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現在派遣社員として働いている方の中には、派遣という働き方について周りからネガティブな意見を受けた経験がある方もいるのではないでしょうか。
派遣社員の働き方は他の雇用形態と比較するとやや特殊であり、メリットだけでなくデメリットも存在します。派遣社員として長く働き続けたい場合は、そのデメリットについても理解しておくことが重要です。これを踏まえた上で、派遣社員として働き続けるか、あるいは転職するかを決めるのが良いでしょう。
本記事では、派遣社員のデメリットや他の雇用形態との違いについて詳しく解説します。
最初に、派遣社員として働く人と他の雇用形態で働く人との主な違いについて解説します。
もっとも大きな違いは、雇用期間です。派遣社員は通常、定められた契約期間がありますが、正社員は基本的に定年まで雇用されることが一般的です。
また、正社員には昇進や昇給の機会があります。実力や業績に応じて役職に昇進できたり、役職や勤続年数に応じて昇給できたりします。さらに、通勤手当や住宅手当、スキルアップ制度など、福利厚生の面でも派遣社員よりも充実していることが多いです。
しかしその反面、正社員は遠方への転勤や別の職種への配置転換の可能性もあります。また、業種や職場によっては、多くの残業や休日出勤が求められることもあります。これに比べて、派遣社員は基本的に残業や休日出勤が少ないのが一般的です。
所定労働時間に関しては、正社員と派遣社員が同じ場合もあれば、派遣社員の方が短い場合もあります。
契約社員は、派遣社員と同様に契約期間が設定されている非正規雇用の一形態です。契約社員は雇用時に定められた条件に基づいて働くため、一般的には昇進や昇給はありません。待遇面では派遣社員と契約社員には共通点が多いです。
ただし、契約社員は直接雇用されている点で派遣社員とは異なります。契約社員は実際の勤務先の会社から雇用されているため、同じ職場の正社員と同じ社会保険に加入できます。
パートやアルバイトは非正規雇用の労働者の中でも、勤務する時間や日数が少ない人たちを指します。パートやアルバイトも基本的には職場から直接雇用されていますが、学業や家事と両立しながら働く人が多いです。
時給制で働く点では派遣社員と共通していますが、同じ職場であれば派遣社員の方が概して時給が高い傾向にあります。
派遣社員として働いている場合には、健康保険や厚生年金などの社会保険はどう扱われるのか見ていきましょう。
健康保険や厚生年金への加入条件は、雇用形態とは無関係に労働条件によって決められており、派遣社員も健康保険と厚生年金に加入可能です。雇用主には加入させる義務があります。
加入条件は、1カ月の所定労働時間と所定労働日数が正規労働者の4分の3以上です。そのため、フルタイムやそれに近い労働時間なら。派遣社員でも健康保険や厚生年金に加入できます。
なお、所定労働時間と所定労働日数が足りない場合でも次の条件をすべて満たせば、社会保険に加入可能です。
そのため、短時間勤務の派遣社員であっても、多くの人が健康保険と厚生年金に加入できます。
健康保険と厚生年金は、雇用されている会社のものに加入します。そのため、派遣社員が加入するのは派遣会社の健康保険と厚生年金です。派遣先で一緒に働いている正社員や契約社員とは、異なる点に留意しておきましょう。
将来受給できる老齢厚生年金の金額は、現役時代に支払っていた厚生年金保険料の金額が高いほど高くなる仕組みです。また、厚生年金保険料の金額は、給与額を基準にして決定された標準報酬月額をもとにして計算されます。
そのため、正社員と比べると給与が少ない場合、将来厚生年金を受給できても、金額が少なくなります。ただし、給与が少なければ、現役時代に納付する保険料も少ないため、一概にデメリットとはいえないでしょう。
派遣社員として働くことには、次のようなデメリットがあります。
派遣社員として働く場合、契約に期限が設けられています。契約更新の可能性もありますが、スキルが不十分などの理由で更新されない場合もあります。景気や派遣先企業の業績が悪化して経費削減が必要になった場合も、派遣社員の更新をしないことを早い段階から検討されます。そのため、派遣社員は正社員と比べて雇用が不安定なのがデメリットです。
スキルに問題なく景気や派遣先の業績も良い場合でも、労働者派遣法に基づき、派遣社員は同じ職場で3年までしか働くことができません。
すぐに別の派遣先を紹介してもらえれば、収入が途絶えることはありません。しかし、キャリア形成においては、同じ職場で長く働けないことは不利になる可能性があります。
ほとんどの場合、派遣社員にはボーナスが支給されません。月収で見ると正社員とそれほど差がないように見える場合でも、ボーナスの有無で年収に大きな差が生まれるケースがあります。
企業が提供する福利厚生は、自社の労働者のためのものです。基本的には正社員を対象にしていますが、一部の福利厚生は契約社員やパート・アルバイトなども利用できます。
一方、派遣社員は派遣元企業の福利厚生が適用されるため、勤務先企業の福利厚生を利用できないケースが主流です。
非正規雇用全般に当てはまることですが、派遣社員は社会的な信用があまり高くありません。たとえばクレジットカードやローンなどを申し込む際に、正社員として働いている人と比べて、不利になってしまう可能性があります。審査に通ったとしても、利用可能枠が少なめに設定されることがほとんどです。
派遣社員に任せられる業務内容は限定されています。裁量の幅が狭く、管理職などの役職に就くことはできません。スキルの高い人や経験の長い人だと、自分のスキルや経験を十分に活かせない可能性もあります。
デメリットも多い派遣という働き方ですが、一方で派遣社員のメリットもあります。
大企業や有名企業に正社員として入社するためには一定水準の学歴や職歴が求められ、転職したくても叶わない人は多いでしょう。
その点、派遣社員なら大企業や有名企業で働くこともそれほど難しくはありません。派遣社員でも正社員と同じオフィスで働くことができ、業務内容が限定されているとはいえ大企業の業務の一端を担うことで、キャリアも積めるでしょう。
派遣社員は時給制ではあるものの、パートやアルバイトなど他の非正規雇用と比べると時給が高めなのはメリットです
正社員の中途採用求人だと、経験者でないと応募できないものが大半ですが、派遣社員なら未経験でも応募できるものが多くあります。
新卒で就職して職場をすぐにやめてしまった人や新卒就職で失敗してしまった人だと、十分な業務経験がありません。応募可能な正社員求人がなく、安定した職業に就けないケースもよくあります。また、これまで行ってきた仕事とはまったく別の職種で働きたい人もいるでしょう。
そのような状況の人にとって、派遣社員として働くことも有力な選択肢になり得ます。派遣社員として働いて経験を積めば、経験者でないと応募できない正社員求人にも応募できるようになります。
一般的に派遣社員といった場合には登録型派遣(※)を指します。しかし、派遣には他にも種類があり、登録型派遣とは異なるメリットがあります。では、登録型派遣以外にどのような派遣があるのか見ていきましょう。
※登録型派遣とは、派遣会社に登録し、派遣先企業からの求人に応じて就業する派遣労働者の雇用形態のことを指します。
紹介予定派遣というのは、契約期間満了後に派遣先企業からの直接雇用に移行することを前提とするものです。最初だけ派遣社員として働きますが、直接雇用に移行すれば、雇用が不安定なことに起因する派遣のデメリットの大半がなくなります。
しかし、紹介予定派遣でも必ず直接雇用に移行できるわけではありません。本人と派遣先の合意が必要であり、スキル不足などで合意を得られない場合には、派遣先で働き続けることはできません。また、最長で6カ月までしか契約できないため、人によっては通常の登録型派遣よりもデメリットが大きいと感じることもあるでしょう。
紹介予定派遣は、派遣社員全体の中での割合がかなり小さく、減少傾向にあるのが実情です。
常用型派遣は、派遣先で就業しているかどうかにかかわらず、常に派遣会社に、正社員または契約社員として、雇用されている派遣社員です。景気や派遣先企業の業績が悪化しても、雇用関係が途切れることはありません。次の派遣先が見つかるまでの間も派遣元企業から雇用され続け、給料も支給されます。そのため、登録型派遣や紹介予定派遣と比べると、雇用の安定性が高いのがメリットです。
ただし登録型派遣のように、好きな派遣先を選べなかったり、遠方の派遣先で働かなければならなかったりする場合もあります。そのため、登録型派遣のような自由度の高さはありません。また、常用型派遣は、専門性の高い職種が中心です。すでに一定のスキルを身につけている人でないと、採用は難しいでしょう。
派遣社員は、実際に働いている職場とは雇用関係がなく、派遣元企業と雇用関係にあります。それゆえ、同じ職場にいる正社員や契約社員、パート・アルバイトなどと待遇が異なり、福利厚生などの面でもデメリットがあります。
有期雇用のため、契約が更新されない可能性があることやボーナスが出ないことが多いのもデメリットです。社会的な信用もあまり高くありません。
しかし、他の非正規雇用よりも時給が高く、未経験の職種や大企業などで仕事をするチャンスをつかみやすい働き方でもあります。もし、派遣社員という働き方に不安を感じているなら、ある程度の経験を積んでから、正社員としての転職を試みるのがいいでしょう。
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