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【2024年最新】労働者派遣法とは? 改正の歴史も深掘り解説

 

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労働者派遣契約は、派遣会社と派遣先の企業とが結ぶ契約です。労働者派遣法は、派遣就業者数の増加や、社会情勢の変動による働き方の変化などに対応しながら改正を繰り返してきました。派遣に関わる仕事をするうえで、労働者派遣法について最新の情報を把握しておくことは重要です。

目次

労働者派遣法とは

労働者派遣法とは、1986年に施行された「派遣による働き方を適正に監督し保護するため」の法律のことです。

なお、正式名称は、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者保護等に関する法律です。よく耳にする派遣法とは、この法律のことを指します。

法律の名称からもわかるように、労働者派遣法の目的は派遣社員として働く人の保護です。派遣社員は正社員に比べて雇用が安定せず、給料が上がりにくい場合も多くなっています。また、昇進が無かったり、職場で理不尽な扱いを受けたりすることも多く、保護が必要となっています。

労働者派遣契約は、派遣会社と派遣先の企業が結ぶ契約です。労働者派遣法には、派遣社員が働くことのできる仕事の分野や期間、職場での派遣社員への処遇などが定められています。違反すると罰則も科されるため、法的な側面から派遣社員として働く人の権利を守り、保護する目的に寄与しています。

2種類の派遣契約

そもそも派遣とは、派遣労働者が所属している派遣元企業(いわゆる派遣会社)が派遣先企業と契約を結び、派遣先企業の要請に応じて人材を派遣するという仕組みになっています。派遣元企業は、派遣先の企業と労働者派遣契約を結ばなければ、雇用契約を結んでいる人材(自社社員)を派遣することはできません。

派遣労働者は、派遣元企業と雇用関係を結びますが、実際に仕事をするうえでは派遣先の企業の指示に従います。派遣はこうした仕組みで成り立っているため、派遣会社は派遣先企業とのトラブルを避けるために基本契約、そして派遣労働者を守るために個別契約を結ぶことが多いです。

基本契約

基本契約とは、派遣元企業と派遣先の企業が取引に関連して結ぶ契約のことです。これには派遣料金や損害賠償などが含まれます。労働者派遣法では、基本契約を結ぶことは義務付けられていません。しかし、派遣元企業と派遣先企業間のトラブル防止のためにほとんど場合は締結されています。

個別契約

一方、個別契約は労働者派遣法にも義務付けられている契約で、派遣労働者を雇い入れる際に結ぶ契約のことです。個別契約では、派遣労働者が行う業務や就業時間など実際の仕事に関する具体的な事項が含まれます。派遣先企業は、この契約に基づいて派遣労働者を扱わなければならないため、個別契約は派遣労働者を守るという意味合いが強いといえます。

派遣先企業と基本契約を締結してから、個別契約を締結し、就業条件などを明確にしたうえで、派遣を行う企業がほとんどでしょう。

3種類の派遣形態

派遣は派遣労働者が派遣会社と雇用契約を、派遣会社が派遣先企業と労働者派遣契約を結びます。この関係は人材派遣における基本的な形ですが、派遣形態にはいくつかの種類があるため派遣形態についても基本的なことを理解しておいた方が良いでしょう。

有期雇用

有期雇用派遣は、派遣と聞くほとんどの人が思い浮かべるものであり、最も一般的な派遣形態といえます。前述のとおり、派遣先企業は派遣会社と契約を結び、必要となる人材を要請します。派遣会社は労働者と雇用契約を結び、派遣先に派遣しますが、その雇用期間をあらかじめ定めているものが有期雇用です。

派遣先での派遣期間が終了した際には、派遣会社と派遣労働者との雇用契約も終了します。派遣期間が終了した後、同じ派遣先でさらに期間の延長する場合は新たに契約を結ばなければなりません。

無期雇用

無期雇用は有期雇用と基本的な部分は同じですが、派遣会社と派遣労働者との雇用契約期間に期間が設けられていない点が異なります。

有期雇用では派遣期間が終了すると同時に雇用契約も終了しますが、無期雇用の場合は雇用契約が継続します。

紹介予定

紹介予定派遣は、派遣先企業が将来的に直接雇用を考えている場合に活用される派遣形態です試用期間を派遣社員として働く方法と考えることができるでしょう。

紹介予定派遣は、有期雇用で利用される場合が多くなっています。派遣先企業は、最初に派遣期間を含めて人材を派遣会社に要請します。派遣期間中に、派遣先企業は派遣労働者の適性をチェックし、派遣期間が終了した際に直接雇用するかどうかを判断します。

労働者派遣法の制定と改正の歴史

労働者派遣法は派遣労働者を守るために制定されました。しかし、社会情勢の変化に応じて改正も行われています。労働者派遣法が制定された経緯や、改正の歴史を理解しておくことは大切です。

派遣法ができる前

労働者派遣法は1985年に制定されています。それよりも前には、労働者を供給する事業そのものがグレーゾーンであったといえます。それまでの日雇い労働の仕事といえば、多くが劣悪な環境での強制的なものでした。労働者を守るために職業安定法が施行されていましたが、派遣業務はこの法律に抵触する恐れがあったため、非常にデリケートな問題となっていました。

一方で、この時期の日本は高度経済成長から成長安定期に入っており、働き方にも変化が起こっています。

たとえば、これまでは家事に専念していた女性たちも仕事を始めるようになったり、コンピューターの発達に伴い、専門職が求められたりするようにもなっています。

こうした社会情勢の変化に伴い、労働者派遣の需要も高まっていたため、派遣労働者が働きやすい法整備が求められるようになりました。

1986年:労働者派遣法が施行される

労働者派遣の需要の高まりにより、1985年に労働者派遣法が制定され、翌年に施行されています。労働者派遣法の目的は、派遣事業を適正に行うための法整備、ならびに派遣労働者として働く人の保護です。

労働者派遣法が制定された当時は、派遣事業に許可が必要であったことに加え、業種も専門職に限られていました。

1996年:ポジティブリスト制度

当初は13種(法施行後直ちに3業種追加され16業種に)の専門職のみが派遣事業の対象でしたが、1996年の改正では派遣事業の対象となる専門職が追加されています。この時点で、派遣事業の対象となる業種はポジティブリストと呼ばれ、派遣事業はリストに載せられている26業種に限定されていました。

この時代の派遣事業は、ポジティブリスト制度と呼ばれます。

1999年:ネガティブリストの指定

1999年の改正では、派遣事業の対象となる業種が原則自由化されました。一方で、派遣事業の対象から除外される業種を限定し、そのような業種をネガティブリストと呼ぶようになります。

ポジティブリスト制度では、限定された業種のみ派遣事業の対象となっていました。しかし、同改正によって、ネガティブリスト以外の業種であれば、自由に派遣事業の対象に含めることができるようになったわけです。

ネガティブリストには建設業や製造業、警備や医療などが含まれていました。ネガティブリスト以外の業種は、派遣事業の対象となりましたが、専門業務以外の派遣可能期間は1年に限定されています。

なお、翌2000年の改正では、紹介予定派遣が可能となっています。

2004年:ネガティブリストから製造業が外れる

2004年改正により、ネガティブリストに載せられている業種から製造業が外されました。派遣期間も改正がなされ、当初ポジティブリストの載せられた26の業種に関しては無制限、その他の業種に関しては3年、そして、新たにネガティブリストから外れた製造業は1年となります。

また、2006年改正により、一定の条件を課したうえで医療業務の派遣が可能となっています。さらに2007年改正では、物の製造の業務について、派遣可能期間が3年に改正されています。

2012年:派遣事業の拡大への対応

派遣事業への規制が緩和されたことや派遣の需要が高まったことにより、偽装請負や二重派遣などの問題も多く報告されるようになります。そのため、2012年には派遣労働者を保護する目的で改正が行われています。

2012年の改正では、日雇い派遣の原則的禁止グループ企業内における離職者の派遣受け入れ1年間の禁止派遣会社の情報の透明化そして派遣労働者への説明義務などが追加されています。これらの改正により、派遣労働者の労働環境がさらに改善されることに加え、派遣会社による不正などを制限しやすくなりました。

2015年:派遣労働者保護を強化

2015年の改正では、派遣労働者の保護を目的として、派遣事業を許可制に統一することで、派遣会社の法順守が促進されています。さらに派遣労働者の雇用安定のための努力義務により、派遣労働者が希望する場合には派遣会社での無期雇用への転換や、派遣先での直接雇用支援を行うなど、派遣労働者の雇用安定を促進する改正も行われています。

2020年:同一労働同一賃金

働き方改革が行われていく中で大きな問題となっていたのが、正社員と派遣社員の格差です。こうした格差を埋めるべく、2020年の改正では同一労働同一賃金の原則が盛り込まれました。

派遣先均等・均衡方式労使協定方式など、派遣労働者の待遇の決定方法に関する改正が行われたのも、この年の改正の特徴です。派遣先均等・均衡方式では、派遣労働者の待遇は、派遣先の正社員と同程度にする必要がありますが、労使協定方式では、派遣先の正社員の待遇に左右されません。

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【2021年最新】労働者派遣法の改正内容

2021年改正では、2回に分けて以下の点が新たに追加されました。

電磁的記録による契約書の作成

これまで書面でのみ認められていた派遣契約書の作成が電磁的記録でもできるようになりました。このことによって契約書の閲覧や確認が容易になっています。

電磁記録による契約書の作成は電子契約サービスを利用するのがおすすめです。導入企業数300万社以上(※)を誇る電子印鑑GMOサインは、労働者派遣契約書はもちろん、雇用契約書や業務委託契約書など幅広い契約に対応した、今一番選ばれている電子契約サービスです。次の資料では電子契約サービス導入の手順をわかりやすく解説していますので、ぜひダウンロードしてご一読ください。
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雇い入れ時の教育訓練やキャリアアップについての説明義務

派遣労働者は働く期間が限られているため、正社員に比べてキャリアアップが難しい状況にあります。こうした現状を踏まえて、派遣会社は、派遣労働者を雇い入れる際に教育訓練やキャリアアップに関する説明を行うことが義務づけられました。

以前から努力義務として位置づけられていましたが、今回の改正で希望者への説明が義務化されています。

派遣労働者からの苦情への対応

改正前は派遣労働者からの苦情は派遣会社が対応していました。しかし実際に働く場所となるのは派遣先企業です。そのため、業務に関する苦情は、派遣先の企業も主体的に対応するようにとの指示が加えられました。不当な労働やハラスメントなどの苦情は派遣会社と派遣先企業とで対応することが義務付けられ、その記録もなされるようになっています。

日雇い派遣労働者への補償

正社員に比べ、派遣労働者は雇用がかなり不安定であるといえます。派遣先企業の都合や、派遣会社の都合で契約が解除されれば生活にも支障が出てしまいます。そのため、同年の改正では日雇い派遣労働者への補償が加えられました。派遣労働者側に契約解除となるような理由がないにもかかわらず、派遣会社が契約を解除した場合、派遣労働者への休業手当などの支給が求められるようになっています。

2021年に行われた労働者派遣法の改正点をまとめると以下の表の通りです。

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改正前改正後
1. 電磁的記録の容認派遣契約の締結は書面の契約書しか認められなかった電磁的記録(電子データ)でのやり取りも認められるようになった
2. 雇い入れ時の説明義務雇い入れの説明やキャリアコンサルティングは任意雇い入れの説明やキャリアコンサルティングは原則義務化
3. 派遣労働者からの苦情対応派遣先が派遣社員の苦情処理を十分に行っていなかったケースもあった派遣社員から労働関係法上の苦情が出た場合、派遣先も対応が義務となった
4. 日雇い派遣の契約解除労働者の帰責事由以外の事由による契約解除であっても措置を講じる義務はなかった労働者の帰責事由以外の事由によって契約解除する場合は派遣元が休業手当を支払うなどの責任を負う
【2021年改正】労働者派遣法の改正前後比較

まとめ:最新改正内容をしっかりと把握しましょう

労働者派遣法は、制定から繰り返し改正が行われてきました。改正点を把握しておかないと、罰則が科されてしまう恐れもあります。立場の弱い派遣労働者を守るため、派遣会社はもちろん派遣先の企業など、派遣に関わる仕事をするうえでは、最新の情報の把握が必要です。

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この記事を書いた人

GMOサインが運営する公式ブログ「GMOサインブログ」の編集部です。
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