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契約が締結されると当事者間に法的拘束力が生じますが、一定の要件を満たした場合、契約を解除できます。どのような場合に、契約が解除できるかご存じですか。また、契約を解除する場合、契約解除通知書を作成しますが、契約解除通知を作成する際には気を付けなければならないポイントがあります。今回は契約解除通知書のひな形をもとに解説します。
まずは、契約解除とは法的にどのような意味を持つものなのかを解説します。あわせて、契約解除通知書とはどのようなものなのかについても見ていきましょう。
契約解除は、契約締結時にさかのぼって契約を解消することを指します。契約を解除する当事者の一方的な意思表示による契約解消であることがポイントです。契約解除には、当事者の取り決めによる契約解除である「①約定解除」と法定事由による契約解除である「②法定解除」、当事者の合意で契約解除する「③合意解除」の3種類があります。以下から、契約解除の種類ごとの特徴を見ていきましょう。
1 約定解除
約定解除の内容は当事者が自由に決定できます。たとえば、契約書の条項に「破産、民事再生、会社更生の開始決定があった場合には契約を解除する」や「支払停止、支払不能となったとき契約を解除する」などと定められていて、実際に破産や支払い停止などの状況に陥ったときに契約を解除できます。
2 法定解除
法定解除は、民法で定められた事由が発生した場合に認められる契約解除です。民法で定められた事由とは、債務不履行があった場合です。債務不履行があった場合、催告をしたうえで期間内に履行がないときは契約の解除ができます。これを「催告による解除」と言います。ただし、2020年の民法改正により、債務不履行が契約および社会通念に照らして軽微であるときは、契約を解除することができなくなりました。
一方で、催告をするまでもなく、解除できる場合もあります。それは、以下のような場合です。
・債務の全部または一部の履行が不能であるとき
・債務者が債務の全部または一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき
・一部の履行不能であっても、契約をした目的を達することができないとき
・期間内に履行がなければ契約をした目的を達することができないとき
・催告しても履行される見込みがないとき
なお、債権者の故意や過失などの「債権者の責めに帰すべき事由」によって債務不履行となった場合には、債権者は契約を解除できません。債権者の責任で債務不履行になったのに、契約の拘束力から解放するのは妥当ではないからです。
3 合意解除
法定解除要件を満たすわけでもなく、約定の解除要件に該当しない場合であっても、当事者が合意すれば契約を解除できます。これが「合意解除」です。
契約解除の要件を満たしたうえで、相手方に契約を解除する旨の連絡を口頭で行えば契約を解除できます。しかし、後で問題が生じないようにするため、契約解除通知書を送付するか、解約合意書を作成するのが一般的です。
解約合意書は2通作成し、双方で保管するため、後で紛争になることはほとんどありません。しかし、契約解除通知書は一方的に送付するものなので、紛争になることがあります。相手が受け取っていないと主張してくることもあるため、紛争が予想される場合、一般的には内容証明郵便で送付します。内容証明郵便は、いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、日本郵便が証明してくれる制度です。
契約解除通知書を作成するのは、法定解除の要件を満たす場合と約定解除の要件を満たす場合です。法定解除は債務不履行があった場合ということになります。
債務不履行には、「①履行遅滞」、「②履行不能」、「③不完全履行」の3種類があります。
①履行遅滞は、債務の履行が期限に遅れることを指します。
②履行不能は、履行ができない状態になることです。
③不完全履行は、履行はされたものの内容が十分とは言えないものです。
②履行不能の場合には催告は必要ありませんが、①履行遅滞や③不完全履行の場合には、原則として催告が必要になります。
注意
履行…(この文章においては)約束したことを実際に行うこと、完了させること
催告…(この文章においては)相手に対して履行を要求すること
約定解除の要件は、個々の契約によって変わります。一般的には、「破産、民事再生、会社更生の開始決定があった場合」や「支払停止、支払不能となったとき」、「官庁からの許可の取消しがあったとき」と定めていることが多いです。該当する事由が発生した場合、契約解除通知を送付することになります。
契約解除通知書に決まった書式はありませんが、最低限、どの契約かを特定し、契約した日付と契約が特定できるだけの内容を記載します。また、債務不履行であれば、その内容と根拠条文、約定による契約解除であれば、契約書のどの条項に基づく解約なのかを明記します。
前述の通り契約解除通知書には決まった書式はありませんが、方式にも決まりがありません。紙でなく電子的に契約解除通知書を送付することも可能です。メールで送付するだけでも契約解除の効力は認められるため、迅速に通知できます。
電子的に契約解除通知書を送付する場合、確実性を高めるために契約解除通知の書面に電子署名をしましょう。誰の書面であるかの客観性が担保されるため、証拠能力が高くなります。
なお、2021年現在、特定商取引法では、事業者に書面の交付義務が課せられており、消費者が書面を受領するまではクーリング・オフ期間が進行しないため、書面の作成が必要です。また、消費者がクーリング・オフをする場合にも、書面で申し込みの撤回を行わなければなりません。
契約解除通知書のやり取りは、「電子印鑑GMOサイン」で行えます。また、「電子印鑑GMOサイン」は、必要に応じて「契約印」と「実印」の2種類の電子印鑑の使いわけが可能です。これまでのワークフローを変更せずに導入できるため、業務プロセスを見直す必要はありません。契約解除通知書や解約合意書だけでなく、契約書にも使えるので業務の効率化を図れるでしょう。
契約書を書面で作る場合、何部もプリントアウトし、何カ所も印鑑を押印する必要がありますが、「電子印鑑GMOサイン」を利用した場合、パソコンだけで完結できるため、迅速かつ簡単に契約処理を行えます。テレワークの環境下でも契約書の処理を行えますので、わざわざ出社する必要もありません。業務効率を上げるためにも、契約書類の電子化をおすすめします。
今回は、契約解除の内容について解説しました。民法改正により、債務者の帰責性が要件とされなくなり、催告による解除と無催告解除の要件が明確になりました。また、債務不履行の内容が軽微である場合には、契約の解除をできないことが明文化されたこともポイントです。
いずれも、過去の判例や通説を明文化したもので、より条文がわかりやすくなりました。契約解除通知書はなるべくなら作りたくないものですが、取引を行う以上、契約解除の可能性は避けては通れません。
契約解除通知書の発送を効率化するためにも、文書の電子化をおすすめします。「電子印鑑GMOサイン」であれば、ワークフローを変えずに簡単に導入できますので、ぜひご検討ください。
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