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昨今、働き方が多様化してフリーランスという道を選択される方も増えてきています。それにともなって「業務委託」という言葉もよく耳にするようになりました。今回はフリーランスと業務委託の違い、業務委託契約の種類や注意点、締結までの流れについて解説します。
フリーランスは案件ごとにクライアントと契約を結んで仕事をするという働き方、もしくはそのようなスタイルで働いている人のことを指します。特定の会社と雇用契約を結んでいない個人事業主、いわゆる自営業に分類され、フリーアナウンサーやフリーライター、YouTuber、出前サービスの配達員など、職種はさまざまです。
一方「業務委託」は業務を社外の個人、あるいは法人に委託する契約のことを指します。特定の業務を行ってもらう、あるいは成果物を納品してもらう対価として報酬を支払います。雇用契約ではないので、勤務時間や休日などは定められていません。
「フリーランス」は働き方や人を指し、業務委託は契約の形態であり、フリーランスは多くの場合、クライアントと業務委託契約を結んで仕事をします。なお、業務委託契約書は必須ではありません。口約束でも契約は成立します。たとえば、親族や知り合いの仕事を手伝う場合は契約書を交わさないケースもありますが、それでも業務委託契約が成立しているとみなされることがあります。
フリーランスがクライアントと結ぶ業務委託契約には以下の3種類があります。それぞれ特徴を見ていきましょう。
委任契約とは、委託者が法律行為を受託者に委託する契約です。法律行為とは「意思表示によって、権利の発生や消滅などの法的効果が生じる行為」のこと。単独行為(遺言など)、契約(売買、賃貸借など)、合同行為(社団法人の設立など)が挙げられます。
たとえば、弁護士に訴訟提起や遺言書の作成、執行などを依頼するケースでは委任契約を結びます。
準委任契約とは、委託者が法律行為以外の事務を受託者に委託する契約です。「事務」とありますが、これは書類作成やPC入力業務などの、いわゆる事務仕事のみに限りません。コンサルティングや講演会・セミナーの講師、広告・宣伝、ITシステムの保守管理、ビルや工事現場の警備、医師の医療行為など、さまざまな仕事が該当します。
委任契約、準委任契約ともに「業務の遂行」が契約目的です。たとえば、経営コンサルタントがクライアントと準委任契約を結んだ場合、課題の分析や提案などのコンサルティング業務がサービスとなります。準委任契約で委託されているのは事実行為であるため、仮に結果が出なかったとしても報酬を受け取ることは可能です。経営コンサルティングをした結果、たとえ売上や利益が上がらなかったとしても、契約書に書かれた業務を行っていれば契約を履行していることになります。
請負契約は、受託者が業務を完成させ、その対価として委託者が報酬を支払う契約です。委任契約、準委任契約で求められるのは任されたことを実際に行うことですが、請負契約では成果物が求められます。請負契約を結んで仕事をする例としては、フリーランスのプログラマーやライター、デザイナー、建築業者、製造業者などが挙げられます。プログラマーならプログラムやアプリを、ライターなら記事を、製造業者なら製品を作成(作製)してクライアントに納品することで、はじめて報酬が支払われます。たとえ途中まで仕事を進めていたとしても、成果物が納品されなければ報酬は発生しません。
委任契約、準委任契約はクライアントにサービスを提供するもの、請負契約は成果物を提供するものとイメージするとわかりやすいでしょう。
フリーランスという働き方が普及するにつれ、トラブルも増加してきています。業務委託契約を結ぶ際の注意点をいくつか見ていきましょう。
業務委託契約でよくあるトラブルが「偽装請負」です。偽装請負とは、本来労使で折半するべき社会保険料などの支払いを免れる、労働基準法の規制から逃れるといった目的で、業務委託契約を結びながら実質的には労働者として仕事をさせることで、問題となっています。
そもそも、業務委託契約は雇用契約とは異なり、あくまで業務を行う、あるいは完成させることで報酬が支払われます。たとえば、クライアントがフリーランスに業務時間や休日の指定をして労務管理をしている、業務について指揮命令下に置いているという状態は、雇用とみなされる可能性があります。
やはり揉めごとの種となるのはお金のこと。曖昧にしておくと、「報酬が支払われていない」「いや、報酬はきちんと支払った」というトラブルになりかねません。支払い総額だけではなく、「納品物1件につき○○円」「打ち合わせ1回につき○○円」というように、明細を契約書に記載し、見積書を契約書と紐づけておきましょう。また、消費税(税別か?税込か?)や交通費、業務遂行に必要なツールの購入代金などの経費についても明確にしておく必要があります。
特に、契約段階で業務内容や範囲が明確になっていないと、後々クライアントとフリーランスの間でトラブルになることもあります。サービスを提供した後、あるいは成果物を納品した後にクライアントから「この部分ができていない」と指摘され、フリーランスは「そんなことは事前に聞いていない」などといってトラブルになることも少なくありません。また、クライアントから後出しで「これもやっておいて」「あれもやっておいて」と追加料金なしでどんどん頼まれごとをされるケースもあります。
こうしたトラブルを防ぐためにも、「何を行うのか?」「どこまで行うのか?」を明確にしておきましょう。
最後に、業務委託契約を締結するまでの流れを解説します。スムーズに契約できて、かつ後々トラブルにならないよう、しっかりと把握しておきましょう。
案件についてはクライアントとフリーランス双方で業務内容や範囲、仕事の流れ、納期、条件(報酬や、交通費など経費支給の有無など)を確認します。これは実際に仕事をする上で非常に重要な点ですので、疑問に思うことがあれば話し合い、明確にしておきましょう。
話し合いの結果、案件を発注/受注することが決まったら業務委託契約書を作成します。以後定期的に取り引きをする場合は、初回のみ契約を取り交わすケースも多くみられます。また、定期的に契約を更新するケースもあれば、案件ごとに契約するケースもあるなど、クライアントによってさまざまです。
業務委託契約書作成時にクライアント側のフォーマットを使用する場合は、内容に問題がないかをフリーランス側が確認します。自分にとって不利な箇所がないか、事前の話し合いと相違がないか、細部までしっかり読み込むことが重要です。また、フリーランス側が業務委託契約書を用意する場合には、以下のような項目を盛り込んでおきましょう。
・契約形態
・業務の内容や範囲、納期
・修正について
・報酬や経費の支払い
・契約期間と更新、解除
・著作権など知的財産権
・機密保持
・損害賠償
・管轄裁判所
今後業務委託契約を結ぶ機会が多くなりそうなのであれば、フォーマットを作っておくとよいでしょう。業務内容や報酬などは案件ごとに変わりますが、知的財産権や機密保持など、そのまま使える項目もあります。また、不安がある、契約金額が大きいといった場合は弁護士にリーガルチェックをお願いすることも検討しましょう。
委託者と受託者双方が契約内容について確認します。
「契約書は形式上のもの」と考えているフリーランスやクライアントも少なくありません。しかし、案件を進める上でトラブルが発生した場合、業務委託契約書が重要な証拠となりますので、必ず仔細まで確認しましょう。
業務委託契約書に双方が署名・捺印をして、郵送または対面で双方の手に渡れば、契約締結完了となります。この後は契約書の内容に従って案件を進めていくことになります。
業務委託契約書は紙かメールでやりとりすることが多いものですが、タイムラグが発生する、管理に手間がかかる、紛失や改ざんのリスクが高いなど、デメリットが数多くあります。そこでおすすめなのが電子契約です。電子契約なら、パソコンやスマホで効率的に業務委託契約を交わすことができます。印刷したり郵送したりといった手間がかからず、改ざんリスクも最小限に。スムーズかつ安心して案件に取り組むことができるようになります。
「電子印鑑GMOサイン」なら複数人に業務委託契約を一括送信することも可能、スマホアプリもあり、いつでも・どこでも契約をスピーディーに締結できます。フォルダやユーザーグループ、文書検索などの機能が豊富で、紙の契約書と比べて管理も容易です。電話サポートや有人チャット、活用ウェビナーなどサポートも充実しています。
繰り返しになりますが、業務委託契約書は単なる形式上のものではありません。署名・捺印した瞬間から効力が発生し、双方が契約書の内容を遵守しなければなりません。また、万が一トラブルが発生した場合、自分の身を守る重要な証拠にもなり得ます。業務委託契約を結ぶ際には、今一度その内容を精読し、不明点や疑問点をすべて解消した上で署名・捺印しましょう。
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