ネットショップの普及に伴い「受け取り拒否」という問題が深刻化しています。受け取り拒否とは、配送時に注文商品の受け取りが拒否され、商品がショップへ返送されることを指します。
ショップにとって「受け取り拒否」は死活問題ともいえる深刻なものです。商品代金の損失、送料・手数料の負担、梱包資材費、人件費など、さまざまな損害が発生するだけでなく、顧客からのクレーム対応や再発防止策の検討といった精神的な負担も伴うでしょう。
さらに、一部の悪質なケースでは、転売目的で複数の商品を注文し、市場価格の変動に応じて選択的に受け取り拒否を行うユーザーも存在します。転売者は自身のリスクを最小限に抑えつつ、利益機会を最大化しようとしているのです。
本記事では、こういった事例を踏まえて、ネットショップを悩ませる受け取り拒否の原因と、その対策について詳しく解説します。
目次
受け取り拒否の主なケース
受け取り拒否は、ネットショップにとって深刻な問題です。商品代金の損失や再発防止策の検討など、さまざまな負担が発生するだけでなく、悪質なケースでは法的措置が必要になる場合もあります。ここでは、受け取り拒否の具体的なケースと、それぞれの詳細について解説します。
注文内容の間違い
- サイズや色を間違えて注文してしまった
- 複数注文したつもりが1点だけだった
- 商品説明をよく読んでいなかった
支払い能力の不足
- 注文後に支払い方法を変更したい
- 代金引換を選択したが、受け取りまでに必要な現金が用意できなかった
- 予想以上に高額な送料がかかってしまった
- 支払い期限までに振り込みが間に合わなかった
長期間不在
- 旅行や入院などで長期的に不在だった
- 転居先への転送を依頼していたが、転送先住所に誤りがあった
家族の同意を得ていない
- 家族が勝手に注文した
- 家族が注文内容を知らなかった
悪意のある行為
- 買い占め目的で大量注文する
- いたずらで注文する
- クレームをネタに金銭を要求する
ショップ側に原因がある場合も
可能性として、注文者ではなくネットショップ側に原因があり、受け取り拒否をされているケースもあります。ここでは一例をご紹介します。
商品情報や注文規約の不備
- 商品写真や説明文が不十分で、商品の状態が正確に伝わらない
- 送料や手数料、返品条件などがわかりにくい
- 注文規約に記載漏れがある
顧客情報の管理不備
- 本人確認が不十分で、なりすまし注文を防げていない
- 過去の注文履歴を把握できていない
発送の遅延
- 注文から発送までの日数が長い
- 予定よりも配達に時間がかかる
誤発送
- 注文した商品と違う商品が届いた
- 数量が間違っている
このほかにも、配送業者のミスや自然災害の影響で、受け取り拒否が発生する可能性があります。
受け取り拒否への対策
受け取り拒否のケースの中でもとくに多い、以下の5つのケースについて、対策を解説します。
注文内容の間違いへの対策
商品ページの充実
- 高画質な商品画像を複数枚掲載し、あらゆる角度から商品を確認できるようにする
- 詳細なサイズ表や着用イメージ画像を掲載し、商品のサイズ感や風合いを伝えやすくする
- 360度回転画像や動画を活用し、商品の質感や動きをよりリアルに伝える
- 複数カラーやバリエーションがある場合は、それぞれの写真を掲載する
- 拡大鏡機能などを導入し、商品を細かく確認できるようにする
商品説明の明確化
- 商品名や商品説明文に、商品の素材、サイズ、重量、色味、機能などを具体的に記載する
- オプションや付属品についてもしっかりと説明する
- 専門用語はできるだけ避け、わかりやすい言葉で説明する
- 不明点がある場合、わか気軽に問い合わせできるよう、ショップの連絡先を明記する
注文確認画面の改善
- 注文内容をわかりやすくレイアウトし、誤注文を防ぐ
- 注文内容の変更やキャンセルができるようにする
- 注文確定前に内容確認メールを送信し、誤注文に気付く機会を設ける
顧客サポートの充実
- 商品に関する質問や注文に関する問い合わせに迅速かつ丁寧に回答する
- チャットボットなどを導入し、24時間365日対応できるようにする
- FAQページを用意し、よくある質問への回答を掲載する
支払いに不備がある場合の対策
代替的な決済手段の導入
決済手段を複数用意することで、購入者の利便性を高め、支払い能力の不足による受け取り拒否を減らすことが期待できます。
- クレジットカード決済
- コンビニエンスストア決済
- 後払い決済
- 銀行振込
- 代金引換
支払い方法変更機能の導入
購入後に支払い方法を変更したいというケースも考えられます。注文確定後でも支払い方法を変更できる機能を導入することで、購入者の利便性を高め、受け取り拒否を減らすことが期待できるでしょう。
支払いに関する情報をわかりやすく掲載
支払いに関する情報を注文ページや注文確認画面、FAQページなどにわかりやすく掲載することで、購入者が支払いに関する情報を事前に確認し、支払い能力不足による受け取り拒否を防げるでしょう。
- 支払い方法ごとの手数料
- 支払い期限
- 遅延した場合のペナルティー
- 支払いに関する問い合わせ先
悪意のある行為への対策
悪意のあるユーザーを特定し、ブラックリスト化することで、悪質なユーザーによる注文を抑制できます。また、高額商品や転売目的と思われる注文には注意します。高額商品の注文や複数個同じ商品を注文しているケースは、転売の可能性が考えられるでしょう。上記のような注文には注意し、必要に応じて本人確認などを行います。
- 過去の注文履歴や本人情報などを基に、悪質なユーザーを特定し、ブラックリスト化
- 過去の注文で受け取り拒否やキャンセルが多いユーザー
- 虚偽の注文情報を入力しているユーザー
- 転売目的と思われる注文
なお、悪質なユーザーが何度も受け取り拒否を繰り返す場合や、高額な商品を騙し取って転売するような悪質な行為を行った場合は、法的措置の検討が必要です。
長期間不在の場合の対策
長期不在の場合は、事前に連絡を取るよう促す
注文時に、長期不在期間や不在先住所、転送先住所、連絡先などの入力欄を用意して、購入者から情報を収集しましょう。注文確認メールで、長期不在期間中に商品が届くことをあらためて通知し、転送サービスの利用や不在連絡先への連絡を促します。
配送業者の保管期限を確認
- 配送業者によって保管期限は異なる。
- 一般的には、5〜7日間程度である。
- 保管期限を過ぎると、商品がショップへ返送されてしまう。
ショップは、配送業者の保管期限を確認し、購入者に事前に通知します。
家族の同意を得ていない場合の対策
注文時に家族の同意を得たかの確認を行う
- 注文時に、家族の同意を得たことを確認するチェックボックスを用意する
- 未成年者からの注文にはとくに注意し、家族からの同意を得ていることを確認する
未成年者からの注文には注意
- 未成年者は、契約締結能力がないため、親権者の同意なしで購入した商品は無効となる
- ショップは、未成年者からの注文には注意し、親権者の同意を得ていることを確認する
ショップ側で不備を防ぐための効果的な対策
受け取り拒否を防ぐためには、ショップ側の不備をなくすことが重要です。ここでは、主に3つの観点から具体的な対策を解説します。
商品情報と注文規約の充実
商品情報の充実は、顧客の期待と実際の商品のギャップを埋める重要な要素です。高画質な商品画像を複数枚掲載し、静止画だけでなく動画も活用しましょう。さらに、詳細なサイズ表や着用イメージ画像、360度回転画像やVR画像なども効果的です。スマートフォンやタブレット端末でも利用できる拡大鏡機能を導入すれば、顧客の利便性が大幅に向上します。
商品説明文では、素材、サイズ、重量、色味、機能などを具体的に記載し、専門用語は避けて平易な言葉で説明することが大切です。商品のメリットだけでなくデメリットも正直に伝え、オプションや付属品、使用上の注意やお手入れ方法なども漏れなく記載しましょう。
注文規約は、注文方法、支払い方法、送料、返品・交換条件、クーリングオフ制度、個人情報保護方針などをわかりやすく簡潔に記載し、目立つ場所に掲載します。注文確定画面にも規約へのリンクを設けることで、顧客の理解を促進できます。
顧客情報の適切な管理
顧客情報の管理は、不正注文を防ぐ上で非常に重要です。注文時には、電話番号やメールアドレス、SMS認証、クレジットカード情報による本人確認を徹底しましょう。場合によっては本人確認書類の提出を求めることも検討してください。
過去の注文履歴をデータベースで管理し、受け取り拒否やキャンセルが多いユーザー、虚偽の注文情報を入力しているユーザーを特定してブラックリスト化することも効果的です。
同時に、顧客情報の暗号化、不正アクセス対策、情報漏洩対策などのセキュリティ対策を強化し、顧客の個人情報を厳重に保護することが信頼につながります。
迅速かつ正確な発送体制の構築
発送の遅延は受け取り拒否の大きな要因となります。これを防ぐためには、まずサプライヤーとの連携を強化し、商品の入荷状況を正確に把握することが重要です。納期遅延の可能性がある場合は、速やかに顧客に連絡を入れましょう。
注文処理システムの導入や人員配置の見直しにより、注文処理体制を効率化することも有効です。また、信頼できる配送業者を選定し、迅速かつ丁寧な配送サービスを提供することで、顧客満足度の向上につながります。
以上の対策を総合的に実施することで、ショップ側の不備による受け取り拒否を大幅に減少させることができるでしょう。常に顧客目線で改善を重ね、信頼されるショップ運営を心がけることが重要です。
業務効率化の次なる一手:電子契約の導入
これまで述べてきた対策を実施することで、受け取り拒否の問題に大きく対処できるでしょう。しかし、ネットショップの運営をさらに効率化し、顧客との信頼関係を強化するには、もう一歩進んだ取り組みが必要です。その解決策として、電子契約の導入が非常に効果的です。
電子契約サービスは、従来の紙の契約書に比べて多くのメリットがあり、ネットショップ事業者にとってとくに有用なツールとなります。以下に、その主要なメリットを詳しく見ていきましょう。
契約締結プロセスの迅速化
オンライン上で簡単に契約を締結できるため、紙ベースでのやり取りが不要になります。契約締結にかかる時間を大幅に短縮でき、「発送の遅延」問題の解決にも貢献します。顧客の待ち時間が減ることで、満足度向上にもつながるでしょう。
契約書の管理・保存の効率化
契約書を電子データで保存することで、物理的な保管スペースが不要になります。また、検索機能やフィルター機能を利用して必要な契約書をすぐに見つけられるため、「顧客情報の管理不備」の問題解決にも役立ちます。過去の取引履歴を即座に確認できることで、顧客対応の質も向上するでしょう。
契約内容の柔軟な改訂・更新
電子契約では、契約書の内容を簡単に改訂・更新できます。これにより、商品情報や取引条件の変更を迅速に反映でき、「商品情報や注文規約の不備をなくす」という目標をより確実に達成できます。常に最新の情報を提供することで、顧客とのミスコミュニケーションを防ぎ、トラブルを未然に防ぐことが可能です。
契約違反の抑止と法的リスクの低減
法的効力のある電子署名やタイムスタンプの利用により、契約内容の改ざんを防ぐことができます。これは、悪質な受け取り拒否や不正注文を抑止する効果があり、ショップの法的リスクを低減します。同時に、正当な顧客の権利も明確に保護されるため、双方にとって安心できる取引環境を構築できるのです。
電子契約の導入は、これまで説明してきた受け取り拒否対策を補完し、さらに強化する役割を果たします。顧客との信頼関係構築、業務効率化、リスク管理の観点から、ネットショップ運営の次なるステップとして強くおすすめします。
電子契約なら電子印鑑GMOサインがおすすめ
電子契約の導入を考えている小売業・販売業の方におすすめなのが、電子契約サービス国内シェアNo.1(※)の電子印鑑GMOサインです。GMOサインをおすすめする理由には以下が挙げられます。
※電子署名法に基づく電子署名およびタイムスタンプが付与された契約の累計送信件数(タイムスタンプのみの契約を除く。主な立会人型電子署名サービスが対象)GMOリサーチ&AI株式会社調べ(2024年12月)
コストパフォーマンスに優れている
電子印鑑GMOサインは、送信料1通あたり110円(税込)という業界最安水準の料金で利用できます。お試しフリープランもあるため、気軽に試すことが可能です。
豊富な機能が用意されている
電子印鑑GMOサインは、基本的な機能はもちろんのこと、以下のような豊富な機能が備わっています。
電子署名
電子署名により、契約書の改ざんや偽造を防止できます。GMOサインの署名方法は以下の3通りです。
契約印タイプ(立会人型)
メール認証により本人性を担保できる電子署名方法です。月額基本料無料の「お試しフリープラン」でも利用することが可能です。スピーティーな契約締結に向いており、法人・個人を問わずに利用できます。
実印タイプ(当事者型)
第三者機関である電子認証局による本人確認によってより厳格な本人性を担保できる電子署名方法です。月額9,680円(税込)の契約印&実印プランで利用可能です。法人実印相当の法的効果が認められます。
マイナンバー実印(当事者型)
個人との契約において、マイナンバーカードを使うことで厳格な本人確認が可能な電子署名方法です。個人との契約で実印の代替となります。
※マイナンバー実印はオプション機能です。
そのほかにも、以下の機能が標準搭載されています。
長期署名・認定タイムスタンプ
タイムスタンプとは、電子文書の非改ざん性を担保するための技術的な仕組みです。タイムスタンプを付与することで以下の2点を証明します。
- タイムスタンプに記録された時刻に、その文書が存在していること(存在証明)
- タイムスタンプに記録された時刻以降に、その文書が改ざんされていないこと(非改ざん証明)
タイムスタンプは時刻認証局(TSA)によって付与され、時刻配信局(TA)が提供する正確な時刻を基にしています。そのため、文書作成時刻が信頼できる第三者によって客観的に保証されます。
電子契約で使用する電子署名やタイムスタンプには検証可能な期間が定められており、電子署名は1〜3年、タイムスタンプは約10年です。10年を超える契約の場合、タイムスタンプの有効期間内に追加のタイムスタンプを押すことで、検証可能期間を延長できます。
GMOサインでは、契約締結後に保管された文書に対し、システム上に最新暗号技術に基づくタイムスタンプを10年ごとに自動で付与します。長期保存が必要な契約も安全に管理可能です。
長期署名・認定タイムスタンプ|電子印鑑GMOサイン
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1回の送信で複数の文書を送信可能です。2文書以上送信した場合でも、1件あたりの送信料は変わりません。
電子署名フォーム
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電子署名フォーム|電子印鑑GMOサイン
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スマートフォンやタブレットなどの端末を用いて、手書きでのサインにも対応しています。
手書きサイン|電子印鑑GMOサイン
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電子契約で署名する際に、見た目を再現する印影を登録可能です。
印影登録|電子印鑑GMOサイン
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署名依頼メールの再送信
先方の担当者が署名依頼メールを紛失した際にも、署名依頼メールの再送が可能です。
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フォルダごとに閲覧範囲を設定できます。そのため、部外秘の文書などの保管にも向いています。
閲覧制限|電子印鑑GMOサイン
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GMOサインでは、導入時のサポートだけでなく、導入後のサポートも充実しています。標準サポートは、平日10:00~18:00で、電話・メール・チャットでのサポートを利用可能です。
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セキュリティの取り組み・認証取得|電子印鑑GMOサイン
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スクロールできます
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受け取り拒否の対策をしよう
受け取り拒否は、ネットショップにとって深刻な問題です。しかし、適切な対策を講じることで、リスクを最小限に抑えることは可能です。それぞれのケースに合わせた具体的な対策を参考に、自分たちのショップに合った対策を検討します。そうすることで、ショップの利益を守り、顧客満足度の高い運営を実現できるでしょう。