日本の死亡者数は右肩上がりに増加すると言われている。
　一方、葬儀関係の市場をみてみると、葬儀業務をメインとする事業者全体の年間売上（2017年）が1兆4597億円であり、単価別では、2008年の150.6万円と比べると、2017年では140.5万円と、近年は下落傾向である。
　この下落の要因としては、「葬儀そのものの縮小化」、「異業種からの新規参入」、「価値観の多様化」などが挙げられる。
　今回の取材先さまが提供しているサービスはまさに、このような複合的な要因から生まれたものと言える。
　従来の「死んだら先祖代々のお墓に入る」という日本の常識を覆す現代の多様な価値観を満足させる新たなサービスが今後も生まれていくことにも注目していきたい。