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不動産に関する契約はどこまで電子化できる?現状とメリット・デメリット

 

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不動産取引では、多くの書面が必要になることがあります。紙の契約書の場合、当事者が直接集まって押印するか、郵送で契約書をやり取りして押印しなければいけません。いずれにせよ、時間や手間がかかり郵送費や交通費などの費用が発生します。

このような各種のコストは、契約を電子化することによって削減することが可能です。
今回は、不動産に関する契約について、法改正の前後によってどこまで電子化が認められるようになったのか、といったことについて解説します。

目次

不動産に関する契約の電子化

不動産に関する契約の完全電子化とは?

不動産に関する契約の完全電子化とは、不動産取引に関連する資料や契約書を全て電子化することです。不動産取引には、「不動産売買」や「不動産賃貸」がありますが、いずれの取引でも多くの書面が必要になります。

しかし、大量の書面を準備するには、時間もコストもかかり、売主、買主、仲介業者などの関係者全てにとって大きな負担です。そこで、これらの書面を電子化してオンラインで処理できるようにすることが求められてきました。

民法上は、契約を締結する上で書面を作成することは必ずしも必要ではありません。しかし、不動産は高額な資産であることから、2022年5月まで、その取引では一部の書類について書面化することが各種法令で義務付けられていました。具体的には、以下のような各種の規制があったのです。

宅地建物取引業法による規制

宅地建物取引業法第35条では、宅地建物取引業者は、宅地建物取引士に重要事項について記載した「書面(第5号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。」と規定していました。この書面を重要事項説明書と言います。重要事項説明書はその条文番号から35条書面とも呼ばれます。

また、同法第37条では、

宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換に関し、自ら当事者として契約を締結したときはその相手方に、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者に、その媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。

と規定していました。「次に掲げる事項を記載した書面」とは、契約書のことです。この契約書は37条書面とも呼ばれます。

 

この他、第34条の2で、媒介契約についても

宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。

と規定されていたため、書面の交付が必要だったのです(この規定は「代理契約」にも準用されます(第34条の3))。

借地借家法による規制

借地借家法第22条1項は、

存続期間を50年以上として借地権を設定する場合においては、第9条及び第16条の規定にかかわらず、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第13条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。この場合においては、その特約は、公正証書による等書面によってしなければならない。

と規定しています。

 

法改正前はこの規定だけだったため、公正証書による書面が必要だったのですが、改正によってこの特約を電磁的記録(電子ファイル)で行うことが認められました。

また、同法第38条は、

期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第30条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項の規定を適用しない。

と規定しています。
 
こちらも上記同様、改正によって「電磁的記録」(電子ファイル)で行うことが認められるようになっています。

これらは、定期借地権定期建物賃貸借と呼ばれるもので、一定期間借りたら、その後更新はなされずに返還しなければならないというものです。このような重要な事項について借主が知らなかったということがないように、公正証書などの書面を作成することが義務付けられていたのです。

不動産賃貸借契約

法改正前までは、不動産賃貸借契約を締結する場合には、以下を作成して、賃借人に交付する必要がありました。

  1. 不動産賃貸借契約書
  2. 重要事項説明書

その他、賃借人は、

  1. 住民票
  2. 印鑑証明書
  3. 源泉徴収票

などの所得を証明する書類などが要求されることがあります。

不動産売買契約

こちらも法改正前までは不動産売買契約を締結する場合には、以下を書面で作成し交付する必要がありました。

  1. 不動産売買契約書
  2. 重要事項説明書

さらに必要となる書類としては、以下のようなものなどがあります。

  1. 登記済証(権利証)又は登記識別情報
  2. 売主と買主の印鑑証明書
  3. 固定資産税・都市計画税納税通知書
  4. 建築確認済証・検査済証
  5. 土地測量図・境界確認書

不動産に関する契約が2022年5月、完全に電子化された!

デジタル改革関連法の1つであるデジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律が2021年5月12日に成立し、同年9月1日から施行されました。
そして、宅地建物取引業法に係る改正については2022年5月18日から施行され、不動産に関する契約が完全に電子化できることになったのです。

これによって、不動産売買契約や不動産賃貸借契約で必要な重要事項説明書や契約書を電子化することができるようになりました。つまり、不動産の売買であっても賃貸であってもオンライン上で手続を完了することができるようになったのです。また、宅地建物取引士による重要事項説明もオンラインで受けられるだけでなく、書面を事前に用意することが不要となり電子上での用意で足りるようになりました。

不動産に関する契約を電子化するメリットとデメリット

メリット

契約を電子化することのメリットとしては、次のようなものがあります。

①印刷コストの削減

契約書などを書面で作成する場合、紙代や印刷代がかかりますが、電子契約の場合には印刷代も紙代もかかりません。

②印紙税の削減

不動産売買契約書を書面で作成する場合には、契約金額に応じて印紙税が発生します。しかし、電子契約の場合には印紙税は発生しません。

③郵送、交通費の削減

契約を締結するとき、売主や買主、仲介業者が直接会って契約する場合などには交通費が発生しますし、郵送で行う場合には郵送費が発生しますし日数もかかります。
しかし、電子契約の場合にはオンライン上でできるため交通費も郵送費も発生しません。特に建物の賃貸借契約のように短期間で内見、申込、審査、契約締結、入居といったプロセスを進めるようなケースでは大変便利になるでしょう

④管理がしやすくなる

紙での契約の場合、保管場所の確保が必要になり、紛失するリスクもあります。それに対して、電子契約の場合にはデータで情報を管理するので、保管場所に困ることがありません。また、クラウドストレージに保管しておけば、災害に遭った場合でも大事な書類を消失するというリスクを避けられます。

デメリット

一方で、契約の電子化には次のようなデメリットがあります。

①高齢者など対応できない人がいる

高齢者やパソコンなどの操作が苦手という人がいるため、全てを電子化することは難しいという問題があります。

②サイバー攻撃などのリスクがある

電子契約ではオンライン上で情報をやり取りするため、サイバー攻撃により情報が流出したり重要データが破損したりする危険があります。そのため、しっかりとしたセキュリティ対策を行う必要があります。

③インターネット環境やパソコンなどの機器が必要になる

電子契約を行う場合には、パソコンやスマートフォンなどのデバイスやインターネット環境の整備が必要です。

④通信費やプロバイダ料金が発生する

電子契約を行う場合、郵送費や交通費はかかりませんが、電気代や通信費、プロバイダ料金などが発生します。また、事業者には電子契約システムの導入費用も発生します。

不動産取引に活用可能な電子印鑑GMOサイン

電子印鑑GMOサインは、不動産売買の代理や仲介を主に手がけている株式会社オープンハウスでも採用されています。電子印鑑GMOサインを採用する理由は、電子契約に不慣れな顧客でも扱える使いやすいインターフェースであるからです。

不動産取引においては、電子契約に慣れている人ばかりではありませんので、やはり使いやすいことが一番重要です。

その点、電子印鑑GMOサインは、契約書のアップロード、署名依頼の送信、確認して署名という3ステップのみで完了するので、誰でも簡単に操作することができます。また、260万社以上(2023年4月現在)に導入されている実績のあるシステムなので、安心して利用することができます。

電子印鑑GMOサインは法人だけでなく、個人でも利用可能です。建物賃貸借の契約時点では遠方にいるようなとき、迅速に進めたいときには、売主や貸主、仲介業者に利用をお願いしてみるのもよいでしょう。

まとめ

今回は、不動産に関する契約はどこまで電子化できるようになっているかというテーマで解説してきました。不動産取引に関する各種法律の改正により、不動産業界で必要とされる各種書類の電子化が一気に進みました。電子化の流れは、今後もどんどん進んでいくと思われます。
この流れに乗り遅れないようにするためにも、電子化に対応したシステムを早めに導入することをお勧めします。

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この記事を書いた人

GMOサインが運営する公式ブログ「GMOサインブログ」の編集部です。
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