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不当廉売とは?独占禁止法違反と見なされる条件と事例

 

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ときどきニュースで耳にする「不当廉売」(ふとうれんばい)という言葉がありますが、どのような問題なのでしょうか。ここでは不当廉売がなぜ問題となるのかを解説し、該当するケースやしないケース、不当販売の事例を紹介します。

目次

不当廉売とは

「不当廉売」は「ダンピング」とも呼ばれ、不当に低い価格で商品やサービスを提供する行為のことで、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下、独占禁止法)によって規制されている行為です。正当な理由がないにも関わらず、商品やサービスをその供給に必要な費用を著しく下回る対価で継続して供給、販売し、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの、とされています。

 

(独占禁止法第2条第9項第3号)

正当な理由がないのに,商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給することであつて,他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの”

不当廉売の問題点

商品やサービスをその供給に必要な費用を度外視して著しく下回る対価で提供すること、ありえないような安価で商品やサービスの提供を行うことは利益を完全に無視した行為であり、競合他社は価格競争に巻き込まれ、事業継続が難しくなってしまうからです。

例えば、競合するケーキ屋A、Bが同じ町にあるとします。ケーキ屋Aがある商品を、原材料価格や仕入れ値を大きく下回る価格で継続して販売した場合、ケーキ屋Bはその商品をさらに低価格で提供することは困難で、企業努力での競争にも限界があり、事業の継続が難しい状況に追い込まれます。

不当廉売を放置すると、悪意を持って競合他社を廃業に追い込むといった行為も可能です。例えば競合する3店舗「A、B、C」が存在する地域に4店舗目「D」が新規に出店した際に、店舗A、B、Cが潰れるまで不当な低価格で販売を繰り返すということが実現できてしまうのです。

(なお店舗A、B、Cが店舗Dに対抗するために、価格を話し合って決める(談合)する行為も、独占禁止法によって規制されています)

このような行為は公正かつ自由な競争を阻害します。このため、不当廉売が法律によって厳しく規制されているのです。

不当廉売に該当する条件

それでは具体的にどのような行為が不当廉売に該当するのでしょうか。ここでは該当するケースと、そうでないケースを例に挙げ解説します。

不当廉売に該当するケース

不当廉売に該当するケースは以下の条件に合致する場合です。

  • 仕入れや原価コストといった費用よりも、著しく安い価格で継続して提供する。
  • 他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがある。
  • 正当な理由がない。

不当廉売は企業努力によって達成した低価格販売ではありません。仕入れ値を大きく下回るような採算を度外視した低価格での販売を継続することにより、顧客を獲得する行為が該当します。

不当廉売に該当しないケース

次に不当廉売に当たらないケースを見てみましょう。

  • 季節遅れ商品の特価販売、バーゲンセール
  • 生鮮食品や賞味期限間近商品などの見切り品販売
  • キズ物商品を低価格で販売

これらのケースは、本来あるべき価格での提供が困難であり、競合他社の活動を妨げるものではないことなどから、不当廉売には該当しません。

不当廉売の事例

スーパーが「1円商品」を継続販売

新規に出店したスーパーと既存店舗との競争が激化し、集客のためスーパーの店頭で野菜6品を1円で1週間継続して販売。スーパー業界から集客目的の安売りは行き過ぎればきりがないと懸念の声が上がるとともに、生産者団体からも批判の声が上がる。公正取引委員会は不当廉売に当たるおそれがあるとして警告。

卸業者の不当廉売

スーパーで提供する酒類が安すぎると申告があり、調査した結果、スーパーに酒類を卸している3社が原価割れの価格で納入していることが発覚、公正取引委員会が不当廉売として警告。その後、スーパー側は卸業者からの値上げ要請に反発、卸業者は原価割れでの納入を拒めなかったことも発覚。

システム製品販売業者による不当廉売

官公庁の発注する調査/研究業務の入札において、既に実施済みの調査・研究業務に要した費用を、原価に算入せずに入札価格を設定。この入札価格が「供給に必要な費用を著しく下回る対価(不当廉売)」に該当する可能性があると公正取引委員会が回答。

不当廉売は原価割れの低価格で競合の事業活動を困難にする行為

不当廉売は正当な理由が無いにも関わらず、商品やサービスを原材料価格や仕入れ値を度外視した著しく低い対価で継続して供給、販売し、ほかの事業者の事業活動を困難にさせるおそれがある行為です。不当廉売は公正かつ自由な競争を阻害する、問題の多い行為で、独占禁止法により禁止されています。

 

【参考】「知って納得!独占禁止法」 (公正取引委員会)

https://www.jftc.go.jp/houdou/panfu_files/dokkinpamph.pdf

 

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この記事を書いた人

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