滋賀県長浜市役所

導入時の設定サポートのおかげで
トラブルなく運用開始できた

滋賀県長浜市役所
滋賀県長浜市役所

滋賀県北部に位置する長浜市。西部に琵琶湖、北部に伊吹山地や野坂山地を有する自然豊かな同市では、滋賀県の他の市町村に先駆け、2023年1月に電子契約サービスを導入しました。導入のきっかけのほか、運用を開始するまでに整備した点や導入によるメリットについて聞きました。

取材協力滋賀県長浜市役所 総務部 契約管理課 課長代理 谷沢匡章さま

業種 契約類型 ご利用プラン
市役所工事請負契約、委託契約、物品購入契約など契約印&実印プラン
※契約印プランのみ利用

記事の要約

  • 契約管理課で入札執行する案件(年間約300件)のうち5割が電子契約
  • 導入コストとランニングコストが最も安かったGMOサインを採用
  • 印刷や郵送のコスト削減に加え、契約事務も大幅に改善

長浜市の風景

―現在、電子契約サービスをどのように活用されていますか?

個人事業主を含む事業者との契約で作成する契約書において、相手方が電子契約を希望された場合に利用しています。対象となるのは、電子化に関して規制がある文書や、契約期間が10年を超える契約書を除いた、すべての文書としています。
また、複数の当事者の合意を証するための文書であれば、契約書に限らず「協定書」や「覚書」でも利用可能との運用としていますが、それらで電子契約を利用したケースはまだありません。全庁で作成されている契約書の総数は把握していませんが、契約管理課に限って言えば、年間およそ300件の契約締結があります。2023年1月から電子契約サービスの利用を開始し、そのうち5割程度が電子契約での締結になっています。

―長浜市で電子契約サービスを導入するに至った経緯を教えてください。

長浜市では、2021年度を「デジタル長浜元年」と位置づけて、『“デジタルのチカラ”で「くらし」と「市役所」に変革を』をスローガンに、長浜市行政のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進していくことになりました。それを受け、翌2022年度の予算要求に際して、庁内で長浜市デジタル化推進基金を活用した事業募集がありました。そこで契約管理課として「電子契約サービスの導入」を提案したところ、予算化が承認されました。以降、2023年1月の運用開始を目指して、電子契約サービス事業者の選定など導入に向けた動きを本格化しました。

―紙での契約締結に限られていた当時、日々の業務で抱えていた課題や解消したいと感じる問題はありましたか?

契約管理課では年間およそ300件の契約締結を行っているのですが、契約書のプリントアウトや製本など作成に時間と手間がかかっていました。
また、契約書を持参される事業者がいらっしゃると、公印を押してもらうために負担行為書類一式と契約書を持って、別フロアにある総務課に足を運ぶ必要がありました。その都度、入札関係書類の作成事務を中断しなければならず、課題となっていました。その点、電子契約であれば、紙の契約書を作成する手間や郵送代が削減でき、さらに電子署名するタイミングを自由に決められるため、メリットがあると考えました。

―電子契約サービスを導入するにあたって、懸念点や不安はありましたか?

予算要求に際して電子契約サービスの導入を提案した段階では、サービスを利用する際に、相手方である事業者に新たな手間や費用負担が生じないのかといった心配がありました。また、市の職員が直感的に扱えるような手軽なサービスなのかと操作面への不安も抱いていました。ですが、GMOサインさんなどいくつかの事業者から説明を受け、システムを拝見する機会を得たりしたことで、はじめての人でも問題なく操作できるだろうと判断しました。当初は電子契約の仕組みや法的有効性に関する知識も乏しかったのですが、電子契約サービス事業者のホームページや先行自治体の事例を学び、理解を深めていきました。

―電子契約の事業者はどのように選定されたのですか?

LGWAN接続での利用を考えていたため、対応しているGMOサインを含め、数社に絞りました。そのうえで、当時J-LISのLGWAN-ASPサービスリストに掲載されていた電子契約サービスの機能を確認したところ、いずれのサービスでも長浜市が求めている基本的な機能を有していることがわかりました。そこで各社から導入支援に係る費用とサービス利用料の見積書を提出いただくことになりました。その結果、イニシャルコストとランニングコストの面で、最も経済効率が高かったGMOサインを採用することにしました。GMOサインさんには事前の情報提供に加え、導入時のワークフローの設定など、さまざまなサポートをいただき、スムーズに運用をはじめることができました。

―電子契約を導入するにあたって、業務フローの変更や規則の見直しを行った点はありますか?

例規では紙での契約締結を前提していたため、電子契約に関する文言がありませんでした。そこで必要に応じて、文言を追加しましたが、その際、どんな内容を追加すれば良いのか、他の自治体の事例をもとにGMOサインさんにサポートしていただいたので、スムーズに改正することができました。
また、業務フローについては、紙と電子で一部の手順を変更した箇所があります。従来は事業者の押印が済んだ段階で文書法規担当が契約書文面の最終チェックをしていたのですが、電子契約では事業者に送信する前に文書法規担当が契約書文面の最終チェックを行うことにしました。

―電子印鑑GMOサインを導入したことで、業務はどのように改善しましたか?

長浜市では全庁的にペーパーレスに取り組んでいますが、電子契約は紙の使用枚数、あるいは複合機のパフォーマンスチャージ料の削減に寄与しています。また、契約書の郵送に要する時間や、契約書への押印に要する時間を削減できたと実感しています。
そのほか、締結した契約書を検索する際にも、電子契約に利点があります。電子契約締結済みの契約書を一覧形式で把握でき、PC上で契約書をすぐに確認できます。従来は、何の業務に関して、いつ契約した案件なのかを把握したうえで当該業務・当該年度のファイルを探し、そのファイルの中に綴ってある紙の契約書を探す必要があり、業務効率が改善したと言えます。

―GMOサインの導入後に見えてきた新たな課題がもしあれば教えてください。

契約書に記載する「契約日」と、署名した際に記録されるタイムスタンプの日付がズレてしまう、いわゆるバックデート問題には、いまも頭を悩ませています。長浜市では、地方自治法第234条第5項の規定を遵守するため、電子契約書を作成する際に「契約日」を空欄にし、長浜市が電子署名を実施する際に当日の日付をテキスト入力するという運用法をとっています。そのため現行の運用では、年度当初の契約(契約日を4/1とすべき契約)で電子契約サービスを利用できない状況になっています。契約が遡及して効力を発揮するよう契約書に文言を追加することで対応している自治体もあると聞きますが、苦肉の策のように思います。行政職員が戸惑いなく電子契約を利用できるよう、地方自治法第234条第5項の規定が改正されることを望んでいます。

―電子印鑑GMOサインの利用に関する、今後の目標はありますか?

長浜市では、2022年12月に「長浜市DXデジタル・トランスフォーメーション推進戦略」を策定し、「すべての人に優しく、安心を感じることができるデジタル化」をミッションとしています。デジタル技術は導入することが目的ではなく、施策や課題解決の手段であるとの考えのもと、今後も行政サービスや行政運営のデジタル化、さらには、デジタル技術を活用した地域課題の解決などに取り組んでいきます。電子契約については、もう少し丁寧に事業者に利便性やメリットをご案内し、現状の5割から6割へと利用率が向上することを期待しています。

―お忙しいところ、ご協力いただきありがとうございました。今後とも、GMOサインをよろしくお願いいたします。

  • 感染症対策を実施の上、インタビューを行っております。
  • 掲載している内容、所属やお役職は取材当時のものです。
自治体名
滋賀県長浜市役所
所在地
滋賀県長浜市八幡東町632
URL
https://www.city.nagahama.lg.jp/

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