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2024年、日本政府は景気対策の一環として定額減税を実施しています。この政策は、物価高に賃上げが追いついていない現在の状況において、経済的に困窮している家庭を支援するための一時的な緩和措置として実施されているものです。
会社員(給与所得者)の方であれば、2024年6月から、給与明細書に明示される形で所得税および住民税の減税が行われています。一方、個人事業主は会社員と定額減税の適用方法などが異なるため、場合によってはいまだその実感が湧いていない方も多いかもしれません。
本記事では個人事業主の方々を対象に、定額減税に関する基礎知識や注意点、そして具体的な適用時期について詳しく解説します。「このまま何もしなくて良いの?」「いつから適用されるの?」「確定申告でどのように申請すれば良いの?」といった疑問に答えながら、スムーズに定額減税の恩恵を受けるための道筋を示します。
定額減税とは、所得税と住民税から一定の金額を直接差し引くことで、納税者全員に対して同じ金額の税負担軽減(特別控除)を行う制度です。
定額減税の対象者は、所得税の場合は、2024年(令和6年)分の所得税の納税者である日本国内居住者で、一定の条件を満たす方です。また、住民税の場合は、2023年(令和5年)分の住民税の納税者である日本国内居住者が対象となります。
なお、給与収入のみの方は、給与収入が2,000万円以下であれば定額減税が適用されます(※)。
※子ども・特別障害者等を有する者などの所得金額調整控除の適用を受ける方は、2,015万円以下です。
定額減税の額は、以下のとおりです。
同一生計配偶者や扶養親族が増えるごとに、減税額も増えます。
同一生計配偶者とは、単に婚姻関係にあるだけでなく、経済的な面でも生活を共にしている配偶者のことです。その年の12月31日時点で納税者と生計を一にしている人で、年間の合計所得金額が48万円(給与所得だけの場合は給与などの収入が103万円)以下の人を指します。
※青色事業専従者として、その年1度も給与の支払いを受けていない、または白色申告者の事業専従者でない人は除きます。
扶養家族とは、その年の12月31日時点で、以下の4つの要件にすべて当てはまる人です。
一般的に、収入がない子どもや収入が一定以下で生計を一にしている親が扶養親族に該当します。
青色事業専従者(※)等は、定額減税の対象となる同一生計配偶者等には含まれないこととされています。そのため、同一生計配偶者などとして定額減税の適用は受けられません。
※青色事業専従者とは、主に青色申告を行う個人事業主の事業に従事する家族従業員のことを指します。
青色事業専従者が、所得控除の合計額以上の所得金額であるなど、定額減税前の所得税額がある場合には、青色事業専従者自身が定額減税の適用を受ける必要があります。
定額減税とは、所得税と住民税から一定の金額を減税する措置です。実は給与所得者と個人事業主では、その適用方法や手続きに違いがあります。
住民税は、給与所得者と個人事業主ともに令和6年(2024年)度の第1期分から控除されます。そのため、特別に対応することはありません。住民税決定通知書に減税額の記載がされているため、確認してみましょう。第1期分で控除されない場合は、第2期以降で控除が行われます。
給与所得者の場合、一定の条件を満たせば令和6年(2024年)6月1日以降に支払われる給与から自動的に定額減税が適用されます。会社が従業員の給与から税金を源泉徴収する際、この定額減税額が考慮されるため、特別な手続きは不要なケースがほとんどです。
一方、個人事業主は、確定申告の際に、自ら定額減税を適用する必要があります。確定申告書に定額減税に関する項目があり、そこに必要事項を記入することで、減税を受けられる仕組みです。なお、予定納税を行っている場合は、確定申告を待つことなく、早期に定額減税を適用できる場合もあります。
これは、個人事業主の所得が年間を通じて変動し、最終的な所得が確定するのが年末であることが主な理由です。そのため、個人事業主に対する定額減税の適用は、令和6年(2024年)分の確定申告時(令和7年(2025年)2月〜3月)に行われることになります。
個人事業主にとっての定額減税は、2024年1月1日から12月31日までの所得(令和6年度分)に対して適用されます。そのため、実際に減税の恩恵を受けるのは、2025年に行う確定申告時となります。具体的なタイムラインは以下のようになります
つまり、個人事業主の方は、2024年中は通常通り事業を行い、2025年の確定申告時に減税の適用を受けることになります。そのため、2024年中に特別な手続きは必要ありませんが、正確な収支記録を付けることが非常に重要です。
年間の所得税が15万円以上ある場合、前年の所得税額に基づいて予定納税を行います。予定納税の対象となっている場合、2025年に行う確定申告を待たずに定額減税の控除を受けられます。令和6年(2024年)度の第1期分予定納税額(7月分)から、定額減税分が控除されているはずです。
第1期分で控除しきれなかった場合、第2期分(11月)から控除されます。それでも控除しきれなかった場合は、確定申告で還付される仕組みです。
なお、同一生計配偶者または扶養親族に関する定額減税額に相当する金額は、予定納税の減額申請手続きにより第1期分の予定納税額または第2期分から控除されます。確定申告の際に、予定納税額を踏まえて最終的な所得税額と定額減税額の精算が行われます。
同一生計配偶者または扶養親族に関する定額減税額に相当する金額の減額申請の期限は以下のとおりです。
項目 | 変更後 | 変更前 |
---|---|---|
第1期分の納期 | 令和6年(2024年)7月1日(月)から同年9月30日(月)まで | 令和6年(2024年)7月1日(月)から同月31日(水)まで |
第1期分の振替日 | 令和6年(2024年)9月30日(月) | 令和6年(2024年)7月31日(水) |
第1期分及び第2期分の予定納税額の減額申請の期限 | 令和6年(2024年)7月31日(水) | 令和6年(2024年)7月15日(月) |
予定納税額の減額申請が行えるのは、以下の場合です。
※出典:国税庁「令和6年分所得税の定額減税Q&A(予定納税・確定申告関係)」
その年の6月30日時点の申告納税見積もり額および予定納税特別控除額に基づいて、計算した金額が、第1期分と第2期分の予定納税額の金額です。ただし、その申告納税見積もり額が 15 万円に満たない場合には、これらの予定納税額はないものとみなされます。
第1期分の予定納税額は、申告納税見積もり額の1/3に相当する金額です。ここから、予定納税特別控除額が控除されます。
第2期分の予定納税額は1期分で控除しきれない、予定納税額申告納税見積もり額の1/3に相当する金額から控除した金額です。
計算した申告納税見積もり額が15万円に満たない場合、第2期分はないものとされます。
第2期分の予定納税額は、申告納税見積もり額から、定額減税を適用しないものとして計算した第1期分の予定納税額を控除した金額の1/2に相当する金額です。ただし、第1期分の予定納税額から控除されなかった予定納税特別控除額の金額がある場合には当該金額を控除した金額となります。
※出典:国税庁「令和6年分所得税の定額減税Q&A(予定納税・確定申告関係)」
所得額が低い(=所得税額や住民税額が低い)、また扶養親族が多く定額減税の適用額が大きいなどの場合、定額減税で引ききれない(定額減税適用額が余ってしまう)ケースが発生します。このような場合は、引ききれない額に応じて給付金が支給されます。
これは調整給付金と呼ばれるもので、令和6年(2024年)夏以降の「当初給付」と令和7年(2025年)以降の「不足額給付」の2回に分かれて支給されます。対象者には各自治体から確認書が送付される予定です。詳細はお住まいの自治体や国税庁のWebサイトなどをチェックしましょう。
2024(令和6)年夏以降、個人住民税が課税される市区町村において、2023(令和5)年の所得状況(所得税・個人住民税)に基づき、定額減税で引ききれないと見込まれるおおむねの額が支給されます。
個人住民税が課される市区町村において、2024(令和6)年分の所得税と定額減税の実績の額が確定した後、上記の当初給付では不足する金額があった場合に、追加で給付されます。
2024(令和6)年分の所得税と定額減税の実績の額が確定する必要がありますので、2025年以降に個人住民税が課税される市区町村から支給されます。
※出典:内閣官房「よくあるご質問」
一般的に、所得税および住民税は利益(所得)に対して課税されるため、赤字の場合は所得税(住民税)自体が発生しません。定額減税は、住民税と所得税から控除される制度です。そのため、そもそも赤字などでどちらも納付していなければ控除されません。
所得税および住民税が課税されない住民税非課税世帯や住民税均等割のみ課税される世帯の場合、定額減税の対象とはなりませんが、その代わりに次の一体給付措置が適用されます。
世帯主1世帯あたり7万円+18歳以下の児童1人あたり5万円給付
(令和5年(2023年)夏以降に給付された3万円と合わせると1世帯あたり10万円の給付)
令和5年(2023年)度に住民税非課税世帯である方に加え、令和5年度(2023年)分は住民税非課税世帯ではなかったものの、令和6年(2024年)度に新たに住民税非課税世帯に該当する方も含みます。対象となる方には、各市区町村より案内があります。
世帯主に1世帯あたり10万円+18歳以下の児童1人あたり5万円が給付
令和5年(2023年)度に住民税均等割のみ課税世帯である方に加え、令和5年(2023年)度分は住民税均等割のみ課税世帯等ではなかったものの、令和6年(2024年)度分の個人住民税の税額決定時に住民税均等割のみ課税世帯に該当する方も対象です。対象となる方には、各市区町村より案内があります。
※出典:内閣官房「新たな経済に向けた給付金・定額減税一体措置」
個人事業主の中には、現時点(2024年10月時点)で所得税の減税が適用されていない人も多くいると思います。先述したように、予定納税の対象でない個人事業主の場合、定額減税における所得税減税の恩恵を受けることができるのは2025年の確定申告のタイミングです。そこで、確定申告に備えて、個人事業主の方が今からできる準備を紹介します。
日々の収入と経費の記録を確実に行うことが、最も重要です。定額減税の適用にあたっては、2024年の所得金額が基準となるため、正確な記録が不可欠です。
経費の領収書に関しては、整理・保管をこまめに行い、また売り上げに関しては、請求書と入金を照合し、漏れがないか確認しましょう。
最新の税制改正情報をこまめにチェックしましょう。国税庁のWebサイトや所轄の税務署からの通知などを定期的に確認することが重要です。月に1回は国税庁のWebサイトをチェックし、税制に関するニュースをフォローすれば安心です。
不明点があれば早めに税理士や会計士に相談することをおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、より効果的に減税措置を活用できる可能性があります。たとえば半年に1回程度、顧問税理士と面談し、自身の事業の状況と税制の変更点について相談しましょう。
定額減税による税負担の軽減を見込んで、2024年から2025年にかけての資金繰り計画を見直すことも検討しましょう。たとえば月次で収支を確認し、減税による影響を加味した上で、将来の設備投資や運転資金の計画を立てるなどが挙げられます。
2025年の確定申告に向けた準備を早めに始めることをおすすめします。必要書類の整理や申告書の記入方法の確認など、できることから少しずつ準備を進めていけば、スムーズに確定申告を終わらせられるでしょう。
定額減税は会社員など給与所得者はもちろん、個人事業主にとっても重要な制度です。所得税の定額減税に関しては、2024年の所得に対して適用されるため、個人事業主の場合、2025年の確定申告時に具体的な手続きが必要となります。最新の情報に常に注意を払い、必要に応じて専門家に相談することが重要です。また、正確な記帳と資金繰りの見直しなど、今からできる準備をしっかりと行うことで、スムーズに定額減税の恩恵を受けられるように備えましょう。
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※12月1日~12月31日のお申し込みの場合は「2カ月無料」です。
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