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転職活動における守秘義務とは?面接でどこまで話して良いの?遵守すべき情報や対処法を詳しく解説

 

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転職時の面接では新卒採用時の面接と異なる着目点を持って臨む必要があります。転職面接は、新卒時の面接と様々な点で異なりますが、中でも注意すべきなのは守秘義務です。面接時に守秘義務を遵守した対応ができると、面接官から好評価を受けやすくなります。

面接において、以前の職場で得た情報や経験を自由に話せるわけではありません。社外秘とされている内容や、営業実績など多くの制限が設けられていることも珍しくないでしょう。最悪の場合には、損害賠償請求にまで発展してしまう可能性も存在します。

当記事では、転職面接で意識すべき守秘義務について解説します。遵守すべき観点や対処法についても詳しく触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

転職面接時に意識すべき守秘義務とは

守秘義務とは、携わっていた業務で知り得た情報を一定範囲外の外部に漏らしてはいけない義務を指します。ただし、全ての情報が守秘義務の対象に該当するわけではありません。

守秘義務が課せられるのは、就業規則や会社と取り交わした契約書に明文化されている場合が多いです。

転職面接時における守秘義務に該当する3つの情報

転職時に考慮すべき守秘義務の対象はインサイダー情報、個人情報、営業秘密の大きく3つに分かれます。それぞれの情報が、企業が所有する財産かつ保護対象となっています。それぞれの情報にはどのような内容が含まれているのでしょうか。

インサイダー情報

インサイダー情報とは、企業の役員など限定された人間が持つ株式市場に影響を与える未公開情報です。情報によっては巨額のお金が動く場合があります。例を挙げると、企業の合併や倒産に関する情報などが対象です。

インサイダー情報の漏洩を許容すると、一部の人間だけが利益を得て市場の信頼性を損なう危険性が生じてしまいます。企業の保護だけでなく、健全な株式市場の形成を目的としてインサイダー情報に対する守秘義務が設けられています。

個人情報

個人情報とは、氏名や生年月日などの個人を識別できる情報を指し、個人情報保護法第2条1項1号で明確に定義されています。

(定義)
当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録(電磁的方式(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式をいう。次項第二号において同じ。)で作られる記録をいう。以下同じ。)に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号を除く。)をいう。以下同じ。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)

引用元:個人情報の保護に関する法律 | e-Gov法令検索

個人情報に該当する内容は、法律上でその他の記述等と記載されているように幅広いです。個人を特定可能な情報であれば対象となるので、個人の外見的特徴を文章化したものやSNSのアカウントなども個人情報として認識されています。前職で関わりのあった人たちの情報も内容によっては個人情報となります。

そのため、転職面接では、特定されない程度に曖昧にして話すようにしましょう。

営業秘密

営業秘密とは、企業が公開していない営業先に関する取引内容や技術などに関する情報で、不正競争防止法第2条6項に明文化されています。

(定義)
この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。

引用元:不正競争防止法 | e-Gov法令検索

企業の未公開情報が当てはまるため、守秘義務が適用される範囲は広くなるといえます。転職時には前職で取り組んだ実績を面接官にアピールしなければいけません。しかし、情報の取り扱いには注意を払う必要があります。

特定企業名を出さない、営業売上などを話す際に具体的な数字を出さないといった工夫が必要です。

守秘義務違反によって適用される法律と生じる罰則

転職面接時での意図せぬ発言で、罰せられてしまう可能性があります。ただし、一括りに守秘義務違反として罰せられるわけではありません。漏洩した「インサイダー情報」「個人情報」「営業秘密」などの種類によって適用される法律が異なります。

金融商品取引法|インサイダー情報

インサイダー情報に対して守秘義務違反で適用される法律は、金融商品取引法が該当します。法律内に定められた情報伝達行為に抵触し、金融商品取引法197条の2第14号により5年以下の懲役または500万円以下の罰金、もしくはその両方を科せられる可能性があります。

情報伝達行為への抵触は、次の3つの要件を満たすことが必要です。

  • 上場会社およびその関係会社に関するインサイダー情報
  • 他者への利益享受または損失回避を目的とした行動であること
  • インサイダー情報を伝達して株などの売買を勧めること

個人情報保護法|個人情報

個人情報に対して守秘義務違反で適用される法律は、個人情報保護法が該当します。前職に関連する個人情報を漏洩すると、個人情報保護法179条により1年以下の懲役または50万円以下の罰金、もしくはその両方を科せられる可能性があります。

転職面接における個人情報保護法違反は、企業に対して拭いきれないマイナスイメージを植え付けかねません。影響範囲によっては、個人では負担できない巨額の賠償金を請求される場合があります。

不正競争防止法|営業秘密

営業秘密に対して守秘義務違反で適用される法律は不正競争防止法が該当します。前職で得た営業秘密を漏洩すると、不正競争防止法21条1項により10年以下の懲役または2,000万円以下の罰金、もしくはその両方を科せられる可能性があります。

面接時には、自身のスキルや実績を説明する必要もあります。しかし、具体的な名称や数字だけでなく、公に開示されている情報を逸脱するような内容を話すのは控えるようにしましょう。

同業他社への転職時に守秘義務を遵守した面接の準備

転職時の面接では、前職での情報を上手く扱いながら話を展開する必要があります。守秘義務を遵守した振る舞いは、面接時でも大きなアドバンテージとなるからです。同業他社に転職する場合は顧客名や経営に関する数字など、内部情報の取り扱いには十分注意する必要があります。

転職先の制限が設けられている場合がある

憲法では職業選択の自由が保障されています。そのため、同業他社への転職であっても、法律上の問題はありません。ただし、退職後の同業他社への就職を一定期間制限している企業も存在します。面接前に就業規則や入社時に取り交わしている契約書を確認し、守秘義務違反とならないような立ち振る舞いが重要です。

守秘義務の適用範囲は面接だけでなく、履歴書や職務経歴書にも及びます。特に面接とは異なり、文面に情報が残ってしまう関係上、記載可能な情報か否かの判断は慎重に行わなければいけません。

就業規則や誓約書で着目すべき点

就業規則や誓約書では、以下の事項を確認しましょう。

  • 同業他社への再就職期間
  • 再就職可能な地域・職種
  • 違反した際の代替措置

どの程度が許容範囲なのかを理解しておくことで、守秘義務違反や契約違反を回避して行動可能です。

業務内容については、企業が個別に定めている業務ルールが存在する場合があるので注意が必要です。業務ルールは労働者に対する提示義務が法律で定められていません。そのため、知らないうちに守秘義務違反に抵触してしまう可能性があります。上司や先輩に確認するなどして事前に把握しておきましょう。

転職時の面接で守秘義務違反を犯すデメリット

守秘義務違反を犯すデメリットは多く存在します。また、社会人としての立ち振る舞いは、新卒採用時以上に転職時の方がシビアに評価されます。

守秘義務違反は、面接官からの印象が悪くだけでなく、前職の会社にも多大な損失を与えてしまう恐れがあるため注意が必要です。

社会人としてのモラルが低いと判断される

転職時の面接では、面接官に前職の情報をあえて質問されることも少なくありません。選考対象者が守秘義務違反を意識できているかを確認することで、入社後も社外秘の情報を漏洩しない人材かどうかを判断しています。

前職での実績を伝えることは面接において重要です。しかし、自分をアピールしたいがために、必要以上の情報を伝えないように注意しましょう。

いかに守秘義務を遵守しながら内容を伝えられるかも大切な能力です。話したい内容に不安がある場合は転職エージェントに相談して事前に対策を練っておくことをおすすめします。

以前の勤め先から訴えられる可能性がある

守秘義務違反を行った場合、前職の会社から損害賠償請求訴訟を提起される可能性があります。また、会社に在籍しながらの転職活動に対しては、懲戒解雇などの重い処分が下された事例もあるため、注意しましょう。

面接を有利に進めるために、守秘義務違反となる内容を話したとしても、後に生じるデメリットの方が大きいです。損害規模によっては、個人で負担しきれない額の賠償にまで発展する危険性もあります。守秘義務の取り扱いには十分注意しましょう。

転職活動で守秘義務遵守の達成に向けて面接で取り組むべき対処法

転職活動を行う際に、面接は避けて通れません。しかし、面接時における守秘義務をどのように遵守すれば良いのか悩む方も多いでしょう。

次項からは、数ある方法の中から、面接の準備段階や実施中に最低限押さえておきたい対処法を5つご紹介します。

面接前に守秘義務違反の有無を仕分けておく

面接に臨む前に現在所持している中で、守秘義務違反の対象となる情報を仕分けておきましょう。事前に情報を分けておくことで、面接時に話す内容を整理でき、意図せぬ守秘義務違反を犯してしまうリスクを軽減できるからです。

情報を仕分ける際、守秘義務違反に抵触するかどうかで悩むことも考えられます。判断に困る場合は、必ず上司や転職エージェントなどに確認を取り、不安要素は全て解消しておきましょう。

言い回しや伝え方を工夫する

面接官に対しては、言い回しや伝え方を工夫するように心がけましょう。

もし守秘義務違反に該当する場合でも、その情報なしでは説得力や根拠に欠けてしまう状況が存在します。そのような場合には、守秘義務違反を恐れ、具体的な内容を伝えられないかもしれません。しかし、転職面接では、前職での実績をアピールすることは必須です。

開示されている情報で伝えられないか、守秘義務となる情報とは異なった表現を利用して同じ内容を伝えられないかなど工夫してみましょう。

客観性を高める

言い回しや伝え方を工夫するうえでは、客観性を高めることがおすすめです。たとえば、特定企業について伝えたい場合であれば、「株式会社〇〇」ではなく「〇〇業界の大手企業」など要素だけを抽出してみましょう。面接官は選考者の実績規模が分かればいいので、詳細を必ずしも伝える必要はありません。

一方で、客観性を高めることに意識を向けすぎて、自身のアピールポイントが消滅してしまわないよう注意が必要です。

内容を曖昧にして伝える

面接時に話す内容を曖昧にして伝えるのも1つの手段です。詳細な名称や数字を出さずに説明したり、重要な要素以外にフェイクを入れたりすることが有効となります。この方法であれば、守秘義務を守りながら自身の主張を面接官に伝えることが可能です。

ただし、内容を曖昧にし過ぎても伝わりません。転職エージェントに相談して添削してもらうことで伝わりやすい内容にブラッシュアップすると効果的です。

守秘義務違反となる内容は話せない旨を伝える

面接官からの質問に対する回答が守秘義務違反となる場合も存在します。そのような場合には、話せない旨を伝えることも時には重要です。内容をぼかして伝えられるのであれば、その方法がベストです。しかし、同業他社への転職では、前職で携わっていた企画や営業内容などをぼかして伝えるのは、難しいでしょう。

無理をして伝えた結果、守秘義務違反となってしまう可能性もあります。そのため、情報漏洩を防ぐ立ち回りをして、好感度を上げるのがおすすめです。話せない内容を聞かれた場合であっても、無理に答える必要はありません。「守秘義務のためお答えしかねますが~」と前置きを入れて、答えられる範囲内で回答を行いましょう。

転職面接時で想定される守秘義務を意識すべき具体例

転職面接では事前準備の出来次第で、得られる結果が大きく変わります。以下では、転職面接で想定される具体的なケースを集めてみました。各ケースにおける考え方や対応方法をご紹介します。

どのような顧客とやりとりがあったか聞かれた場合

前職で関わりのあった顧客情報に関する質問があった場合、企業名を出して答えてしまってはいけません。面接官が聞きたいのは具体的な顧客情報ではなく、選考者がどのような人材なのか、どのような形で関わっていたのかです。

企業に関する情報は守秘義務が課せられている場合が多くなっています。面接時には、公開されている情報を利用するだけに留めておきましょう。面接官が知りたがっている本質を理解して、顧客とのやりとりを通して自分にどのような価値があるのかをアピールすることが重要です。

プロジェクト内容の詳細を聞かれた場合

前職で携わっていたプロジェクトの詳細を質問される場合も想定されます。そのような場合には、守秘義務に抵触しない範囲内でプロジェクトの概要や公開情報に基づいた内容などは話しても良いといえます。しかし、進行・管理方法や規模感など部外者が知り得ない情報は、守秘義務違反となる恐れがあるため、話題に出すのは控えておきましょう。

回答例として「プロジェクト内容の詳細は守秘義務で話せないが、プロジェクト内でプロジェクト管理を行って成功まで導いた」など、プロジェクトで発揮できた自身の強みを客観的に伝えるのがおすすめです。

守秘義務に抵触する理由を含む退職理由を聞かれた場合

退職理由に守秘義務に該当する情報が含まれる場合も存在するかもしれません。その場合には、客観的な視点から話す内容を構築するようにしましょう。守秘義務遵守を意識し過ぎて、嘘をついたり話を盛ってはいけません。しかし、面接官の理解度を深められる程度には話せるようにしておく必要があります。

転職面接時にうまく答えることができなかったとしても、前職で努力した内容や問題解決のためにどのように行動したのかを話せば面接官の納得感を高めることが可能です。

まとめ

転職面接においては、守秘義務を意識して臨む必要があります。守秘義務は、面接官が採用時に着目するポイントの1つです。もし、守秘義務違反を行ってしまうと、漏洩した情報に対応した法律によって罰則を科される恐れもあるためご注意ください。前職の企業に多大な損失を与える恐れがあるだけでなく、個人では背負いきれない賠償責任が発生する可能性も存在します。

面接時には守秘義務を遵守するために、該当する情報の仕分け、伝える内容の言い回しを工夫するなどの事前準備を行うことで対処可能です。自分の強みを最大限アピールできるよう、面接官からの信頼を損ねない立ち回りを意識しましょう。

 

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この記事を書いた人

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