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「ビジネスプロセス管理」という言葉について説明を求められたとき、すぐに答えるのは難しいかもしれません。今回は昨今、企業にとって重要な意味を持つビジネスプロセス管理を解説するとともに、実際に自社で実施する場合のポイントを紹介します。
ビジネスプロセス管理とは、業務プロセス(業務の流れ)をPDCA(Plan=計画、Do=行動、Check=評価、Action=アクション)のサイクルを回し、業務改善の成果を上げていく経営手法のことで、ビジネスプロセス・マネジメント(以下BPM)とも呼ばれます。
具体的には組織内に存在するすべての業務プロセスや業務システムを見直し、統合、制御、自動化をもって改善を続けてゆく取り組みのことで、より効率的な業務プロセスを目指すものです。
公益社団法人 企業情報化協会(旧:公益社団法人 日本ビジネスプロセス・マネジメント協会)によると、業務プロセスである「手順」「役割分担」「ルール」を、役割分担している関係者で共有することで、日々の業務成果を向上させるものであると定義し、3つの要素から構成されているといいます。
・業務プロセスを可視化・設計する手法
手法にはさまざまなものがありますが、企業情報化協会のBPM推進プロジェクトでは、ビジネスプロセスモデリング表記法(BPMN)という国際標準に沿って推進しています。ユーザがシステムに要求する業務の流れを統一的な記法で図式化でき、すべての関係者が容易に理解できるしくみです。ただし、記法を習得する必要があります。
・業務プロセスを実行・管理する情報システム
BPMシステム(BPMS)と呼ばれる情報システムを使い、可視化、設計した業務プロセスの実行支援、進捗管理を行います。
・上記に基づく業務改革の活動体系
業務のマネジメント活動はPDCAサイクル(計画、行動、評価、アクション)が基本で、企業情報化協会ではこれを企業の中で組織的に取り組むための活動体系として「BPM推進フレームワーク」を作成しています。
BPMによって、業務プロセスの課題を分析でき、結果的に業務効率の改善や、新たなビジネスの早期立ち上げ、さらに売上アップや顧客満足度の向上などが実現できます。企業の競争力向上やグローバル化などが求められる今、BPMを行うことは企業にとって大変重要なことなのです。
BPMを実務に取り入れると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここではそのメリットと、デメリットを解説します。
業務プロセスの可視化によって、業務プロセスにおける課題を容易に見つけられます。その結果、非効率な業務プロセスの洗い出しや排除といった業務改善や、業務の効率化が期待できます。
こうした改善は業務の標準化も実現します。標準化により属人化している業務が減り、業務プロセス全体を円滑に回せるようになります。
また、業務進捗をリアルタイムで確認できるため、さまざまなトラブルを予見し、未然に防ぐことも可能でしょう。
さらにBPMは一見標準化が難しい非定型の業務についても業務プロセスをパターン化できる部分を探し、全体の最適化を図ることで、大きな業務効率化が望めるのです。
BPMを実施するためには、業務におけるさまざまな情報をデータ化する必要があるため、実施前に比べて担当者への業務負荷が一時的に高まってしまいます。しかし、BPMを実施した後にもたらされる、業務プロセス改善の恩恵を考えると、このデメリットは小さな問題と言えるでしょう。
実際にBPMを計画して実施する場合、どのように進めるのがよいのでしょうか。ここではBPMを失敗させないための、導入に必要なポイントを解説します。
実施には専用のツール「BPMツール(BPMS)」を導入する必要があります。こうしたBPMツールはたくさん種類がありますが、基本的に次のような3つの機能を持っています。
・モデリング機能
業務プロセスを可視化(表示)し、設計する機能
・シミュレーション機能
設計したプロセスがどのように作用するか検証する機能
・モニタリング機能
業務プロセスの実行状況を監視する機能
これら3つの機能を使い、既存の業務プロセスや設計・導入した業務プロセスが期待したように機能しているかを監視し、その結果を踏まえ、継続的な改善を進めていきます。
BPMの導入は、BPMツールの導入や、業務の効率化などに伴ってIT部門が主導するように思われますが、そうではありません。実際に主体となるのは、あくまで現場の従業員です。そのため、BPMを実施する目的をきちんと説明し、理解してもらう必要があります。もちろん、業務の効率化や標準化を目指して導入する新たなシステムに関しても、十分な説明や教育が大切です。
BPMを実施する場合、一度に社内すべての業務へ導入しようとすると、業務負荷などにより大きな混乱を招きます。このため、導入範囲を基幹業務や支援業務、経営管理業務などのように分け、段階的に進めるのがスムーズな導入につながります。
洗い出された業務プロセスの課題は、システムの導入や変更によって解決する方法があります。ここでは架空の会社A社を例に、業務プロセスの課題を新システム導入によって解決した事例を紹介します。
A社では多くの労働者との間で有期雇用契約を締結しており、契約の更新に多くの時間が費やされている状況です。具体的には、それぞれの契約期限を確認し、カレンダーなどに記載、期限前に書類を作成して送付、内容が合意できれば記名押印やサインといった業務プロセスがあります。
作業は、担当する契約ごとに担当者が処理を行っていますが、処理を忘れてしまったり、契約書のやり取りに時間がかかったりすることで、期限を過ぎてしまうといったトラブルも発生しています。
この課題の解決したいA社が導入したシステムが、電子契約サービス「電子印鑑GMOサイン」です。「電子印鑑GMOサイン」は契約書の管理を電子ファイルとしてクラウド上で行えるシステムで、電子契約により、押印を必要としない契約締結が可能です。「電子印鑑GMOサイン」を導入した結果、A社では書類の印刷や送付といった作業時間の短縮を達成できました。
また、搭載されているリマインド機能により、契約の更新し忘れといった問題が解消できただけでなく、画面上で各担当者が状況を確認できるため、属人化していた契約書のやり取りも、部署全体で取り組めるといった、新たな業務プロセスを構築できました。
BPMは業務プロセスや業務システムを見直し、統合、制御、自動化をもって改善を続けていく取り組みだということを説明しました。実施にはBPMツール(BPMS)の導入や、新システムの導入、そして社員への教育も重要です。しかし本格的にBPMを実施するのは全社を巻き込んだ大掛かりなものとなります。基幹業務や支援業務、経営管理業務といった業務ごとに業務プロセスの見える化や効率化の「基礎」を構築しておくと、スムーズにBPMが実施できるでしょう。
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